ChatGPTの深津式プロンプトとは?特徴から例文まで詳しく解説
最終更新日:2024/10/29
AIを業務で効率的に活用するためにプロンプトについて学び始めたら、深津式プロンプトを知ったけれど、具体的にどう使ったらよいかイメージが湧かずに困っている方はいませんか?
ChatGPTをはじめとした生成AIは、国・地方自治体・企業などにおいて少しずつガイドラインが整えられ普及しつつありますが、まだ自在に求める回答を得られる人は多くはありません。
この記事では、生成AIで求める回答を導き出したい人が知っておくと役出つ、深津式プロンプトの特徴から使うメリットまで詳しく解説します。
プロンプトとは
プロンプトとは、生成AIに対して与える指示や命令のことを指し、ユーザーが生成AIに何をしてほしいかという意図を正確に伝えるのを目的として作成されます。
プロンプトの内容に応じて生成AIの回答の質や方向性が変化するため、ユーザーが期待する回答を得るために得るためにプロンプトの果たす役割は非常に重要です。
深津式プロンプトとは
画像出典:note note株式会社「ChatGPT、実際にどう使う?noteで使われているプロンプトを大公開!」
深津式プロンプトとは、ChatGPTを使う時、命令・制約・入力・出力を明確にすることでより精度の高い出力を可能にするプロンプトのことです。2023年初頭に、note株式会社のCXOである深津貴之氏によって開発されました。
noteのYoutubeチャンネルで、深津氏はChatGPTに以下のような特徴があると解説しています。
- ユーザーの入力に基づいて次にどの単語やフレーズが来る確率が高いかを計算し、それに基づいて文章を生成する
- 世の中に出回っている情報を学習している(2024年9月現在は2023年4月までの情報を学習している)
- 回答を間違えることもある
この特徴を踏まえてChatGPTから自分が望む回答を生成できるように作られたのが、深津式プロンプトだと言えます。
参考:Youtubeチャンネルnote「あなたの仕事が劇的に変わる!?ChatGPT使いこなし最前線」
ChatGPTにおける深津式プロンプトの特徴
深津式プロンプトは「命令書」「制約条件」「入力文」「出力文」の4つの要素で構成されており、それぞれ次のような役割を持ちます。
要素 | 役割 |
命令書 | ・ChatGPTの役割を明確化する
・生成の形式やトーンの指定をする(箇条書きや簡潔な回答など) |
制約条件 | ・回答の方向性を制限する |
入力文 | ・具体的で焦点を絞った質問をする
・文脈や背景の提供をする |
それぞれの要素がChatGPTへの指示内で果たす役割が明確なので、プロンプトを使うユーザーが指示を出しやすく、また内容のアレンジがしやすいという特徴があります。
深津式プロンプト2とは
画像出典:note sofurin56「(自分用)ChatGPT プロンプトテンプレート」
深津式プロンプト2は、深津式プロンプトに逆質問を取り入れることで、よりChatGPTに精度の高い出力ができるようにしたバージョンです。
具体的には、深津式プロンプトの最後に「このタスクで最高の結果を出すために、追加の情報が必要な場合は質問をしてください」という一文が追加されます。
この一文があることで、ChatGPTは必要あれば追加情報を入力してほしいとリクエストできるようになるため、その追加情報の内容も含めてより精度の高い回答を生成できるようになるのです。
深津式プロンプト2は、深津式プロンプトを自在に使いこなせるようになった人が、もう少し出力の精度を高めたい場合に使うのがおすすめです。
深津式プロンプトをChatGPTで使うメリット
深津式プロンプトを使うメリットは以下の通りです。
- 構造が明確なため初心者でも扱いやすい
- 柔軟性が高くさまざまな文脈に対応できるため、さまざまなジャンルや用途で使える
- 求める回答を迅速に生成できる
- プロンプトエンジニアリングを身につけていない人でも、ChatGPTから適切な回答を得られる
- ChatGPTへの質問の方法を試行錯誤する時間が不要になる
- より複雑で高度なタスクをChatGPTに実行させられる
