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LiDAR(ライダー)とは?仕組み・種類から活用事例・最新動向までわかりやすく解説

最終更新日:2026/06/25

lidar

自動運転やiPhoneのカメラ機能などで耳にする機会が増えた「LiDAR(ライダー)」。「名前は知っているけれど、今のビジネスや生活にどう役立つのかピンとこない」という方も多いのではないでしょうか。

LiDARとは、光で空間の距離や形状を正確に測るセンシング技術です。自動運転の“目”をはじめ、ロボットの自律移動・インフラ点検・スマホまで、あらゆる産業のデジタル化を支える基盤となっています。

本記事では、LiDARの仕組みや他センサー(カメラ・レーダー)との違いから、分野別のビジネス活用事例、2026年の最新市場動向までを最短で解説します。この記事一つで、次世代コア技術の全体像がスッキリつかめるはずです。

LiDAR(ライダー)とは

LiDAR(ライダー)とは

LiDARとは、レーザー光を対象物に当てて、その反射光から距離や形状を測定するセンシング技術です。光を使うことで、対象物までの距離だけでなく、立体的な形まで高い精度で捉えられるのが特徴です。

近年は自動運転のとして知られていますが、実は半世紀以上前から使われている技術です。

LiDARの意味と読み方

LiDARは「Light Detection and Ranging(光による検出と測距)」の頭文字をとった言葉で、日本語では「ライダー」と読みます。光を使って距離を測る技術と理解すると概念をつかみやすくなります。

LiDARという言葉を最近よく耳にするのは、自動運転の普及とともに注目を集めたためです。技術そのものは1960年代から存在し、当初は地質学や気象学・航空測量といった分野で使われてきました。飛行機にLiDARを載せ、上空から地形を計測する用途はその代表例です。

なお、レーザーレーダーと呼ばれることもあります。電波を使う「レーダー」と名前が似ているため混同されやすいものの、LiDARは光(レーザー)を使う点が決定的に異なります。この違いは、後述する他センサーとの比較でも重要になります。また、3次元の点群を取得するタイプを特に3D LiDARと呼ぶ場合もあります。

LiDARが生み出す点群データ

LiDARによる計測の成果物は、「点群データ」と呼ばれる3次元データです。点群データとは、空間上の無数の点の集まりのことで、各点がどこにあるかという座標情報を持っています。

LiDARは1秒間に数万回から数百万回という高速でレーザーを照射し、反射した点を1点ずつ記録していきます。集まった点を重ね合わせることで、対象物や空間の立体的な形が浮かび上がります。コップのような小さな物体から都市全体のような広大な空間まで、同じ仕組みで3次元化できる性質が、点群データの強みです。

注意したいのは、点群データはそのままでは「ただの点の集まり」にすぎないということです。どの点が人で、どの点が建物なのかをコンピューターが判断するには、後述するAIによる解析が欠かせません。

LiDARの仕組みと測定原理

LiDARの仕組みと測定原理

LiDARが距離を測れるのは、「光の速さが一定である」という物理法則を利用しているためです。光が往復にかかった時間がわかれば、対象物までの距離を逆算できます。

レーザー光で距離を測る4つのステップ

LiDARによる計測は、照射・反射の受信・距離計算・3次元化という4つのステップで成り立っています。一つひとつは単純な処理ですが、これを高速で繰り返すことで立体的なデータが得られます。

具体的な流れは次のとおりです。

  • レーザー光を対象物へ照射
  • 反射して戻った光を受光素子で検出
  • 光の往復時間から距離を算出
  • 多数の距離データを点群へ変換

最初のステップでは、目に見えない近赤外線のレーザー光を対象物に向けて発射します。次に、対象物に当たって跳ね返った光をセンサー内の受光素子が受け取ります。3つ目のステップでは、光が往復にかかった時間に光の速さをかけ、その値を2で割ることで対象物までの距離を求めます。最後に、無数の距離データを座標へ変換し、点群データとして3次元空間に再現します。

この仕組みにより、LiDARはカメラでは捉えにくい奥行きをリアルタイムで取得できます。一方で、レーザー光が届かない範囲は計測できないため、設置する位置や向きが計測結果を大きく左右する点には注意が必要です。

距離の測り方を決める2つの方式

LiDARの距離計測には、主に「ToF方式」と「FMCW方式」の2つがあります。どちらを採用するかによって、測れる情報の種類や悪条件への強さが変わります。

方式 測定の仕組み 主な特徴
ToF方式 光の往復時間を測定 構造が単純で安定性が高い
FMCW方式 送受信した光の周波数差を解析 距離と速度を同時に測定できる

ToF(Time of Flight)方式は、レーザー光を瞬間的に照射し、反射して戻るまでの時間を測る方式です。構造がシンプルで安定性が高く、現在のLiDARで広く使われています。

