野良RPAにしないために注意すべき点は?導入前に決めておくルール
最終更新日:2024/04/04
オフィスワークの効率化の切り札として注目を集めるロボティックプロセスオートメーション(RPA)。
既に、金融機関や保険会社、自治体、一般企業までさまざまな分野・業種で業務削減効果などの報告がなされています。しかし、RPAは導入したらミッションが完了するわけではありません。
今回は、RPAによる自動化を成功させるために注意すべき点についてまとめました。
RPAについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
RPAとは?導入によって期待できる6つ効果と自動化できる5つ業務
導入効果があるがゆえに陥りやすいRPAの罠
RPAの導入は、導入が目的なのではなく、RPAによって業務の効率化が図られ効果を出すことが目的です。重要なのは、導入することではなく継続利用して効果を出すことなのです。
RPAを導入する上で懸念されていることの1つに、「野良RPA」の発生があります。RPAは複雑なプログラミングなしに自動化ツールを作れることが特徴のひとつですが、簡単便利で導入効果が見込めるがゆえにそれぞれの業務担当者が使いやすいように作成した「自動化ツール」がオフィス内で繁殖しかねません。
そうした便利なツールが活躍しているうちはよいのですが、なんらかの理由(担当者の異動や退職、業務プロセスの変更など)でツールが使われなくなり、そのうちどこにどういったツールがあったのか誰もわからなくなる……といった状況に陥る可能性があります。
作成者の手を離れて自動化しつづける「野良RPA」の逆効果
昨今、企業のIT部門の課題として問題視されているものに「シャドーIT」の存在があります。これは、IT部門が把握していないモバイル端末やソフトウェアなどをユーザーが業務用端末にインストールしたり、業務ネットワークに接続したりすることで、セキュリティーに穴をあけてしまう懸念を指します。
「野良RPA」もこれと同様で、システム部門が把握していない自動化ツールが作られ、放置されることで、業務を脅かす危険があるのです。
作成した本人が退職や異動で既に業務から離れており、メンテナンスがされていないツールが自動化作業を行っているとしたら大変危険です。誰も動作を保証できませんし、メンテナンスがされていないことで、ある日誤作動を起こすかもしれません。
また、RPAが担う作業はある程度手順が決められた定型作業が多いとはいえ、何年も経つうちに業務プロセスや内容が変更されることもあるでしょう。
作成者の手を離れて自動化しつづける「野良RPA」はそうしたアップデートに対応できない可能性があります。もし、メンテナンス不可能なRPAを新たな業務プロセスに対応させるために人手を介さなくてはならず、作業工数が増える……といった逆効果を生み出す可能性さえあります。
日本の企業では、新たなツールを導入する際に、トップダウンで一斉に開始するのではなく、部署ごとチームごとでスモールスタートし、徐々に範囲を広げていくというケースが多々見られます。そうした場合、部署ごとや担当者個人がトライアル版のRPAツールを使って自動化プログラムを組んだりしていると、「野良RPA」が発生しやすくなるので注意が必要です。
(参照:ITmediaエンタープライズ せっかく作ったRPAが逆効果? 「野良ロボット」にご注意を)
野良RPAの「予防」と「監視」を
こうした問題を防ぐには、RPA導入の前に運用ルールを決めておく必要があります。つまり、野良RPAの「予防」と「監視」です。RPAの導入にあたって、どういった業務でどのように自動化して導入効果を出すかきちんとシステム部門と現場が要件定義を行うほか、各部署に担当者を配置してロボットの変更があった場合はシステム部門に通知する、といった管理体制の構築が必要です。
冒頭でも述べた通りRPAの導入は、導入することが目的ではありません。RPAの導入効果によるオフィス業務の効率化は重要ではありますが、同時に継続して利用するための人材育成と管理体制の構築もセットで行わなくてはならないのです。野良RPAにはご用心を。
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