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最終更新日:2024/03/11
スマートグリッドとは?必要性・身近な例を解説
元々はアメリカで大規模停電を防ぐために考案されたスマートグリッド。現在では、再生可能エネルギーの利用促進や新興国で急増する電力需要にも対応できるとして注目を集めている次世代電力供給システムです。
本記事では、停電対策はもちろん、電力の効率的な消費や供給バランスの構築など多くのメリットを持つスマートグリッドについてお伝えします。世界各国の取り組みや今後、日本で取り組んで行く際の課題なども紹介しますので、企業のAI導入やDX推進を担当されている方はぜひ、参考にしてください。
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スマートグリッドとは、送配電網に専用のソフトウェアやIT機器を組み込み、電気の供給側と需要家側との双方向で電力量をコントロールできる仕組みを持った「電力ネットワーク供給システム」です。これにより、供給側は需要家側の電力消費をリアルタイムで把握できるようになり、電力ピークの需要に合わせた電力供給が可能になります。
スマートグリッドは2000年代初頭、電力網の老朽化による大規模停電に悩むアメリカが開発・導入を進めてきました。世界的に注目を集めるようになったきっかけとしては、2009年のオバマ政権時代にグリーン・ニューデール政策の一環としてスマートグリッドを提唱したことが挙げられます。
日本でスマートグリッドが注目を集めている主な理由として挙げられるのが、低炭素社会の実現に向け導入が進む太陽光発電の大量導入における課題である電力の安定供給です。
スマートグリッドの導入により、電力の安定供給を可能にし、低炭素化と発電の高効率化の両面を実現する社会が日本の目指す道といえます。
スマートグリッドと混同しがちな言葉としてスマートシティがあります。スマートシティとは、新しいICT技術を活用し、都市計画・整備・管理・運営を高度化させることで都市や地域が抱える課題の解決を行っていくものです。また、都市や地域における新しい価値の創出、たとえばスマートハウスや電気自動車(EV車)などを実現させるのもスマートシティの大きな役割と言えます。
これに対し、スマートグリッドは、同じようにIT技術は活用しますが、解決するのは需給の最適化であり、都市や地域全体の課題解決ではありません。
ただし、特にBRICS(ブラジル・ロシア・インド。中国・南アフリカ)のような新興国では、電力はもちろん、水道・ガス・鉄道・道路などのインフラ需要は都市開発とセットで進められます。そのため、スマートシティの実現には、スマートグリッドの活用も必須です。
そうした意味では、スマートグリッドとスマートシティはまったく分けて考えるものではありません。考え方としては、スマートシティが形成するスマートコミュニティの一要素としてスマートグリッドがあるといえます。

スマートグリッドは目的に応じて大きく4つのタイプに分けられます。具体的には次のとおりです。

スマートグリッドが必要とされる背景として挙げられるのは、老朽化した電力網の刷新による大規模停電の回避、再生可能エネルギー導入時の課題解決などです。
また、電力の見える化による需給バランスの調整、新興国を中心とした急増する電力需要への対応なども影響が大きいといえるでしょう。ここでは、それらについてより詳しく解説します。
そもそもスマートグリッドの開発・導入が始まったきっかけは、アメリカでの電力網の老朽化による大規模停電です。
具体的には2003年に中西部から東部にかけて起きた史上最大ともいわれる大規模停電で、この時には約5,000万人にも影響が出たとされています。また、2006年には、カルフォルニア州で、3時間弱に渡って大規模な停電が続きました。
スマートグリッドは、老朽化した電力網の刷新におけるコスト抑制や、刷新後の電力供給効率化に欠かせないものとして開発され普及が進んでいます。
太陽光発電や風力発電のような再生可能エネルギーは、発電量が天候に左右されるため、常に一定の電力を提供することが困難です。
欧州では、再生可能エネルギーの導入が進んでいますが、このデメリットを解消し、電力の需給バランスの調整を目的としてスマートグリッドの活用が行われています。
日本においても再生エネルギーの発電電力量は年々増加していて、たとえば、太陽光は2011年の35億kwhが2021年は861億kwh。風力は2011年の40億kwhから2021年は94億kwhです。
