生成AI

最終更新日:2025/07/04
NotebookLMは、2023年夏にリリースされたGoogleのAIを活用したリサーチおよび執筆アシスタントです。。外部ドキュメントを迅速にアップロードでき、ノートスタイルのインターフェース上で効率的な情報検索やドキュメント管理が可能です。
また、24年6月には日本語インターフェースおよび日本語ドキュメント解析に対応。同時に2025年5月のアップデートで生成モデルを「Gemini 2.5 Flash」へ切り替えることで、より高度な推論性能を獲得しています。リサーチや文献執筆のアシスタントとして幅広く活用できるようになりました。
本記事では、NotebookLMの概要から料金、主な機能、他のLLMとの比較などについて解説します。具体的なNotebookLMの活用例も紹介しますので、生成AIツールの導入や運用を検討している方はぜひご覧ください。
NotebookLM(ノートブックLM)は、Googleが提供するノートブック形式のAIツールです。ユーザーがアップロードしたドキュメントの内容を、AI技術によって整理・分類・管理でき、情報検索や検索を効率化します。
原則として、自分でアップロードしたドキュメントや資料のみがデータとして蓄積され、その中でリサーチや分析、共有といった作業が可能です。他のLLM(Large Language Model/大規模言語モデル)のように、各社独自のデータセットやインターネット上の情報を含まないため、LLMの課題であるハルシネーション(AIが、不確かな情報を尤もらしく回答してしまう現象)を高確率で避けられます。
また、基本的にチャット形式でのやり取りで作業が完結します。複雑な設定は不要で、会話形式の直感的な操作で作業を進められる点も特長です。
2025年5月、NotebookLM」は、AIモデル「Gemini 2.5 Flash」を搭載しました。
Gemini2.5 Flash によって、さらには高度な生成能力、分析機能、動画作成サポート、コーディング支援が利用可能になりました。
「音声概要」(Audio Overviews)は、NotebookLM がノート内容を自動で音声に変換し、ポッドキャストのように再生する機能です。2025年の4月から、日本語にも対応しました。Gemini 2.5 の音声処理技術と最新のマルチモーダル AI の力で、アップロードした資料の概要を、まるでラジオやポッドキャストの対話のように変換してくれます。
2025年6月時点の音声概要には以下のような特徴があります。
PDFやスライド、チャートなど様々なドキュメントをアップロードし、AIホスト同士による“Deep Dive”対話形式の音声サマリーとして聴取できます。画面を見ずに学習や調査が進められるため、通勤・移動中の利用にも適しています。
NotebookLM の設定画面(Settings → Output Language)から、50以上の言語で要約音声を生成でき、日本語もベータ版として利用可能です。
2024年12月にリリースされたベータ版では、再生中に「Join」ボタンを押すことでAIホストとの対話にユーザーが割り込んで参加し、リアルタイムで追加質問が行えます。※25年6月現在、このモードは英語でのみ利用可能です。
PDFやスライド、チャートなど様々なドキュメントをアップロードし、AIホスト同士による“Deep Dive”対話形式の音声サマリーとして聴取できます。画面を見ずに学習や調査が進められるため、通勤・移動中の利用にも適しています。
これらにより、音声での要約コンテンツがより多言語・インタラクティブに利用できるようになり、従来のテキスト中心のワークフローを大きく強化しています。
2024年12月、Googleは有料プラン「NotebookLM in Pro(旧称 NotebookLM Plus)」を発表しました。2025年2月より Google AI Pro(旧称Google One AI Premium)の購読者や個人ユーザーにも開放され、2TBストレージや1日500クエリ/20オーディオ生成などのプレミアム特典が利用できます。
無料版と比べ、NotebookLM in Proは1ノートブックあたりのソース量が6倍に増え、作成できるノートブック数も5倍になります。チャットのみのアクセス制限機能や、応答スタイルと回答の長さを設定できる機能、利用状況の分析機能などの機能も追加されています。
機能/特徴 | NotebookLM(無料版) | NotebookLM in Pro(有料版) |
対象ユーザー | 個人ユーザー | 企業、学校、大学、組織、エンタープライズ顧客※個人でもGoogle AI Pro サブスクリプションを購入することで利用可能
※個人でもGoogle AI Pro サブスクリプションを購入することで利用可能 |
