DNN(ディープニューラルネットワーク)の仕組みと機械学習・CNNとの違い
最終更新日:2024/01/29
DNNは、人の脳神経細胞の仕組みをコンピューターで再現し、高精度の答えを導き出すことを可能にしたディープラーニングの一種です。しかし、名前は聞いたことがあっても具体的にどのようなものかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで、こちらではDNNの基本を詳しく解説します。これからDNNについて理解を深めたい方に役立つ情報を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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ディープラーニングとは?特徴や仕組み、活用事例をわかりやすく解説
DNN(ディープニューラルネットワーク)とは
DNNとは、Deep Neural Networkの略で、ディープラーニング(深層学習)の一種です。人工的に作られた人の脳神経細胞の仕組みをコンピューターで再現し、機械が人間のような深い思考を行うことを可能にしています。
そのため、DNNを活用した機械は、従前よりも精度の高いパフォーマンスを行えるようになるのが特徴です。ディープラーニングやAI(人工知能)の発展に欠かせないものであり、高い注目を集めています。
DNNの仕組み
DNNは、入力層・中間層・出力層の複数層で構成されています。従来のニューラルネットワークは中間層が1層のみでしたが、ディープニューラルネットワークは2層以上の中間層で構成されており、複雑な情報の処理にも対応できるのが特徴です。前の層から伝達された情報と過去のデータなどを基に、より高い精度の答えを導き出していきます。
例えば、コンピューターに入力した画像にどのような動物が写っているのか判別させたい場合を例に考えてみましょう。入力層に画像を入力すると、次の層では画像に写った動物の色や形を認識し、次の層では過去データから類似した動物がいないか検索します。そして、最後の層で画像の動物が何であるか答えを導き出すのが基本の流れです。
なお、過去データの中から類似データを探す過程では、機械の学習が行われています。多くの学習データを蓄積すれば、その分だけニューラルネットワークもより多く張り巡らされるようになり、答えの精度を上げられるようになります。
DNNと機械学習・CNNの違い
DNNは機械学習の一部です。また、CNNはDNNと同様にディープラーニングの一種に数えられます。DNNと機械学習やCNNとの違いは、以下の通りです。
- 機械学習:機械に大量のデータを読み込ませ、パターン学習を行うことで未知のデータの判別規則を確立するデータ解析技術
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク):畳み込み層とプーリング層を有したニューラルネットワークのことであり、主に画像認識で用いられる
DNNは、機械学習と比べてより精度の高い学習能力と特徴量の抽出能力を備えている点が違いです。特徴量とは、コンピューターが物事の違いを判別するための特徴を数値化したものを指します。
機械学習の場合、データを判別するためのモデル構築において人が特徴量を開発する必要があります。一方で、DNNは人が特徴量を開発する必要がありません。アルゴリズムに入力されたデータから、自動的に判別に必要な特徴量を学習していきます。そのため、人が見つけられない特徴を発見することも可能です。
CNNにおけるDNNとの違いは、畳み込み層とプーリング層があるという点です。CNNでは、畳み込み層とプーリング層でデータの特徴量の抽出を繰り返し、全結合層で最終的なデータ判別と意思決定を行います。CNNはDNNと比べて画像に特化した仕組みを備えており、主に画像認識の分野で活用されています。
DNNはどのように活用できる?