再生エネルギーへの依存が高まるほど、需給バランスの調整にはスマートグリッドが求められるようになるでしょう。
詳しくは後述しますが、スマートグリッドでは、企業や一般家庭などに消費電力をリアルタイムで計測するための機器を設置し、電力消費データの収集・分析を行います。これにより、電力の見える化が実現し、地域の電気消費を効率的にコントロールが可能です。
また、機器によっては建物や設備ごとにどのような再生可能エネルギーを使っているかがわかるものもあります。この機器を活用すれば、環境に配慮している企業や工場も見える化され、企業の環境意識向上、再生可能エネルギーの積極的な活用にも効果が期待できます。
電力需要が年々増加しているのもスマートグリッドが求められる理由の一つです。たとえば、2022年7月20日、国際エネルギー機関が発表した、「電力市場報告書」では、2023年の電力市場の増加率を2022年比で2.3%増と予測しています。
コロナ禍からの経済回復で5.8%増(2021年)に比べると増加率は低いものの、2022年も地域別で見ると、中国(3.1%)、インド(7%)と新興国は引き続き高い伸び率です。
また、日本の電力消費は2011年の東日本大震災以降、節電の取り組みもあり伸びは鈍化しています。ただし、一次エネルギーに占める電力の比率は常に40%を超えていることから、電力への依存度は高いといえるでしょう。
電力需要の増加による最大の課題は、電力使用のピーク時に電力不足になってしまうことです。このまま需要が増加すれば、電力網の老朽化にかかわらず、大規模停電が頻発するとも限りません。需要増加に対応するにもスマートグリッドは欠かせないものとなっています。
大規模停電が起きる原因は、電力網の老朽化や電力需要の増加だけではありません。地震や台風などの自然災害も停電を引き起こす大きな脅威です。地震や台風は停電により、二次災害につながるリスクも高まるため、できる限り短時間で解消させなければなりません。
実際、経済産業省の資源エネルギー庁調べでは、平常時の日本における1軒あたりの年間停電時間は、約20分でした。しかし、北海道胆振東部地震や台風などの災害があった2018年は225分。2019年の台風15号では千葉県を中心に最大93万戸が停電し、一部を除く全面復旧まで2週間以上を要するなど、災害による大規模停電対策は常に考えておかなければなりません。
スマートグリッドは、災害時にエネルギーリソースの制御により電力需要のコントロールを可能にするデマンドレスポンス機能を有しており、災害に強い電力供給インフラを実現します。

スマートグリッドの大きな特徴として、IT技術を組み込んだ次世代型の電力供給システムという点が挙げられます。身近な例としては、企業や各家庭に設置し、電気使用量データを送信するスマートメーター。主に家庭で使うエネルギーの節約に効果を発揮するHEMSなどです。
ここではスマートグリッドに欠かせないIT機器として、スマートメーターとHEMSの2つについて解説します。
スマートメーターとは、毎月の検針業務を自動化し、後述するHEMSを通じて各企業、家庭などの電気使用状況を見える化する電力量計です。
従来、電気使用量の計測は、毎月一回、現地で検針員が電気使用量を目視検針する必要がありました。しかし、スマートメーターは、送配電事業者が遠隔での自動検針が可能になります。
スマートメーカーの最大の特徴は、電気の使用量データを30ごとに計測する点です。これにより、時間帯別の電力使用量や電力消費量が把握でき、利用状況に応じて柔軟に電気料金プランを設定できるようになります。
また、月1回の計測であった従来方式に比べ、詳細な電力の利用データが収集できるようになり、電力供給における将来的な設備投資の抑制も可能です。
また、30分ごとに使用量データを計測するため、将来的には電気の使用量によって高齢者の見守りサービスとしての活用も期待されています。
HEMSとは、Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)の略称で、一般家庭の住宅で使用するエネルギー節約を管理するシステムです。スマートメーターのほか、エアコンや照明器具、蓄電池といった家電やIoT機器、電気設備などと接続し、電気やガスなどのエネルギー使用量をモニターで見える化します。
また、それぞれの機器をコントロールすることでエネルギーの自動制御も可能です。HEMSとスマートメーターの連携により、家庭内のエネルギー管理を効率的に行えるようになるため、住民にとってHEMSはスマートグリッドの中核的な役割を担っているといえるでしょう。
