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人手不足をカバー!AIを活用した橋梁点検システムとは?

最終更新日:2024/04/11

第3次AIブームと呼ばれている昨今では、さまざまな企業がAI・人工知能を導入することで業務効率化や生産性向上といった課題の解決へとつなげています。そしてそれは、インフラ点検の領域においても当てはまるものであり、AI活用によって橋梁点検をより効率的かつ高精度に進めていくという事例が増加しているのです。

では、具体的にどのような方法でAIを活用し、橋梁点検の効率化を実現しているのでしょうか。今回は、AIを活用した橋梁点検システムの仕組みやメリットなどを詳しくご紹介していきます。

NTTドコモと京都大学が共同開発した「橋梁劣化推定AI」

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(参照:報道発表資料 : (お知らせ)世界初、動画撮影で橋のたわみと車両重量をもとに劣化を推定する「橋梁劣化推定AI」を開発 | お知らせ | NTTドコモ)

これまでの橋梁点検では、経験を積んだ技術者が目視や打音などによって異常を確認するという方法が一般的となっていました。しかし、この方法は技術者の経験値や体調などで判断が異なってしまうケースも少なくないため、大きな課題となっていました。また、足場の設置にも多額の費用がかかってしまうため、決してコストパフォーマンスが良い方法ともいえないものだったのです。

ただ、NTTドコモと京都大学が2019年に共同開発した「橋梁劣化推定AI」によって、これらのハードルを解消できるようになりました。この「橋梁劣化推定AI」は、橋とその上を通行している車両を動画で撮影し、車両の重量を推測した上で、橋梁の複数のたわみから劣化度をAIで導き出すという仕組みのシステムです。

具体的には、一眼レフカメラによって撮影された動画を活用し、橋梁を通行する車両の重さと橋梁のたわみ、揺れといった変位を解析し、AIが橋梁の劣化度を予測するというもの。橋のたわみは車両が通行するだけでも発生するため、車両の重量を推測した上でたわみを解析することが、高い精度で予測するために重要なポイントだといいます。

ちなみにこの「橋梁劣化推定AI」は、2019年12月9日から2020年9月30日まで富山県の八尾大橋で実証実験が行われています。今後は定期点検やモニタリングなどによってさまざまな橋梁のデータを蓄積し、AIの精度を高めていくそうです。

そのAIの精度の高さにも期待が集まりますが、それ以上にAIの活用によって大幅な業務効率化を実現できるという点は、大きな注目が集まるポイントといえるのではないでしょうか。

 

5GとAIを組み合わせた橋梁点検システム

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(参照:5G と AI を活用した橋梁点検の実証実験に成功 〜橋梁の効率的な予防保全的維持管理の実現に貢献〜|金沢大学)

AIを活用した橋梁点検システムは「橋梁劣化推定AI」だけではありません。ドローンの販売などを手掛けている株式会社WorldLink & Companyは、金沢大学の研究グループと共同でAIを活用した橋梁点検システムを開発しています。

この橋梁点検システムの大きな特徴としては、AIだけでなく5Gも活用しているという点が挙げられるでしょう。近年は、橋梁の画像データを活用してAI分析する研究も進められていましたが、やはりこの方法では膨大な量の画像データを収集する必要があります。そのため、どうしてもインターネットを介した画像伝送に多くの時間を費やさなければならなかったわけです。

しかし、WorldLink & Companyと金沢大学の研究グループが共同開発した橋梁点検システムであれば、5Gが搭載されているため、膨大な量の画像データもよりスピーディーに伝送し、AI診断結果を出力できるようになったのです。

5Gを利用した場合、わざわざ橋梁の画像を持ち帰ってローカルサーバーに直接画像を取り込む必要もないため、現場で橋梁の状態を確認することができるようになりました。これは、AIと5Gを活用しているからこそ実現できる技術といえるでしょう。

ちなみに、この点検システムは「ドコモオープンイノベーションクラウド」に構築されているため、インターネットを介することなく、大容量のデータをよりスピーディーにドコモの通信網内のクラウド基盤へ伝送することができます。

2020年2月3日から2020年2月12日にかけて行われた実証実験では、超高解像度カメラによって撮影された橋梁の写真を5Gのプレサービス環境下でアップロードし、AIによる模擬点検を行ったところ、無事に成功を収めました。

 

日本ユニシスと日本海コンサルタントが共同開発した「Dr.Bridge」

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(参照:AI橋梁診断支援システム Dr.Bridge™ | アセットガーディアン【日本ユニシス】)

日本ユニシスと日本海コンサルタントは、橋梁のコンクリート部材の点検・診断を効率的に行える「Dr.Bridge」というシステムを2020年6月から提供開始しています。この「Dr.Bridge」の仕組みとしては、撮影した写真とともに、ひび割れ幅や欠損、鉄筋露出の有無といった情報を入力することで、AIの深層学習技術による判定を行えるというものです。

Dr.Bridgeで提供されるのは「基本診断サービス」と「簡易診断サービス」の2つで、それぞれの詳細は以下の通りです。

 

基本診断サービス

橋梁単位で業務、橋梁情報、点検写真などの登録や管理を行ったり、劣化要因のAI自動診断を行ったりします。また、診断結果の保存や出力、点検調書入力なども行い、定期点検業務を支援します。

 

簡易診断サービス

点検写真の登録、劣化要因および健全度をAIで自動診断し、診断結果を出力します。

従来、橋梁点検業務においては高度な知識が求められますが、これらのサービスを活用することで劣化要因と健全度の判定を自動化できるようになるため、経験の浅い若手技術者でも実施できる作業範囲を拡大することができるのです。

近年は、少子高齢化に伴い人手不足が深刻化しているため、多くの企業にとって人材育成が重要な課題となっているでしょう。そのような中で、AIの活用によって「若手人材が安心してチャレンジできる環境」を整えられるのは極めて大きなメリットといえるのではないでしょうか。

 

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AIsmiley編集部

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