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生成AI社会実装に向けた最新成果とは―GENIAC第2期成果報告会レポート

最終更新日:2025/06/11

GENIAC 第2期成果報告会レポート

日本の生成AI開発力を底上げする取り組みとして注目されている「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」の第2期成果報告会が開催されました。

GENIACは、経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2024年2月に立ち上げた国内の生成AI開発力強化プロジェクトです。急速に進化する生成AI技術を、単なる利用にとどまらず日本国内でも開発・活用できる基盤を整えるべく、コア技術開発、データ利活用、国内外のネットワーク形成など、幅広い支援を展開しています。

第2期成果報告会では、採択企業による最新の成果発表に加え、今後のAI活用の展望についても共有されました。本記事では、オープニング挨拶の内容や発表事例のハイライトをレポートします。

「単なる利用ではなく、自ら作り出す力を」日本の生成AI開発力強化を訴求

会の冒頭では、経済産業省 情報処理基盤産業室長の渡辺 琢也氏が登壇。生成AIの重要性と日本国内における開発力強化の意義について語りました。

経済産業省 情報処理基盤産業室長 渡辺 琢也氏

渡辺氏は、生成AIはこれから国民生活や経済活動のあらゆる場面で基盤となる技術であり、日本としては、単に利用するだけでなく、自ら開発を進め社会実装につなげていくことが不可欠だと強調しました。

GENIACは、生成AIの基盤モデル開発支援、データ活用促進、ナレッジ共有などを柱とし、技術と社会実装の両輪で取り組んでいます。また、米国視察やナレッジシェアイベントなどの活動も紹介し、官民一体となって生成AIの開発と社会実装を進めている現状を報告しました。

第2期では、より社会実装を意識したプロジェクトを優先的に採択している点にも触れ、「社会実装を進め、経済効果を生み出し、そして民間でお金が回る仕組みをつくることが非常に重要だ」と語りました。

さらに今後の取り組みとして、国内外のエコシステム形成の重要性にも言及。「データを中心としたエコシステムを形成し、質・量ともに拡大させていくことで、AI利活用の幅を広げていきたい」と意気込みを示しました。

また、「トップエンジニア育成の強化」や「海外展開、特にアジア太平洋地域との協力推進」の必要性を挙げ、日本が国際的に存在感を高めるための取り組みに力を入れていく考えを示しました。

最後に渡辺氏は、成果報告会の目的について「本日は採択企業の成果を広く公開し、生成AI分野のさらなる発展につなげたい」と述べ、と述べ、登壇企業のプレゼンテーションへの期待感を示して挨拶を締めくくりました。

社会実装へ向けた多彩な挑戦──採択企業が語る最新の成果と展望

第2期成果報告会では、全19社の採択企業のプレゼンテーションが行われ、技術的な成果や今後の展望など発表されました。

1. Turing株式会社
2. ウーブン・バイ・トヨタ株式会社
3. 株式会社データグリッド
4. フューチャー株式会社
5. 株式会社ABEJA
6. 株式会社リコー
7. AI inside株式会社
8. ストックマーク株式会社
9. 株式会社Preferred Elements
10. 株式会社Kotoba Technologies Japan
11. カラクリ株式会社
12. AiHUB株式会社
13. 株式会社AIdeaLab
14. 株式会社Ubitus/株式会社Deepreneur
15. NABLAS株式会社
16. 国立研究開発法人海洋研究開発機構
17. 株式会社EQUES
18. 株式会社ヒューマノーム
19. SyntheticGestalt株式会社

今回のレポートでは全19社の内、4社をピックアップして紹介します。

Turing株式会社

Turing株式会社は、「完全自動運転」の実現を目指す企業です。GENIACにおける成果として、日本語に最適化したマルチモーダル視覚言語モデルを開発。大規模な日本語画像・テキストデータを用いて高精度なモデル構築に成功しました。

また、東京都内で約3,500時間分の交通・運転データを取得し、視覚と言語のマルチモーダルな学習を実施。シミュレーター上では、車両の正確な加減速、車線変更、交差点進入、追従走行など高度な運転挙動を再現。iOSアプリへの軽量実装も実現しており、実用性の高い運用が可能な段階に到達しています。