ノートブック数 | 最大100 | 最大500 |
ソース数 | ノートブックあたり最大50 | ノートブックあたり最大300 |
チャットクエリ | 1日あたり最大50 | 1日あたり最大500 |
オーディオ生成 | 1日あたり最大3 | 1日あたり最大20 |
プレミアム機能 | – | チャットのみのノートブック共有 高度なチャット設定(応答スタイルの選択や出力長のカスタマイズ) ノートブック分析 |
「NotebookLM Enterprise」というプランもリリースされました。VPC Service Controls や IAM でアクセス制御を強化し、データを指定リージョン内に限定保存が可能。Pro版と同じ容量を備えながら、管理者向けライセンス設定と Azure AD/Okta などのシングルサインオン連携などが実装されています。
コンプライアンス要件や大規模リサーチを必要とする企業で安全・効率的なナレッジ管理を行いたい場合に向いているプランです。
NotebookLM in proでは、企業や教育機関のニーズに応える3つの特別な機能が追加されました。
参考:NotebookLM を Pro プランにアップグレードする
新機能によって、組織のメンバー同士で効率的にAIを使ったり、管理者がAI導入の効果を測ったりするのに役立ちます。
新機能 | 概要 |
---|---|
ノートブックの「チャットのみ」の共有 | ノートブック共有時に、全体へのアクセスを許可するか、チャット機能のみへのアクセスを許可するかをカスタマイズできます。機密性の高いソースやメモを保護しながら、必要なチャットだけを共有することが可能です。 |
高度なチャット設定 | ガイドやアナリストなど目的に応じた応答スタイルを選択したり、ニーズに合わせたカスタムスタイルを作成したりできます。また、応答の長さを短めや長めに調整することも可能です。 |
ノートブックの分析 | 共有したノートブックの1日あたりのユーザーアクセス数や、過去1週間のクエリ実行数など、利用状況を分析できます。チーム内での活用状況を数値で把握することができます。 |
NotebookLMは、OpenAI社の言語モデルの一つであるGPTsとはインターフェースや料金などが異なります。
NotebookLM | GPTs(ChatGPT) | |
月額料金 | 無料 ※NotebookLM in Proは$20〜 |
$20 |
インターフェース | ノートブック形式 | チャット形式 |
主な用途 | アップロードされたデータや情報に特化したリサーチ、チャット形式での執筆・検索など | 一般的な質問応答や、コード生成、画像・文章生成など |
学習データ | ユーザーがアップロードした資料や情報 | インターネット上の情報や事前学習データ |
NotebookLMは、原則としてユーザーが提供したドキュメントや情報ベースで稼動します。ChatGPTは、インターネット上の情報や事前学習データを基に回答を生成するLLMです。LLMの場合、ハルシネーションが発生する可能性がありますので、回答をコピーして使う場合は、その信憑性に注意する必要があります。
前述したように、NotebookLMには無料プランに加え、プロユースの有料プランがあります。有料プランは、その目的によって複数のサブスクリプションに包括されています。つまり、有料プランでNotebookLM単体を使うというよりは、他のGoogleのサービスと併用するのが現実的な利用方法になります。
参考:公式サイトのアップグレード案内
プラン | NotebookLM(無料) | NotebookLM in Pro(個人) | NotebookLM Enterprise |
NotebookLM in Pro(ビジネス) | NotebookLM in Pro(エデュケーション) |
---|---|---|---|---|---|
金額 | ¥0 | ¥2,900 / 月 | ライセンスあたり月額 9 ドル(年払いの場合は割引あり) | ¥1,600 / 月 | 要問い合わせ |
購入方法 | Googleアカウントがあれば単体で利用可能 | Google One(Google AI Pro)経由 | Google Cloud経由 | Google Workspace経由 | Google Workspace経由 |
Google NotebookLMは、さまざまな機能が搭載されています。ここでは、NotebookLMの代表的な4つの機能について解説します。
NotebookLMで特筆すべきは、高度な情報処理能力です。アップロードしたドキュメントやデータが膨大であっても、内容の読み取りから要点の抽出、要約まとめの提示まで迅速に完了します。
