生成AI
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最終更新日:2024/04/04
日本企業や金融機関、公的機関で叫ばれる業務効率化。その壁のひとつとなっているのは「ペーパーレス化」であることは間違いありません。昨今は、OCR(光学認識技術)を活用して手書き伝票などを電子データ化し、RPAによる自動化を進める事例も出ていますが、従来型のOCRにはさまざまな弱点も見受けられます。今回は、OCRとAIを組み合わせることで、一歩進んだ帳票のデータ化に取り組む事例をまとめました。
従来、OCR活用の目的は定型的な帳票の読み取りとデータ化にありました。金融機関の申込書など定型書式の帳票はそれで問題ありませんが、例えば取引先から送られてくる請求書などの紙データを電子化したいとなると、無数の書式に対応しなければならないことになります。また、定型書式であっても一部が変更されるなど、可変明細に対応できないという問題があります。
OCRの活用の幅を広げるには、非定型帳票にも対応しなければなりません。
また、認識精度の低さも課題です。手書き文字は人によってさまざまなクセがあるため、精度の低いOCRでは認識できないこともありました。とくに、FAXで受信した帳票は文字の縮小やつぶれなどで可読性が低くなります。
そこで、昨今ではOCRの活用範囲を広げるためにAIの導入が進められています。AI-OCRは入手した大量の文字データをAIがディープラーニング(深層学習)によって習得し、読み取り精度を高めます。
NTTアドバンステクノロジ社が2019年5月に発表したAI-OCRソフトウェア「AIRead」は、日本語や数字だけでなく英語や中国語も読み取り可能です。
手書き文字は、日本語、英語、数字が読み取れ、活字は日本語、英語、数字のほかに、中国語(簡体字、繁体字)も可能です。また、同年7月には中国語の手書き文字も読み取れるようになるとのことです。
開発の背景には、オフィス業務の効率化でRPAの導入が進んでいるにもかかわらず、紙文書が介在する作業が多いことがあります。同社はRPAソフトウェア「WinActor」を開発・提供しており、AIを活用したOCRによって手書き文書の読み取り精度を高め、RPAの導入を進めるとしています。また、海外においても日本と同様に紙文書のデータ化と事務作業の自動化に課題を抱えている例は少なくないため、需要が見込めるとしています。
ペーパーワークが多い組織として真っ先に挙げられるのは、自治体など公共機関でしょう。
NTTデータが東京都町田市、福島県郡山市、千葉県市川市、茨城県つくば市、横浜市、福岡市の6市と実施したAI-OCRソフトウェアの実用検証では、正読率が93.30%を記録し、かなりの有用性があることが証明されています。
同検証では、介護、広報、国民健康保険(国保)、税、選挙、会計・契約の申請書・証明書といった73種類の帳票の約7万5000文字を読み取り、正読率を調査。9割超という高確率を叩き出したことで、自治体のあいだでもその有用性を認める声が広がり、導入検討の機会が増えているといいます。実際に、千葉県市川市では、19年度にRPA導入予算を確保し、本腰を挙げて取り組み始めています。
自治体のほか、大学事務や金融機関など、ペーパーワークの多い組織を中心に、AI-OCRやRPAの導入による作業の効率化が進んでいます。
AI-OCRによって非定型帳票や手書き文字の認識精度が高まれば、さらにその活用事例は増えていくことでしょう。
少子高齢化による人口減で労働力の減少が進み、業務の高付加価値化が求められる中で、「スマート事務」の実現に期待がかかります。
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