深津式プロンプトを使うことで、初心者でもChatGPTから適切な回答を得られるようになり、業務を大幅に効率化することが可能になります。
深津式プロンプトをChatGPTで使うコツ
深津式プロンプトを使うコツとして、以下の5つがあります。
- プロンプトを必要に応じて変更する
- 追加情報をChatGPTに逆質問する
- ChatGPTにレビューもしてもらう
- ChatGPTと対話する
- ChatGPTにフィードバックを行う
プロンプトを必要に応じて変更する
深津式プロンプトを使う時、プロンプトを必要に応じて変更するのが重要です。例えば、命令書の「プロの○○」や「最高の○○」の「○○」に入力する言葉は、出力したい内容に応じてより具体的な言葉を選ぶ必要があります。
簡潔でわかりやすく、目的に合った言葉選びをすることでChatGPTへの指示がより伝わりやすくなります。
追加情報をChatGPTに逆質問する
深津式プロンプトの使用に慣れてきたら、深津式プロンプト2の逆質問を積極的に取り入れます。聞かれた情報を追記し、その情報を取り入れるかどうかを指示することで、生成される回答の精度が上がっていきます。
ChatGPTにレビューもしてもらう
画像出典:「ChatGPT」
ChatGPTはアイデアを出すだけでなく、自分で考えたアイデアのレビューにも使えます。例えば、上記の内容を入力すると、SEOライターが記事内でSEO対策のアイデアを改善し、よりよ記事作成に活かすことができます。
ChatGPTと対話をする
ChatGPTとは対話をすることができるので、もし出力分の内容が複数あった場合、「出力分の回答が○から×まであったけれど、一番のおすすめを理由と一緒に教えてください。」と質問するのが良いです。
最適な1つの回答を見つけ出し、それを選択した理由もはっきりするため、深津式プロンプトで出力した回答からより精度の高いものを見つけ出し、根拠も強化できます。
ChatGPTにフィードバックを行う
ChatGPTも他のAIと同じくハルシネーションを起こす可能性があるため、その内容を指摘すると精度を高めることができます。ChatGPTの画面でも、回答を生成した後に「良い回答です」「良くない回答です」を選んで評価することができますが、以下のような指摘をしてみるのもおすすめです。
- 「これは本当?」「この部分は違うかもしれないので確認してみて」といった形でやり取りの中で確認を促す
- 異なる角度から違う質問をしてみて正確な情報が得られるか再確認する
- 他の信頼できる情報源からの情報を伝える
他人に対して間違いを指摘するのは失礼というマナー意識から、フィードバックしにくいと感じる人もいるかもしれませんが、AIにとっては精度を上げるために役立つ行為となるのを覚えておきましょう。
深津式プロンプトをChatGPTで試してみた
画像出典:「ChatGPT」
「ChatGPTにレビューしてもらう」で入力した深津式プロンプトに対する回答は上の画像のように生成されました。要素それぞれに対してさらに手法が付け足され、深みのある内容に変化しているのがわかります。
要素それぞれに対して再度対話を繰り返すと、さらに高精度の「文章中でのSEO対策」をまとめることができます。
深津式プロンプトの使い方の例
深津式プロンプトの使い方の例として、以下の5つを紹介します。
- メール作成に使った事例
- 算数の問題を作った事例
- 大学のレポートを作成した事例
- eスポーツの戦術分析をした事例
- アプリのUXデザインを分析した事例
メール作成に使った事例
画像出典:note note株式会社「ChatGPT、実際にどう使う?noteで使われているプロンプトを大公開!」
note株式会社では、メール作成に深津式プロンプトを活用しています。「内容」と「制約条件」さえ変更すれば、社内・外の両メールに使えるアイデアを素早く作成できるのがメリットです。
「制約条件」を送信先に対する配慮事故を忘れずに記載するのが重要なポイントなので、確認を怠らないようにしましょう。
参考:note note株式会社「ChatGPT、実際にどう使う?noteで使われているプロンプトを大公開!」
算数の問題を作った事例
画像出典:note スイートネイル「ChatGPTに夏休みの算数の宿題を出してもらう」
