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最終更新日:2025/10/15
物流業界の問題解決に導くAIの活用法
商品を消費者に届ける宅配便や、タンカーによる原油の輸入など、物資を移動させる重要な役割を果たしている物流業界ですが、近年は物流業界にもいくつかの大きな問題が浮上しているのをご存知でしょうか。
また、それらの問題を解決するための手段として「AI」が活用され始めているのをご存知でしょうか。一見、物流業界との関わりが薄いように感じられるAIですが、近年はAIを導入する企業が増え始めているのです。
そこで今回は、物流業界が抱えている主な問題についてご紹介するとともに、その問題を解決に導くAIの活用方法について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
AIの活用事例について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能の利用例を解説!機械学習を活用した身の回りの実用例
近年はさまざまな業界において人手不足が深刻化しています。それは物流業界においても例外ではありません。具体的にどのような課題、問題点が浮き彫りとなっているのか、詳しく見ていきましょう。

近年はECサイトの市場規模が拡大しており、多くの人がインターネットでショッピングを行うようになりました。消費者からすれば、利便性の向上という大きなメリットを得られているわけですが、物流業界では負担が増加し始めているという側面があることも忘れてはなりません。
ECサイト市場の拡大によって生まれる変化の一つに、「配送品質の競争激化」が挙げられます。他社のサービスと差別化を図るために、即日配送や送料無料といった施策を講じる企業が多くなってきているのです。消費者にとっては利便性が向上しますが、運送ドライバーには「いち早く商品を届けなければならない」という負担に繋がる可能性もあるため、負担軽減のためのサポートが欠かせないものになるでしょう。
また、運送ドライバーにおいては、2024年に働き方改革関連法が施行され、時間外労働時間の上限が960時間に制限されることになります。これまでは貰うことができていた時間外労働の手当をもらえなくなるので、収入減少に伴う離職率増加を招く可能性もあるのです。

宅配便の人手不足は特に深刻化している状況です。国土交通省のデータによれば、道路貨物運送業就業者数は2003年以降増減を繰り返しているものの、約180万人で推移しているといいます。しかし、就業者全体に占める若者就業者の割合は、全産業平均と比べて低くなっており、特に人手不足が深刻化しているのです。

物流業界の労働環境も厳しさを増している状況にあり、厚生労働省のデータによれば、年間の総労働時間は全産業で2,124時間となっているものの、中小型トラックは2,484時間、大型トラックは2,604時間となっています。
基本的にトラック運転者の1日の拘束時間は13時間と定められているものの、延長する場合には最大16時間の拘束が可能であり、15時間を超える拘束は週に2回まで可能となっているのです。厚生労働省が定めた基準の時点でこれだけ厳しいものになっているわけですから、いかに労働環境が過酷な状況であったかがお分かりいただけるのではないでしょうか。

先ほどもご紹介した通り、近年はECサイト市場の拡大によって宅配便の数も大幅に増加しています。宅配便の取扱個数は、2008年度では約32.1億個でしたが、2017年度には約42.5億個にまで増加しているのです。
また、全体の取扱個数のうち、約2割は再配達になってしまっているという問題もあります。そのうちの約4割に関しては、「配達されることを知らなかった」という調査結果も得られており、ドライバーが再配達を行う負担が増加しているのです。
宅配便などの家庭への小口配達では、サービスの向上という観点から、再配達を中止することは難しいでしょう。そのため、ドライバーへの負担が増加するだけでなく、運送業者の業務効率を低下させる原因にもつながりかねないのです。
物流業界が抱える課題は非常に深刻であることから、国土交通省による物流課題解決に向けた施策も講じられています。たとえば、トラックドライバー不足や新型コロナウイルス感染拡大といった影響により、荷主の輸送需要に対応できないケースが増加していることを受けて、積極的な取り組みを行っている事業者様によるセミナーを積極的に開催しています。
さらに、物流を考慮した建築物の設計・運用も進められている状況です。これまで、商業施設等の建築を計画する際は、人の移動の観点で検討されるのが一般的でした。そのため、屋内駐車場にトラックが入れなかったり、荷役に利用できるエレベーターが不足してしまったりするケースが多かったのです。これは、トラックドライバーにとって大きな負担となってしまいます。
こういった問題が発生してしまうのは、「円滑な物流の確保」という観点で設計・運用が行われていなかったからに他なりません。そのため、建築物にスムーズに貨物を搬入できるようにすることや、屋内移動を行えるようにすること、交通や環境へ与える影響を抑制することなどを目的に、新たに「物流を考慮した建築物の設計・運用の手引き」が策定されました。
物流の効率化を実現するための法律である「物流総合効率化法」も、注目すべきポイントの一つといえるでしょう。この物流総合効率化法の正式名称は「流通業務の総合化および効率化の促進に関する法律」であり、国際競争力の強化、環境負荷の低減、労働力の確保を目的に作られました。
輸送網の集約、輸配送の共同化といった物流業務効率化につながる事業に対して、税制特例等の支援措置を受けられるようになることから注目されています。具体的な方法としてどのようなものが存在するのか、詳しく見ていきましょう。

