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メタバースとは?ビジネスへの活用メリットや今後の課題について解説

最終更新日:2024/04/05

ブロックチェーン技術やNFT技術の発展によって、多くの事業者がメタバースプラットフォームを提供し、ユーザー同士のコミュニケーション活性化やデジタル資産の売買を気軽に行える時代に移り変わりつつあります。スマートフォンのアプリやVRゴーグルを活用して、誰もが仮想世界を気軽に体感する日常はすぐそこまでやって来ているといえるでしょう。

とはいえ、まだ新しい概念である「メタバース」がどのような技術なのか、具体的に何ができるのかよく分からないという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、世界で注目を集めるメタバースの仕組みやVRとの違い、ビジネスへの活用や今後の課題などについて徹底解説します。

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メタバースとは?

メタバースとは、「インターネットを通じて活用できる仮想空間」のことです。初めて登場したのは1992年のことで、英語の「Meta」と「Universe」を掛け合わせた造語として誕生しました。

「メタバース」という概念自体がまだ比較的新しい考え方であることから、定義に曖昧な部分があり、現状ではメタバースという言葉が明確になにかひとつの意味を持っているわけではありません。ただし、市場においてはVRゴーグルなどを使用して体験できる「仮想的な3D空間」のことを、「メタバース」と表現するケースが比較的多いといえます。

2022年現在、世界の大手企業がメタバースの発展に着目しており、著名SNSの「Facebook」を運営しているMeta社は、メタバースへの投資を公表するとともに前社名の「Facebook」から「Meta」への社名変更を行っているほどです。

メタバースの仕組み|メタバースを支える技術について

メタバースを支えている技術は、主に大量のデバイスを同時接続可能にするとともに、仮想空間上で安全性の高いデジタル資産の取引を実現する「ブロックチェーン技術」と、仮想空間上での遅延を押さえてリアルタイムな動作を可能にする「NFT」の2つです。
ブロックチェーンとNFTの技術の発展なくして、メタバースの隆盛はありませんでした。ここでは、ブロックチェーンとNFTが、それぞれどのような技術なのかについて解説します。

・ブロックチェーン

ブロックチェーンとは、仮想空間上の取引を鎖状に連ねて記録する技術のことです。高度な暗号化が施されており、過去から現在までの取引を一本の鎖のように記録することで、正確かつ安全性の高いデジタル資産の売買を実現できます。

ブロックチェーン

ブロックチェーンは元々、仮想通貨の一種である「ビットコイン」の根幹となる技術として開発されており、インターネット上の取引を監視することに長けています。

メタバースでは、仮想空間上に入り込んだユーザー同士が接触し、デジタル資産の売買を行って仮想空間上で所有するケースがよくあります。そこでブロックチェーンを活用して取引履歴を記録し、該当のデジタル資産の改ざんやデータ破壊を防止します。

・NFT

ブロックチェーンを利用したデジタル資産の売買によって登場したのが、「NFT」と呼ばれる技術です。NFTは「Non-Fungible Token」の略称であり、日本語で「非代替性トークン」を意味します。

NFTを活用することで、仮想空間上にたったひとつの「コピー不可能な唯一無二の暗号資産」を確立できるようになり、デジタル資産の所有者を証明できるようになりました。つまり、「音楽やアートなどのデジタル資産を誰が持っているか」を明らかにするための技術がNFTであるといえます。

NFT

NFTが登場する以前は、インターネット上のデータに所有者を定義することはできませんでした。デジタルデータは簡単にコピーができるため、どのデータが原本であるか証明が難しかったのです。しかし、NFT技術が登場してからはデータの原本がどれで、現在の所有者が誰なのかを明確に定義できるようになりました。

メタバースとVRの違い

メタバースとVRはよく混同されがちですが、厳密には違いがあります。メタバースは「仮想空間そのもの」を指しており、VRは「仮想空間を体験するための技術」を表します。メタバースはネットワークを介して用意された仮想空間で、メタバースに入ったユーザーは自分の姿となる「アバター」を作成して行動できます。

一方のVRは、「現実世界で起こっていない体験を事実のように体感させる」ための技術です。VR技術を活用すると、本来はそこに存在しない仮想空間をユーザーが実際に歩いているかのように感じさせたり、音楽を聴かせたりすることが可能になります。

