【インタビュー】トライ&エラーが効果を最大化するのに重要なプロセス ボイスボット「CTC-AICON」
最終更新日:2024/01/22
※本記事は伊藤忠テクノソリューションズ株式会社の寄稿記事です。
段階的に導入することで、
お客様の不安を少しでも軽減する
左から
野沢 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
白石 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
福田様 損害保険ジャパン株式会社
小林様 損害保険ジャパン株式会社
損害保険ジャパン福田様
世の中の流れを見て、私たちもDXを進めようと舵を切りつつありました。
しかし、依然電話による問い合わせが多く、電話対応コストの削減についてはノウハウも持っていない、その点がボトルネックでした。
またオペレータの人材確保難も非常に大きな課題であり、トータルで解決できる仕組みやサービスを探している中でCTC-AICONに出会いました。
インタビュアー
ありがとうございます。
CTC-AICON導入を決めたポイントを教えてください。
損害保険ジャパン福田様
導入を決めたポイントはCTC-AICONであれば、私たちの業務改善が実現できると感じたから、そして安定的に稼働ができると感じたからです。
認識精度や、用件分析の精度も高く、何よりもやはり業務設計のしやすさがポイントでした。
私たちの業務フローになじむようにカスタマイズできるという事を丁寧にご説明頂き、導入を決めました。
CTC野沢
ご決断されたタイミングではボイスボットが世の中にまだ浸透しておらず、損保ジャパン様としても先進的な取り組みでした。
CTC-AICONを導入した結果、業務が混乱しては意味がないので、慎重に話し合いを繰り返しながら開発し、ソフトランディングしました。
CTC-AICONは自由にカスタマイズできて、段階的に導入が可能な作りにしていますので、お客様の受け止め方などを含め、悪い影響が出ないように提案と検証を繰り返して導入を進めました。
損害保険ジャパン福田様
そうですね。
世の中に事例が少ない事もあり、社内でも不安の声はありました。
例えば、お客様は人が応対すると思って電話をかけてきます。
それがAIでの自動応対となった場合、どのような感情を抱くのだろうかといった不安がありました。
しかしCTC-AICONでは、お客様の反応を確認しながら段階的な導入をする事ができたため、不安を払拭できました。
常に顧客体験を中心に設計していくことが
満足度につながる
損害保険ジャパン福田様
プロジェクトの初期段階は、基本的に私たちのやりたいことをひたすら要望としてお伝えしました。
素人目線で様々なことをCTC様に質問させて頂きましたが、その都度丁寧に答えて頂きました。
私たちの要望を実装した場合に起こり得る、別の問題などもキャッチアップしてくださったので、私たちとしてはどうすれば現状よりも良くできるのかという事を考え、全ての要望をお伝えしました。
CTC白石
私たちのサービスは「一緒に創り上げていく」という考えが根底にあります。
世の中にまだ浸透していないボイスボットの導入となるため、私たちもある程度、現場からの抵抗感や拒否反応を覚悟してプロジェクトを始めます。
しかし、損保ジャパン様は導入に対して非常に前向きに取り組んで頂き、現場のみなさまからご意見もたくさん頂きました。
その現場のみなさまのご意見がCTC-AICON導入を成功に導きました。
私たちとしても非常に勉強になりましたし、スムーズに最初のフロー設計ができました。
CTC野沢
顧客企業によって様々な対応フローがありますので、特有の事情やお客様の状況によってうまくいかないケースもあります。
私たちもそのようなケースをゼロにする事を目標に現場の業務を細かく紐解きました。
「現在の人による対応をAIに置き換えた場合、どのように対応すれば現行のオペレーションフローを崩さずに済むか」など、かなり細かく検討を行いました。
インタビュアー
CTC-AICONは二人三脚で徹底的に検討し、創り上げていったのですね。
今回のプロジェクトで特に印象に残る出来事はありましたか?