輸送網の集約では、法律改正後に2件の事例が認定されています。たとえば、味の素物流が申請した青果品の輸送においては、複数台で輸送されていたものを「エリアごとで1台に集約」という形に変更したところ、「平均積載率が30%から100%に増加」「CO2を194.6トン削減」「4032時間の省力化を実現」といった成果を生み出しました。
(参照:物流:モーダルシフトとは – 国土交通省)
モーダルシフトとは、トラック等による輸配送を鉄道や船舶の利用に切り替える取り組みのことです。鉄道や船舶の利用に転換することで、CO2の削減が期待できます。たとえば、1トンの貨物を1km運ぶとしましょう。この場合に排出されるCO2の量は、トラックだと約240gですが、鉄道であれば21g、船舶であれば39g程度に削減されるのです。
輸送の方法を変更するだけでCO2の排出量を削減できるだけでなく、一度に大量の輸送を行えるようになることも大きなメリットといえるでしょう。

これまでは、行き先に関わらず、会社ごとに異なるトラックで輸送が行われていました。しかし、輸配送の共同化が実現することで、さまざまなメリットを得られるようになります。
たとえば、4社の製品を輸送する際、ひとつの拠点に集積させてから共同で輸送することで、ドライバーの運転時間やトラック台数を削減させることができるのです。また、CO2を削減することができるという点も、大きなメリットといえるでしょう。
物流業界が抱える課題を解決するためには、どのような手段を取り入れることが望ましいのでしょうか。ここからは、物流課題の解決策について詳しく見ていきましょう。
物流課題を解決する手段の一つとして有効なのは、物流システムを構築・導入することです。これまでは、業務の大半が人の手によって行われていました。そのため、単純な作業に対しても人の力を借りる必要があったわけです。しかし、物流システムを導入すれば、さまざまな作業の効率化を図れるようになります。
また、作業の効率化だけでなく、従業員の動きや在庫の動きをデータ化し、蓄積していくことも可能になります。その蓄積されたデータを用いて、倉庫内の作業を効率化するための分析を行ったり、経営判断に活かしたりすることもできるのです。
ドライバーの負担増加に繋がってしまう原因の一つに、再配達が挙げられます。一度自宅まで届けに行った荷物を、再び配達しなければならないため、ドライバーの大きな負担となるのです。
先ほどもご紹介した通り、再配達を依頼する人の中には「そもそも今日配達されることを知らなかった」という人も多く存在します。そのため、確実に配達するための通知が必要不可欠といえるわけです。
最近では、コミュニケーションアプリを活用して確実に配達日や配達時間を通知する仕組みも構築され始めています。このような仕組みを積極的に活用することで、「再配達防止=ドライバーの負担軽減」にも繋げやすくなるでしょう。
最近では、AIを活用した物流システムも多くなってきています。AIを活用することで、物流の予測を高精度で行えるようになるからです。より高い精度での予測が可能になれば、積載率を効率化したり、燃料代の削減に繋げたりすることも期待できます。
さらに、到着予定時刻の予想なども可能になるため、事前連絡による再配達の削減にも繋げられるでしょう。

