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Veo(ベオ)とは?Googleの動画生成AIモデルの特徴や一般公開について紹介

最終更新日:2024/11/22

Google社は、2024年5月に独自の動画生成AI「Veo(ベオ)」を発表しました。60秒を超えるフルHDの動画を生成できるだけの性能を搭載したVeoは、クリエイティブ業界へ大きな影響を与えるツールとして世界中から注目が集まっています。

本記事では、Veoの主要機能や使い方、実際の活用事例などを紹介します。OpenAI社の「Sora」や「Gen-3」などライバル生成AIとの比較についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

Veo(ベオ)とは

Veo(ベオ)は、2024年5月14日(現地時間)に開催されたGoogle社のイベント「Google I/O 2024」にて発表された動画生成AIモデルです。テキストのプロンプトを入力すると、1分超の動画をフルHD(1080p)の画質で生成できます。

Veoの開発者は、汎用ゲームAI「AlphaZero」やAIヘルスケア「DeepMind Health」などを手がける「Google DeepMind」です。他にも、映画監督やクリエイティブスタジオ、多くの研究者や技術者が携わっています。

Google社は、Veoの開発にあたって各動画のキャプションに多くの詳細を追加し、データセットとして学習させた結果、動画の全体的な品質の向上と全体的な生成時間の短縮を実現しました。

Veoでは、自然言語と視覚的セマンティクスの理解に長けており、複雑なプロンプトを理解し、動画生成に反映することに成功しています。また、タイムラプスやアニメーションなど幅広い動画スタイルを理解し、対応することが可能です。

関連記事:YouTube、6秒間の動画クリップの生成が可能に。Google DeepMindの動画生成モデル「Veo」を統合

Veoの主な機能

ここでは、Veoの主な機能として、以下の3つについて詳しく解説します。

  • マスク編集機能
  • 画像→動画作成
  • AI生成コンテンツタグ「SynthID」

マスク編集機能

Veoでは、マスク編集機能を搭載しており、既存の動画に特定の要素を追加する、もしくは動画の一部を再生成するといった高度な編集が可能です。

従来の動画生成AIでは、すでにある動画を修正するために別のプロンプトを改めて入力し、生成を繰り返していく必要がありました。再度プロンプトを書き換えることで、動画の精度自体も向上する効果を得られましたが、Veoでは必要な部分のみに手を加えられるため、動画生成にかかるリソースを節約できます。

公式デモ動画では、海辺の映像にカヤックが追加されたものが公開されています。

画像→動画作成

Veoでは、画像とテキストを組み合わせて動画を生成できます。そのため、言語化することが難しい内容も、画像をそのままプロンプトとして入力すれば簡単に動画へ反映することが可能です。

Veoが公開されたイベントでは、同時に新しい画像生成AI「Imagen3」も発表されました。併用することで、さらに創作の幅が広がると期待できます。

AI生成コンテンツタグ「SynthID」

Veoで生成した動画には、AIが作ったコンテンツであることを証明するタグ「SynthID」が埋め込まれます。電子透かしの「SynthID」は、Google Deepmindが2023年8月にリリースしたAIツールです。

タグは人間の視覚では認識できない状態で埋め込まれるため、視聴者が気づくことはなく、動画による体験を邪魔することはありません。タグの付与により、生成AIによる画像や動画の見極めと責任の所在の明確に役立ちます。

また、生成コンテンツが偽物として出回り、社会問題を引き起こすリスクへの対策として有用であり、情報の信頼性を高める効果も期待できます。

Veoと他の動画生成AIモデルを比較

Veoと同じように動画を生成できるAIサービスが近年多く登場しています。ここでは、VeoとOpenAI社の「Sora」、Runway社の「Gen-3」との違いを比較します。各AIツールの比較表は以下の通りです。

Veo Sora Gen-3
主な機能 ・テキストから高品質動画を生成

・マスク編集

・複雑な編集コマンドのサポート

・テキスト説明

・画像および既存動画からの動画生成

・動画間の補完

・スムーズなトランジション作成

・詳細なシーン構成

・画像から動画を生成

・人物のスムーズな動き

・アニメーション生成

・詳細なアートディレクション

動画の長さ ・60秒超 ・最長1分 ・5秒〜10秒
動画の品質 ・1,080p(フルHD)解像度 ・高品質かつリアルな動画 ・テキストから高品質な動画を生成
セキュリティ対策 ・SynthIDによる透かしやプライバシー、著作権や偏見リスクを軽減するためのフィルター ・コンテンツ生成のために安全対策を伴うテストの実施 ・無料プランで生成された動画にウォーターマーク付き、視覚的モデレーションシステム、C2PA証明標準

比較的長い動画を生成したい場合には、VeoまたはSoraがおすすめです。また、VeoはフルHDの動画を作成したい場合にも向いています。

Veoの一般公開について

Veoは一般公開されておらず、一部のクリエイターのみにテスト公開されています。現時点では、Googleの「Labs.google」の専用ウェイティングリストに申し込むことが可能です。

Googleは将来的には、Veoの機能の一部をYoutube Shortsや他のGoogle製品に導入する予定だと公表しています。具体的なタイミングやライセンスなどの詳細については未定ですが、今後のアップデートが待ち望まれます。

日本語対応は不明

Veoの詳細が未定であるため、日本語対応についても不明です。プロンプトの日本語を入力できれば、画像や日本語のコメントにだけでクリエイティブで高品質な動画を生成できるようになります。