noteには、小学校1年生向けの算数の文章題作成例などもあります。上記のプロンプトをGPT3.5に入力したときには、「3つの数の計算であること」という条件を見落とした回答が生成されたそうですが、GPT-4oに入力すると「問題 太郎くんはおもちゃの車を3台持っていました。そこに友達が2台車を貸してくれましたが、後で1台返すことになりました。太郎くんが最後に持っている車の台数は何台でしょうか?」と生成されました。
GPT-4oでは入力内容にあった回答が生成されるので、算数の問題作成に深津式プロンプトは効果的であると言えます。
参考:note スイートネイル「ChatGPTに夏休みの算数の宿題を出してもらう」
大学のレポートを作成した事例
大学がChatGPTを使って生成したレポート提出に対して注意喚起をしている現状を鑑み、大学院生による上記のプロンプトで架空のレポートを作る実験が行われました。
ChatGPTはアイデアを出したり、言い回しの表現を考えたりする際には使える一方、単位がもらえるようなレポートは作成できないのではないかと予想されていました。そして、実際に生成してみたところ、以下のような不備が指摘されています。
- 参考文献の著者名が間違っている
- 引用した部分がどのページにあるのか記載がないため、本当に参照文献リストに載っている論文の内容がわからない
- 出力した文章の体裁は整っているものの、根拠が弱い
内容や形式の不備を全て修正する手間を考えると自分で作成した方が早いと結論づけられており、プロンプトを用いたからといって必ずしも求める回答が生成できないことがわかる事例だと言えます。
参考:note たか@ミニマルに生きたい大学院生「【今さら考察】ChatGPTでは、大学のレポートは書けない」
eスポーツの戦術分析をした事例
画像出典:note 鈴木香里「深津式プロンプト・システムでPUBG MOBILEのファイト構築、マッチ別で比較」
深津式プロンプトで、eスポーツの戦術分析をした事例もあります。GPT3.5の分析でも、指示した分析要素は網羅され、具体的なチーム名を挙げながら比較している点は評価されていますが、実際の戦術分析とのレベルとは程遠いため、これを実践に用いるのは難しいとされています。
生成AIの開発とプロンプトエンジニアリングの研究がさらに進めば、eスポーツの現場で生成AIが活躍する日も近いかもしれません。
参考:note 鈴木香里「深津式プロンプト・システムでPUBG MOBILEのファイト構築、マッチ別で比較」
アプリのUXデザインを分析した事例
画像出典:note ASTASTER inc. 「生成AIをつかったUXデザイン分析の活用方法(ChatGPT-4)」
株式会社アスタスタでは、生成AIの技術を用いて今までとは違った視点でのUXデザイン分析ができないか模索を続けています。実際に、アスタスタが開発している「コエカタ」のUXデザイン分析を、深津式プロンプトを用いて行いました。そして、プロンプトの内容をChatGPTに覚えてもらった上で、以下の内容で対話を続けました。
- ペルソナ設定をしてほしい
- ユーザーインタビューを行う際の質問を作ってほしい
- ユーザー(ペルソナ像)の視点で感情や行動を整理する共感マップを作ってほしい
- カスタマージャーニーマップを作成してほしい
- リーンキャンパスを作ってほしい
いずれの質問においても、そのままか少し手直しをすれば使えるレベルの出力がされました。
業務効率化にChatGPTがどのように活かせるかを考え、プロンプトをうまく使いこなすことで成功した事例だと言えます。
参考:note ASTASTER inc. 「生成AIをつかったUXデザイン分析の活用方法(ChatGPT-4)」
まとめ
深津式プロンプトとは、ChatGPTを使う時、命令・制約・入力・出力を明確にすることで、より精度の高い出力を可能にするプロンプトのことです。学問やビジネスなど、さまざまな分野で使い方の研究が続けられています。
以下から、ChatGPT連携サービスの比較と企業一覧をご覧いただけます。この記事も参考にして、さらに深津式プロンプトへの理解を深め、ご自身の業務にChatGPTを活かしてみてください。
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