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AI(人工知能)の歴史について年表を活用しながら時系列で簡単に紹介

最終更新日:2024/07/29

近年、AI・人工知能への注目度は非常に高くなっており、さまざまなメディアでも取り上げられています。AIについて詳しくない方でも、「AI=便利なもの」という認識はあるのではないでしょうか。

ここ数年で大きな注目を集めるようになったためAI・人工知能の歴史は浅いと思われがちですが、実はAI・人工知能には長い歴史があり、現在に至るまでにさまざまな出来事が起きているのです。そこで今回は、AI・人工知能の歴史について詳しく解説します。

AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説

AI(人工知能)とは

AI(人工知能)とは、人間の知能を模倣し、学習・推論・判断・認識などの能力をコンピュータ上で実現する技術のことを指します。

AIは、自動運転車・音声認識画像認識自然言語処理など、様々な分野で活用されています。例えば、Googleの音声アシスタントやAmazonの推奨システムはAIを活用した代表的な例です。これらのシステムは、ユーザーの行動や傾向を学習し、それに基づいた最適な結果を提供します。また、医療分野では、AIは画像診断に用いられ、病気の早期発見に貢献しています。

最近ではChatGPTやMidjourneyなどの「生成AI」が登場しました。これは文章やイラストなどのコンテンツを生成できるAIであり、大きな話題となりました。

これらの活用事例から、AIは我々の日常生活や社会全体に深く浸透していることがわかります。

AI(人工知能)の歴史を年表で簡単に紹介

まずはAIの歴史について、概要や代表的な概念・技術を交えながら、年代別に紹介します。

AIに関する進化・発展の歴史年表

年代 概要

代表的な概念・技術

1950年-1960年
  • アラン・チューリングがAIの起源となる概念を作った
  • ジョン・マッカーシーが思考する機械を「人工知能」と命名
  • チューリングテスト
1960年-1974年
  • 第1次AIブームが到来
  • 対話できる自然言語処理プログラム「イライザ」が誕生
  • コンピューターの「推論・探索」
  • イライザ(ELIZA)
1974年-1980年
  • AIの性能が科学者間で疑問視される
  • 研究支援が滞りブームが下火になる
1980年-1987年
  • 第2次AIブームが到来
  • エキスパートシステムが事業に広く導入され始める
  • ディープラーニングの基本となる「誤差逆伝播法」が発表
  • エキスパートシステム
  • Cyc(サイク)プロジェクト
  • 誤差逆伝播法
1987年-1993年
  • エキスパートシステムの性能的な限界によりブームが下火化
1993年-2022年
  • 第3次AIブームが到来
  • 機械学習を応用した技術の実用化が進む
  • ビッグデータによるデータ蓄積が加速化する
  • 産業へのディープラーニングの導入が進む

AIのはじまりは1950年代にアラン・チューリングが基本的な概念を提唱したところから始まります。その後、「人工知能(artificial intelligence)」という名前がジョン・マッカーシーによって名付けられました。1960年からは第1次AIブームが到来し、コンピューターの「推論・探索」や自然言語処理プログラム「イライザ」が誕生しました。

しかし、1974年頃よりAIの性能が科学者間で疑問視されたことも影響し、ブームは一時的に下火となります。その後、再びAIがブームとなったのは、エキスパートシステムが事業に導入され始めた1980年以降。1987年から1993年にかけて、またもやAIへの注目度は下がりましたが、1993年に第3次AIブームが訪れます。

特に、2000年以降に急速な勢いで普及したインターネット技術の後押しもあり、2010年以降は機械学習やディープラーニングの技術が発展します。そして、現在なじみのあるAIとして多くの人々へ認識されるようになりました。

AIの歴史を簡単に述べると上記のとおりです。次のセクションでは、各時代ごとにAIの分野で何が起こったのか、時系列順に詳しく見ていきましょう。

AIの歴史を時系列でわかりやすく解説

AIの歴史を見てみると、3回にわたる大きなブームが訪れている一方、開発・研究が下火となった「冬の時代」も2回迎えています。機械学習やディープラーニングが注目を集めている「第3次AIブーム」を迎えるまでに、紆余曲折を経ながら進化を遂げてきたことがわかります。

年代別のAIの歴史について、各時代でどんなトピックがあったのか、さっそく紹介していきます。

1950年-1960年:AIの出現

トピックを簡単にまとめると!

