AI自動音声とは?導入のメリットや活用事例をわかりやすく解説
最終更新日:2024/03/01
AI自動音声とは、AIを活用した自動音声技術であり、顧客からの問い合わせへの自動応答などが実現できます。オペレーターの人員不足やコスト面などに課題を抱えている企業のなかには、AI自動音声の導入を検討している企業も少なくありません。
この記事では、AI自動音声の概要やメリット、デメリット、活用事例などについて解説します。
AI自動音声とは
AI自動音声とは、入力されたテキストを自動音声が自然に読み上げる技術やシステムのことです。顧客からの問い合わせなどに対して、AIが人間の代わりに自動音声によって回答を行うことで、オペレーターの負担軽減などに役立ちます。
AI自動音声は、顧客にとっては問い合わせの待ち時間の減少、企業にとってはコールセンターの業務効率化につながる仕組みとして注目されています。
AI自動音声とIVRの違い
AI自動音声と類似している仕組みとして、IVR(Interactive Voice Response)があります。IVRとはコンピューターを使った自動音声応答システムのことであり、曜日や時間帯に関わらずコンピューターによる電話対応が可能です。
AI自動音声とIVRの主な違いは、回答の柔軟性にあるといえます。IVRは、コンピューターによる自動音声ガイダンスに従い、ダイヤル番号を選んで段階的に進んでいく形式です。あらかじめ用意された選択肢のルートしかないため、顧客が自由に質問を行うことはできません。
一方でAI自動音声では、顧客が自由に質問したい内容を発言できます。質問内容をAIが解析することで、ダイヤル番号の選択による段階的な誘導を行わなくても最適な回答を迅速に提供することが可能です。
AI自動音声でできること
AI自動音声でできることとしては、主に定型業務の自動化や祝休日・夜間の電話対応が挙げられます。たとえば定型業務の自動化では、顧客からの修理相談や資料請求の受付などに利用できます。修理相談や資料請求などの場合は、相談内容のパターンがある程度決まっているため、AIが高精度に回答を行うことが可能です。
また、オペレーターの配置がなかなか難しい祝休日や夜間においても、AI自動音声を使えば電話対応の代行ができます。AI自動音声を利用して常に電話対応ができる環境を整備しておくことで、平日日中への問い合わせの集中を緩和できるとともに、営業時間外の機会損失の防止にもつながります。
AI自動音声を導入するメリット
AI自動音声を導入するメリットとしては、主に以下の4つが挙げられます。
- コスト削減
- 業務の効率化
- 顧客満足度の向上
- 機会損失の防止
AI自動音声の導入によってコスト削減や業務効率化につながり、企業収益の増加が期待できます。
コスト削減
AI自動音声を導入することで、オペレーターの人数を最小限に抑えることができ、人件費などのコスト削減を図れます。電話対応のための大人数のオペレーターを配置すると、その分多くの人件費がかかります。祝休日や夜間にもオペレーターを配置する場合、休日手当や夜間手当などによって、より多くの人件費が生じると考えられます。
AI自動音声であれば、祝休日・夜間の電話対応や定型的なやり取りをAIが代行することで、人件費の増加を抑制できます。
業務の効率化
AI自動音声を導入するメリットには、業務の効率化も挙げられます。AI自動音声の大きな特徴は、顧客からの問い合わせをAIが解析し、自動で回答を抽出できる点です。簡単な問い合わせであれば、AIによる自動回答で完結できるケースもあります。
オペレーターへの接続が必要となる複雑な問い合わせが来た場合でも、事前にAIが問い合わせ内容の解析を行い、オペレーターに連携することが可能です。それにより、オペレーターは回答に必要な参考情報などを準備した状態で問い合わせ対応を開始できるため、効率的な業務遂行を実現できます。
顧客満足度の向上
AI自動音声の導入により、顧客満足度の向上が期待できる点もメリットです。オペレーターの人員には限りがあるため、すべての問い合わせ対応に対してオペレーターがタイムリーに対応することは容易ではありません。
問い合わせが集中する時間帯などは、入電があってもすぐに対応できないケースもあるでしょう。問い合わせをしてもなかなか電話がつながらない場合、顧客満足度の低下を招きます。しかし、AI自動音声であれば、顧客からの入電があった場合にはまずAIがタイムリーに応答します。
簡単な問い合わせであればAI応答で完結できる場合もあるため、迅速な問い合わせ対応を実現することが可能です。顧客が知りたい情報をタイムリーに提供することで、顧客満足度の向上につながります。
機会損失の防止
AI自動音声の導入メリットとしては、機会損失の防止も挙げられます。AI自動音声を導入すれば、祝休日や夜間を問わず、24時間365日体制で問い合わせを受け付けることが可能です。たとえば、顧客から日曜日にサービス資料請求が来た場合でも、AIの自動応答によって資料請求への対応ができます。
平日は仕事などで忙しい方も多いため、祝休日や夜間の問い合わせニーズは高いといえます。AI自動音声によって常に問い合わせ対応を行える環境を整備しておくことで、資料請求や予約受付といった販売につながる機会を確実に掴めるようになります。
AI自動音声を導入するデメリット
AI自動音声には前述のようなメリットがある一方で、デメリットも存在します。AI自動音声を導入する主なデメリットは以下のとおりです。
- コストがかかる
- シナリオ設計に手間と時間がかかる