CTC白石
本人認証についての判断が印象的でした。
損保ジャパン様では、保険内容のメンテナンスや更新を行う際にキーとなる、保険証券番号という契約固有の重要な番号があります。
この番号は数字だけではなく、アルファベットも含まれます。
このような情報を扱う場合、お客様の発音の仕方やイントネーションによって、稀にAIが正しくテキスト化できない事象が発生します。
この情報を正しく取得しようとした場合、自動音声で「頭文字がMの人は1を、Nの人は2を」といったフローになります。
そうすると、お客様の体験は悪化し「面倒」と感じます。
損保ジャパン様は、その特定の番号が不確かでも名前や住所などのデータと照合し、アフターコールワークの中でお客様を特定してニーズを解決する方向に舵を切られました。
インタビュアー
損保ジャパン様がそう判断された背景を教えてください。
損害保険ジャパン福田様
顧客体験を第一に考えて判断しました。
白石さんがおっしゃったようにお客様が「面倒」と感じられる事を徹底的に減らしたかったのです。
お客様に面倒な操作を強いてまで情報を完璧に収集しようとせず、一部の情報であってもまずは自動受付を行い、後から整合を取ることとしました。
CTC-AICONを導入する前は、お客様とのやり取りが終了するたびにヒアリング内容を記録し、後処理を担当する要員に引き継いでいました。
その際、聞き取りにくかった内容については、録音音声を最初から聞き直して正しく把握していました。
CTC-AICON導入後は、お客さまとやり取りした内容が自動でテキスト変換され、一度にまとめて後処理できるようになるなど、アフターコールワークについても効率化できた上に、一人一人のキャパシティも拡大しました。
お客様の体験を重視した結果、最終的に一石二鳥となった判断でした。
CTC野沢
今の録音音声のお話を少し補足します。
CTC-AICONには、お客様が話した音声をピンポイントで再生できる機能があります。
音声を全部録音しているボイスボットは多くありますが、それがどこの話なのかは自分でシークを変えて、特定の音声を探し出す必要があります。
CTC-AICONではお客様の発話をテキスト化しており、ピンポイントで再生・確認することができます。
このような機能でアフターコールワークの利便性も向上できました。
CTC白石
私たちはトークタイムの短縮を重要なKPIにしていますが、様々な顧客企業に導入して頂く中で、アフターコールワークの効率化にも貢献できることがわかってきました。
しかし、そもそも顧客企業の業務のご要望に対して、やり取りを丁寧に抽出していかないと付随的な効率化はできません。
ひとつひとつのオペレーションを短く最適化していく、損保ジャパン様のプロジェクトではそれが実現できました。
自動化による一番の結果は
お客様に対して価値創造できること
損害保険ジャパン福田様
CTC-AICONを導入することによって付加価値の高いサービスを提供できるようになった事が、非常に大きな成果だと感じています。
今まではお客様をお待たせしている意識もあり、お客様の見えている課題を解決して終了という応対になりがちでした。
CTC-AICON導入による自動化により、時間に対する気持ちの余裕ができた結果、お客様のご契約状況を見て「この特約を付帯した方がより良いサポートができる」など、付加価値の高いコンサルティング対応の提供が実現されつつあります。
自動化によって対応業務が減ったと喜んでいるだけではなく、価値創造的なサービスにシフトできているという事は、私たちにとって大きな意味があります。
インタビュアー
ありがとうございます。
ロイヤルティを上げていくために、自動対応の品質と価値創造的なサービスと、どちらも高めていかなければならないと思うのですが、実際にCTC-AICONを導入された後、お客様の声にはどのようなものがありましたか?
損害保険ジャパン福田様
CTCーAICONで対応した約90%のお客様から、自動応対の内容を問題なく理解できたという回答を頂きました。
フリーコメントも頂くことがあり「今まで結構待ったりしたが、迅速に対応してもらえて非常に良かった」や「最初不安を感じたが、スムーズに対応してもらえてとても良かったと思います」など、利便性を評価するような声を非常に多く頂いています。
CTC野沢
ありがたい事ですね。
やはり現場の方々の協力が非常に大きかったなと改めて感じています。
実際に現場で電話対応されている方の伝え方が、CTC-AICONになったらお客様はこう思うのではないかなど、ご意見をたくさん頂き、その上でコミュニケーションをデザインしました。
現場の実際の事例を細かく教えて頂き、それをシステムに落とし込むことができたので、ご満足いただける形に仕上げられたと感じています。
損害保険ジャパン福田様
現場からの意見をCTC様がすぐにシステムに反映してくださり改善を確認できたので、現場が「私達の言った通りになった、よくなっている」という実感を持ちながら進めることができました。
プロジェクト全体で良い循環が生まれたと思います。
CTC野沢
私たちもその感覚をもって頂くことを大事にしています。
私たちは現場のことを知りませんし、損保ジャパン様の業務のことも深く知りませんでした。
対話を繰り返すことにより、私たちはITの知識を提供し、現場の人からは業務の知識を提供して頂き、より良いものを作り上げるという良い循環ができたと感じています。
より良いものを作りたいという熱量を高いレベルで維持できた結果だと思います。
損害保険ジャパン福田様
ディスカッションを重ねながら共創していったという感じでした。
野沢さんがおっしゃる通りキャッチボールが非常に重要でした。
プロジェクトを進める上でベクトルが合っていなければ、ここまで高い結果は出せなかったと思います。
同じゴールに向かってアイデアを出し合って進めることで良い結果につながりました。
今回のプロジェクトにおいても定期的なセッションで目線合わせを行ってくださいました。
まだ良くできる。
という想いに全力で応える
CTC野沢
最初のローンチ時は期待していたほど自動応対率は高くありませんでした。
そこでボトルネックをすべて数値化し見える化を行い、自動化率が落ちている原因について深く分析し改善していきました。
例えるなら、最初はパイプに穴が開いている状態でした。
水が流れ出しその穴から水が漏れ出すとそこを直すのですが、そうするとまた別の穴から水が漏れる。
それら全部の穴をふさいでスムーズに流れるようにしていく、そのような進め方で改善していきました。
インタビュアー
ありがとうございます。
ローンチ当日、損保ジャパン様はどのような心境でしたか?
