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最終更新日:2024/12/25
海外では米系のウーバーやLyft、中国の滴滴出行や東南アジア最大手のグラブ、インドネシアのゴジェなど、アプリを使った配車サービスが伸びています。日本では規制が厳しく、海外のように自家用車を使った配車サービスはまだ本格化していませんが、タクシー×AIの動きは進んでいます。
NTTドコモが展開する「AIタクシー」は、AIを使い、タクシー需要予測の情報を配信するサービスです。従来、どのエリアに行けば効率よく乗客を乗せられるかは、運転手の経験とカンにゆだねられた部分が大きいものでした。また、知らないエリアまで乗客を乗せた後、なじみのエリアまで空車で戻ることも多く、燃料や時間のロスが発生していました。一方、「AIタクシー」では、携帯電話ネットワークの仕組みを利用して作成される人口統計データと、タクシーの運行データなどを活用し、自動でタクシーの需要予測を実施。現在から30分後までのデータについて、10分おきに配信します。これは、人の流れがリアルタイムにわかる携帯電話というネットワークをもつNTTドコモだからこそできるデータ分析といえるでしょう。
実際、東京無線協同組合が組合に所属する6社26台のタクシーで実施した実証実験では、「AIタクシー」の需要予測は実際の乗車実績と約93%も合致していたとのことです。また、実証実験に参加した新人のタクシードライバー16名は、他のタクシードライバーと比較して1人あたり1日3,115円売り上げがアップしたといいます。東京都心では1日のタクシー平均売上が5万円弱といわれていますので、それを踏まえると約6%の売上アップが実現できているわけです。
「AIタクシー」を導入することで、運転手には人の多いエリアに向かうことで効果的に乗客を乗せられるため、空車のまま街を走行する時間が減り、稼働率も上がります。また、知らないエリアでも効率的に乗客を見つけられるので、燃料のロスも防げます。そして、電車の遅延やイベント開催といった非日常的な混雑によるタクシー需要の急増にも対応することができ、乗客側にもタクシーの待ち時間の短縮というメリットがあります。これまでベテラン運転手のスキルとされていた乗客の需要予測をテクノロジーの力で実現し、ベテランドライバーから新人ドライバーまで提供することで、売上げの平均化に加えて新人ドライバーの働きやすさ向上につながりました。うまく乗客を見つけられずに退職していく運転手も多い中、離職率の低下を実現することで、人手不足に悩むタクシー会社側にもメリットとなっているのです。

先ほどもご紹介したように、NTTドコモでは携帯電話ネットワークの仕組みを利用して人の流れをリアルタイムに分析することができます。AIタクシーでは、それに加えて気象データや施設データ、タクシー運行データなどの情報を処理し、「多変量自己回帰」「ディープラーニング(深層学習)」という2つの技術によって予測を導き出しているのです。たとえばオフィス街の場合は、人が集まっている時間帯にタクシー需要も高まる傾向にあります。しかし、飲食店などが密集している繁華街の場合は、人が集まっていても多くの人が食事をしているだけなので、タクシー需要が高まるわけではありません。繁華街は、終電がなくなるタイミングにタクシー需要が一気に高まる傾向があります。こういった人の動きを理解していれば、「このエリアではどのようなタイミングで需要が発生するのか」をより正確に導き出せるようになります。また、人の密集だけでなく、天候によってもタクシーの需要は変化します。当然、雨が降るとタクシーの需要は高まるため、AIタクシーでは気象データも踏まえながらリアルタイムで需要予測を行なっていくという仕組みです。
多くの経験を積んだタクシードライバーであれば、直感的にこれらの要素を踏まえた判断を下すこともできるかもしれません。しかし、普段は走行しないようなエリアでは経験を生かすことも難しくなってしまいます。そのような状況においても的確に需要を予測できるという点では、乗客はもちろんのこと、タクシー運転手にとっても極めて有力なシステムであることがお分かりいただけるでしょう。中には、コンサートやスポーツイベントなどが行われる会場付近などの、開催されるイベントの種類によって年齢層や性別の割合が大きく変化するケースも存在します。しかし、このような場合でもNTTドコモのネットワークによって人の流れをリアルタイムに計測できるため、臨機応変に需要予測を行うことができるわけです。