  • アラン・チューリングによるAI(人工知能)の概念創造
  • ジョン・マッカーシーが思考する機械を「人工知能」と命名
  • 「AI(人工知能)」の存在が世界中の科学者へ知られる

1950年:AI(人工知能)の概念が誕生

今では最先端技術の一つとして大きな注目を集めているAI(人工知能)ですが、その歴史は意外と古く、1950年代まで遡ります。

AI(人工知能)という概念の起源となったのは、イギリス出身の数学者である「アラン・チューリング」が執筆した論文『計算する機械と知性』です。この論文は彼が1950年に発表したもので、「機械は考えることはできるか?」という問いを、思考実験としての「模倣ゲーム」に置き換えて展開しました。

そして、チューリング氏は「機械が思考したかどうかは、人との会話が成立したかどうかで判断する」としたうえで、このテストのことを「チューリングテスト」と名付けました。

チューリングテストの概要や、アラン・チューリングが開発に携わった背景について知りたい方は、以下のコラムや映画もご参照ください。

チューリングテストの概要についてさらに知りたい方はこちら
「天理大学:計算する機械と人間-チューリングテスト-」

1956年頃:「人工知能」という言葉が生まれる

1956年、科学者たちによって開催されたダートマス会議において、アメリカのダートマス大学の数学教授であったジョン・マッカーシー氏が、人間のように考える機械のことを「人工知能」と名付けました。

チューリングによる人工知能の概念を確立するとともに、ダートマス会議においてマッカーシー氏が「人工知能」という言葉を定義したことをきっかけに、AI(人工知能)は世界中の科学者たちに認知されるようになりました。

1960年-1974年:第1次AI(人工知能)ブーム~推論と探索~

トピックを簡単にまとめると!

  • 第1次AIブームの中心は「推論」と「探索」
  • 対話できる自然言語処理プログラム「イライザ」が誕生

1960年代:第1次AIブーム勃興

「第1次AIブーム」は、1960年代にアメリカやイギリスで勃興したといわれています。

この頃は、1964年にIBMが後世のコンピューターにも影響を与えた「システム360」というモデルを発売するなど、コンピューターの黎明期でもありました。世の中に普及し始めたコンピューターを使ってAIの開発・研究ができることもあり、以下の2つの事柄がブームの中心でした。

推論:人間が思考する過程を記号で表現し、実行していく
探索:目的となる条件を、解き方のパターンを場合分けして探し出していく

推論や探索については少し分かりにくいかもしれませんが、これは迷路を解くときをイメージすればわかりやすいでしょう。

【人間の例】

基本的に人間は迷路を解くときに指やペンなどで道を指しながらゴールを目指していきます。

一方のコンピューターは、分かれ道に差し掛かったときに「右に進んだ場合」と「左に進んだ場合」の2つに分類します。コンピューターはこういった分類を得意としているため、分類を繰り返して答えを見つけ出すことができるのです。

【AIの例】

引用:一般社団法人電子情報技術産業協会「人工知能の未来 ーディープラーニングの先にあるもの」

この技術によって、人間では時間がかかってしまうようなパターン分けの作業も、よりスピーディーに行えるようになりました。囲碁や将棋、チェスといったボードゲームに用いられているAIには、この探索技術が用いられています。

1966年:Siriの起源となったAI・人工知能「イライザ(ELIZA)」が開発される

そんな第1次AIブームではさまざまな研究が進められましたが、数多く存在する研究の中でも、1966年にマサチューセッツ工科大学のジョセフ・ワイゼンバウム氏によって開発された「イライザ(ELIZA)」という世界初の自然言語処理プログラムは、特に大きな注目を集めました。

イライザは、文章を用いて自然言語(人間の言語)を処理して、あたかも人と対話しているように回答を提示できるプログラムです。仕組みは、特定のキーワードに反応する回答パターンを複数用意しておき、入力した文章に含まれるキーワードに応じて、定型文で応答するというものでした。

もともとは、ワイゼンバウム氏が精神科医やカウンセラーが患者を対話によって回復させる「治療プロセス」に注目し、イライザの開発に至ったとされています。イライザには一つのキーワードに対して複数の回答パターンが用意されていたため、まるで感情を持つカウンセラーと対話しているかのようなやり取りに熱中する人々もいました。

イライザは、現在iPhoneやiPadなどのApple製品に導入されているAIアシスタント「Siri」の起源になったプログラムともいわれています。

1974年-1980年:冬の時代

トピックを簡単にまとめると!