また、検索能力も優れており、キーワード検索だけでなく文脈や背景を踏まえた検索が可能です。回答を生成する際には、インライン引用により根拠となる引用データと引用場所を紐づけて提示するため、クリックするだけで該当箇所へ瞬時に移動できます。
NotebookLMでは、さまざまな形式のファイルをアップロードできます。現時点では、以下のファイルに対応しています。
NotebookLMはGoogleのツールであり、GoogleドキュメントやGoogleスライドなどのサービスとシームレスな連携が可能です。また、書類のスキャンやダウンロードしたPDFファイル、手持ちのパソコンで作成したtxt形式のテキストファイルにも対応しています。
さらに、Webページ上のテキストをコピーし、直接貼り付けて取り込めます。さまざまなドキュメントをインポートし、内容に関する質問や指示をチャットで入力することで、必要な情報の検索や処理を簡単に行うことが可能です。
NotebookLMの代表的な機能の1つが、ノートブックの作成・管理機能です。チャットでのやり取りやインポートしたソースから、内容の引用を扱ったノートや独自のメモを作成、保存できます。
また、ノートエディタに思考や観察を入力した後、ソースから関連情報をコピー&ペーストして、内容を充実させることが可能です。1つのノートブックに複数のドキュメントをアップロードし、横断的に情報を分析するといった使い方もできます。
整理ツールを使ったグループ化も可能で、階層を作成、編集しながらまとめていくことができます。
NotebookLMでは、チームでの共有もスムーズに行えます。複数人とノートやメモを共有し、リアルタイムで共同編集できるため、情報共有やプロジェクト管理に役立ちます。
アクセス権限は、閲覧者と編集者を分けられるため、ニーズに合った権限管理が可能です。閲覧者は読み取り専用ですが、編集者はメモの追加や削除などを行うことができます。
ここでは、NotebookLMの使い方を説明します。以下の手順で開始できます。
上記に続けて、回答に基づいてより詳しい質問を投げたり別の角度から分析したりすることも可能です。チャット入力欄には、NotebookLMによって、質問の例も表示されます。対話は自動で保存され、重要な情報のハイライトやメモの追加、他のユーザーとの共有も随時進められます。
NotebookLM in proへのアップグレードによって、1ノートブックあたりのリソース制限が大幅に拡大されます。通常版(NotebookLM)の100から500ノートブックまで作成可能となり、1ノートブック内のソース数も50から300に増加します。また、1日のチャットクエリ上限が50から500に、音声概要生成も3から20件に拡大されます。
2025年5月、待望のNotebookLMモバイル版アプリが発表されました。通勤中や移動中に気軽に音声概要を聴いたり、気になったことをその場ですぐに質問したり、ウェブサイトを見ているときに「これをNotebookLMで分析したい」と思ったらワンタップで追加したりできるようになりました。
【NotebookLMモバイル版アプリの使い方】
アプリから、新しいノートブックの作成なども可能です。また「共有」機能では、スマホのブラウザやアプリで見ているページ、You Tube動画などをワンタップで追加可能です。外出先で気になったコンテンツや、調べ物のファイルなども忘れず保存でき、便利です。
NotebookLMはすでにさまざまな用途で活用されています。ここでは、NotebookLMの活用例を5つ紹介します。業務やビジネスにおける応用を検討する際に、ぜひお役立てください。
NotebookLMを使って、用途やシーンに特化した専用チャットボットを構築できます。PDFファイルやWebサイトのURLを、NotebookLMにアップロードし、内容を読み込ませれば、質問や指示に対応に対応するAIボットが完成します。
例えば、家電や設備製品の取説書を読み込ませておけば、故障や不具合が発生した際にチャットで状況を説明し、解決方法を参照することが可能です。また、辞書のような膨大なデータ量でも迅速に処理し、整理・分類することができます。
NotebookLMでは、利用規約や契約書をわかりやすく解説してもらう、という使い方も有用です。ページ数が多く、専門用語がふんだんに使われているような文書でも、瞬時に読み込みができ、要約を作成できます。
英語のドキュメントについて日本語でまとめることも可能なため、海外のサービスや製品を利用したい場合にも便利です。不明点については、チャットで質問を入力することで、効率的に内容を理解できます。
論文や書籍といった膨大な情報量をスピーディに読み取り、要約や解読が可能です。PDFデータになっている本を、丸ごとNotebookLMにインポートすれば、瞬時に要約が出力できるため、内容理解が進みます。
