DX事例25選|有名企業のDX推進の成功事例を業種別にわかりやすく紹介
最終更新日:2024/05/17
この記事では、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、成功を収めている企業の事例を25選紹介します。
DXに取り組む上でのヒントやインスピレーションを得るために役立ちます。DXとは何か、どのようなメリットがあるのかを具体的に理解できます。また、自分の所属する業界のトレンドや他社の取り組みを把握したい方に、業種別に事例などを紹介します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の例とは
DXとは、デジタル技術を活用してビジネスプロセスやサービス、製品を根本から変革し、新たな価値を創出する取り組みです。以下は、DXの身近でわかりやすい例をいくつか挙げます。
【DX(デジタルトランスフォーメーション)のわかりやすい例】
事例 | 詳細 |
オンラインショッピング | 実店舗を持たないECサイトでの買い物。 在庫管理、注文処理、配送までデジタル化されている。 |
モバイル決済 | スマートフォンでのキャッシュレス決済。 ポイント管理や送金もデジタル化され、財布を持たずに外出できるようになった。 |
テレワーク | パソコンとインターネット回線さえあれば、自宅やコワーキングスペースからリモートで仕事ができる。 |
オンライン学習 | 学校や塾に通わずに、オンライン教材やビデオ会議システムを使った学習。 |
AIによる自動化 | AIチャットボットによる問い合わせ対応や、ロボットによる工場の自動化など。 |
このように、DXは私たちの生活や仕事のあり方を大きく変革しています。そして、このようなDXを推進している企業は数多く存在します。
製造業におけるDX推進の成功事例
製造業におけるDX推進の成功事例として、経済産業省が発表した「DX銘柄2023」に選出された企業の取り組みを紹介します。「DX銘柄」は、東京証券取引所に上場している企業の中から、DXを積極的に推進している企業を選定したものです。2023年には、製造業の会社として以下の企業が選出されました。
これらの企業は、デジタル技術を活用して業務プロセスを変革し、新たな価値を生み出すことで、業界をリードしています。
法人名 | 東証業種分類 |
株式会社トプコン | 精密機器 |
味の素株式会社 | 食料品 |
旭化成株式会社 | 化学 |
第一三共株式会社 | 医薬品 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
株式会社トプコン
株式会社トプコンは、測量機器や医療機器などの精密機器メーカーです。同社は、「医・食・住」の3つの分野に注力し、社会的課題の解決を目指すDXを推進しています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 眼科医療分野では、フルオート検査機器とICTを組み合わせた遠隔診断・AI自動診断を実現
- 農業分野では、営農プロセスのデジタルデータ化によるソリューション提供
- インフラ分野では、ICT自動化施工システムの開発、建設フローのデジタルデータ化を推進
【解決した課題・実現したこと】
眼科医療分野では、検査機器のフルオート化とICT・AIの活用により、眼科医不足という社会課題の解決に貢献。地域格差のない質の高い眼科医療の提供を可能にしています。
農業分野では、営農プロセスの効率化・最適化に寄与。食料不足という地球規模の課題解決の一助となっています。
インフラ分野では、測量・施工の自動化と建設プロセス全体のデジタル化で、深刻化する建設技能者不足という課題に対処。生産性向上とコスト削減を実現しています。
味の素株式会社
味の素株式会社は、調味料や加工食品の製造・販売を手掛ける食品メーカーです。同社は、経営方針「ASV」(Ajinomoto Group Shared Value=社会価値と経済価値の共創)に基づき、食と健康の課題解決企業として、DXを推進しています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- DX専門組織の設置とDX人材の育成・獲得計画の策定
- 需給予測の高度化、SCM(サプライチェーンマネジメント)のデジタル化
- スマートファクトリー化の推進と業務プロセス改革
- デジタル技術を活用した新規事業の創出
【解決した課題・実現したこと】