倉庫管理業務は、時期によって作業量が変化するケースも少なくありません。そのため、下手に従業員を増やしてしまうと、閑散期にリソースが余ってしまうことがあるのです。
しかし、少ない人員で補おうとしてしまうと、繁忙期の従業員一人ひとりにかかる負担が大きくなってしまいます。最悪の場合、業務が円滑に回らなくなってしまうケースも考えられるのです。
その点、AIを活用すれば、これまで人の手で行われていた検品、バーコード読み取り、棚卸しといった作業をロボットに任せたり、どの程度の作業が発生するのか予測したりすることが可能になります。そのため、最適な人員で、効率的に業務を進めていけるようになるのです。
先ほどもご紹介したように、物流は物を移動させる業務だけでなく、そのプロセスとなる包装や保管といった業務も含まれます。そのため、倉庫への入庫作業なども物流に該当するわけです。
その倉庫への入庫作業においては、これまで人の目で商品のパッケージやタグなどを確認しなければなりませんでした。そして、その商品名や型番などを倉庫管理システムに入力する作業も、人が行わなければならなかったわけです。
しかし、最近はAIの画像認識技術を活用したシステムが活用され始めており、この一連の業務をすべて自動化させることができるようになりました。人間による目視とシステム入力作業を自動化させることで、検品業務を半分以下の時間で実施できるようになったといいます。
倉庫や物流センターでは、出荷する荷物や商品の仕分けが日々行われているわけですが、場所によっては荷物の種類が多岐に渡るケースも存在します。そのような倉庫では仕分け作業が複雑化するため、どうしても人の手で仕分けを行わなければならない状況でした。
しかし、最近では画像判別AIとディープラーニングを活用する企業も増えてきており、複雑な仕分け作業も自動化させることができるようになっています。
上記2つは倉庫内で発生する業務を効率化するものですが、AIは倉庫外で発生する業務の効率化にも貢献しています。その代表例として挙げられるのが、荷物を運ぶドライバーの居眠り運転の防止です。現段階ではトラックの運転業務を自動化することはできていないため、ドライバーが運転をして荷物を運ばなくてはなりません。そのため、ドライバーの居眠り運転によって事故を起こしてしまうリスクも伴っていたわけです。
ただ、最近ではAIを活用した車内カメラにより、ドライバーの居眠りを監視するソリューションなども多くなってきています。AIが居眠りの兆候を映像から判別した上で、ドライバーに呼び掛けたりすることができるのです。これにより、ドライバーの居眠り運転による事故リスクを大幅に減少させることができるようになりました。
AIを活用すれば、より効率的に配送を行えるルートを予測することが可能になります。その結果、ドライバーの業務時間短縮に繋げられるのです。先ほどもご紹介したように、2024年からは時間外労働時間の上限が制限されるため、より効率的な業務が求められます。
ドライバーの業務効率化をサポートし、モチベーションの低下を防ぐという点でも、AIの活用には大きなメリットがあるでしょう。
AIの活用には多くのメリットがありますが、決してデメリットがないわけでもありません。そのデメリットの一つとして挙げられるのが「導入コスト」です。業務効率化や生産性向上を実現する高精度なAIを導入するためには、開発の時間・コストが不可欠となることを把握しておく必要があります。
そのコストはデメリットといえますが、AIの導入に成功すれば導入コスト以上の成果を得られます。そのため、一概にデメリットと捉える必要もないでしょう。
AIを最大限活用するためには、従業員一人ひとりがAIについて正しく理解する必要があります。そのため、適切なルールを設けたり、マニュアルを変更したりする作業も必要になるでしょう。
当然、ルールやマニュアルの変更には時間を要しますので、考え方によってはデメリットといえます。しかし、AI活用による長期的な利益を見据えた場合、この作業は欠かせないものなので、長期的な視点で成果を見据えることが大切になるでしょう。