一方のFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式は、周波数を変化させた連続波のレーザー光を使います。送った光と戻った光の周波数の差を解析することで、距離に加えて対象物の速度まで同時に測れる点が特徴です。ノイズへの耐性も高く、後述する最新のLiDARで開発・採用の動きが進んでいます。

このほか、光の位相のズレを使う位相差方式や、反射光の角度から距離を求める三角測量方式もあります。

LiDARの種類

LiDARの種類

LiDARは一括りに語られがちですが、レーザー光の動かし方や取得できる情報の次元によって、いくつかの種類に分かれます。種類の違いは、サイズや価格、得意な用途に直結します。

スキャン方式による違い

LiDARはレーザー光を空間に走らせる「スキャン方式」によって、大きく機械的回転方式とソリッドステート式の2つに分けられます。この違いは、装置の大きさや耐久性に大きく影響します。

スキャン方式 構造 主な用途
機械的回転方式 モーターで本体やミラーを回転 360度計測、高精度地図の作成
ソリッドステート式 可動部が少なく半導体技術で走査 車載量産、小型機器への搭載

機械的回転方式は、モーターでセンサーやミラーを回転させ、360度の広い範囲を計測します。高い精度で全方位を捉えられる一方、装置が大きくなりやすく、回転部が振動や衝撃に弱い点もネックです。

ソリッドステート式は、回転する機械部品を減らし、MEMS(微小な電子機械システム)ミラーや光学技術によって走査方向を変える方式です。小型で量産しやすく、振動にも強いため、自動運転の量産車では主流になりつつあります。

ただし、1台あたりの計測範囲が機械式より狭くなる傾向があるため、複数台を組み合わせて全方位をカバーする設計が一般的です。

2D LiDARと3D LiDARの違い

LiDARは取得できる情報の次元によって、「2D LiDAR」と「3D LiDAR」に分けられます。どちらを選ぶべきかは、使用する場所が平面的か立体的かによって決まります。

2D LiDARは、レーザー光を水平方向にだけ走査し、平面的な距離情報を取得します。処理するデータ量が少なく済むため、工場や倉庫、ビル内のように床面が平らな環境での障害物検知に向いています。

3D LiDARは、高さ方向の情報も取得できる種類です。光源を縦に複数並べたり、ミラーで上下方向にも走査したりすることで、立体的な空間を捉えます。

屋外には縁石や路面の傾斜、段差といった高低差があるため、屋外を走行するロボットや自動運転車では3D LiDARが必要になります。屋外の自律走行に2D LiDARを使うと、段差や坂を認識できず、安全な走行が難しくなる点には気をつけたいところです。

LiDARとカメラ・ミリ波レーダーの違い

LiDARとカメラ・ミリ波レーダーの違い

LiDARの位置づけは、自動運転で使われる他のセンサーと比べることで明確になります。よく比較されるのが、カメラとミリ波レーダーの2つです。

3つのセンサーの特性を比較

LiDAR・カメラ・ミリ波レーダーは検知に用いる媒体(光や電波など)が異なり、それぞれ得意なことと苦手なことがはっきり分かれます。下表は、3つのセンサーの特性をまとめたものです。

センサー 検知に使うもの 得意なこと 苦手なこと
LiDAR レーザー光 立体的な形状把握、暗所での計測 悪天候、コストの高さ
カメラ 可視光 色や文字、標識の認識 距離の正確な把握、暗所や逆光
ミリ波レーダー 電波 悪天候に強い、長距離の検知 形状の把握、小さな物体の検知

カメラは人間の目に近いセンサーで、色や文字・標識といった意味のある情報を読み取れます。しかし、対象物までの正確な距離を測ることは苦手であり、夜間や逆光、レンズの汚れなどの悪条件には劣ります。

ミリ波レーダーは電波を使うため、雨や霧の中でも安定して計測でき、明るさにも左右されません。一方で、方位に対する精度が低く、樹木のように電波を反射しにくい物体や、小さな物体の検知は得意ではありません。

LiDARは光を使い、電波より波長が短いため、ミリ波レーダーよりも高い空間分解能で立体的な形状を捉えられます。暗所でも計測できる点もカメラにない強みです。一方で、悪天候への弱さやコストの高さがネックとなります。

弱点を補い合うセンサーフュージョン

自動運転では、LiDAR単独ではなく複数のセンサーを組み合わせる「センサーフュージョン」が基本的な考え方になっています。各センサーに必ず不得意な領域が存在するため、1種類だけでは安全な認識を実現しにくいからです。