専門組織の設置とDX人材の増強により、全社的なDX推進体制を構築。経営戦略とDX戦略の融合を図っています。需給予測とSCMのデジタル化で、サプライチェーン全体の最適化を推進。市況変化に即応した生産・在庫管理を可能にし、ロス削減と収益性向上を実現しています。
工場のスマート化では、IoTセンサーやAIの活用で製造工程の自動化と品質管理の高度化を実現。生産性向上と品質安定化に寄与しています。
旭化成株式会社
旭化成株式会社は創業90年以上の総合化学メーカーです。事業から生まれるデータと、データを活用する人を価値の源泉ととらえ、DXを経営基盤強化における重要テーマの一つと位置付けています。DX推進に向けて行っている具体的な取り組みは以下の通りです。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 情報科学を用いて素材開発の期間短縮と高度化を可能にする「マテリアルズ・インフォマティクス」の活用
- 設備などを3Dで再現するデジタルツインによるプラントの遠隔操作と故障対応の仕組み作り
- 特許データから知的財産情報を分析するIP(Intellectual Property)ランドスケープで自社のコア技術を把握し、経営戦略策定に活用
- デジタル共創本部の設置と、事業部門ごとの縦割り組織にDXを横展開していくための各事業部門と本部の連携体制(リレーションシップマネージャー制度)の整備
- 社内外のデジタル関連人財の交流を促進する仕組み作り
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、旭化成では「マテリアルズ・インフォマティクス」による多くの成果創出や、デジタルツインによる安全性と効率性の両立、知的財産情報の経営への活用などを実現しています。また、デジタル人材の育成と採用でデータプロフェッショナル人数目標を設定し達成するなど、データ重視の企業文化づくりも進めています。
第一三共株式会社
第一三共株式会社は、医薬品の研究開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。同社は、デジタル技術を活用した医薬品の研究開発の効率化やデジタルヘルスケア分野での新たな価値創造に注力しています。DX推進に向けて第一三共株式会社が行っている具体的な取り組みは以下の通りです。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- AI、ビッグデータ、IoTを活用した創薬プロセスの効率化
- ビッグデータやAIを用いた治療薬や治療法の最適化研究
- 患者の疾患管理をサポートするデジタルヘルスケアソリューションの開発
- 研究開発、製造、営業などの社内業務プロセス改革へのデジタル技術の活用
- デジタル人材の確保・育成と全社横断的なデジタル推進体制の構築
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、第一三共では創薬研究の生産性向上や開発期間の短縮化、リアルワールドデータに基づく新薬開発や適正使用の実現などの成果を上げています。 また、デジタルヘルスケア分野では疾患啓発アプリの開発・提供など新たなソリューションの創出も進んでいます。
社内業務のデジタル化による業務効率化や意思決定の迅速化、データドリブンな経営の実践なども実現しつつあります。 デジタル人材の確保・育成や推進体制の整備により、デジタル技術を核にした全社変革を加速させています。
小売・卸売業におけるDX推進の成功事例
小売・卸売業の会社は以下の会社が選出され、取り組みが紹介されています。
法人名 | 東証業種分類 |
双日株式会社 | 卸売業 |
三井物産株式会社 | 卸売業 |
アスクル株式会社 | 小売業 |
株式会社丸井グループ | 小売業 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
双日株式会社
双日株式会社は、総合商社として航空産業・交通プロジェクト、機械・医療インフラ、エネルギー・社会インフラ、金属・資源、化学、食料・アグリビジネス、リテール・生活産業などの幅広い事業を展開しています。同社は、2018年にデジタル革新を専門に担当する部門「デジタルイノベーション部」を新設し、DX推進に向けた社内の意識改革や業務プロセスの改善に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 社内のデジタル人材育成のための研修プログラムの実施
- 外部のデータサイエンティストと連携した社員向けのデータ活用型ワークショップの開催
- 社内のペーパーレス化を推進するためのクラウド上の電子承認システムの導入
- RPAを活用した定型業務の自動化による業務効率の改善