AI自動音声を導入する際は、コストや手間がかかるため、事前に予算やスケジュールの確保が求められます。
コストがかかる
AI自動音声の導入にあたっては、ツールの調達費用やシステムの設定費用などの導入コストが発生します。AI自動音声の導入を考えている場合は、あらかじめ導入に必要なイニシャルコストを見積もり、予算を確保しておくことが必要です。
AI自動音声は、利用するほど人件費などのコスト削減効果が大きくなる仕組みであるといえます。長期的に見ればメリットのほうが大きくなることが期待できるため、長期的な視点で費用対効果をシミュレーションし、社内で合意形成を図っていくことをおすすめします。
シナリオ設計に手間と時間がかかる
AI自動音声を導入する際は、シナリオ設計に手間と時間がかかる点もデメリットです。AIが顧客からの問い合わせに適切に応答するためには、十分なシナリオ学習が求められます。そのためには、さまざまなパターンのシナリオ設計が必要であり、多くの手間や時間がかかる場合もあります。
したがって、AI自動音声の導入時は、十分なシナリオ設計を行うためのスケジュール確保が重要です。また、導入後にシナリオを継続的に改善していくための作業工数も見積もっておくことをおすすめします。
AI自動音声の活用シーン
AI自動音声は、主に以下のようなシーンで活用されています。
- 銀行などのコールセンター業務
- 病院やクリニックでの予約受付
- アンケート調査などの企業のマーケティング活動
たとえば銀行業界では、顧客が問い合わせの電話をかけた際に、オペレーターの代わりにAI自動音声が顧客情報や問い合わせ種別をヒアリングするケースも多くあります。必要な情報をあらかじめ把握しておくことで、オペレーターが顧客に直接確認する手間が省け、効率的な問い合わせ対応を実現できます。病院やクリニックでの予約受付においてもAI自動音声を活用することで、医療現場で多忙な看護師などの業務負担を軽減することが可能です。
また、AI自動音声を活用して顧客アンケート調査などを実施することで、企業のマーケティング活動に役立てることもできます。顧客ニーズを自動収集することで、マーケティング担当者の負担を軽減しつつ、マーケティング精度の向上を実現できるでしょう。
AI自動音声の導入が向いている企業
AI自動音声は、以下のような特徴や課題を持つ企業に向いています。
- コールセンターの人件費が大きな課題となっている企業
- 定型的な問い合わせが多い企業
- 曜日や時間帯によって問い合わせ数の変動が激しい企業
コールセンターの人件費削減を課題としている企業は、AI自動音声の導入がおすすめです。AI自動音声によって24時間365日の問い合わせ対応ができるため、オペレーターへの休日手当や深夜手当などを抑制でき、コスト削減につながります。
また、定型的な問い合わせが多い企業においても、AI自動音声は効果的です。AI自動音声だけで問い合わせを完結できるケースもあるため、大幅な業務効率化を実現できるでしょう。加えて、曜日や時間帯による一時的な問い合わせのピークがはっきりしている企業も、AI自動音声を導入することで問い合わせ業務の負荷分散を図れます。
AI自動音声の活用事例
ここでは、AI自動音声の活用事例として2つの企業事例を紹介します。
事例①
まずはオリックス生命保険株式会社の事例です。同社のカスタマーサービス部は、顧客への保険金・給付金の確実な支払いをミッションとしているなかで、優秀なオペレーターの人材確保を課題としていました。労働人口が減少していく国内市場において、同社はサービスレベルの維持やオペレーターの支援を目的として、AI自動音声の導入を決断しました。
AI自動音声を導入した結果、月間3,500件を超える住所変更受付の自動化に成功。住所変更受付の8割をAI自動音声へ誘導し、そのうちの7割をAI自動音声のみで完結できるようになりました。
顧客満足度も総じて高く、オペレーターからも業務負荷軽減による喜びの声があがっていることから、AI自動音声の活用効果を大きく発揮している事例であるといえるでしょう。
事例②
2つ目は株式会社ナリコマエンタープライズの事例です。同社は高齢者施設への委託給食サービスや高齢者向け食品の販売を展開している企業であり、営業時間外の問い合わせに対応できないことを課題としていました。
そこで同社は、なるべくコストを抑えつつ営業時間外の問い合わせ対応を行うために、AI自動音声の導入を決断しました。AI自動音声の導入の結果、これまで対応が難しかった営業時間外の問い合わせにも対応できるようになり、顧客満足度の向上を実現しました。
また、オペレーターの人件費を50%削減したり、恒常的な人手不足を解消したりするなど、AI自動音声によって大幅なコスト削減効果などを生み出しています。
まとめ
AI自動音声は、AIが自動音声によって問い合わせ対応などを行う技術・システムです。AI自動音声を活用することで、オペレーターの業務効率化やコスト削減につながるとともに、顧客満足度の向上や機会損失の防止が期待できます。
コールセンター業務の効率化やコスト削減を課題としている企業にとっては、AI自動音声を導入することで大きなメリットを享受できるでしょう。一方で、AI自動音声の導入にあたってはコストや時間・手間がかかります。
AI自動音声を導入する際は、導入目的や導入効果について社内でしっかりと合意形成を図り、事前に予算やスケジュールを確保しておきましょう。
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