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NTT西日本、音声AI事業「VOICENCE」を始動。実演家の声の権利を守り、健全な「音声IP」活用へ

最終更新日:2025/10/29

NTT西日本 VOICENCE事業開始

NTT西日本株式会社は、声優・俳優・アーティスト・芸人などの実演家の声を守り、声の価値を高める音声AI事業「VOICENCE(ヴォイセンス)」を2025年10月27日(月)より開始したことを発表しました。

近年、生成AIの普及に伴い、声の無断利用やフェイク音声の拡大が社会問題化しています。しかし、日本では肖像権やパブリシティ系の一部でしか対応できず、「声の権利」を直接保護する規定は存在しません。

音声AI事業「VOICENCE」発表会 supported by WITH HARAJYUKU

こうした状況下で、エンターテイメント業界では「声を守りながら活用する仕組み」を求める声が急速に高まっています。

NTT西日本は、この課題を事業機会と捉え新規事業「VOICENCE」始動を発表しました。

「VOICENCE」発表会

NTT株式会社 VOICENCEカンパニー カンパニー長/CEO 花城 高志 氏

「VOICENCE」は、声の権利を守る「License(ライセンス)」と声の本質的な価値「Essence(本質)」を、声=Voiceに宿しました。

「VOICENCE」は、NTT人間情報研究所の音声処理技術を活用し、テキスト入力により実演家の声色のまま、AI音声合成および多言語変換を行います。

「VOICENCE」発表会

「音声IP」をNTT西日本が独自開発したトラスト技術を活用してライツマネジメントを行うとともに、企業のブランディングやプロモーション、観光向けディスティネーションコンテンツ、海外ファン向け多言語配信など、多彩な音声コンテンツおよびソリューションの企画・制作・運用までを一貫してプロデュ―スします。

本事業は、AI合成音声と独自の権利保護技術を組み合わせ「実演家から提供された音源データ」「それを学習させ生成したAIモデル」「そこから作成したAI音声およびコンテンツ」といった音声に関連する知的財産を「音声IP」として保管・管理するプラットフォームを構築しました。

これにより、実演家の声を守ると同時に声を正しく活用し、経済・社会に新たな価値をもたらす正規ライセンス市場を整備することで、企業やクリエイターによる健全な「音声IP」の活用を促進します。

「音声IPライツマネジメント機能」では、「実演家に正式に許諾された公認AI」の真正性証明と契約に紐づく用途証明のデータが付与された「音声IP」を安心して運用できる仕組みを提供。実演家の声のデジタル資産家を促すことで、移動に制限されない持続的な収入源の確保と、ファンとの接点強化を支援します。

「VOICENCE」発表会

「VOICENCE」にて保管・管理される「音声IP」には、真正性を証明するデータが付与されており、「無断生成された音声データと区別できることが特徴」です。

「VOICENCE」発表会

真正性証明技術には、パブリックブロックチェーンとVC(Verifiable Credentials)を活用しています。

分散型台帳による改ざん耐性を確保した「データ真正性」と階層的VCによるデータの親子関係を記録し追跡できる「トレーサビリティ」、利用許諾や条件など契約内容等「用途証明」を組み合わせて、NTT西日本が独自で開発した「トラスト技術」を採用しています。

なお本技術は、2025年度NEDO懸賞金活用型プログラム「GENIAC-PRIZE」領域03のトライアル審査にて採択されました。

「音声コンテンツ企画・制作機能」では、クライアントのニーズに応じて、最適な音声IPのキャスティングから企画・制作・運営まで、音声にまつわるソリューションやコンテンツを一貫してプロデュースします。

特徴として「話者の声の印象や口調を高精度で再現し、多言語変換も可能な音声処理技術」が挙げられます。数秒から数分程度の声をインプットすることで、本人の声の性質や話し方の特徴が再現可能なAI音声合成に加え、「音声印象制御技術」により話者の声色を保ったまま印象や口調を変換することができます。

「VOICENCE」発表会

これにより、表現力の高い音声コンテンツの制作が実現。また、NTT人間情報研究所が開発した、話者の声質を損なわずに一言語の音声から多言語の合成音声を生成できる技術である「クロスリンガル音声合成」により、話者本人の声色のまま、多言語に変換しての出力も可能です。現在は、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語の6ヵ国に対応しています。

発表では、俳優や株式会社ビジュアルボイス 代表取締役社長を務める別所 哲也氏とバーチャルタレントのKizunaAI氏も登壇。

「VOICENCE」発表会

俳優/株式会社ビジュアルボイス 代表取締役社長 別所 哲也 氏

別所氏は、VOICENCE事業に対し「お話を頂いて真っ先に素晴らしいなと思った。エンターテイメントに関わる人間も一緒に手を携えながら、この形を日本から変えていく。そんな新しいスタートアップの事業を一緒にやらせていただけることは、大変嬉しく思っている」とコメントしました。

また、別所氏とKizunaAI氏のVOICENCEを通した会話のデモンストレーションも実施。

「VOICENCE」発表会

左:声優 春日 望 氏 中央:俳優/株式会社ビジュアルボイス 代表取締役社長 別所 哲也 氏 右:NTT株式会社 VOICENCEカンパニー カンパニー長/CEO 花城 高志 氏

別所氏が英語でKizunaAI氏に話しかけると、KizunaAI氏の音声のまま英語で対話がされました。

「VOICENCE」発表会

左から:春日 望 氏、別所 哲也 氏、株式会社ワタナベエンターテイメント顧問 中井秀範 氏、NTT社会情報研究所研究所 荒岡草馬 氏、花城 高志 氏

KizunaAI氏のボイスモデルも務める声優の春日氏は、「VOICENCEが法律や権利を保証して、対応やお手伝いをやってくれる。とても安心して利用できる素敵なサービスだと思う」とコメントしました。

「VOICENCE」発表会

声優 春日 望 氏

別所氏も「仕事もさらに広がりができるのではないか。多言語で海を越えて広がることは、本当に大きなことではないかと思う」とコメント。

また、株式会社ワタナベエンターテイメント顧問 中井 秀範 氏は、「真正性を証明できるのはとても素晴らしいこと。もう一歩先に進み、コンテンツIDのようになるとさらに管理がしやすくなる。実演家のマネジメントをしてる身としてはとてもいいこと」と話しました。

NTT社会情報研究所 荒岡 草馬 氏は、「今研究所では、諸外国の動向や有識者との意見交換、一般向けの社会調査などを通じて、この声の権利を明らかにする取り組みを進行中。今後、これを業界ガイドラインのようなものとして育て、皆さんがそれを参照できるようなものを作っていければ」と伝えました。

さらに花城氏は「”声の原点”に立ち返り、AIという新しい技術で人と人とをつなぐ価値を新しい形で進化させる。日本から世界の音声業界を創造する。この挑戦を皆様と共に広げていく」と締めくくりました。

今回の発表を通じてNTT西日本は、多くの実演家・企業・クリエイターがより自由かつ安全にAI音声ビジネスへ参入できる環境を整えます。実演家が大切にしている世界観やブランド価値を尊重し、利用希望者のブランドや企画、シナリオの適正、品質といった様々なフェーズで確認・合意を重ねることで、AI活用における透明性、コンプライアンス、ファン視点を大切にしたコンテンツを提供していきます。

AIsmiley編集部

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