- AIを活用した需要予測の高度化による最適な在庫管理の実現
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、双日は社員一人ひとりのデジタルスキルの向上、業務の生産性向上を実現しました。また、デジタル技術を活用した業務の効率化や自動化により、社員の創造的な業務への注力を可能にし、新しい価値の創出につなげています。
さらに、需要予測の高度化により、適正在庫の維持と機会損失の低減を両立し、収益性の向上にも寄与しています。
三井物産株式会社
三井物産株式会社は、総合商社として金属資源、エネルギー、機械・インフラ、化学品、生活産業、次世代・機能推進の6つの業態で、幅広い事業を展開しています。同社は、2020年に新たに経営戦略として「事業価値の創造」「事業・地域オペレーションの変革」「人材戦略」を軸としたDX戦略を発表しました。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- デジタル技術を活用した商材トレーディング業務の高度化
- AIやIoTを導入した工場の自動化・スマート化による生産性向上
- ブロックチェーン技術を用いたサプライチェーン管理の効率化
- 全世界の拠点をつなぐグローバルデータ基盤の構築
- 全社横断のDX推進組織の立ち上げと人材育成プログラムの開発
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、三井物産は、デジタル技術を活用した業務の効率化や自動化を実現し、グローバルでの業務オペレーションの変革を進めています。また、AIやIoTの導入による生産性向上により、顧客への新たな価値提供につなげています。グローバルデータ基盤の構築により、全世界の拠点間でデータを連携・活用することで、意思決定の迅速化とビジネスの最適化を実現しています。
さらに、DX人材の育成と全社的なDX推進体制の整備により、変革のスピードを加速させています。
アスクル株式会社
アスクル株式会社は、eコマースを中心に、オフィス用品通販サービス「ASKUL」を運営する会社です。同社は、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革と、それを支える組織・人材づくりを両輪としたDXに力を入れています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 商品開発や需要予測へのAI活用による業務効率化と顧客体験の向上
- 自社物流センターへのロボット導入による物流オペレーションの自動化
- VRを活用した社員教育プログラムの開発と導入
- 全社的なデータ活用推進のための専門組織「データ活用推進室」の設置
- デジタルネイティブ人材の積極採用と育成を通じた組織のデジタル化
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、アスクルはAIを活用した業務の自動化と高度化を実現し、業務効率の大幅な改善と、顧客ニーズへのきめ細かな対応を可能にしています。また、物流オペレーションへのロボット導入により、大幅な省人化と品質の安定化を実現しています。VRを導入した教育プログラムにより、効果的な社員教育を実施しています。
専門組織の設置とデジタル人材の確保により、データドリブンな経営の実践と新たなビジネス価値の創出を加速しています。
株式会社丸井グループ
株式会社丸井グループは、小売業を中心に、店舗販売、カード事業、小売関連サービス事業などを展開する企業グループです。同社は、「すべての人が『しあわせ』を感じられるインクルージョンな社会の実現」をビジョンに掲げ、「ビジネス×イノベーション」と「インクルージョン」の2つの側面からDXを推進しています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 独自の与信システムを活用したFinTech事業の展開
- オムニチャネル化の推進による店舗とECの融合
- 3Dバーチャル空間による新しい顧客体験の提供
- グループ横断のデジタル人材コミュニティの形成と相互学習の場の提供
- デジタルを活用した顧客単位のマーケティングの高度化
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、丸井グループは、独自の与信ノウハウを活かした新たなFinTechサービスを展開し、グループの収益源の多様化を進めています。また、リアル店舗とECの融合による利便性の高いショッピング体験の提供や、3Dバーチャル空間による新たな顧客接点の構築にも取り組んでいます。グループ全体でのデジタル人材育成により、DXを全社的に推進する体制を整備しています。
