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日本オラクル、2026年度事業戦略を発表。クラウドリフトとAIデータプラットフォームで業務変革を加速

最終更新日:2025/07/10

日本オラクル 26年度事業戦略説明会

2025年7月8日、日本オラクル株式会社は2026年度の事業戦略説明会を開催。取締役 執行役 社長の三澤 智光氏が登壇し、今後の成長戦略と注力領域を発表しました。説明会では、2025年度に引き続き「日本のためのクラウドを提供すること」と「顧客のためのAIを推進すること」の2つを最重要テーマに据え、基幹システムのモダナイゼーションとAIエージェントを活用した業務革新を一層強化する方針を明らかにしました。

日本オラクル株式会社 取締役 執行役 社長 三澤 智光氏

説明会ではまず、オラクル・コーポレーション全体の成長状況が共有されました。2025年度の年間売上は前年度比で8%増加し、契約済み受注残(RPO)も大幅に伸長しています。クラウド事業が引き続き業績の成長をけん引している状況です。

日本オラクルにおいても通期で過去最高の売上を記録し、14四半期連続で最高益を更新しました。これまでの取り組みが着実に成果を上げたことで、次のステージとしてクラウドとAIをより深く結び付け、企業の競争力強化に貢献していく計画です。

日本のためのクラウドを提供。ミッションクリティカル業務の変革を後押し

2026年度の重点施策の一つが「日本のためのクラウドの提供」です。これは、業種や企業規模を問わず、基幹業務の中枢に関わるシステムを段階的にクラウドへ移行し、運用の柔軟性や効率性を高める取り組みです。

オラクルはこれまで、ミッションクリティカルな基幹システムをクラウドに移行する「クラウドリフト」を中心に実績を積み上げてきました。全面的な再構築に頼るのではなく、既存システムの現行保証を維持しつつ段階的にモダナイゼーションを進められる点が特徴です。

2025年度は、ERPなど基幹システムをクラウドネイティブなSaaSに移行する事例を金融分野をはじめ、これまで競合ベンダーが強みを持っていた商社業界などにも拡大しました。導入事例として挙げたホンダの例では、従来比2~3%のコスト削減を達成し、年間で200億円規模の削減効果が視野に入っています。

こうした知見は、競合ベンダーからの置き換えを含め、既存資産の活用を前提に導入ハードルを下げる戦略として注目されています。2026年度はこのノウハウを全国のパートナー企業に展開し、より多くの企業が安心してクラウド移行に踏み切れる支援体制を強化する計画です。

OCIとAlloyで国内専用クラウドを強化

「日本のためのクラウド」の象徴的な取り組みとして、オラクルは国内でのソブリンクラウドの体制整備に注力しています。クラウドインフラの「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」は、日本国内10リージョンでサービスを展開し、企業や自治体のデータ主権・運用主権のニーズに応えています。

OCIの運用をパートナー企業が担う「Oracle Alloy」には、富士通、NTT、野村総合研究所が加わっています。また、これらのAlloyパートナーが日本国内でデータ主権や運用主権を持つソブリンクラウドを提供できるよう、オラクルは24時間365日体制でクラウド運用とサポートを行う「Japan Operation Center(JOC)」の稼働をスタートしました。

さらに2026年度では、ガバメントクラウドへの移行を支援する取り組みもさらに進めていき、公共分野のデジタル変革も後押しする方針です。

顧客のためのAIを推進。AIエージェントで業務革新

三澤氏はもう1つの重点施策として「顧客のためのAIを推進すること」を挙げました。AI分野では、生成AIとその進化形であるAIエージェントに期待が寄せられています。「生成AIの登場で、ITシステムのUIは自然言語に変わり、ビジネスロジックもハードコードからAIに置き換わっていく。AIを支えるデータプラットフォームの重要性はさらに増している」と強調しました。

従来の多くのシステムでは、データは外付けのAIストアに送られ、コンテキストが切り離されてしまうため、リアルタイム性や精度の課題が残っています。オラクルの「Oracle Fusion Cloud Applications」や「Oracle NetSuite」は、データとコンテキストを一元管理する「シングルデータモデル」を採用し、リアルタイムで高精度なAIエージェントの活用を可能にしています。

三井住友フィナンシャルグループでは、「Oracle Fusion Cloud Applications」の導入により経理業務の標準化と自動化を推進し、リアルタイムで経営判断できる体制を構築しています。

オラクルは、AIをビジネスの中核に据えた「エージェンティックAI」の普及に注力する方針で、AIの実装を支えるデータプラットフォームは、今後さらに重要性を増すとしています。

また、AIを支える基盤として「Oracle Autonomous Data Platform」を構築し、AI-Readyなデータプラットフォームの展開を進めています。このプラットフォームでは、コメント機能やアノテーションでコンテキストを表現し、マルチモーダルデータへの対応を可能にすることで、AIエージェントが大量トランザクションを生む中でもスケーラブルに運用できる特長があります。

三澤氏は「高度なセキュリティとスケーラビリティを兼ね備えた基盤は、オラクルにしかできない」と述べており、OCIのGPUによるAI基盤、Fusion CloudやNetSuiteに組み込まれたAIエージェント、AI-Readyなデータプラットフォームを一体的に提供できることが、オラクルの大きな強みとして主張しました。

パートナーとの共創でモダナイゼーションを拡大

日本オラクルは今後、基幹システムのモダナイゼーションやAI活用を自社だけでなくパートナーと共創しながら進めていく方針です。蓄積したノウハウを積極的に共有することで、日本オラクルが培ったミッションクリティカルシステムのクラウドリフトやモダナイゼーションの知見をパートナー企業に広げることを重視しています。

三澤氏は「クラウド移行やAI活用のハードルを下げ、現実的かつ安全な変革を支援することが私たちの使命だ」と述べました。こうした取り組みは、業種を超えて企業が次のステージに進むための強力な後押しとなるはずです。

今後の展望と持続的な成長への意欲

本説明会では、日本オラクルが掲げる「日本のためのクラウド」と「顧客のためのAI」という2つのビジョンのもと、基幹業務のモダナイゼーションとAI-Readyなプラットフォームを通じて、企業価値を高める戦略が示されました。

特に、2025年度から継続して取り組んできたクラウドリフトの知見をパートナー企業と共有し、安心かつ持続可能なクラウド移行を全国に拡大する方針が改めて確認されました。また、生成AIやAIエージェントといった先進的な技術をビジネスの現場で活かすために、シングルデータモデルを核とする高度なデータプラットフォームの必要性が強調され、オラクルが持つ豊富な経験と基盤がその実現を後押しすることが期待されています。

今後は、パートナーとの共創をさらに深め、クラウドとAIを一体化した業務基盤の提供を通じて、日本企業のDXと競争力強化を支援し、持続的な成長に貢献していく考えです。

AIsmiley編集部

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