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最終更新日:2023/12/14
ZEBの種類と活用される技術
世界規模の地球温暖化や環境配慮といった社会的な流れを受けて、政府は「ZEB(ゼブ)」を積極的に推進しています。2014年4月に閣議決定されたエネルギー計画にすでに盛り込まれていたZEBが、今改めて注目を集めているのです。
この記事では、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の概要から事例までわかりやすく解説します。ZEBの種類や社会に求められている理由や活用される技術などについても詳しく説明するので、自社にとってメリットのあるZEBの導入を検討するためにぜひ参考にしてください。
AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説
「ZEB(ゼブ)」とは、「Zero Energy Building(ゼロ・エネルギー・ビルディング)」の略で、「エネルギーの生成と消費の収支がプラスマイナスゼロになる建物」のことです。1年間の一次エネルギー消費量が、正味(ネット)でゼロまたはおおむねゼロになることから、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング」とも呼ばれます。
建築物経済産業省資源エネルギー庁が2015年に公表した「ZEBロードマップ検討委員会とりまとめ」でのZEBの定義は、以下の通りです。
先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物
出典:経済産業省資源エネルギー庁「ZEBロードマップ検討委員会とりまとめ」
ZEBと並んで使われる言葉に「ZEH(net Zero Energy House/ネット・ゼロ・エナジー・ハウス)」があり、国や建物の規模などで使い分けられています。

ZEBは、以下4つの種類に分けられます。
| ZEBの種類 | 建物の種類・用途 | 省エネのみ(一次エネルギー消費量削減率) | 創エネ含む(一次エネルギー消費量削減率) |
| ZEB | 全建築物 | 50%以上 | 100%以上 |
| Nearly ZEB | 全建築物 | 50%以上 | 75%以上 |
| ZEB Ready | 全建築物 | 50%以上 | – |
| ZEB Oriented | 事務所等、学校等、工場等 | 40%以上 | – |
| ホテル・病院等、百貨店等、飲食店等、集会所等 | 30%以上 | – |
それぞれの定性的および定量的な定義や特徴について見ていきましょう。
広義のZEBの中にも、「ZEB」という種類があります。「ZEB Ready」「Nearly ZEB」「ZEB Oriented」を含めない狭義のZEBとは、「年間の一次エネルギー消費量が正味ゼロあるいはマイナスとなる建築物」のことです。以下2つの条件を満たした場合のみ、適合とされます。
ここで言う再生可能エネルギー量は敷地内に限定されていますが、自家消費や売電分も対象です。
「Nearly ZEB(ニアリーゼブ)」は「ZEBに限りなく近い」という日本語の意味の通り、「ZEB Readyの要件を満たしつつ、再生可能エネルギーを活用して年間の一次エネルギー消費量をゼロに近付けた建築物」と定義されています。
Nearly ZEBとして認められるために満たすべき条件は、以下の2つです。
「ZEB Ready(ゼブレディー)」の定義は、「ZEBを見据えて、外皮の高断熱化および高効率な省エネルギー設備を備えた建築物」です。再生可能エネルギーを除く「省エネのみ」で、基準の一次エネルギー消費量から50%以上の削減に適合した建築物に対して認定されます。
ZEB Oriented(ゼブ オリエンティッド)の定義は、次の通りです。
ZEB Readyを見据えた建築物として、外皮の高性能化及び高効率な省エネルギー設備に加え、更なる省エネルギーの実現に向けた措置を講じた建築物
出典:環境庁「ZEBの定義」
ZEB Orientedでは、再生可能エネルギーを除く「省エネのみ」について、建物の用途ごとに以下の適合条件が設定されています。
平成31年3月の経済産業省資源エネルギー庁「ZEBロードマップフォローアップ委員会とりまとめ」内では、延べ面積10,000㎡以上の建築物に関するZEBの方向性について改めて検討されました。
建築物の増加数は多くないものの、年間のエネルギー消費量は36%前後と大きな割合を占めることから、延べ面積10,000㎡以上の建築物のみを対象とした「ZEB Oriented」という定義が新しく加わっています。
ZEBが求められる理由に、政府が公表した2050年カーボンニュートラル宣言があります。「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という2050年カーボンニュートラル宣言は、2014年4月の「第4次エネルギー基本計画」内で、すでに2020年と2030年の2段階で「新築公共建築物等と新築建築物の平均におけるZEBの実現を目指す」という政策目標が掲げられていました。
2020年10月には脱炭素社会の実現を目指すことが決定され、後に2021年5月には地球温暖化対策推進法の一部を改正する法律が成立。2050年カーボンニュートラルの実現が、基本理念として規定されました。
カーボンニュートラルの実現には、事務所ビルや商業施設など業務部門と呼ばれる建物が排出するCO2の削減が不可欠です。CO2排出量の増加が顕著な業務部門では、徹底的な省エネ推進と再生可能エネルギーの活用によるCO2削減が緊急課題とされています。