運輸業におけるDX推進の成功事例
運輸業の会社は以下の会社が選出され、取り組みが紹介されており、そのうち日本郵船株式会社はグランプリに選出されています。
法人名 | 東証業種分類 |
日本郵船株式会社 | 海運業 |
ヤマトホールディングス株式会社 | 陸運業 |
日本航空株式会社 | 空運業 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
日本郵船株式会社
日本郵船株式会社は、海運業を主力事業としながら、不動産事業やクルーズ事業なども展開するグローバル企業です。同社は、DX推進に向けて、積極的にデジタル技術を活用したソリューションの開発に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 船舶から航海・機関データを収集・分析するクラウド型プラットフォーム「FOCUS」の開発
- 航行中の船舶のデータを可視化するアプリ「Fleet Viewer」の開発
- 船舶の環境負荷低減を目指すアプリ「Fleet Performance」の開発
- アフリカへ中古農機を販売するEコマースサイトを通じた新規事業の立ち上げ
【解決した課題・実現したこと】
FOCUSプロジェクトでは、約6,000点もの船舶データを1分間隔で収集・分析することで、船舶の運航状態や位置情報などをリアルタイムで把握できるようになりました。これにより、同社は船舶の安全運航の強化や運航の最適化を実現しています。
また、アフリカ向け中古農機販売の新規事業では、商船三井の高品質な海上輸送を活かしながら、途上国の農業生産性向上に貢献。同時に、新たなビジネスの足がかりとしても期待されています。このようにデジタル技術を積極活用することで、日本郵船株式会社は海運業の枠を超えたソリューション提供と新規事業開拓を進め、DXの実現を目指しているのです。
ヤマトホールディングス株式会社
ヤマトホールディングス株式会社は、宅急便で知られるヤマト運輸を中核企業とし、国内外で物流事業を展開する企業グループです。同社は、DXを積極的に推進し、物流サービスの高度化や新たな価値創出に取り組んでいます。
- サプライチェーン全体の最適化・可視化を実現する「SCDOS」の開発
- 輸送事業者の業務効率化と事故防止を支援する「SSCV」プラットフォームの開発
- Eコマース事業者向けに物流業務をワンストップで提供する「SWH」の開発
- 自社で開発したソリューションの外販による産業界全体のDX推進
【解決した課題・実現したこと】
SCDOSは、顧客のサプライチェーンの情報を一元管理・可視化し、課題分析から最適化までを実現するソリューションです。SSCVは、IoTを活用して輸送事業者の業務効率と安全性向上を支援します。
これら自社開発のソリューションを、多様な業種の企業に提供することで、ヤマトグループは自らの事業領域を拡大しつつ、社会全体のDXにも貢献しています。
日本航空株式会社
日本航空株式会社(JAL)は、航空運送事業を主力として、航空機整備や旅行商品販売なども手がける大手航空会社です。JALでは、お客様の利便性向上と従業員の働き方改革を目的に、DXを推進しています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 航空券予約や搭乗手続きの完全デジタル化
- スマートフォンアプリを通じた顧客体験の向上(事前の渡航書類登録、機内食予約、運航情報通知など)
- 毎日の移動でマイルが貯まるアプリ「ANA Pocket」の提供
- 移動弱者にもストレスフリーな旅を提供する「MaaSプラットフォーム」の構築
【解決した課題・実現したこと】
JALの独自アプリでは、出発時刻や搭乗口の変更、欠航時の振替便案内などをプッシュ通知。お客様にストレスなく、必要な情報を適切なタイミングで届けることを可能にしています。
また、MaaSプラットフォームの構築により、移動に不安を感じる人々へのサポート情報提供や、交通手段のシームレスな予約・決済の仕組みづくりに取り組んでいます。デジタル技術を縦横に活用し、安心で快適な移動の提供を目指すJAL。同社のDXは、人々の幸せな旅を支える重要な基盤になりつつあります。
金融業におけるDX推進の成功事例
金融業の会社は以下の会社が選出され、取り組みが紹介されています。
法人名 | 東証業種分類 |
株式会社りそなホールディングス | 銀行業 |