令和3年(2021年)に資源エネルギー庁が発表した、「2030年度におけるエネルギー需要の見通し」では、2030年までにHEMSを含むスマートホームデバイスの導入率を85%にするとしています。
そして、HEMSを含んだエネルギー管理システムの活用により、2030年までに160万kLのエネルギー削減を目標に掲げ、急速に導入の促進を行っています。
なお、企業のオフィスが入るビルでは、HEMSの代わりにBEMS(Building and Energy Management System(ビルエネルギーマネジメントシステム)で管理するのが一般的です。

スマートグリッドの構築により、さまざまなメリットが考えられます。なかでも大きいのは、「電気使用量の見える化」「効率的な電力の消費・供給バランスの構築」「再生エネルギーの導入時の電力網の安定化」「災害対策」です。それぞれについて解説します。
特に一般家庭におけるスマートグリッド構築のメリットは、スマートメーターやHEMSの活用による電気使用量の見える化が実現する点です。
電気の使用量は目に見えるものではないため、つい使い過ぎてしまいブレーカーが落ちてしまうといった経験をされた方は多いのではないでしょうか。しかし、スマートメーターは、30分おきに電気の使用量を計測し、HEMSのモニターに数字として表示します。
これにより、実際に今、どれだけの電気を使っているのかが見える化され、不要な家電の電源を切ったり、エアコンの設定温度を変更したりといった工夫が可能です。
また、スマートメーターで計測された電気使用量は、電力会社にもネットワークを使って送信されるため、必要に応じて発送電を行えるようになるメリットがあります。
詳細な電力需要を把握し、電力の効率的な消費・供給バランスの構築が可能になるのもスマートグリッド構築の大きなメリットです。電気は時間帯によって使用量が一定ではありません。
一般的には人々が多く稼働する日中は使用量が増加し、夜間になると使用量が減少します。この使用量に応じた送電を可能にするのがスマートグリッドです。
使用量が少ない時間帯に送電を抑えることは、効率的な電力消費につながるのはもちろん、送電にかかる電力ロスを抑えられます。無駄な送電の抑制によるエネルギーマネジメントは、電力会社にとって大幅なコスト削減効果にもつながるメリットといえるでしょう。
太陽光や風力発電は従来の化石燃料による発電に比べ、環境問題の解決につながるとして大きく注目を集めています。実際、世界各国で再生可能エネルギーの開発・運用が進んでいて、今後さらに増加することは間違いありません。ただし、再生可能エネルギーは、天候に左右されるため、まだまだ従来のエネルギーにも頼らざるを得ないのが現状です。
スマートグリッドは、状況に応じて電力供給のコントロールが可能なため、再生可能エネルギーを主力としつつ、天候によって電力が減少した場合は、発電所からの電力に切り替えられます。
地域の再生可能エネルギーを優先的に活用することでエネルギーの地産地消を実現しつつ、同時に電力網の安定も可能にできる点は、スマートグリッドならではのメリットです。
スマートグリッドの構築により、一般家庭や企業、事業所などに小型の発電設備が設置されるようになります。これにより従来の火力・原子力発電所などの集合型電源と分散型電源、双方のメリットを活かした電力網の活用が可能です。
分散型電源は、単体でも需要家の近くで発電ができるため、送電ロスを抑えられる効果があります。しかし、集合型電源と併せて活用することで、災害時に集合型電源が被害を受けても分散型電源からの電力を使えるため、迅速な電力供給・復旧に貢献できるのは大きなメリットです。

多くのメリットが期待されるスマートグリッドですが、構築に際していくつかのデメリットも存在します。特に危惧されているのは、「スマートグリッド構築にかかる多額の導入コスト」と「サイバーセキュリティリスクの増大」です。ここではそれぞれについて解説します。
アメリカでは2011年の段階で、サイバーセキュリティ対策費として、スマートグリッドへの投資が37億2,900万ドル。関連するIT投資は約322億5,800万ドルと想定しています。このことからもサイバーセキュリティリスクの増大は、手間とコスト両面においてスマートグリッド構築のデメリットです。

世界では、日本に先駆けさまざまなスマートグリッドへの取り組みが進んでいます。ここでは、欧州・米国・中国・韓国のスマートグリッド導入事例を見てみましょう。
欧州各国では、以前より産業育成や電力の安定運用を目的として風力発電の大量導入を進めています。