  • 複雑な要因を含んだ問題はAIに解けないことが判明
  • AIの性能が科学者間で疑問視される
  • 研究支援が滞りブームが下火化

第1次AIブームでは、多くの人々からAIに期待が寄せられました。しかし、当時のAIの技術は決して高くはなかったため、1974年から1980年代初頭までの期間は、のちに「冬の時代」と呼ばれるようになります。

この時代のAIはたとえば、迷路の解き方や定理の証明といった単純な仮説には対応できても、現実の社会で問題となるような、複数の要因が絡み合う課題を解くことはできなかったのです。

そのため、科学者たちの間でも、「AIは本当に人間のような知性を持つことができるのか?」といった疑問が広がり、AI(人工知能)で解けた問題は「おもちゃの問題(トイ・プロブレム)」と呼ばれるようになりました。

このように、AIの性能的な限界が見えたことにより、初めてのAIブームは下火化。研究支援も滞った結果、AIの開発は失速してしまうのです。

1980年-1987年:第2次AIブーム(知識を蓄積したエキスパートシステム)

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トピックを簡単にまとめると!

  • エキスパートシステムが事業に広く導入され始める
  • Cyc(サイク)プロジェクトが注目を集める
  • ディープラーニングの基本となる「誤差逆伝播法」が発表

1980年-1987年:多数のエキスパートシステムが実現

人々からAIへの関心が薄れた冬の時代を経て、再びAIへの関心が高まる時期がやってきます。それが「第2次AIブーム」と呼ばれた1980年〜1987年頃。多数のエキスパートシステムが実現されたことによって、再度AIブームが起こりました。

エキスパートシステムとは、プログラムが特定の問題に対して専門家のように推論を展開し、問題解決へ導くシステムのことです。その仕組みは、入力された情報に対し、システムが専門家の意志決定プロセスを模倣して回答を出力するというものです。

たとえば、以下の例では、「体温が38℃以上」「X菌検査が陽性」などの選択肢にYES/NOのどちらかで回答することで、感染症に罹患している確率を把握できるようになっています。このように、エキスパートシステムを活用すれば、実際に専門家から対面でアドバイスをもらわずとも、専門家と同程度の回答を得ることが可能となります。


引用:日経Xtech「エキスパートシステムとは異なる」

そして第2次AIブームの頃には、さまざまな大企業が積極的にエキスパートシステムを業務に導入し始め、実用的なツールとして多くの企業に商用利用されるようになったのです。

そんなエキスパートシステムですが、この仕組み自体は現在でもさまざまな企業に導入されています。例えば、以下のような身近なサービスでも活用されています。

  • Amazonや楽天市場などECサイトにおける商品のレコメンド機能
  • Googleユーザーの関心に合わせた記事を表示する機能
  • SNSのチャットボット(自動的に会話できるプログラム)

1984年:注目を集めたプロジェクト・アルゴリズム

第2次AIブームではエキスパートシステムとともに「Cyc(サイク)プロジェクト」にも大きな注目が集まりました。Cycプロジェクトは、1984年に開始された知識記述のプロジェクトです。

一般常識をデータベース化していき、人間と同じレベルの推論システムを構築していくことを目的としたものとなっています。このプロジェクトが開始されたことで、人間の常識に根ざした推論を行うことが可能になりました。

1986年:誤差逆伝播法が発表される

さらに1986年には誤差逆伝播法が発表されたことも、大きな注目を集めました。誤差逆伝播法とは、「バックプロパゲーション」とも呼ばれているもので、機械学習においてニューラルネットワークを学習させる際に使用されるアルゴリズムのことです。このアルゴリズムが、現在多くのAIに活用されているディープラーニングの基本となりました。

1987年-1993年:冬の時代(知識獲得のボトルネック)

トピックを簡単にまとめると!