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ | 銀行業 |
株式会社クレディセゾン | その他金融業 |
東京センチュリー株式会社 | その他金融業 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
株式会社りそなホールディングス
株式会社りそなホールディングスは、りそな銀行などを傘下に持つ金融持株会社です。同社は、『オムニ・リージョナル』戦略のもと、リアルとデジタルを融合した独自の金融サービスを展開。金融DXをリードする存在として注目を集めています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- スマートフォンアプリを軸にしたデジタルバンキング戦略の展開
- リアルとデジタルの垣根を越えた新たな顧客接点の創出
- デジタル分野での他社協業を促進するオープンプラットフォームの運営
- データを起点とした新サービス創出とマーケティング高度化を担う「データサイエンス部」の新設
【解決した課題・実現したこと】
同社の象徴的な取り組みが、圧倒的な利便性を誇るスマホアプリの開発です。このアプリは、ローンチからわずか2年9ヶ月で300万ダウンロードを達成。継続利用率は8割を超え、アプリ内の行動分析により、金融商品の購入率が2倍に高まるなど、大きな成果を生んでいます。
株式会社ふくおかフィナンシャルグループ
株式会社ふくおかフィナンシャルグループは、福岡銀行、熊本銀行、十八親和銀行を傘下に持つ金融持株会社です。同社は、「スーパーリージョナルバンク」を標榜し、福岡県を中心とした九州エリアに強固な地盤を持つ地域金融機関です。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- デジタル戦略子会社「福岡デジタルソリューションズ」の設立
- オープンAPIを活用した外部事業者とのサービス連携
- AI搭載型ローンの開発と提供
- クラウド会計ソフト事業者との協業による地域企業のDX支援
【解決した課題・実現したこと】
ふくおかFGは、地方銀行初のデジタル戦略子会社設立により、グループ全体のDX推進を加速させています。オープンAPIでFinTech事業者とサービス連携し、利便性の高い金融サービスを次々と生み出しています。
株式会社クレディセゾン
株式会社クレディセゾンは、セゾンカードで知られるクレジットカード大手で、銀行や信販事業も手がける総合金融グループです。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- カード利用履歴などのビッグデータを活用したマーケティング高度化
- FinTech領域でのオープンイノベーション推進
- AIを活用した与信判断の自動化
- ブロックチェーン技術を用いたポイントシステムの共通化実験
【解決した課題・実現したこと】
クレディセゾンは、約2,900万人の会員データを分析し、一人ひとりに最適な商品・サービス提案を可能にしています。また、FinTech企業との積極的な協業により、QRコード決済やスマホ向けローンなど、時代のニーズを捉えた新サービスを次々とリリースしています。
東京センチュリー株式会社
東京センチュリー株式会社は、リースを中心としながら、世界中の企業とパートナーシップを組み、新たな金融サービスを提供するサービス企業です。同社は、従来の枠にとらわれない発想と最先端のデジタル技術を融合させ、金融DXをリードしています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)による業務自動化
- 「DX戦略部」の新設によるDX推進体制の強化
- サブスクリプションサービス向けの事業基盤「TCplats」の提供
- エネルギー使用の最適化を実現するサービス「エナウェイ」の開発
【解決した課題・実現したこと】
東京センチュリーは、RPAを駆使し、契約書作成などの定型業務を大幅に自動化。年間約8,000時間の業務時間を削減するとともに、テレワーク下でもスムーズな業務遂行を可能にしました。
DX戦略部の新設により、全社横断的なDX推進体制を整備。多様なバックグラウンドを持つメンバーが、既存事業の変革と新規事業開発の両面から、デジタル技術を梃子にした価値創出に取り組んでいます。
建設・不動産業のDX推進の成功事例
建設・不動産業の会社は以下の会社が選出され、取り組みが紹介されています。
法人名 | 東証業種分類 |
株式会社大林組 | 建設業 |
清水建設株式会社 | 建設業 |
東急不動産ホールディングス株式会社 | 不動産業 |