たとえば、夜間や逆光でカメラの認識精度が落ちる場面では、暗所に強いLiDARが状況を補います。反対に、雨や霧でLiDARの計測が乱れる場面では、悪天候に強いミリ波レーダーが役割を担います。複数のセンサーが互いの弱点を埋め合うことで、システム全体の信頼性が高まる仕組みです。

ここで陥りやすいのが、「LiDARさえあれば自動運転が実現する」という誤解です。実際には、カメラのみで自動運転を目指す企業もあれば、LiDARを含む複数センサーを使う企業もあり、設計思想は分かれています。

LiDARのメリットとデメリット

LiDARのメリットとデメリット

LiDARを理解するうえでは、得意なことだけでなく、苦手なことも知っておく必要があります。

LiDARのメリット

LiDARの最大のメリットは、立体的な形状を高い精度で、かつ明るさに左右されずに計測できる点です。

主なメリットは次の3つにまとめられます。

  • 立体的な形状を高精度に計測できる
  • 夜間や暗所でも計測できる
  • カメラと違い「形状」のみを計測するため、プライバシーに配慮しやすい

立体的な形状を高精度に計測できる高い能力は、LiDARの中心的な価値です。多数の点を集めて3次元データをつくるため、物体の位置だけでなく、形や大きさまで正確に把握できます。

夜間や暗所でも計測できる点も見逃せません。自らレーザー光を発して計測する仕組みのため、周囲が暗くても影響を受けにくく、24時間稼働するロボットや夜間の自動運転を支えられます。

加えて、形状中心で計測するという性質は、プライバシーへの配慮にもつながります。カメラのように個人の顔を鮮明に記録するわけではないため、人の流れを把握したい場面などでも、設置のハードルが比較的低い傾向にあります。

LiDARのデメリットと課題

一方でLiDARには、コスト・悪天候への弱さ・データ処理の負荷という3つの懸念点が存在します。

これらは導入を検討する際に必ず確認しておきたい点です。

  • 高価格になりやすい
  • 雨や霧など悪天候に弱い
  • 点群データの処理負荷が大きい

価格については、低価格な製品なら数万円から手に入る一方、これまで自動運転に使える高性能なモデルは数百万円規模に達するものも珍しくありませんでした。低価格化は急速に進んでいますが、用途によっては依然としてコストが導入の障壁になります。

悪天候への弱さも代表的な課題です。雨粒や霧、粉塵にレーザー光が反射してしまい、計測精度が低下します。複数の反射光を分離するマルチエコー機能など、対策技術の開発も進んでいますが、悪天候が苦手な性質そのものは残ります。

データ処理の負荷も無視できません。点群データは膨大な量になるため、これを高速に処理する計算能力と、意味を読み取るための解析技術が求められます。LiDARを導入する際は、センサー本体だけでなく、データを扱う仕組みまで含めて考える必要があります。

【分野別】LiDARの活用事例

【分野別】LiDARの活用事例

LiDARは自動運転の技術というイメージが強いものの、実際にはさまざまな分野で使われています。

自動運転・ADAS

LiDARが最も注目される分野が自動運転であり、車両のとして周囲の状況を立体的に捉える役割を担います。高度な自動運転を実現するには、正確な3次元の環境認識が欠かせないためです。

現在広く普及している先進運転支援システム(ADAS)では、カメラとミリ波レーダーが中心です。しかし、自動運転レベル3以上の高度なシステムでは、歩行者や障害物の形状・位置関係を正確に捉えられるLiDARの重要性が高まります。世界で初めて自動運転レベル3を実現した量産車にも、LiDARが搭載されています。

自動運転では、車線情報や信号・道路規制などを反映した高精細な3次元地図「ダイナミックマップ」が活用される場合もあります。こうした地図の作成にもLiDARが用いられます。なお、カメラ中心の構成でLiDARを使わない方針の企業もあり、自動運転の実現に向け、どのセンサーを重視し、どう組み合わせるかは各社の設計思想によって大きく異なります。

測量・地形解析・インフラ点検

測量はLiDARが古くから使われてきた領域であり、上空からの地形計測やインフラの点検に活用されています。

代表例が航空レーザー測量です。航空機やヘリコプター、ドローンにLiDARを搭載し、GNSS(衛星測位システム)やIMU(慣性計測装置)と組み合わせることで、正確な位置情報をもとに地表の3次元データを取得します。山岳地帯のように人が立ち入りにくい場所や、災害現場の状況把握でも力を発揮します。標高と水深を同時に計測できるタイプもあり、海岸や河川の地形調査にも使われます。