グリーンキャブ、国際自動車、寿交通、大和自動車交通、チェッカーキャブらタクシー会社5社と、ソニー、ソニーペイメントサービスによる新会社「みんなのタクシー」は、AIを活用したタクシー関連サービスの創造に向けて設立されました。2018年度中には、タクシー配車サービスや決済代行サービス、後部座席広告事業などの開始を目指しています。都内を中心に移動サービスを提供するタクシー会社と、AIを活用したタクシーの需要予測などのテクノロジーを提供するソニーがタッグを組み、全国のタクシー事業者が利用できるプラットフォームの設立を目指すとしています。

タクシーの相乗りマッチングアプリなどを手掛けている株式会社NearMeでは、JR東日本スタートアップ(JR東日本のCVC)と共同で「新潟トラベルシャトル」という観光タクシー相乗りサービスの実証実験を行っています。
この「新潟トラベルシャトル」は、同社が開発したAIの技術やルート最適化技術などを活用して既存のタクシーを運用し、新潟市内の観光を促進していくことを目的としたサービスです。このサービスが導入されることによって、オンデマンドの事前予約による利便性向上や、相乗りをすることによる乗客1人あたりの金額負担の軽減などが期待できるといいます。また、乗客側だけでなく事業者側にもメリットがあり、特に「ルート最適化によって営業効率を高められる」という点は大きなメリットといえるでしょう。
「新潟トラベルシャトル」は利用方法も非常にシンプルです。利用者は利用日の前日までにウェブサイトから乗車予約を行い、乗車当日に選択した乗車場所に向かうだけで利用できます。ウェブサイトで予約を行う際に事前決済するため、当日はキャッシュレスで観光を楽しめるという点は大きな魅力といえるのではないでしょうか。

なお、「新潟トラベルシャトル」は2020年1月18日から3月末までの約2ヶ月間限定で行われていた実証実験ですが、NearMe社では成田空港と都市間を送迎する「スマートシャトルサービス」という旅行者向けサービスも展開しています。こちらのサービスは2019年8月27日から提供が開始されており、現在も利用可能です。
同サービスでも、NearMe社が独自に開発したAI技術が活用されています。そのため、新潟で行われた実証実験と同じように、複数の乗客をピックアップするための最適ルートが導き出される仕組みが実現されているのです。
また、オンラインでの事前予約も可能なため、ホテルや自宅から空港までドア・ツー・ドアで移動することができます。旅費を抑えつつ、移動の負担を減らしたいという人にとっては魅力なサービスといえるのではないでしょうか。
実際、利用者からも好評の声が多く上がっているため、同サービスは都内9区から15区に対象エリアを拡大することも既に発表しています。こういった点を踏まえると、今後さらにAIを活用したルート最適化シャトルの需要は高まっていくかもしれません。
東京五輪に向けて、公共交通機関の拡充が求められる中、タクシー業界でもITやAIを活用した取り組みが競争を増しています。ここで紹介した2事例のほかにも、ソフトバンクが中国の配車サービス大手滴滴出行(Didi Chuxing)と新会社を設立して試験提供を始めるほか、ディー・エヌ・エー(DeNA)と神奈川県タクシー協会によるAIを活用したタクシー配車アプリ「タクベル」などが登場しています。
タクシー業界では深刻な人材不足が懸念されており、経験の浅いドライバーにもベテランなみの効率的な営業が求められているといいます。タクシードライバーの生産性は経験の差によって約2倍もの違いがあるともいいますが、AIを活用することで、新人ドライバーとベテランドライバーの集客差が縮まることが期待されています。そして、集客の効率化を図るためにも、自社にマッチしたAIをしっかりと比較検討していくことが重要となるでしょう。
[関連記事]大和タクシー、ソニーのAI需要予測サービスを導入
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