国内初、岡山大学病院と両備システムズが胆道がんをAIで診断支援するシステムを開発
最終更新日:2024/08/01
岡山大学病院研究グループは、両備システムズと共同で胆道がんをAIで診断するシステムを開発しました。胆道がんの病変範囲が明瞭化され、最適な術式を導き出します。
このニュースのポイント
- 岡山大学病院研究グループと両備システムズが、胆道がんを適切に診断するAIシステムを共同開発
- 内視鏡検査において、AIによる疑似色素散布画像変換技術を活用。病変部の境界が明瞭化
- 研究の結果、病変の範囲診断に有用であることが示された
国立大学法人岡山大学 岡山大学病院 消化器内科の佐藤 亮介医員、光学医療診療部 松本 和幸講師、同大学術研究院医歯薬学域の河原 祥朗教授、大塚 基之教授らの研究グループは、胆道がんの内視鏡的範囲診断の精度向上に役立つ技術を、株式会社両備システムズと共同開発しました。診断を支援する医療AIで胆道がんが対象となるのは国内初です。
胆道がんは粘膜を表層進展することが大きな特徴で、CTやMRI等の従来の画像検査では、進展度の十分な評価が困難な場合があります。これまで、直接胆管内を観察可能な経口胆道鏡検査(POCS)を用いて色光観察や狭帯域光観察が行われてきましたが、病変範囲の正確な診断は容易ではありませんでした。
本研究では、POCSにおいて「Cycle GAN」と呼ばれるAIを用いた画像変換技術を使用。白色光画像から疑似的な色素散布画像への変換を行い、AIの学習には消化管内視鏡で得られた白色光画像と実際の色素散布画像のデータセットを用いました。病変範囲が明瞭化されることで、適切な術式決定ができ、胆道がんの予後延長に寄与することが期待されます。
具体的には、40名の胆道がん患者に対してPOCSを行い、白色光画像、狭帯域光画像、疑似色素散布画像を記録。3名の内視鏡専門医が、各画像の表面構造、表面微小血管、病変境界の視認性を評価したところ、AIによる疑似色素散布画像は白色光画像、狭帯域光画像と比べ、表面構造と病変境界の視認性が有意に優れており、病変の範囲診断に有用であることが示されました。
今後は、より多数例での検証を行うとともに、AIによるリアルタイム診断の開発や良悪性診断プログラムの開発なども視野に入れて研究を進めていく予定です。また、他部位の疾患についても製品化に向けた研究を推進しており、大腸や膵臓分野でのAI画像診断支援や、内視鏡染色検査でのAI技術活用を進め社会実装化を目指します。
出典:両備システムズ
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