損害保険ジャパン小林様
ローンチ当日は午前中と午後と常に連携を取りあっていましたので、安心して過ごしておりました。
お客様からの問合せ内容も丁寧に聞いて頂いて「こんなケースがありました」とご報告頂きました。
CTC-AICONが応対に詰まったところや対応がスムーズにいかないところがあった場合も、迅速に「ここ直しますか?」と解決策を添えてフォローもして頂き、結果として大きなトラブルはありませんでした。
CTC白石
ローンチ後のチューニング期間は、より良くするために何をするかという方向に舵を切り、毎日1時間ぐらいお電話していました。
3ヶ月のチューニング期間の間に、CTC-AICONの応対フローはローンチ時とは大幅に変化しています。
損害保険ジャパン小林様
チューニング後、応対フローはとてもよくなりました。
細かい話では「何秒で切った方がいい」「もう少し説明を短縮させる」「難しい長い質問部分は少し早めに話す」など、細かい調整を行いました。
CTC野沢
人ではなくAIによる案内なので、先にやり取りにどれぐらいの時間がかかるか、どうなったら終わるかなどをお伝えしないと、お客様心理としては「いつ終わるのか」という気持ちになりかねません。
そこで「5分程度で終わります」など冒頭でお伝えすることで応対完了率が高くなります。
そういった検証を何千回と繰り返し、ブラッシュアップしました。
損害保険ジャパン福田様
それから冒頭のガイダンスで「お手続きの情報を順番にお伺いして、手続きを受付しましたというご案内を以って(もって)受付完了となります」と最初に応対の流れを明確にすることで、劇的に離脱率が減りました。
こういった内容を毎週ミーティングの中で話し合い、改善しました。
離脱ポイントの改善や、より良くするにはどうしたらいいかなどを話し合いました。
非常に手間はかかりますが、それをやることによって大きな成果に繋がることを実感していましたので、最後まで熱量高く進めることができました。
CTC白石
CTC-AICONを導入することによるコスト削減は重要なKPIとなりますが、それだけではありません。
私たちはコスト最適化という表現をしています。
オペレータ業務を減らすことだけではなく、質の高い仕事に集中して頂きたい、人にしかできないことは人が対応し、定型的な対応はCTC-AICONが代行するというのが元々のコンセプトです。
損保ジャパン様ではまさにそのコンセプトを体現して頂けたと感じています。
引き続きCTC-AICONを使い倒して頂けると嬉しいです。
損害保険ジャパン福田様
そうですね。
CTC-AICONのようなシステムを導入すると全自動化によるコスト削減を目的にしてしまいがちです。
でも私たちはお客様と一緒に親身になって、より良い関係を築いていくということが大事だと考えています。
そのような考えを無視して全自動化や、コスト削減だけを目的にしてしまうと、顧客満足度が下がり、逆にオンライン化が進まないというジレンマに陥るケースも聞きます。
ITがどれだけ進化してもデジタルと人との最適な融合がこれからの時代の中で重要だと思います。
そのような設計思想でシステム導入をしないと、人もシステムも共倒れになります。
この点でも、CTCの皆様と私たちの考え方が非常にマッチしていたため、結果として良いものができたと感じています。
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