  • エキスパートシステムの性能的な限界によりブームが下火となる
  • 日本国内の国家プロジェクト「5Gプロジェクト」が終了する

1980年から1987年にかけて2度目のAIブームが到来した一方、研究を続ける科学者の間では「エキスパートシステムにも限界があるのではないか」という大きな問題が次第に明らかになっていきました。

というのも、エキスパートシステムには以下のような2つの大きな欠点が存在していたからです。

  • 手動でコンピューターに記述する手間が大きい
  • 例外処理や矛盾したルールへの対応が難しかった

1980年代のコンピューターシステムは、情報を自動で収集・蓄積する能力が欠如しており、エキスパートシステムに知識を入力する作業は手作業で非常に労力がかかりました。ユーザーは「ユーザーインターフェースモジュール」を通じて、キーボードでデータを一つ一つ入力する必要があったのです。このような状況は、継続的な作業を困難にしていました。

また、例外処理や矛盾したルールへの対応も当時のテクノロジーでは難しく、エキスパートシステムの実用化には限界がありました。

日本では、これらの課題を克服するべく1982年に「5Gプロジェクト(第五世代コンピュータ・プロジェクト)」という約540億円規模の国家プロジェクトが始まりました。このプロジェクトは当時の日本の通産省が推進したもので、AIや国産コンピューターの発展を目指していましたが、膨大な知識の手動記述とその管理の困難さから、1992年に終了しています。

このプロジェクトは、コンピューターシステムの限界と、それを克服するための新しいアプローチが必要であることを浮き彫りにしました。

1993年-2022年:第3次AIブーム(機械学習とディープラーニング)

トピックを簡単にまとめると!

  • 機械学習を応用した技術の実用化が進む
  • ビッグデータによるデータ蓄積が加速化する
  • 産業へのディープラーニングの導入が進む

1993年頃:3度目のAIブームの幕開け

知識獲得というボトルネックによってAI研究における冬の時代が到来したのち、1993年頃からは3度目のAIブームが訪れます。

冬の時代が明けるきっかけとなったのは1993年。この頃から、ディープラーニングが登場する2006年頃までは、「第3次AIブームへの土台が少しずつ構築された時期」といえます。

1997年:AIがチェス王者に勝利する

特に、1997年にチェス専用のコンピューターである「ディープブルー」がチェスの世界王者に勝利したことは、大きな注目を集めました。この出来事は、「初めてAIが人間に勝利した瞬間」として、現在もなお多くの人々の記憶に残っています。

そして、私たちが生きている現在は、まさに「第3次AIブーム」の真っ只中です。この第3次AIブームの原動力ともいえる技術革新としては、以下の3つが挙げられます。

  • 技術革新①:機械学習の実用化
  • 技術革新②:ビッグデータ
  • 技術革新③:ディープラーニング

技術革新①機械学習の実用化

機械学習とは、機械が膨大な量のデータを学習することによって自らルールを学習し、そのルールに則った予測や判断を実現する技術のことです。

学習方法には、膨大な量のデータを学習して特徴を把握していく「教師あり学習」とさまざまな次元でデータ分類などを行う「教師なし学習」、そして自ら試行錯誤して正解を求めていく「強化学習」の3種類が存在します。

AIにおける機械学習の位置付けとしては、「AIの要素技術の1つ」と表現することができます。機械学習でできることには、「画像の判別」や「将来予測」が挙げられます。

「画像の判別」はFacebookなどのサービスで、人間の顔を判別する機能として搭載されています。たとえば、自分の顔が写っている写真を自動で判別し、「○○さんと一緒にいます」と表示させることができるというものです。写真の判別は、機械学習によってユーザーの顔を認識しているからこそ実現できるのです。

一方、「将来予測」はこれまでに蓄積されたデータを機械学習することによって、将来がどのようになるのか予測可能な機能です。このアルゴリズム自体は複数存在しますが、適切なものを選択すれば、予測の精度をより高められます。

場合によっては、スポーツの試合結果や株価なども予測できるようになるかもしれません。「機械学習」が実用化されたことは、AIの歴史としても非常に大きな出来事だったといえます。

技術革新②ビッグデータ

機械学習に欠かせないものの一つとして挙げられるのが、「ビッグデータ」です。

ビッグデータとは、さまざまな種類・形式の大量のデータのことをいいます。明確な定義はありませんが、「Volume(量)」「Variety(多様性)」「Velocity(速度)」の3つのVが高いレベルであることが特徴です。

ビッグデータは機械学習にとって不可欠です。なぜなら、複雑なパターンや傾向を見つけ出し、予測モデルを作成することを可能にするには膨大なデータが必要になるからです。

ビッグデータは、消費者の購買行動の分析から気候変動の予測、医療分野での病気の早期発見といった幅広い分野で活用されています。これらの領域では、ビッグデータが提供する詳細な情報が、より精度の高い意思決定を可能にし、効率化や最適化に貢献しています。