また、ノートとしてまとめておけば、必要なタイミングで復習や抽出が可能です。
社内共有ナレッジの構築や情報共有にも、NotebookLMが役立ちます。業務や設備のマニュアルは、部署や個人のデスクなどに散乱しがちです。そこで、共有ノートにアップロードし分類・整理しておけば必要な場面ですぐに探し出すことも可能です。
また、個人の持つ知識やノウハウの共有や継承も促され、特定の社員がいないと業務が進まないような属人化の状況を回避できます。
NotebookLMでは、要約した内容やデータをマインドマップ形式でまとめることも可能です。研究論文など膨大な文章から、重要なポイントを抽出し、関係性を可視化したマインドマップを作成すれば、情報共有も促進できます。
NotebookLMのよくあるトラブルと解決法についてまとめて解説します。
NotebookLMへのアクセスときに「お使いのアカウントでは利用できません」というメッセージが表示される場合、まずアカウントの種類を確認します。NotebookLMのアクセス権がない場合は利用できません。
アクセス権があるにもかかわらず、利用できない場合は、ブラウザやクッキー、キャッシュの問題である可能性もあるため、「ブラウザを変える」「キャッシュ・クッキーをクリアする」「Googleアカウントを再ログインする」といった対処法で解決できることがあります。
NotebookLMにファイルをアップロードする際に問題が発生する主な原因として、対応していないファイル形式やサイズ制限の超過が考えられます。
PDFやテキストファイルなど、対応形式であることを確認し、大きすぎるファイルは分割するか圧縮して試してください。
また、ブラウザを最新版に更新することや、Google Driveなどのクラウドストレージからの直接インポートを試みることで、解決する場合があります。
作成したノートブックを他のユーザーと共有しようとして失敗する場合は、まず共有設定を確認します。
共有相手がGoogleアカウントを持っているか、適切なアクセス権(閲覧社、編集者など)が設定されているかをチェックしてください。
他にもブラウザの変更やキャッシュ・クッキーのクリア、時間帯を変えての再試行などの方法があります。
このエラーメッセージが表示される場合、まずGoogleアカウントの設定を確認します。業務用アカウントを使用している場合は、組織のITポリシーによってNotebookLMの使用が制限されているかもしれません。
また、ブラウザの拡張機能やVPNによる地域制限が影響している可能性もあるため、一時的に向こうにして試すことをおすすめします。
GoogleのNotebookLMは、情報整理や検索の効率化を促すAIツールです。アップロードしたドキュメントや情報を迅速に読み取り、自分専用のデータベースやチャットボットを構築できます。
要約の生成やチーム共有などさまざまな機能が使えて、生産性の向上や業務効率化、創造的な活動の促進といったメリットが見込まれます。機密情報の取り扱いには注意しつつ、日常業務にお役立てください。
2025年4月からは音声概要機能が、5月にはモバイルアプリも登場し、利便性が向上しました 。さらに、プロユース向けの有料プラン「NotebookLM in Pro」では、より多くのリソースと高度な機能が提供されています 。これらの最新機能とプランを活用することで、NotebookLMはあなたの業務を強力にサポートするでしょう。
生成AIサービスをまとめた資料を以下より無料請求いただけます。自社における生成AI活用を検討する際にぜひご活用ください。
2025年5月にNotebookLMモバイル版アプリが発表されました。Google PlayストアおよびApple App Storeでダウンロードが可能です。
NotebookLMは24年6月より日本語に対応しています。日本語でのチャット入力や日本語のドキュメントの内容を理解し、適切な処理ができます。ただ、固有名詞や専門用語、文化的な背景といった高度な内容については、適切な処理が困難な場合もあるため注意しましょう。
Googleは、AIノートアプリ「NotebookLM」のAndroidおよびiOS向け公式アプリを2025年5月20日にリリース予定です。現在、Google PlayストアおよびApple App Storeでプレオーダー(事前登録)が可能です。
NotebookLMは日本語に対応しています。日本語でのチャット入力や日本語のドキュメントの内容を理解し、適切な処理ができます。ただ、固有名詞や専門用語、文化的な背景といった高度な内容については、適切な処理が困難な場合もあるため注意しましょう。
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