ZEBの導入は、政策実現の一端を担うことだけでなく、コスト削減や事業拡大といった各企業や組織レベルでのメリットも見込めます。ここでは、ZEB導入で期待できる4つのメリットについて見ていきましょう。
ZEBによってエネルギー消費量が減るため、光熱費の削減が見込めます。50%の省エネを実現する「ZEB Ready」の場合、延床面積10,000㎡ほどの事務所ビルでは年間4〜5割前後もの光熱費の削減が目指せるでしょう。
公共の建物や自社ビルにおいては、テナント専有部分がないか小さいため、ZEBによってオーナーのメリットが増えます。テナントビルの場合でも、共用部の光熱費削減分はオーナーへ、テナント専有部の光熱費削減分はテナントへのメリットが得られるでしょう。
室内空間の質の確保にも、ZEBの導入が有用です。多くの人が利用する商業施設やオフィスビルにおいて、近年特に利用者の健康や快適性を確保するための空間の質が重要視されています。
高性能断熱材や自然換気は、室内温度の均一化による快適性や健康増進効果もつながるでしょう。ZEBでは単なる省エネに留まらず、創エネ技術などさまざまな技術を採用することで、エネルギー消費量を抑えつつ、空間の質の確保や水準の向上を可能にしています。
国を挙げて積極的に取り組んでいるZEBを導入することで、企業価値や不動産価値の向上につながります。SDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)投資といった、企業の環境配慮に関する評価の影響が大きくなっている現在、建築物の環境性能評価もその1つです。
多数の認証制度がある中で、ZEBのようなエネルギー性能の高い建築物は高い評価が期待できるでしょう。東京をはじめ都市部では、環境認証の有無がビルの新規契約にも影響を及ぼすと言われており、ZEBによって評価が高まれば企業価値の向上につながることが考えられます。
環境やエネルギーに配慮したZEBは、企業のみならず地域の継続性の向上にも役立ちます。社会的な評価が期待できるZEBの存在は、魅力的なまちづくりに役立つ上、災害時など非常時のエネルギー自立にも貢献できるでしょう。
地震や停電など非常時には、建物の機能を維持するためにエネルギーが必要です。創エネルギー設備があれば、外部供給が止まっても一定のエネルギーを自給自足できる上、高断熱性能やエネルギー消費効率の高い設備によって、エネルギー需要を抑えられます。