インフラ点検でも活用が進んでいます。たとえば鉄道では、軌道形状や線路周辺の支障物、設備の変位などをLiDARで計測し、保守点検の効率化につなげる取り組みが進められています。

橋やトンネル・堤防の変位を計測する用途もあり、人手による点検を補う技術として期待されています。

ロボット・物流の自動化

工場や倉庫で稼働する自律移動ロボットにとって、LiDARは周囲を認識するための欠かせない装置です。ロボットが安全に動くには、自分の位置と周囲の地図を正確に把握する必要があるためです。

ここで使われる中心的な技術が、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)です。SLAMとは、自己位置の推定と周辺地図の作成を同時に行う技術で、LiDARが取得した距離データをもとに、ロボットが「自分がどこにいるか」と「周囲がどうなっているか」を把握します。

活用の場は工場や物流倉庫だけにとどまりません。ショッピングモールを巡回する清掃ロボットや、飲食店の配膳ロボット、ホテルのサービスロボットなど、身近な場面でもLiDARを搭載したロボットが増えています。

カメラと違って暗い空間でも周囲を認識できるため、夜間も稼働するロボットを支える技術になっています。

スマートフォン・AR

LiDARを一気に身近な存在にしたのが、スマホやタブレットへの搭載です。

Appleは2020年にiPad ProへLiDARスキャナを初めて搭載し、その後はiPhone 12 Pro以降のProモデルに継続して採用しています。

2025年のiPhone 17 ProでもPro共通の機能として定着しています。標準の計測アプリでは、家具のサイズや身長を素早く測ったり、欲しい家具が部屋に収まるかを事前に確認したりできます。3Dスキャンアプリを使えば、フィギュアや家具の形を3次元データとして取り込み、3Dプリントに活用することも可能です。

AR(拡張現実)の分野でも活躍します。仮想の映像と現実の物体の前後関係が不自然になる「オクルージョン問題」を、周囲の距離を素早く測ることで解消できるためです。ただし、スマホのLiDARには得意・不得意もあります。

ガラスや鏡のような透明・光沢のある物体は反射がうまくいかず、計測できる距離もおおむね5m程度までです。小さな物体が苦手な点も押さえておきましょう。

製造・スマートシティなど

LiDARは製造現場の検査や、都市空間の把握にも活用が広がっています。

製造業では、製品の寸法検査や外観検査にLiDARが使われています。従来の接触式の検査は時間がかかり、対象物を傷つける可能性がありました。LiDARは非接触で計測できるため、傷をつける心配がなく、高精度な検査を効率的に行えます。

都市の分野では、人の流れを把握する人流解析や、交通量の計測にLiDARが使われています。さらに、工場や都市空間全体を仮想空間上に再現する「デジタルツイン」の構築にも活用されています。

デジタルツインとは、現実の空間や設備をデジタル上に複製する技術で、空間内の物の動きを把握し、渋滞や事故の回避、設備の最適化に役立てる取り組みが進んでいます。

LiDAR搭載車を撮影するとスマホカメラが壊れる?

LiDARに関連して、近年話題になったのが「自動運転車のLiDARを撮影すると、スマホのカメラが壊れる」という現象です。

カメラのセンサーが損傷する理由

LiDAR搭載車を至近距離からスマホで撮影すると、カメラのセンサーが損傷する場合があります。カメラのイメージセンサーが、目には見えない近赤外線レーザーに強く反応してしまうためです。

LiDARは、波長905nmや1550nmといった近赤外線のレーザー光を使います。この光は人間の目には見えませんが、カメラのイメージセンサー(光を受け取る部品)は近赤外線にも非常に敏感です。強いレーザー光を至近距離で受けると、センサーのピクセルが損傷し、撮影した映像にカラフルな点が焼き付いてしまうことがあります。望遠やズームで撮影しているときは、光が一点に集まりやすく、損傷が起きやすくなります。

この現象は、2025年に大きく注目されました。スウェーデンの自動車メーカーであるボルボのEV「EX90」のLiDARを至近距離で撮影した動画がSNSで拡散し、カメラのセンサーが損傷する様子が知られるようになったためです(参考:Gadget GateベストカーWeb)。

