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【EdgeTech+2022画像認識AI Expo】石角 友愛CEO講演レポート ポストコロナの今こそ真のDX推進を!

最終更新日:2024/04/04

2022年11月16日(水)から 18日(金)までの3日間、EdgeTech+ 2022 画像認識AI Expoがパシフィコ横浜で開催されました。今回は、11月17日に「いまこそ知りたいDX戦略〜アメリカ最新事例とパロアルトインサイトが手がけた具体事例から学ぶ、データゼロから始めるAI導入〜」と題し開催された、パロアルトインサイトの石角 友愛CEOのリモートによる基調講演の様子をお届けします。

なぜ今DXが必要なのか?

まず石角氏は、DXが進んでいるアメリカと日本の、DXに対する認識の違いを語りました。

――石角氏

日本ではDXを「ITを導入すること」といった意味で使いがちですが、私の住むアメリカでは、そもそもDXという言葉はあまり使われていません。なぜなら、DXは第四次産業革命*そのもので、常にそうあるべき「状態」のことを指しているためです。DXは、ITを導入することがゴールのイベントではなく、根本的にビジネスモデルを変えていき継続することがゴールであり本質ということです。

第四次産業革命:IoT、AI、ビッグデータを用いた技術革新のこと。デジタル革命。

DXの本質は「コア」をしっかり捉えること

コロナ禍によって、日本においても一気に浸透し始めたDX。成功させるためには「会社のコア」を精査することが大切だと語ります。

――石角氏

DXを成功させるためには、会社にとっての強みを再定義し、そこに対してデジタル化を推し進めることが必要です。そしてこの強み=会社のコアは、サービスそのものであるとは限りません。

 

――石角氏

例えば、モデルナ社は、自社を製薬会社ではなく「生物学に携わるITカンパニー」と位置づけ、そのうえでコアを「製薬事業」と定義しました。そして、コア事業に対して用いるAIの8~9割を内製化し、その他の事業には他社製ツールを使うという取捨選択を行い、DX化に成功しました。この例からわかることは、全て自社で内製化せず、コア事業に的を絞りデジタル化を進めることで、効率的なDX化が進められることです。

資産としてのAI導入で「実行できない」壁を越える!

次に石角氏は、DXを推進するうえで障壁となる「イントレプレナーの壁」について述べました。いざAI導入を進めたいのに実行できない「イントレプレナーの壁」は、どのように解決したらよいのでしょうか。

――石角氏

イントレプレナーの壁を打破するには、まずサンプルでもいいので実際にAIを作り、結果を出すという方法があります。プレゼンを何度もするよりも実物を作り「論より証拠」で推し進める方法です。そのうえで大切なのは、長期的な目線から、会社にとっての資産となるAIを導入することです。

パロアルトインサイトがホリプロ社と進めたケースも、これに当てはまります。ホリプロ社が抱えていた課題は、「売れるタレントと売れないタレントの違いが分からない」といったものでした。当社はこの課題に対し、タレントの感情分析をゼロから作り、サンプルとして導入しました。

 

――石角氏

結果、今までの好感度調査や視聴率からは分からない、視聴者がどれくらい満足したかという「視聴質」を取ることに成功しました。これにより、客観的なデータを基にしたマネジメントやデータ活用による新たな営業アプローチにつながりました。そしてAIが身近になることで、社員のITリテラシーが強化されるといった効果も表れました。この事例は、ゼロから作ったサンプルで結果を出し受け入れられたこと、そして資産として会社に残せるものを提供できた点で参考になる事例ではないでしょうか。

ケーススタディから学ぶ最新のAI導入事例

不二家から学ぶ、AI導入のキーポイント

続いて石角氏はAI導入の例として、不二家社の成功事例を紹介しました。

――石角氏

不二家は、黒字事業で売上の大半を占める菓子事業ではなく、赤字であった洋菓子事業に新商品の需要予測AIを導入し、これまでの属人的な判断からの脱却を図りました。ここで大切なことは、導入先には、コア事業で、かつ成功率が高いものを選定することです。これは一度導入に失敗してしまうと、モチベーションの低下を招き、その後プロジェクトを推し進めることが困難になるためです。

そしてもう一つ重要な点は、目的を見失わないことです。このケースでは、新商品の需要予測AIによって基準を作り、客観的なデータを社内で共有することを目的としています。売り上げを伸ばすことは結果であり、本質的な目的を見失なわなかったこともAI導入の成功につながったと言えるでしょう。

 

DX先進国アメリカから見る失敗例

ここまで様々な成功事例を取り上げてきた石角氏。しかしAIは万能ではない、とアメリカでの事例をもとに警鐘を鳴らします。

――石角氏

アメリカの不動産大手企業であるZillowは、内製の高精度の住宅価格査定AIを活用すべくホームフリッピングサービス*に参入しました。しかし2021年に、わずか数年しか経っていないにも関わらず、Zillowはサービスから撤退してしまいます。

*ホームフリッピング:住宅を安く購入し、短い期間でリノベーションし売却するサービス。

 

――石角氏

こちらの撤退は、コロナ禍のパンデミックによってもたらされたものです。パンデミックによって、住宅の価格やニーズは大きく変化しました。しかしZillowはAIを過信しすぎ、間違ったKPIを持ったまま売れない物件を購入し続けてしまいました。AIは万能ではありません。正しい期待値を持ちどんな意思決定に使うのかを明確にしながら、実装していくことが大切です。

ポストコロナの今だからこそできる真のDX化へ

最後に、質疑応答が行われました。「経営側と現場でDXに対する意識のずれがある場合、どのようなアドバイスをするか?」という質問に対し、石角氏はそれぞれの立場から、視点を変えることと、コミュニケーションの重要性を説きました。

――石角氏

現場側の意識は高いが上層部の理解が得られないといったケースでは、まずはデータやサンプルを先に提示することも一つの方法です。そして、そのツールがどれだけ優れているかといった視点だけではなく、経営側の目線から必要性を説く必要があります。

経営側は導入したいが現場が動いてくれないといったパターンは、抜本的な改革をすることが重要です。トップの下にDX推進室を作り、そこでDXの重要性を上層部自ら提示してもいいかもしれません。ここで重要なのは、トップダウンで綿密なコミュニケーションを取ることです。DXを推進するメリットや、どのように仕事が効率化できるかを説明したうえで、現場の人たちが使いやすいと思うものを導入することが大切ではないでしょうか。

 
講演を通じ、働き方やライフプランが多様化した今こそが、DX推進のチャンスであることを強調している点が印象的でした。多数の実例を挙げて解説があり、課題解決の手助けになることと思います。DX推進・AI導入を検討している方は参考にしてみてはいかがでしょうか。

EdgeTech+ 2022 特別企画 画像認識 AI Expo(共同開催パートナーAIsmiley)
会 期:2022年11月16日(水)~ 18日(金) 10:00~17:00 (17日のみ18:00終了)
2023年1月10日(火)10:00~2月10日(金)17:00(オンライン開催)
会 場:パシフィコ横浜 展示ホール/アネックスホール/オンライン
主 催:組込みシステム技術協会(JASA)
企 画・推 進:株式会社ナノオプト・メディア
公式サイト:https://www.jasa.or.jp/expo/
画像認識AI Expo:https://www.jasa.or.jp/expo/image_recognition_ai_expo/

 
EdgeTech+のオンライン開催は、2023年1月10日(火)10:00~2月10日(金)17:00まで実施されます。会場にお越しいただけなかった方、見逃しセッションや訪問できなかったブースなどある方は、是非ご参加ください。

EdgeTech+ 2022についてはこちら

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