現在のところ、VRを体験するための手段は「VRゴーグル」が用いられるのが一般的です。視界を覆うゴーグルをユーザーに装着し、そのゴーグル上に現実世界とは異なる映像を映し出すことで、仮想空間を体験できます。

メタバースとWeb3の違い

前述のように、メタバースは「仮想空間そのもの」を指す言葉として用いられるケースが多いといえます。一方の「Web3」は、「Web2.0」から続くインターネットの新しい形を指す言葉です。

Web3は、「ブロックチェーンを活用した分散的なインターネット」と表現されます。従来のWeb2.0においては、世界の大手グローバル企業がインターネット上の利益の大半を独占していました。しかし、Web3ではブロックチェーン技術を活用してデータを分散的に管理することで、大手企業による中央集権的な管理から抜け出すことが期待されています。

メタバースの歴史|早すぎたメタバース「Second Life」とは?

メタバースは近年大きく話題になっている概念ですが、実はメタバースを活用したサービスは20年近く前から登場しています。メタバースの先駆けとして知られる「Second Life」は2003年リリースで、日本でも2006年ごろに当時のインターネット愛好家たちによって話題になりました。

ユーザーが現実とは異なる仮想空間でアバターを活用して生活できるSecond Lifeは、まさにメタバースそのものといえるでしょう。このように、ユーザー同士がインターネットを通じた仮想空間上でコミュニケーションをはかったり、デジタル資産の売買を行ったりする技術自体はそれほど新しいものではありません。

しかし、当時は前述のブロックチェーン技術やNFT技術が十分に成熟しておらず、メタバースに対する理解も不十分だったため、「早すぎたメタバース」などと称されることもありました。とはいえSecond Life自体はサービスを継続しており、現在でも仮想空間上での新しい生活を楽しむことができます。

身近なメタバースの例

近年、世界で流行している身近なメタバースの一例として、米国のEpic Gamesが開発を手掛ける「フォートナイト」が挙げられます。フォートナイトは複数のゲームスタイルを楽しめるオンラインバトルロイヤルゲームですが、ゲーム内の一部機能である「パーティーロイヤル」と呼ばれるモードにメタバースが実装されています。

パーティーロイヤルではフォートナイトの本来の趣旨であるバトルロイヤルゲームを行わず、ユーザー同士がアバターを設定してコミュニケーションを取ったり、ミニゲームで一緒に遊んだりすることが可能です。

仮想空間ならではのイベントも積極的に行われており、日本においても著名なアーティストによるバーチャルライブが何度か催されました。アーティストの米津玄師氏が2020年に、星野源氏が2021年に、それぞれフォートナイトのパーティーロイヤル内に登場して、ライブパフォーマンスを行っています。

メタバースのビジネスへの応用例

メタバースのビジネスへの応用例として、下記のようなものが挙げられます。

  • Horizon Workrooms
  • REV WORLDS
  • Cluster

Horizon Workroomsはメタバースによる仮想空間を利用した会議システムです。REV WORLDSは仮想都市コミュニケーションプラットフォームであり、自分のアバターを作って非現実の都市を歩き回れます。Clusterは日本発のメタバースプラットフォームです。

ここでは、それぞれのサービスの特徴について解説します。

メタバース会議システム「Horizon Workrooms」

Horizon Workroomsは、Meta社(元Facebook社)が運営している、メタバースによる仮想空間を利用した会議システムです。自分専用のアバターを設定した状態で仮想空間に入り、ユーザー同士がその場に同席しているかのような体験の中で会議を行えます。

会議中は仮想空間上に用意されているホワイトボードにアイディアをペンで書きこんだり、現実で所有している自分のパソコンをHorizon Workroomsと同期してデータ入力したりする機能が備わっています。

仮想空間上でペンを使って書き留めたメモは、仮想空間に戻ればいつでも見返すことができます。ホワイトボードだけでなく、デスクなどの垂直な空間にも書き込み可能です。

画面越しのWeb会議システムとは異なり、実際にその場に参加者が集っているかのような感覚で会議を行えるため、よりリアリティのある雰囲気の中で議論を交わせます。

仮想都市コミュニケーションプラットフォーム「REV WORLDS」

REV WORLDSは、三越伊勢丹ホールディングスが提供している、仮想都市のコミュニケーションプラットフォームです。iOSとAndroidでダウンロードが可能で、ユーザーはアバターを作成して仮想空間上を歩き回り、他のユーザーとコミュニケーションを取ることができます。