ただし、日本語入力に対応する前に英語のみで公開される可能性もあり、その場合には英語に翻訳してから入力する必要があります。

Veoの活用シーン

Veoの公開後に想定されるシーンとしては、以下のようなものが想定されます。

  • 映画製作
  • 広告コンテンツの作成
  • 動画教材の制作

Veoを活用することで、ロケーション選定や撮影クルーの手配といった従来の映画製作に伴う手間を省きながら、同等のスケールで映像を作成できます。また、監督の意図をテキストや画像で伝えられるため、詳細情報を反映した映像作品に仕上げることが可能です。

さらに、短時間で高品質な動画広告を作成し、すぐにYoutubeやInstagramなどのSNSに投稿できます。教育現場では、難しい概念や高度な内容について視覚的に伝わりやすい動画を作成するのにVeoが役立ちます。

Veo活用例

Google社は、公式XアカウントにてVeoのデモ動画を公開しています。Veoを使って実際にどういった動画を生成できるのか、いくつかの動画をピックアップして紹介します。

プロンプト
「斑点が多数あるクラゲが水中で脈動している。クラゲの体は透明で、深海で光っている」
比較的シンプルなプロンプトですが、高品質な動画に仕上がっています。

プロンプト
「スイレンが開花するタイムラプス動画、暗い背景」
背景を指定していますが、上記と同様にシンプルなプロンプトで、リアリティ溢れる動画を作り上げてくれます。

プロンプト
「馬に乗った1人のカウボーイが広々とした平原を駆け抜ける。美しい夕暮れの柔らかな光、暖かな色彩の背景」
特定の人物の状況と、場所や光の加減、色合い、時刻といった複数の要素を指定していますが、それぞれしっかりと反映されています。映画のワンシーンのような上質な仕上がりです。

プロンプト
「ゴールデンレトリバーが曲がりくねった山道を歩きながら尻尾を振っている。大自然の景色や香りを探検している」
ゴールデンレトリバーの後ろから撮影したような映像を作り出しています。背景となる大自然や山道の様子などの詳細も反映されています。犬の様子、特にふさふさとした毛並みを見事に再現できている点が特徴です。

動画生成AIの課題とVeoの将来性

AIによって生成された動画の取り扱いについては、まだ課題が残されており、世界規模で解決が急がれています。OpenAIのSoraが2024年2月に公開されてから、有名クリエイターや大手企業プロジェクトに採用し、制作物をリリースしてきましが、中には炎上するに至った広告動画もあり、生成AIの限界に対する指摘も出ています。

AIは日々高速で進化しており、過去の課題を克服した精度の高いモデルが次々と登場しています。しかし、まだ完全なものではなく、AIの成果物について人間のチェックが必要な段階にある点は念頭において利用するべきです。

ここでは、Veoを含む動画生成AIモデルを使用する上で注意すべき課題やリスクと、将来性について解説します。

他業界への影響と配慮

Veoが一般公開されると、誰でも自由に動画を生成できます。個人で利用する範囲であれば、オリジナルの世界観を動画にし、家族や友人にシェアして楽しめます。また、前述の通り、ビジネスでも応用可能です。

ただし、高精度な動画を生成できるAIツールは、映像業界やクリエイターなどへの影響も考えられます。SNSに投稿するなど、生成した動画を使用する際には、プライバシーの侵害やディープフェイクの悪用といったリスクに十分配慮する必要があります。

著作権侵害のリスク

Veoだけでなく生成AIを利用する際には、著作権の侵害に対するリスクにも注意が必要です。Veoで生成した動画に、他人の著作物が含まれている場合、問題となる可能性があります。SNSなどに動画を公開する前に、内容を十分にチェックすることが大切です。

なお、VeoではSynthIDを使用した透かしに加え、セキュリティフィルターの導入やガイドラインの設備などに取り組んでいます。ユーザー側はガイドラインを遵守し、信頼性の高い動画であることを確認した上で活用することが求められます。

まとめ

Google社が発表した最新動画生成AI「Veo」は、従来の生成AIではカバーしきれていなかったマスク編集機能や画像とテキストの組み合わせによる動画生成といった高度な機能を搭載しています。また、SynthIDの導入により、AIによる制作物であることが明確に示される点も特徴です。

Veoの一般公開は未定ですが、OpenAI社のリリースが待ち望まれています。いずれのツールでも、ユーザー側はプライバシーや著作権の侵害リスクには十分に配慮しつつ、生成物をよく確認した上で公開・共有することが重要です。

アイスマイリーでは「生成AIサービスの提供企業一覧」を無料ダウンロードいただけます。自社における生成AIの活用を通して、業務効率化や生産性の向上を図るためにぜひご活用ください。

生成AIのサービス比較と企業一覧

よくある質問

Veoの一般公開は?

一般公開については未定です。一部のクリエイターのみがテスト運用を行える段階で、フィードバックによる改善を試みている最中だと言われています。ウェイトリストにすれば、最新情報を迅速に入手可能です。公式サイトから登録を検討してみましょう。

Veoのウェイトリスト登録方法は?

Googleの「Labs.google」より登録可能です。Veo専用フォームにアクセスし、必要な情報を入力して完了すれば、一般公開に関する最新情報がわかり次第お知らせを受け取れます。Googleは、将来的にVeoの機能をYoutube Shortsやその他Google製品に導入する予定であるため、関連製品でVeoが使える日も近いかもしれません。

AIsmiley編集部

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