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畜産業におけるIoTの活用事例は?メリットと将来への可能性

最終更新日:2024/03/11

近年、さまざまな業界でIoT化が進んでおり、IoTへの注目度は日に日に高まっている状況です。それは、一見AIやIoTとは関連性が薄く見える畜産業においてもいえることであり、積極的にIoTが導入され始めているのです。では、どのような形で畜産業にIoTが活用されているのでしょうか。

今回は、畜産業におけるIoTの活用事例や、IoTによって広がる可能性について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

IoTについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
IoTとは?活用シーンや関連技術、普及にともなう課題について

IoTセンサーの活用によって牛の行動を見守る

■IoTセンサーの活用によって牛の行動を見守る|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

畜産業は、一見AIやIoTといった技術とは無縁の業界のように感じられるかもしれません。しかし、鶏や豚、牛で畜産農家の大規模化が進んでおり、牛に関しては1頭あたりの単価も高いため、しっかりと1頭1頭を見守るための仕組みが求められ始めているのです。

そこで注目を集めたのがIoTであり、最近はIoTセンサーの活用によって牛の行動を見守る畜産農家が多くなってきています。その一例としては、牛の首にIoTセンサーを装着することで、加速度や気圧などから牛の行動を推測するシステムが挙げられるでしょう。

このシステムを開発したのは、IoTやAIを活用したシステムの開発・提供を行うデザミス株式会社です。同社が開発したIoTセンサー「U-Motion」では、動態、採食、起立反すう、横臥(おうが)反すう、横臥、起立静止という6つの基本データを収集した上で、疫病や起立困難といった牛の状態を推測し、アラートを出すことができます。つまり、畜産農家はいち早く牛の状態異常を察知できるようになるということです。

この「U-Motion」は、現在約10万頭に装着されており、日々膨大な量のデータが蓄積されています。このデータを活用し、三井住友海上火災保険と牛の診療費補償サービスを提供しているのも大きな特徴のひとつといえるでしょう。これは、万が一牛が病気になり、家畜共済の補償対象になった場合には、1割の自己負担部分を診療費補償として支払うというもの。

畜産農家が支払う診療費は、病傷共済金と損害保険金でまかなわれ、保険料もユーモーションのサービスに含まれるため、農家の負担は増えないという仕組みです。こういったサービスも、まさにIoTを活用するからこそ実現できるものといえるでしょう。

設備や薬の効果検証にも貢献するIoTシステム

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また、畜舎の冷房装置システムをIoTと連携させることによって、畜舎の環境を向上させている事例も存在します。このIoTシステムでは、微小の霧を発生させて牛舎を冷やすことができるだけでなく、薬液を噴霧させて牛舎の殺菌、外注対策を行うこともできます。そして、この稼働状況や牛舎の温度管理、牛の行動管理といった部分にIoTが活用されているわけです。

さらに、農業・酪農関連のIoTクラウド事業を展開する株式会社 The Betterでは、飲み込み式の温度加速度センサーを販売しています。このセンサーを活用すれば、体温を直接測ることはできるだけでなく、胃の中の動きも調べることが可能です。大きな強みとしては、子牛の体温もしっかりと測ることができるという点。これまで、畜産農家は毎日牛のお尻に体温計を挿して検温しなければなりませんでした。子牛100頭であれば、約2時間かかってしまっていたわけです。

しかし、このセンサーを活用すれば、IoTによって毎日の検温を自動化させることが可能になります。畜産業においても人手不足は深刻化していますので、このような形で業務効率化を実現できるのは大きなメリットといえるのではないでしょうか。

IoT技術を活用する「スマート畜産」には課題も残されている?

■IoT技術を活用する「スマート畜産」には課題も残されている?|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

このように、IoTの活用にはさまざまなメリットがあることがお分かりいただけたかと思います。しかし、畜産業におけるIoT技術の活用には、まだいくつか課題が残されていることも忘れてはなりません。

というのも、九州大学大学院農学研究院が行った調査によれば、「生産効率化のためにICT(情報通信技術)を活用しているものの、その効果をあまり体感できていない」という畜産農家も存在しているからです。もちろん、IoTの活用によって業務効率化を実現できるケースは多く存在していますが、あらかじめ「課題」や「目的」などを明確にしたうえで有効活用していかなければ、IoTのメリットを最大限享受できなくなってしまう可能性もあります。

そのため、今後しっかりとIoTを活用していくためにも、まずはIoTの知識を深めていくことが重要になるといえるのではないでしょうか。

データのグラフ化、アラート設定などは畜産従事者の負担軽減にもつながる

■データのグラフ化、アラート設定などは畜産従事者の負担軽減にもつながる|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

畜産農家の中には、IoT機器を使いこなせるか不安に感じている人も多く存在するでしょう。実際、使いこなすことができない人が多いからこそ、先程ご紹介した九州大学大学院農学研究院の調査のような結果が出ているのかもしれません。

しかし、最近では畜産従事者でも操作しやすいIoTソリューションも多くなってきています。たとえばNTT東日本が提供しているIoTソリューションでは、事務所や自宅のパソコン、タブレット、スマホなどからインターネットに接続して、手軽に畜舎の状況を把握することができます。

また、クラウドサービスの使い方やトラブル対応など、不安な部分もNTT東日本からのサポートを受けることができるため、初めてIoTを導入する人であっても安心して利用することができるのです。このようなサポート環境が整っているものであれば、IoTに関する知識が少ない人でも問題なく導入していくことができるのではないでしょうか。

IoTが畜産業の人手不足を解消に導く

今回は、畜産業におけるIoTの活用事例について詳しくご紹介しました。人手不足が深刻化している畜産業において、IoTの活用によって業務効率化を実現できるという点は非常に大きな魅力であることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

もちろん、IoT技術をしっかりと使いこなすためには、課題や目的を明確にした上で、適切な方法で活用していかなくてはなりません。そのため、最低限の知識は必要になるわけですが、最近では導入から実用化までサポートしてくれるサービスも多くなってきていますので、より手軽にIoTの導入を進めることができるでしょう。ぜひこの機会に、IoTの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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