Amazonでは、倉庫に導入された棚ごと商品を運んでくれる自動走行ロボットを導入しています。自動走行ロボットの「Drive」は、商品棚の下に入り込んで、棚を持ち上げながら移動してくれる仕組みです。
商品棚を作業員の前まで運んでくれるので、作業員は倉庫内を歩き回る必要がありません。入荷した商品の棚入れ作業、受注商品の棚出し作業を大幅に効率化できるため、従業員の負担軽減や人手不足解消といった課題解決に貢献しているのです。
2021年7月1日に稼働開始した三菱倉庫のEC向け物流センター「SharE Center misato」では、ギークプラスの自動棚搬送AIロボットが採用されています。人に代わって商品を探し運搬することで、商品のピッキングに掛かる時間を大幅に削減します。
三菱倉庫は、昨今のEC市場の拡大に伴う物流需要の高まりに対応するため、埼玉県三郷市にECに特化した物流センター「SharE Center misato」を開設。EC事業者様の多様な物流ニーズへの対応と生産性の向上、省人化を目的としてSharE Center misatoに「EVE P500R」50台を導入しました。SharE Center misatoは7月1日にオープンし、導入された50台も同日から稼働を開始しています。
このEVE P500Rは、「人」が仕分け作業を行うピッキングエリアに「AIロボット」が棚を運び、「人」に代わって商品を探し運搬することで、商品のピッキングに掛かる時間を大幅に削減することが出来ます。また、EVE P500Rは、クラウド型在庫管理システムのリーディングカンパニーであるロジザード株式会社のクラウド倉庫管理システム(WMS)「ロジザードZERO」と標準連携しており、様々な物流ニーズへの対応が可能です。
三菱倉庫の新設EC特化物流センターに自動棚搬送AIロボット採用
佐川急便では、オプティマインドのラストワンマイルに特化した「Loogia(ルージア)」というルート最適化サービスを2021年10月5日に導入しました。
この「Loogia(ルージア)」は、佐川急便の集配業務において使用されている情報端末と、リアルタイムで最適な集配順序を予測するLoogiaをAPI連携させることによって、これまでアナログで行われていた集配順序の決定をシステム化できるというサービスです。このサービスによってドライバーは業務効率化を実現できるようになります。
2020年8月に行われた実地検証、2020年11月から2020年12月にかけて行われた試験導入において、集配即戦力化が実現できたことから全国での導入が決定しました。
サントリーロジスティクスは2021年、富士通社と共同で「AIによるフォークリフト操作を判定するシステム」を物流業界で初めて開発しました。
このシステムの仕組みとしては、まずドライブレコーダーの映像をもとに、乗務員のフォークリフトの操作を特定。そして、AIが爪操作と走行状態を検知した上で、危険操作として定められている3厳戒の操作シーンを抽出していきます。必要のないシーンに関しては動画を倍速処理し、人が確認する必要がある箇所だけを提供するという仕組みです。
動画全体の抽出シーンの割合から安全係数を算出していくため、操作全体の安全操作水準の目安を示すことも可能です。
サントリーMONOZUKURIエキスパート、物流業界初!フォークリフト操作のAI判定システムを導入
三井物産グローバルロジスティクスでは、自動封函機を用いて商品発送用の箱に封をする際の異常を検知できるAIを導入しています。このAIの導入によって、大幅な業務効率化を実現することに成功しました。
三井物産グローバルロジスティクスの横浜本牧倉庫では、荷主の商品を顧客に発送する業務を受託しています。発送される箱の数は、繁忙期では1日あたり4~5万箱にも上るそうです。こういった背景もあり、横浜本牧倉庫では発送作業の大半をAIやロボットによって自動化しており、その一環として自動封函機も導入されています。
自動封函機は、1時間に約4,000箱を封函することができますが、中には不適切な状態で封函されてしまうこともあったそうです。そういったトラブルを未然に防ぐために、AIアプリケーションによる異常検知が導入されました。このAIアプリケーションの導入によって、不適切な状態の箱を素早く検知することが可能となり、封函作業の品質向上にも繋げることができているそうです。
今回は、物流業界が抱える問題や、AIを活用することで得られるメリット・デメリットなどを詳しくご紹介しました。多くの問題を抱えていた物流業界においても、AIの導入によって状況が大きく変わり始めています。
AI技術はさらに進化を続けていくことが予想されていますので、物流業界においても多様な形でAIが活用されていくかもしれません。今後の動向にもますます注目が集まります。
AIsmileyでは、サプライチェーン最適化(SCM)におすすめのAIツールをまとめた「AIを活用したサプライチェーン最適化カオスマップ」を無料配布しております。物流業界の方やSCMに取り組み中の方はぜひご活用ください。
また、AI資格を持ったコンサルタントによる無料相談も承っております。中立の立場で物流業界の最新AIトレンドや事例のほかAIによる課題解決方法をご提案します。ぜひお気軽にお問い合わせください。
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