プロパティエージェント株式会社 | 不動産業 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
株式会社大林組
株式会社大林組は、建設業を主要事業とする総合建設会社です。同社は、DXの推進に向けて様々な取り組みを行っています。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- BIM/CIMの活用による建設生産プロセスの生産性向上
- droneやAI、IoTの活用による施工管理の高度化
- スマートグラスによる遠隔作業支援
- EDIシステムによる受発注業務の効率化
【解決した課題・実現したこと】
これらの取り組みにより、株式会社大林組は以下のような成果を上げています。まず、BIM/CIMの活用により、設計・施工・維持管理の各段階で3次元モデルを利用することで、関係者間の情報共有を円滑化し、生産性の向上を実現しています。
また、ドローンによる測量や点検、AIを活用した施工計画の最適化、IoTセンサーによる施工現場のモニタリングなどにより、施工管理業務の効率化と高度化を実現。品質の向上と工期短縮、コスト削減に成功しています。加えて、熟練技術者の不足という建設業界の課題に対して、スマートグラスを活用した遠隔作業支援により、熟練技術者の知見を現場に展開。技能継承の円滑化にも貢献しています。
清水建設株式会社
清水建設株式会社は、建築・土木・投資開発など幅広い分野で事業を展開する総合建設会社です。同社では、建設業界のDXをリードすべく、積極的なデジタル技術の導入・活用に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- BIM/CIMを活用したフロントローディングの推進
- 建設ロボットやAI、IoTを活用したスマートコンストラクションの実現
- VR/ARを活用した安全教育や現場管理の高度化
- ブロックチェーン技術を活用した建設トレーサビリティシステムの構築
【解決した課題・実現したこと】
まず、BIM/CIMの徹底活用により、設計段階で施工性やコストを検討し、手戻りを削減する「フロントローディング」を推進。生産性とコスト競争力の向上を実現しています。また、建設ロボットによる自動化施工やAI画像解析による出来形管理、IoTセンサーによる現場モニタリングなど、先端技術を駆使した「スマートコンストラクション」の取り組みを進めています。これにより施工の省人化と工期短縮、品質向上を実現しています。
加えて、VR/AR技術を活用した安全教育や施工シミュレーションにより、現場の安全性向上と生産性向上を両立。建設業界の重要課題である労働災害の防止に貢献しています。
東急不動産ホールディングス株式会社
東急不動産ホールディングス株式会社は、不動産開発・管理運営を中心とする東急グループの中核企業です。同社では、不動産業界のDXをリードすべく、グループ横断的なデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- デジタルツインを活用したスマートシティ開発
- AI・IoTを活用した施設管理の高度化
- VR内覧やオンライン契約など、非対面型の営業スタイルへの転換
- ビッグデータ解析による事業戦略の高度化
【解決した課題・実現したこと】
デジタルツイン技術を活用し、開発前の街区をバーチャル空間で再現。事前のシミュレーションにより、最適な街づくりを実現しています。これにより開発リスクを低減し、スマートシティのショーケースとなる高付加価値な街区開発を可能にしています。
また、AIやIoTを活用したビル管理システムにより、エネルギー使用量の最適化と予防保全を実現。ビル管理コストを削減しながら、テナントの快適性と満足度を高めることに成功しています。
プロパティエージェント株式会社
プロパティエージェント株式会社は、プロパティマネジメント事業を中心とする不動産管理会社です。同社では、DXの推進により、業務プロセスの効率化と新たな価値創造に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 不動産管理業務のクラウド化による業務効率の向上
- IoTセンサーを活用した設備管理の高度化
- AIを活用した入居者向けサービスの拡充
- RPAによる定型業務の自動化
【解決した課題・実現したこと】
不動産管理業務をクラウド化することで、物件情報や契約情報などのデータを一元管理。どこからでもリアルタイムにデータにアクセスできるようになり、業務効率が大幅に向上しました。