ZEBの実現には、「省エネ技術(エネルギーを減らすための技術)」と「創エネ技術(エネルギーを作るための技術)」という2つの技術が必要です。ここでは、ZEB実現に欠かせない2種類の技術について解説します。
省エネ技術は、名前の通り「エネルギーを減らすための技術」です。省エネ技術は、エネルギー需要を減らすための「パッシブ技術」と、エネルギー効率を高めるための「アクティブ技術」の2つに分けられます。
「パッシブ(Passive)技術」とは、建物内の環境の質を維持するために、必要なエネルギー量を減らすための技術です。屋根、壁、床など外皮と呼ばれる部分に高性能断熱材を使う「外皮断熱」はその代表例で、熱の出入りを抑えることでエネルギーを削減しても室内温度を快適に維持できます。
他には、外壁や窓から侵入する日射を遮蔽してエアコンや冷房の負荷を抑える「日射遮蔽」や、室内を明るく保つ照明の利用を減らすための「自然採光」などです。
「アクティブ(Active)技術」は、必要なエネルギーを効率的に利用するための技術です。その1つである「高効率空調」は、オフィスビルでエネルギー消費量の大部分を占める空調に関して、効率性の高い設備を採用し、適切な制御を行うことでエネルギー消費量を削減します。
また、照明エネルギー消費量を削減するための「高効率照明」には、自然採光に加えてLED照明の採用が有効です。
「創エネ技術」は、再生可能なエネルギーの生成や活用のための技術です。代表例である「太陽光発電システム」は、太陽光エネルギーを電気エネルギーへ変換することで、一般的な電力として活用できます。
オフィスビルや商業施設の屋上に太陽光パネルを設置することで、勤務時間や営業時間中の電力を部分的に補うことが可能です。最近は、屋上だけでなく壁面や窓に使える「建材一体型太陽光発電システム」の開発も進んでおり、今後より多くの場に浸透していくと予測できます。
ZEBという建築物と深く関係する技術に「BEMS(ベムス)」があります。BEMSとは、「Building and Energy Management System」の略で、日本語ではビルエネルギー管理システムという意味です。
IT技術を使ってビルの照明や空調などを制御しながら、室内環境とエネルギー性能の最適化を図るビル管理システムを指します。BEMSでは、温度センサーと制御装置を組み合わせており、商業施設やオフィスビルからのCO2排出量削減にも貢献するでしょう。
低炭素社会において重要な技術であり、各種のCO2排出量削減シナリオに含まれるBEMSを実現するサービスとして「エネルギー需要予測」が有用です。エネルギー需要予測では、太陽光発電や熱量などさまざまなエネルギーの需要を多角的に分析し、AI技術による自動学習で高精度な予測を出力します。
BEMSそしてZEBの実現に貢献する「エネルギー需要予測」で活用できる機能を、下記よりご覧ください。

ここで、ZEBの活用事例を紹介します。ZEBはすでに、国内のさまざまな業界や自治体にて導入・運用されており、それぞれの事例で段階的な目標を達成してきました。自社でZEB導入やエネルギー消費量削減の対策を検討する上で、ぜひ参考にしてください。
久光製薬株式会社が運営する「久光製薬ミュージアム」では、4段階の「ZEB」達成を目標とし、建物にさまざまなZEBの技術を組み込みました。創業170周年記念事業の一環として、会社の理念が具現化された意匠デザインに、通常のガラスよりも熱負荷を大幅に軽減する全面Low-Eガラスを採用。
自家発電による電力の自家消費もあわせて取り入れることで、特に高額になりやすい夏期の電気代を抑え、省エネ効果を実現しています。社員や地域住民に対して、企業理念や環境配慮のアピールにもつながり、環境配慮を発信するシンボルとしてさらなる発展が見込まれるでしょう。
総合不動産管理会社の株式会社東急コミュニティーは、ZEB化建物について知識や経験を培う技術研修施設「東急コミュニティー技術研修センターNOTIA」をZEB化しています。実際の現場と同じZEB化建築物を「見て・触って・学ぶ」環境を整備しました。
RC造+S造の構造によって熱を閉じ込める「魔法瓶効果」や、躯体蓄熱や放射空調といった温冷差のゆるやかな空調方式を採用することで、自然な快適さを確立。また、創エネ対策として、屋上や壁面に可能な限りの太陽光パネルを設置した結果、「Nearly ZEB」を実現しています。
滋賀県高島市の市役所庁舎は、増改築のタイミングで、最新の省エネルギー技術と自然エネルギーを積極的に採用。「市の豊かな自然を生かした庁舎整備」という当初の基本方針を残しつつも、設計者の提案を受けて「ZEB Ready」の実現を決定しました。
設計内容のパブリックコメントを実施し、市民からの意見を元に継続可能な空調設備を有効活用できる空調方式を採用しています。ZEB化設備の導入費用を確保するために、仕様の見直しとともに補助金も利用しながら最終設計を決定しました。

環境配慮や温暖化対策のためにエネルギー消費量を削減する建物「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)」の必要性が高まっています。国を挙げて推進するカーボンニュートラルの実現に向けて、CO2削減にも大きく貢献するZEBは、今後より多くの場で活躍することでしょう。
「エネルギー需要予測」は、AI技術を使った自動学習で予測と実績の差を継続的に学び、高精度な予測結果を算出するシステムです。電気需要量や熱量といったエネルギー消費量について2種類の予測を出力可能で、都市計画からBEMSまで幅広いシーンで利用されています。下記より無料の資料請求ができますので、まずは詳細をご確認ください。
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