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最終更新日:2025/09/26
マルチエージェントとは?
生成AIや自律型のAIエージェントが進化・浸透する中で、次世代の技術として注目されているのが「マルチエージェント」です。マルチエージェントは、複数のAIエージェントが分担・協力し合い、より複雑なタスクや問題解決に対応できる仕組みで、幅広いシーンでの活躍が期待されています。
本記事では、マルチエージェントの概要から特徴、主なフレームワーク、代表的な活用事例まで詳しく解説します。マルチエージェントについて理解を深め、AI技術のさらなる可能性を踏まえたAI導入・活用にお役立てください。
マルチエージェントとは、自律的に思考し、行動するAIエージェントを複数組み合わせ、各エージェントの分担・協働によりタスクを遂行する仕組みのことです。各AIエージェントが互いに情報を共有し、協力してユーザーの指示を理解し、共通の目標を達成します。
LLMなどの技術を搭載した単体のAIエージェントよりも、効率的に複雑な課題を解決できるため、幅広いシーンでの活用が期待されています。
なお、マルチエージェントに対応したシステムは、「マルチエージェントシステム(MAS)」とも呼ばれ、数百に及ぶ多数のAIエージェントを連携させ、大規模なタスクを行うケースもあります。
関連記事:AIエージェントとは?特徴や生成AIとの違い、種類や活用シーンを紹介
シングルエージェントは、単一のAIエージェントで動作する仕組みのことで、AIエージェントが独立的にタスクを処理します。他のAIエージェントと自動的な連携や対話は行わず、シンプルな構造を維持できます。
一方、マルチエージェントでは、AIエージェント間のオーケストレーションが必要なため、システム設計がやや複雑化する可能性があります。ただし、複数のAIエージェントが協力して、情報共有や連携によって集団的に意思決定を行うことが可能です。
また、マルチエージェントを構成する各AIエージェントが、サブタスクの作成や学習などを通じて精度や拡張性を自ら高めることで、全体としてさらに優れたパフォーマンスを発揮できる可能性があります。

マルチエージェントの主な特徴として、以下の3点が挙げられます。
マルチエージェントでは、複数のAIエージェントによる協働によりタスクを遂行します。タスクが細分化され、専門分野を担う各AIエージェントに役割が割り当てられます。例えば、膨大な量の研究データを分類、整理し、要約するといったタスクも効率的に完了します。
また、異なる観点から研究結果を考察することも可能です。AIエージェント同士が必要に応じて交渉や連携を行い、集団として最適な判断に近づけます。この相互作用性によって、マルチエージェントが1つの組織として大規模かつ複雑な問題に対処することが可能になっています。
マルチエージェントは高い柔軟性と適応力を持ち合わせています。各AIエージェントは、環境や他のエージェントとのやり取りを通じて相互に学習し、適応していきます。
また、エージェントがリアルタイムで自らの行動を調整することで、動的な状況にも柔軟に対応可能です。
シングルエージェントでは捉えきれないような兆候や、専門外の横断的な情報にも、マルチエージェントは的確に反応し、最適化できるでしょう。
マルチエージェントシステムは、拡張性にも優れています。新しい業務や環境の変化に応じて、AIエージェントを追加・変更することで、システム全体としての性能向上が可能です。
また、場合によっては数千規模の個別エージェントを1つのチームとして扱えます。よって、大企業のビッグデータ処理やグローバル展開にも対応しやすくなり、ビジネスの可能性が拡大するでしょう。

マルチエージェントの仕組みを理解するために、その構造と動作について解説します。
マルチエージェントは、自立型の複数のAIエージェントと、それらを統合する環境で構成されています。各エージェントには、センサーや意思決定モジュール、アクチュエータが含まれます。
システム全体では、通信インフラや協調プロトコルなどが整備され、AIエージェント間の情報交換と協力を可能にしています。マルチエージェントシステムにおける構造には、主に以下のようなタイプがあります。
マルチエージェントに含まれるAIエージェントの主な動作には、以下があります。
各エージェントが協調する際には、交渉や投票といったメカニズムによって意思決定を行う場合もあります。システム全体としては、集合知を活用したタスク遂行の最適化が容易になっています。