また、管理物件にIoTセンサーを導入し、設備の稼働状況をリアルタイムに把握。予兆保全による設備トラブルの未然防止と、最適なメンテナンススケジュールの策定を可能にしています。
保険業におけるDX推進の成功事例
保険業の会社は以下の会社が選出され、取り組みが紹介されています。
法人名 | 東証業務分類 |
MS&ADインシュアランスグループ ホールディングス株式会社 |
保険業 |
東京海上ホールディングス株式会社 | 保険業 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社
MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社は、国内損害保険事業を中核とする保険持株会社です。同社では、グループ全体でDXを推進し、新たな保険ビジネスモデルの創出とオペレーションの効率化に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- AI等のデジタル技術を活用した商品・サービス開発
- デジタル技術を活用した損害サービス業務の高度化
- 業務プロセスのデジタル化によるペーパーレス化の推進
- デジタル人材の育成と外部人材の登用によるDX推進体制の強化
【解決した課題・実現したこと】
AIを活用したチャットボットの導入により、保険相談や事故受付業務を自動化。24時間365日、顧客からの問い合わせに迅速に対応できる体制を整え、顧客利便性の向上と業務効率化を実現しています。
また、ドローンを活用した損害調査により、立ち入りが困難な災害現場などでも迅速かつ安全に被害状況を把握。迅速な保険金支払いを可能にしています。
東京海上ホールディングス株式会社
東京海上ホールディングス株式会社は、国内損害保険事業を中心とするグローバルな保険グループの持株会社です。同社では、グループを挙げてDXを推進し、デジタル技術を活用した新たな価値創造に取り組んでいます。DX推進に向けた具体的な取り組みは以下の通りです。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- データ活用とデジタル技術を駆使した新商品・サービスの開発
- AIを活用した業務プロセス自動化の推進
- デジタルマーケティングによる顧客接点の強化
- デジタル人材の確保と社内DX人材の育成
【解決した課題・実現したこと】
ビッグデータ解析とAIを活用し、個人の運転特性に基づく自動車保険料の割引サービスを開発。テレマティクス技術を用いた新たな保険サービスで差別化を図っています。
また、AIを活用した画像認識技術により、自動車事故の車両損傷状況を自動査定。迅速な保険金支払いを実現しています。
その他業種におけるDX推進の成功事例
その他業種の会社として以下の会社が紹介されています。
法人名 | 東証業種分類 |
凸版印刷株式会社 | その他製品 |
大日本印刷株式会社 | その他製品 |
ソフトバンク株式会社 | 情報・通信業 |
H.U.グループホールディングス株式会社 | サービス業 |
経済産業省:「DX銘柄2023」「DX注目企業2023」「DXプラチナ企業2023-2025」を選定しました!
凸版印刷株式会社
凸版印刷株式会社は、印刷を中核とする総合情報コミュニケーション企業です。同社では、DXを全社戦略の柱に据え、事業構造の変革と新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- デジタルマーケティングビジネスへの注力
- IoT、AIを活用した製造工程の自動化・効率化
- AR/VRなどのxRソリューションの開発
- 社内のデジタル人材の育成と外部人材の獲得
【解決した課題・実現したこと】
デジタルマーケティング領域において、データ解析力と独自のソリューションを武器に、顧客企業のデジタルシフトを支援。広告関連ビジネスの収益化を推進しています。
また、製造現場にIoTセンサーを大規模導入し、AIを活用した生産ラインの自動制御を実現。生産性の飛躍的な向上とコスト削減、品質安定化に成功しています。
大日本印刷株式会社
大日本印刷株式会社は、印刷技術を核とする総合印刷会社です。同社では、DXを経営の最重要テーマに掲げ、事業構造の転換と新たな価値創造に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- 電子出版プラットフォームの強化
- データ分析を活用したBPO事業の拡大
- AIを活用した製造工程の自動化・最適化
- 外部パートナーとの協業によるDXソリューションの開発
【解決した課題・実現したこと】