現代社会において、DNNは主に以下のようなシーンで役立てられています。
【DNNの活用事例】
- ECサイト
- レストラン
- 農業
- 自動運転
- 医療
上記のように、実は日常生活のさまざまなところでDNNは活用されています。ECサイトで表示される「おすすめ商品」や、AIを活用したスマート農業、車の自動運転技術など、あらゆるシーンでDNNを基礎とした技術が取り入れられているため、詳しく確認してみましょう。
ECサイト
ECサイトでは、レコメンド(おすすめ)機能においてDNNが活用されています。従来のレコメンド機能では、ECサイトにアクセスした人が閲覧したり、購入したりした商品データを基に「おすすめ商品」などの有益な情報を表示していました。
しかし、サイトにアクセスしたことのない人は閲覧や購入のデータがないため、最適なレコメンドを行うことは困難です。そこでDNNを活用すれば、中間層で抽出した商品の特徴を基に、ECサイト上に閲覧や購入の記録がなくても訪問者の行動からおすすめ商品を提示できるようになります。
訪問者のニーズに合致したおすすめ商品が表示されれば、売上アップにつなげられるでしょう。
レストラン
レストランにおいては、配膳AIロボットの導入が注目されています。従業員と客それぞれの目線から確認を行いつつ、配膳や下げ膳、案内まで行えるため、人手不足が問題視されている飲食業界でさらなる発展が期待できるでしょう。
また、天井に取り付けたカメラが料理を認識し、最適なプロジェクションマッピングで空間演出を行うユニークな試みにもDNNが活用されるようになりました。DNNの学習能力を活用することで、膨大な量のデータ設定を行わなくても高精度の識別が可能になり、料理に合わせた個性的な演出を楽しめるようになっています。
農業
高齢化や人材不足が問題となっている農業では、作業の効率化にDNNを用いたAIロボットが役立てられています。例えば、AIを搭載したドローンによる農薬散布や、AIを組み込んだ自動野菜収穫は作業を効率化し、農家の負担を軽減したい場合に最適です。
また、データ学習を通して水やりの時期や収穫時期の目安を判断するAI技術も注目されています。水やりや収穫の時期は熟練の農家のみが知り得るノウハウでしたが、AIを活用することで農業初心者でも的確な判断が可能になり、美味しい野菜や果物を作れるようになるでしょう。
自動運転
DNNを用いた手法は、自動運転技術でも活用されてきました。道路状況や天候の予測を識別するセンサーにDNNを取り入れることで、人間と同様の運転が可能になるといわれています。
例えば、車に搭載したセンサーが蓄積した学習データを基にして、人が運転しているときに行う認知・判断・操作を自動で行えるようになります。
また、運転手の表情や姿勢から運転のサポートを行う技術も開発されています。運転手の居眠りを検知した際にはアラームで警告するなど、安全な運転を可能にするシステムの開発が進んでおり、今後もさらなる発展が期待できるでしょう。
医療
医療分野においては、画像処理でDNNが取り入れられています。精度の高い画像処理ならば、人の目では確認することが難しい小さな病気の兆しも早期に発見できるといわれています。
膨大なカルテの診断を下さなければならない場合も、DNNを用いたAI解析を役立てれば、時間や手間の削減に繋げられるでしょう。高齢化や人材不足などが原因で多忙を極める医療現場も、DNNを使ったAI技術の導入で迅速かつ正確な診断と作業量の軽減の実現が期待されています。
DNNを利用したディープラーニングの課題
DNNを利用したディープラーニングには、利点がある一方で課題もあります。主な課題は以下の通りです。
【DNNを利用したディープラーニングの課題】
- 結果の根拠が不明瞭
- 導入コストが高額
- 人間のような複雑な環境はまだ理解できない
利点だけでなく課題も把握したうえで、適切にディープラーニングを扱うことが大切です。課題の詳細については後述していますので、参考にしてみてください。
結果の根拠が不明瞭
ディープラーニングでは、人が扱いきれないほどの膨大なデータから分析を行って結果を出すため、どのようにして結果が出たのか根拠を辿ることができません。そのため、根拠が不明瞭なままディープラーニングによる結果を利用することになります。
例えば、ディープラーニングによる結果が致命的なミスを誘引した場合でも、結果の根拠が不明瞭だと原因を見つけることは非常に困難です。医療現場や自動運転など人の命に関わる分野では、ミスの原因を見つけられないことは重大な課題点となります。
ただし、近年はこの課題に対する研究が進んでおり、実装もスタートしているため、解決される日は近いかもしれません。
導入コストが高額
ディープラーニングの導入にあたっては、設備や環境構築、エンジニアの人材確保などで高額のコストがかかります。また、初期投資だけでなく、ディープラーニングの精度を上げるためのメンテナンスをはじめとしたランニングコストも発生するため注意しましょう。事前に予算を決め、無理のない運用ができるよう計画を立てる必要があります。
人間のような複雑な感情はまだ理解できない
ディープラーニングは人の神経回路をベースに作られていますが、複雑な感情までは理解できません。そのため、現時点においては倫理的な問題の解決には人が介入する必要があります。また、相手の気持ちを理解しなければならないマネジメント業務や、教育分野の業務を行うのも難しいでしょう。
まとめ
DNNは、複雑な課題にも精度の高い答えを導き出せるディープラーニングの一種です。近年はレストランや農業、自動運転、医療など身近な分野でもDNNを用いたAI技術が役立てられるようになっています。高齢化や人材不足といった現代社会の問題解決にもDNNが有用だといわれており、今後もさらなる発展が期待できるでしょう。ただし、結果の根拠が不明瞭だったり、コストがかかったりといった課題点もあるため、DNNについてきちんと理解したうえで有効活用することが大切です。
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