具体的な導入事例としては、送電側は、風力発電制御、揚水発電、圧縮空気貯蔵制御。そして需要家側は、スマートメーターによる見える化、PHEV-EV制御、デマンドレスポンス、スマート家電の導入などが挙げられます。
主な政策としては、電力分野への再生可能エネルギーの導入量の各国割当を決める「EU再生可能エネルギー電力促進指令(2001年)」。スマートメーター導入を義務化した「需要家側エネルギー効率・エネルギーサービス指令(2006年)」。2020 年までに最終エネルギー消費に占める再生可能エネルギーの割合20%を目指す「EU 再生可能エネルギー促進指令(2009年)」の3つです。
米国では、発送電設備の老朽化による大停電事故が発生していたことから、ピーク需要の削減、供給信頼度の向上などを目的として、スマートグリッドの構築を進めています。また、需要家情報の積極的利用による情報産業の育成も要因の一つです。
具体的な導入事例としては、送電側はPMU(電源監視ユニット)を用いた広域監視制御。需要家側は、欧州と同様、スマートメーターによる見える化、PHEV-EV制御、デマンドレスポンス、スマート家電の導入などが中心です。
スマートグリッドに関わる主な政策としては、DOE主導で次世代の電力システムのあるべき姿を論じた内容をまとめた「DOE Grid 2030」。電力系統設備の老朽化への対応や、電力需要増に対して設備利用効率を向上させ、デマンドレスポンスの必要性を高める「Energy Policy Act of 2005」などが挙げられます。
中国ではロシアやブラジル、インドなどの新興国特有の電力供給不足を解消し、再生可能エネルギーの有効利用、電力品質の向上、送電網の高度化を目的としてスマートグリッドの構築を進めています。
欧州や米国とは異なり、対象としているのは送電側のみです。米国同様、送電側はPMU(電源監視ユニット)を用いた広域監視制御を指向しています。
主な政策としては、中国政府が2009年11月に「米中クリーンエネルギー技術に関する共同イニシアティブ」を発表。米国と再生可能エネルギーのパートナーシップを結び、中国におけるスマートグリッドのあり方をステークホルダ間で協議する「China Smart Grid Cooperative」を設立しています。
韓国では、スマートグリッドを新たなビジネス機会と認識し、世界のスマートグリッド市場で3分の1のシェア獲得を目標に省エネと再生可能エネルギーの大量導入を進めています。
具体的な導入事例としては、発送電側と需要家側を含む発電系を一体的に捉え、送電側は広域監視制御と蓄電池制御。需要家側はスマートメーターやPHEV・EV制御、デマンドレスポンスなどです。
主な法案としては、2009年に米国協力の元に済州道にスマートグリッド実証事業をスタートさせ、2010年にスマートグリッド国家ロードマップの作成、2011年には世界初の国レベルのスマートグリッド専門支援法(スマートグリッド法)を制定しています。
日本は世界有数の信頼度と品質を誇る電力技術を持ち、他国に比べ停電が少なく、仮に停電になっても短い時間で復旧するなどの実績があります。ただ、スマートグリッドの導入に限っては、この実績が逆に他国に対し遅れを取ってしまう要因です。
欧米では2000年代初頭の時点で電力網老朽化の改善や再生可能エネルギーの大量導入が進められ、それに応じてスマートグリッドの開発・導入も推進されました。しかし、日本は欧米のような逼迫した状況ではなかったため、スマートグリッドの導入や普及が後手に回ってしまったのです。
ただし、現在ではスマートグリッドに関する法案こそないものの、経済産業省が中心となり、日本企業と低炭素電力システムや次世代送配電ネットワーク、蓄電池システム産業戦略など個々に研究会を設立。主に再生可能エネルギーの大量導入へのスマートグリッド導入を促進しています。
スマートグリッドとは、送配電網に専用のソフトウェアやIT機器を組み込んだ、次世代型電力ネットワーク供給システムです。供給側と需要家側双方向でデータのやり取りをリアルタイムで行えるため、企業や一般家庭の電気使用量を把握し、状況に応じた送電を可能にします。
また、今後日本でも推進されている再生可能エネルギーの大量導入に向け、電力供給の高い安定性を実現するシステムとしても大きな期待を集めています。
海外では日本に先んじてさまざまな実証実験も行われていて、ビジネス面でも注目を集めているスマートグリッド。今後、スマートシティを実現するうえでも欠かせないシステムとなるため、新たな動向の情報収集を検討されている際は、ぜひ、AIsmileyの活用をおすすめします。
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