AIを活用した異常検知システムの定義と導入事例
最終更新日:2024/04/11
近年、多くの企業が現場にAIを活用しており、生産性の向上、品質の向上を図っています。そんな中、「特にAIが得意とする分野」として多くの企業に導入され始めているのが、深層学習(ディープラーニング)による異常検知です。
今回は、この異常検知システムについての定義を詳しくご紹介するとともに、その導入事例についてまとめました。
異常検知システムが導入されている分野
異常検知システムとは、その名の通り異常を検知するためのシステムを指すわけですが、分野ごとに「異常の種類」は異なります。例えば製造業の場合、近年は目視での製品検査に代わってAIを活用した検査を導入する企業が増えている状況です。しかし、生産設備が故障してしまえば、せっかくAIを導入したにも関わらず生産性を低下させてしまいかねません。そのような事態を避けるために、異常検知システムによって装置の異常や故障などを未然に防ぐための異常検知システムが導入されているのです。
また、クレジットカード会社では、異常検知システムを利用した不正利用の検知も行われています。昨今はクレジットカードを悪用した詐欺なども多々起きていますので、このようなトラブルを避ける上でもAIを活用した異常検知システムは欠かせないものになりつつあります。
そして最近では、高度成長期のインフラ設備が老朽化しつつあることも社会問題となっていますが、そのような問題を解消するうえでも異常検知システムは有効活用されている状況です。
具体的には、壁やトンネル、道路、橋、鉄塔といった設備において、ボルトが緩んでいたりヒビ割れが起きていたりしないか、ドローンによって確認する作業が行われています。これにより、人がリスクを犯して高いところへ登ったり、橋の下へと潜り込んだりする必要もありません。
異常検知と予知保全の違いとは?
原則として、異常検知は「現在すでに起きている異常を検知すること」を指します。そのため、今後異常が起きそうなものを検知することは異常検知には含まれません。異常の予兆を察知し、異常が起きる可能性を指摘することは「予知保全」と呼びます。これは場合によっては、予知保全に対しても「異常検知」という言葉が用いられているケースもありますので、しっかりと判断して区別することが大切になるでしょう。
たとえばクレジットカードの場合、既にカードが悪用されている状況を察知したのであれば「異常検知」ということになります。一方、悪用されそうになっていることを検知し、カードの利用を制限することで被害を免れることができたのであれば「予知保全」によって守られたといえるでしょう。
(参照: AISIA-AD 異常検知のOverview(Vol.1))
AIの異常検知は我々にとって欠かせない存在になりつつある
ここまでご紹介してきた分野以外にも、AIが活用されている分野はたくさんあります。医療や農業といった分野においてもAIが活用される時代が到来しているのです。
特に農業は、これまでAIとは程遠い分野のように思われてきていましたが、AIによる生産管理によって品質の向上につなげるケースが増えてきています。その品質管理の妨げとなりうる「異常」を適切に検知することこそが、AIを有効活用していく上で欠かせないものといえるのではないでしょうか。
また、既に起きている異常を検知するだけではなく、予知保全によって異常を未然に防ぐことができれば、さらなる生産性の向上も望めるようになります。
近年は人手不足が叫ばれており、「生産性の向上」が最重要課題といっても過言ではありません。この状況を打開するためにも、AIの活用、そして異常検知(予知保全)は企業に大きな価値をもたらすものといえるのではないでしょうか。
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