マルチエージェントには、さまざまなフレームワークが存在します。ここでは、代表的な3つのフレームワークを紹介します。
OpenAI の Swarm は、Python による軽量なマルチエージェント・オーケストレーションフレームワークです。AIエージェント間の連携と関数呼び出しを中心に設計されており、シンプルかつ最小限のコードで実装できます。
また、他のフレームワークに比べて学習コストが低く、クライアントサイドで動作できることでセキュリティを確保しやすい点もポイントです。プロトタイプの開発やワークフローの自動化など、エージェント間の役割分担が明確なタスクに向いています。
CrewAI は、多くの企業で導入されている定番フレームワークの1つです。人間の組織構造を模倣したロールベースの設計が特徴で、AIエージェントに研究者やマネージャーなど特定の役割を割り当て、階層的な協力体制を構築します。
また、700を超えるアプリケーションと統合可能で、法人向け機能が充実しており、ビジネスでの活用がしやすい点も特徴です。トレーニングツールを用いてスキルセットを拡張し、カスタムトレーニングによって特化型の独自エージェントを作成することも可能です。
Autogen は、Microsoft が開発したフレームワークで、対話型AIアプリケーション構築に特化しています。AIエージェント間のコミュニケーションを重視し、複数のエージェントが同時にタスクを実行可能です。
また、人間とAIの協調作業を円滑にする設計によって、タスクの処理効率が向上しています。教育支援や複雑な推論タスクなどに向いています。
関連記事:AutoGen(LLMマルチエージェントフレームワーク)の概要や使い方を解説

マルチエージェントを活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
マルチエージェントシステムは、複数のAIエージェントが並行して作業を行うため、業務効率と処理スピードがアップします。単一エージェントとは異なり、多数のAIエージェントがタスクを分担することで、全体の処理時間を大幅に短縮できます。
また、設計パターンを活用することで、より規模の大きなシステム開発や問題解決も短時間で行えるようになり、案件全体の効率化にもつながります。
マルチエージェントによって、単一エージェントだけでは難しい高精度での処理も実現する可能性があります。複数のエージェントがそれぞれの専門分野に特化して動作し、相互に検証・補完し合うことで、エラーの発生を大幅に軽減できます。
例えば、医療診断では、症状分析や画像診断、治療法提案など、それぞれに特化したAIエージェントが互いに連携できるため、見逃しやすいとされる異常の早期発見にもつながります。協調的アプローチによって、人間の専門家レベルの知見がシステム全体で共有され、意思決定の品質向上に寄与します。
定型的で労力のかかる作業をマルチエージェントに任せることで、人間はクリエイティブな作業や判断力を要する付加価値の高い業務に専念できます。
例えば、営業部門でデータ分析やドキュメント作成をマルチエージェントに任せることで、営業担当者は商談や顧客との関係構築に集中することが可能です。適切な役割分担により、従業員の満足度向上や企業全体における生産性の向上が期待できます。
ここからは、分野別にマルチエージェントの活用事例を見ていきましょう。
製造業では、マルチエージェントシステムによる生産効率の大幅な向上が見込めます。例えば、工場の自動化ラインで、設備を監視する予知保全エージェントが異常を検知した際に、保守エージェントや在庫管理エージェントと連携して、修理スケジュールを自動で立案、実行します。
結果的に、設備故障による突発的なトラブルや事故を未然に防ぎ、生産ラインのダウンタイムを最低限に抑えることが可能です。また、材料調達や工程管理、品質検査といった各エージェントが、リアルタイムに情報を共有し合い、需要の変動に応じた柔軟なスケジューリングを立て直します。
物流業界では、マルチエージェントシステムがサプライチェーン全体の最適化を推進します。輸送システムにおいて、配送ルートの最適化を担うAIエージェントが交通状況や天候をリアルタイムで分析し、倉庫管理エージェントと連携して最も効率の良い配送計画を立案できます。
また、需要予測エージェントの情報をもとに、在庫管理エージェントが適正な在庫を維持し、調達エージェントと協力して調節すれば欠品リスクの最小化にもつながります。
カスタマーサービス分野では、マルチエージェントが24時間体制の高品質なサポートを実現できます。また、人間とマルチエージェントとの協働によって、対応スピードの向上にも寄与します。
例えば、一次対応エージェントが顧客からの問い合わせを受け取り、内容を記録、分析して各専門エージェントに振り分けます。技術サポートや請求関連、商品案内など各専門分野を担当するエージェントによって、迅速でスムーズな対応が可能です。
また、感情分析エージェントを活用することで、顧客の満足度をリアルタイムで監視し、必要に応じてスタッフへエスカレーションするフローを導入すれば、顧客満足度の向上につながります。
金融分野では、不正検知や取引の自動化といった点でマルチエージェントへの注目度が高まっています。複数のAIエージェントが取引を常時監視し、パターンを分析して異なる観点でのリスク評価を行います。
不審な挙動が見つかった場合、認証エージェントや顧客通知エージェントと連携して安全対策を実行することで、リスクを最小限に抑えることが可能です。また、融資審査において、信用評価や収入の分析、担保評価といった各エージェントが多角的に審査を行い、迅速かつ高精度な融資判定を実現します。
医療分野では、診断精度や作業効率の向上にマルチエージェントが役立ちます。例えば、画像診断から症状の分析、総合的な診断まで各業務用のAIエージェントを組み合わせることで、CT・MRI画像の解析から患者の主訴、検査結果の統合、そして総合的な診断候補の提示までを効率化できます。
また、各診療科や担当医ごとにエージェントを配置し、業務支援システムを構築すれば、電子カルテやデータを関連チームと共有しながら治療計画を最適化することも可能です。
小売・EC領域では、マルチエージェントによりカスタマージャーニーの向上や売上の最大化といった効果が期待できます。競合分析エージェントからのデータをもとに最適な価格を設定し、需要予測エージェントが販売動向を予測して発注量を調整すれば、在庫管理の最適化や機会損失の回避が可能です。
また、顧客体験を分析するエージェントが、顧客の行動パターンを追跡し、マーケティングエージェントと共同で、パーソナライズされた広告配信やキャンペーンを展開するといった使い方も可能です。