技術革新③ディープラーニング

ディープラーニングとは、膨大な量のデータを学習し、共通点を自動で抽出していくことによって、状況に応じた柔軟な判断を下すことが可能になる「機械学習技術の1つ」です。従来の機械学習と異なるのは、より高精度な分析が可能な点です。

ディープラーニングは、「教師あり学習」の一部と位置付けられます。最近では、ディープラーニングについて学べる書籍やディープラーニング関連の資格・検定なども増えてきており、より専門的な知識を学びやすい環境が整いつつあります。

また、東京大学大学院工学系研究科教授の松尾豊氏が理事を務める「一般社団法人 日本ディープラーニング協会」によって産業促進も促されており、ディープラーニングの普及スピードは加速しています。

トレーニングに時間はかかりますが、膨大なデータを用意することによって、機械学習以上の圧倒的なパフォーマンスを実現できます。そのため、トータルでの効率性を追求したい場合は、ディープラーニングを事業に取り入れることで多くの恩恵を受けられると考えられます。

また、ディープラーニングには、機械学習では難しい複雑な処理を行えるというメリットもあります。人間の精度を超えるケースは決して珍しくないため、これまで人間が行ってきた業務の一部をAIに置き換えることも可能です。例えば、医療画像診断では、ディープラーニングは膨大な数の画像データから病気の特徴を学習し、人間の医師と同等またはそれ以上の精度で病変を検出することが可能となりました。また、自動運転技術においても、ディープラーニングは車両の周囲の環境を認識し、適切な運転行動を決定するために用いられています。

特に、医療や自動運転といった安全性が求められる分野においては「精度」が必要不可欠な要素となるため、ディープラーニングが重要な役割を担うことになると考えられます。

日本でAIが注目されはじめたのはいつから?

先述の通り、日本ではAIの活用を目指して1982年から1992年にかけて、国家プロジェクトとして「第五世代コンピュータ・プロジェクト」が推進されていました。しかし、世間一般にもAIが本格的に注目され始めたのは、2010年以降といえます。

大きなポイントとなったのは、2000年以降にインターネットが大きく普及して土壌を作っていたことにより、2010年以降にディープラーニングの活用が可能になったことです。また、2012年にはコンピューター将棋ソフトが永世棋聖に勝利し、2016年にはプロの囲碁棋士に勝利したことで、大きな注目を集めました。

近年は、ディープラーニング技術を利用して、スケジュールや顧客情報の管理が可能な「AI秘書」や、過去の判例から相談内容に応じたものをピックアップできる「AI弁護士」が登場するなど、極めて実用的な場面でも活躍しています。

AI新時代に注目されるシンギュラリティと2045年問題

AIの歴史は古く、現代へ脈々と受け継がれています。そして、第3次AIブームの渦中にある今、注目を集めているのは「シンギュラリティ(AIの知能が人間を超える転換点)」と「2045年問題」についてです。

「技術的特異点」と訳されるシンギュラリティは、アメリカの数学者ヴァーナー・ヴィンジ氏によって広められました。ヴィンジ氏は、1993年に発表した著書「The Coming Technological Singularity」で、「30年以内に技術的に人間を超える知能がつくられる」と表現。

また、2045年問題とは、AI(人工知能)研究の第一人者であるレイ・カーツワイル氏の「2029年にAIが人間並の知能を備えるようになり、2045年には技術的特異点が訪れる」という提言に端を発しています。

AIが人間よりも優れた知能を持つようになれば、2045年以降、人間が新たに発明をする必要はなくなります。そしてもしも実現された場合、人間の労働市場が縮小する可能性もあるため、2045年問題が関心を集めているのです。

とはいえ、AIには「創造力」や「対人ビジネススキル」といった、人間と比べて不得手な分野が存在します。そのため、今後は「人間にしかできないこと」について考えながら、AIとの役割分担を明確にしていくことが重要になります。

ぜひこの機会に、AIをうまく活用しながら業務効率化できるような準備を始めてみてはいかがでしょうか。

シンギュラリティについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
https://aismiley.co.jp/ai_news/singularity-2045/

最新のAIニュースはこちら
https://aismiley.co.jp/ai_news/

AIsmiley編集部

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