【2026年】LiDARの最新動向

【2026年】LiDARの最新動向

LiDARは、性能、価格、そして活用の幅という点で絶え間なく進化しています。この最新の動向を常に把握しておくことが重要です。

距離と速度を同時に測る4D LiDAR

最新のLiDARでは、従来の3次元情報に速度を加えた「4D」LiDARが注目されています。

4D LiDARの代表的な方式の1つが、前述のFMCW方式です。距離と速度を同時に測れるため、対象物の速度をセンサー単体で得やすくなり、認識処理の負担を減らせる可能性があります。たとえば、米国のAeva Technologiesが2025年に発表した4D LiDAR「Atlas Ultra」は、検知距離が最大500mに達し、従来モデルより高い解像度を備えています。

長距離を高速で走行するトラック輸送のような分野では、より遠くの状況をいち早く捉える必要があります。距離と速度を同時に把握できる4D LiDARは、こうした用途で特に価値が高まると考えられています。

低価格化を牽引する中国メーカー

LiDARの普及を阻んできた価格の高さは、中国メーカーの台頭によって急速に解消へ向かっています。かつて自動運転向けのLiDARは数百万円規模の高価な装置でしたが、状況は大きく変わりました。

中国のHesai(ヘサイ)やRoboSense(ロボセンス)といった企業は、車載LiDARの大幅な低価格化を進めています。たとえばHesaiの次世代ADAS向け「ATX」は、200ドル未満での提供が報じられており、これまで搭載できなかった中価格帯の車両への採用拡大につながっています。日系メーカーへの広がりも進んでおり、トヨタが中国に持つ合弁会社が製造する新エネルギーモデルにもATXが採用され、2026年の量産が予定されています。

低価格化を後押ししているのが、技術面の進化です。

回転部品をなくしたソリッドステート化が広がり、微弱な光を捉えやすいSPAD(単一光子アバランシェダイオード)を用いたdToF方式LiDARの開発・製品化も進んでいます。SPADは半導体の製造プロセスで量産しやすく、小型化や高感度化に関わる技術として注目されています。

AIによる点群データ解析の高度化

LiDARはハードウェアだけで完結する技術ではなく、取得した点群データをAIで解析する流れが主流になっています。点群データは、解析して初めて意味のある情報になるためです。

LiDARが取得するのは、あくまで点の集まりです。これをそのまま使っても、どの点が人で、どの点が車なのかはわかりません。そこでAIが、点群データに対して物体検出や分類、領域分けといった解析を行い、「何が」「どこにあるか」を判断します。さらに、対象物の動きを追い続けるトラッキングまで踏み込むことで、空間の状況を意味のある形で理解できるようになります。

この流れは、LiDARの活用範囲を大きく広げています。自動運転での障害物検知はもちろん、植物の生育管理やインフラの劣化検知など、点群データとAI解析を組み合わせた取り組みが各分野で始まっています。点群データの活用範囲が広がるなかで、これを解釈するAI技術は、LiDARの応用を支える中核として重要性を増しています。

拡大を続けるLiDAR市場

LiDAR市場は、世界的に拡大が続いています。自動運転やロボット、インフラ管理など、高精度な空間認識を求める分野が増えていることが背景にあります。

Precedence Researchの予測では、世界のLiDAR市場規模は2025年に28.9億ドル、2026年に35.3億ドルとされ、2035年には178.0億ドルへ拡大すると見込まれています。2026年から2035年の年平均成長率は19.94%とされ、高水準の伸びが続く見通しです。

成長を牽引しているのは自動運転やADAS向けの需要です。市場ではOuster(2023年にVelodyneを統合)やAevaなどの米国勢に加え、前述のHesai・RoboSenseといった中国勢が急速に存在感を高めています。活用の裾野はさらに広がっており、無人で走行するロボタクシーや、人型ロボットのような新しい分野でも、空間を捉えるとしてLiDARへの期待が高まっています。

市場の拡大と量産化が進むことで、LiDARはさらに低価格化し、自動車や産業機器だけでなく、より身近な製品へも広がっていくと考えられます。

まとめ

LiDARは、レーザー光を使って距離や形状を測るセンシング技術です。計測の成果物である点群データを通じて、現実の空間をデジタルデータへ変換できる点こそが、LiDARならではの強みです。

自動運転や測量、ロボット、そして手元のスマホまで、LiDARはすでに幅広い分野で使われています。カメラやミリ波レーダーと弱点を補い合いながら、機械が周囲を立体的に理解するための基盤を担っています。一方で、コストや悪天候への弱さといった課題も残っており、用途に応じて特性を見極めることが求められます。

そして、LiDARの価値を最大限に引き出すのは、点群データを意味のある情報へと変えるAIによる解析です。LiDARの低価格化と普及が進むこれからは、取得したデータをいかにAIで活用するかが、その効果を左右する重要な要素になっていきます。

LiDARをきっかけに、空間データとAIを組み合わせた活用に目を向けてみてはいかがでしょうか。

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