マルチエージェントの需要が高まるに連れ、導入・活用を支援する企業も増えています。ここでは、マルチエージェント関連サービスを提供する企業の事例を紹介します。
伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、複数のAIエージェントが協調して業務を実行する「マルチAIエージェント構築支援サービス」を開始しました。顧客の課題に応じて複数のエージェントを作成し、業務効率化を支援する取り組みです。
2026年度末までに、生成AIを含む高度AIビジネスで500億円の売上を目指しています。既存の「LLMエコシステム」プラットフォームと連携して、企業の生成AI活用を包括的に支援する戦略を展開しています。
関連記事:CTC、マルチAIエージェント構築支援サービスを開始。2026年度までに500億円のAI関連売上を図る
デロイト トーマツは、複数のAIエージェントが自律的に連携してプロジェクト体制を模した業務自動化を実現する「マルチエージェントアプリ」を開発しました。従来のチャット型AIアプリでは難しかった複雑な業務への対応も、新アプリによって特定の役割を持つAIエージェントを組み合わせ、連携制御が実現します。
具体的には、Web検索や社内データベース内検索、コード生成、資料作成といった専門チームが連携するとともに、レビュー機能や自己修正機能も搭載されています。ユーザーは、自然言語で指示するだけで、複雑なタスクをAIエージェントに遂行させることが可能です。
リサーチ業務や報告書の作成、資料のレビュー、新商品案の検討などさまざまな業務への適用が進められています。
マルチエージェントの設計や実装においては、以下のような課題が考えられます。
複数エージェントを組織的に活用することで、複合的な問題が発生する可能性があります。技術面では、エージェント同士の相互作用によって予測できない動作が生み出され、システム全体の制御が困難になることも考えられます。
また、生成AI特有の「悪意あるプロンプト」への対策も重要です。上記のような課題を解消するために、準備段階からのガバナンス体制の構築や段階的な導入戦略が必要です。
マルチエージェントは、多数のエージェントによる組織横断的な最適化や協調を実現しており、次世代AIの基盤技術としても注目されています。OpenAI の CEO であるサム・アルトマン氏も、マルチエージェントを「AIの決定的機能」として評価し、企業にとっても極めて有能なパートナーになる可能性を示唆しています。
前述のようなシステムの複雑性や予期せぬ動作への対策といった課題はあるものの、適切な管理体制によって克服できると見込まれます。現在、多くの企業がマルチエージェントの試験導入を進めており、さまざまな業種や職種において効果が確認されています。
マルチエージェントシステムは、複数のAIエージェントが自律的に協調・連携して複雑な業務を実行するシステムです。導入により、タスクの分散処理による効率化や処理スピードの向上、人材の戦略的活用および業務の最適化といった多くのメリットが期待できます。
国内でも、大手IT企業やコンサルティング会社がマルチエージェント関連サービスを開発・運用しており、今後はより多くの業種・職能での活用が見込まれます。自社に最適なAIエージェントを選ぶためには、機能性、セキュリティ、リスク対策などを総合的に比較検討することが重要です。
アイスマイリーでは、「AIエージェントのサービス比較と企業一覧」を無料でご請求いただけます。AI技術の活用方法や業務自動化に向けて、この機会にぜひご活用ください。
LLM(大規模言語モデル)はマルチエージェントの知性を支える中核技術と言えます。各エージェントは、「脳」としてLLMを活用し、自然言語の理解、状況判断、他のエージェントとのコミュニケーションを担います。
例えば、情報収集エージェントは、PDFファイルやWeb検索結果などを読み解き、LLMによる理解をサポートします。
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