次のフェーズとして、開発した基盤モデルを実車両に搭載し、リアル環境での走行実証を進める予定です。リアルタイム性や安全性、計算リソースの最適化といった実運用面での課題解決を目指しています。また、国内外のパートナーとの連携強化を図り、自動運転分野における生成AI活用の社会実装を加速させていくとしています。

AI inside株式会社

AI inside株式会社は、多様な帳票のデータ入力業務を自動化するAIソリューションを展開。GENIACの取り組みでは、大規模言語モデル(LLM)と小型モデル(SLM)を組み合わせた段階構成型のアーキテクチャを採用し、精度・スピード・コストという3つの課題を同時に解決しました。

LLMにより高精度な読み取り性能を実現しつつ、SLMを活用することで高速処理と低コスト化を実現。50種類の帳票フォーマットに対して平均95%という世界最高水準の読み取り精度を達成しました。さらに、読み取りコストは90%以上削減、処理スピードも大幅に向上しています。特に非定型帳票にも高い汎用性を発揮し、実運用では27種類の帳票において人手確認が不要な品質レベルに達していると発表しました。

今後は、残る帳票フォーマットの精度向上と、明細項目への対応強化に取り組む予定です。加えて、サービスに蓄積される大量の利用データを活用し、モデルの自己学習を進めることでさらなる性能向上を目指しています。

株式会社Preferred Elements

株式会社Preferred Elementsは、純国産のフルスクラッチ大規模言語モデル「PLaMo」の開発を行なっています。第2期採択では、モデル性能密度を10倍以上に改善。高性能化と高効率化を両立し、軽量ながらもフロンティアモデルに匹敵する性能を実現しています。

API提供やオンプレミス環境への展開が可能で、地方自治体や金融、医療、製造業など多様な業界・分野での活用が広がっており、特に地方自治体ではすでに50以上の自治体が活用しています。

今後は、さらに小型でエッジデバイスにも対応可能なモデルの開発を進めるほか、特化型領域向けモデルの展開を強化していきます。また、開発者コミュニティ支援の一環として、モデルのライセンス設計や利用促進キャンペーンも実施予定。日本国内でのLLM活用の普及と国際競争力の向上を目指していくと述べました。

株式会社AIdeaLab

筑波大学のAI研究室から始まったAIスタートアップ企業です。競争力のある生成AI基盤モデルの開発をテーマに、アニメ・イラストに特化した「動画生成AI基盤モデルと動画生成AIプラットフォームの開発」を行いました。

アニメは日本が世界的に強みを持つコンテンツ分野でありながら、生産現場の多くが依然として高い手作業依存度にあるため、AI活用による制作支援が強く求められています。

GENIACの取り組みでは、日本のアニメ特有の絵柄・動きに最適化された動画生成AI基盤モデルを構築。画像1枚やプロンプト入力から自然なアニメ動画を生成可能とし、既存の世界最先端モデルと比較して、日本アニメ領域で最大70%の性能優位を実現しています。

また、β版プラットフォームを早期に公開し、アニメ制作現場やクリエイター向けに展開。アニメ制作の工程負荷軽減や、表現の幅を広げるAIツールとして活用が進んでいます。日本発のアニメ生成AIとして、国内外の市場での事業拡大と、AI技術によるアニメ産業の貢献が期待されます。

技術から社会実装へ──進む実用化と今後の期待

GENIAC第2期では、日本発の生成AI開発力強化という目的のもと、社会実装に直結する成果が着実に生まれつつあることが示されました。採択企業による発表からは、国内の産業ニーズに即したAI開発と実用化が進展している様子が明確に伝わってきました。

また、各社とも軽量化や高速化、コスト削減といった実運用面での工夫を重視しており、生成AI技術が「研究用途」から「実用フェーズ」に大きく進化していることが感じられました。

日本の生成AI開発力と競争力を高め、持続的な成長につなげていくためには、今後も官民の連携と継続的な支援が不可欠です。GENIACの取り組みがさらに深化し、日本発の生成AI活用が世界に広がっていくことが期待されます。

AIsmiley編集部

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