三越伊勢丹ホールディングスが提供していることから「仮想伊勢丹新宿店」が仮想空間内に設置されており、ユーザーはショップを歩き回って商品を購入できます。他にも日比谷花壇や東京ドームなどとコラボし、仮想的なショップやドームが作り込まれているのが特徴です。

お笑い芸人のバーチャルショップを開設したり、仮想ミュージアムにアート展示を行ってユーザーが自由に鑑賞できたりと、仮想空間の中では趣向を凝らしたさまざまなイベントを楽しめます。現在はマイルーム機能の開発を進めており、ユーザーにとってさらに便利かつコミュニケーションを活性化させるための取り組みを続けています。

日本発のメタバースプラットフォーム「cluster」

clusterは、スマートフォンとVRの両方から仮想空間を楽しめるメタバースプラットフォームです。クラスター株式会社という日本の企業が開発しており、現実とは異なるもうひとつの空間を、アプリやVRゴーグルなどを通じて体験できます。

clusterは創造性が高く、「Creator Kit」という機能を活用することによってユーザーが思うままの世界を自由に作成できるのが特徴です。ユーザーが独自に作成した世界が日々増え続けていくため、リアルタイムで仮想空間が広がっていき、世界の変化を楽しみながら仮想空間を歩き回れます。

仮想空間上ではユーザーが企画したさまざまなイベントが日夜開催されており、大規模なお祭りのようなイベントだけでなく、「スクワットするだけのイベント」のような日常に紐づいた交流イベントも数多く見受けられます。

Clusterを通じてアクセスできる有名なバーチャル空間のひとつに、「もうひとつの渋谷」をコンセプトにした「バーチャル渋谷」があります。

メタバースをビジネスに活用するメリット

メタバースをビジネスに活用することで、これまでは物理的に離れていた企業同士が、仮想空間を通じてつながるチャンスを拡げられます。Web会議のようにモニターを隔ててつながるのではなく、仮想空間という同じ世界の中でフラットにコミュニケーションをはかれるため、表情や身振り手振りを交えた新たな商談に発展することもあるでしょう。

また、仮想空間上にバーチャル店舗を設置して、リアル店舗で扱っている商品をオンライン販売するビジネスも広がっていくと考えられます。前述の三越伊勢丹ホールディングスが提供する「REV WORLDS」のように、メタバースを利用したビジネスは既に一部で登場しています。

他にも、NFT技術を利用して個人や企業がアートや音楽を売買するビジネスが生まれ始めています。メタバースを活用したデジタル資産の売買で生計を立てる個人事業主が登場するなど、これまでにはない新しい生き方を生み出しています。

メタバースの課題とは?今後の展開について

メタバースはさまざまな可能性に満ちている技術ですが、まだ本格的に活用され始めたばかりの新しい技術であることから、法律やルール整備が追いついていない点が課題として挙げられます。

現在の法律においては、モノの所有権は「実在するもの」を想定しています。つまりメタバース内のデジタル資産の売買のような取引が想定されていないため、仮想空間上における取引でトラブルが起こった場合に、十分な対処が行えないおそれがあります。

例えば支払いを行ったにもかかわらず商品が引き渡されないなどのトラブルがあっても、法律に則った対処は難しいのが現状です。

メタバースの課題

このことから、今後は仮想空間上の法整備がメタバース発展の課題になると考えられます。

他にも、仮想空間を体験するためのVR機器の普及や、仮想空間に依存してしまい現実でコミュニケーションが不足する懸念なども、併せて考えていく必要があるといえるでしょう。

メタバース まとめ

近年大きく発展を遂げつつあるメタバースは、国内外でさまざまなプラットフォームが提供されるようになりました。ユーザーが思い思いのアバターを作成して仮想空間上でコミュニケーションを取り、時にはブロックチェーンやNFT技術を駆使してデジタル資産の売買も楽しめるようになっています。

今後はメタバースがビジネスにも積極的に用いられるようになり、物理的に離れた企業同士などの新たな商談の機会が増える「場」として活用されていくでしょう。仮想空間上の法整備が急がれるなどのいくつかの懸念点はありますが、メタバースならではの新たなビジネスも登場し、新たな生活スタイルを切り開いていくと考えられます。

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AIsmiley編集部

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