電子出版プラットフォーム「honto」を強化し、電子書籍市場におけるプレゼンスを拡大。AIを活用した書籍レコメンデーションなども実装し、ユーザー満足度の向上を実現しています。
また、膨大な顧客データを活用したマーケティング支援や、業務プロセスの可視化・分析によるBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業を拡大。デジタル領域での収益基盤を強化しています。
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社は、移動通信サービスを中核とする通信事業会社です。同社では、「Beyond Carrier」戦略のもと、DXを推進し、通信事業の枠を超えた新たな価値創造に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- AIやIoTを活用した新サービスの開発
- 5Gネットワークを活用したソリューション事業の拡大
- 社内業務のデジタル化による生産性向上
- グループシナジーを活かしたDXビジネスの推進
【解決した課題・実現したこと】
AIを活用した法人向けソリューションとして、業務自動化や需要予測などのサービスを開発。企業のDX推進を支援する新たなビジネスを拡大しています。
また、5Gの超高速・大容量・低遅延という特性を活かし、スマートファクトリーやスマートシティ、自動運転などの分野で、先進的なソリューションの開発と実装を推進。5G時代のリーディングカンパニーとしての地位を確立しつつあります。
H.U.グループホールディングス株式会社
H.U.グループホールディングス株式会社は、臨床検査や医薬品開発支援を手がける医療関連企業グループです。グループ全体でDXを推進し、医療の品質向上と新たな価値創造に取り組んでいます。
【DX推進に向けた具体的な取り組み】
- AIを活用した臨床検査の高度化
- 医療ビッグデータを活用した創薬支援
- オンライン診療プラットフォームの提供
- グループ全体でのデジタル人材の育成
【解決した課題・実現したこと】
AI画像認識技術を用いて、血液検査等の診断支援システムを開発。検査の精度向上と業務効率化を実現し、医療の質向上に貢献しています。
また、グループで保有する膨大な医療データを活用し、製薬企業の創薬プロセスを支援。新薬開発の効率化とコスト削減に寄与しています。
企業の活用事例からわかるDX推進の成功ポイント
紹介した各社の事例から、DX推進の成功ポイントをまとめると以下の通りです。
- DXを経営戦略の中核に据え、トップのリーダーシップのもとDXを強力に推進する
- 業界の垣根を越えて、デジタル技術の活用により新たな価値創造を図る
- 既存業務の効率化だけでなく、新規ビジネスモデルの創出により事業構造の変革を目指す
- データを資産と捉え、AIなどのデジタル技術で徹底活用することで競争優位の源泉とする
- 外部との連携・協業により、イノベーション創出スピードを加速させる
- 社内のデジタル人材の育成と、外部人材の登用を両輪で進める
成功企業に共通していたのは、DXを経営の最重要課題と位置づけ、経営トップのリーダーシップのもと、全社一丸となってその実現に向け邁進していることでした。
また、デジタル技術の導入による業務効率化やコスト削減といった守りのDXに留まらず、新たな製品・サービス、ビジネスモデルの創出といった攻めのDXにも果敢に挑戦。自社の事業領域の枠を越えた価値創造への意欲が感じられました。そして、DXの源泉であるデータの徹底活用にも注力。データをビジネス上の資産と位置付け、AIなどのデジタル技術を駆使して競争優位の源泉へと昇華させています。
加えて、オープンイノベーションの発想で、ベンチャー企業やスタートアップとも連携。外部とのコラボレーションで変革のスピードを加速させている点も共通項でした。これらのDXを推進する原動力となるデジタル人材の育成・獲得にも余念がありません。社内人材のリスキリングと、外部人材の登用を二本柱で進めている企業が目立ちました。
まとめ
本記事では、製造業、小売・卸売業、運輸業、金融業、建設・不動産業、保険業など多岐にわたる業界のDX推進事例を紹介しました。先進企業の取り組みからは、経営戦略へのDXの組み込み、データとデジタル技術の徹底活用による新たな価値創出、全社的な変革の必要性など、DX成功のポイントが浮かび上がります。
DXの本質は競争優位の確立にあり、その実現には経営トップのコミットメントと、全社一丸となった変革への挑戦が欠かせません。
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