ChatGPTで翻訳を行う場合のメリットとは? 注意点や人力翻訳の方が良い場合を解説
最終更新日:2024/06/11
ChatGPTは、人間のように自然な言葉で応答ができる最先端の生成系AIサービスです。質疑応答をはじめ、文章の作成・添削、プログラミングまでこなすChatGPTですが、その多様な活用法のひとつに多言語翻訳があります。本記事では、翻訳にChatGPTを使うメリットや注意点などを解説します。
ChatGPTで翻訳を行う場合の3つのメリット
ChatGPTにとって、翻訳は数ある使い方のひとつに過ぎません。しかし、それでもChatGPTを翻訳に活用することは、人力や従来の機械翻訳に頼るのと比べて明らかな利点があります。ChatGPTを翻訳に活用する主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
翻訳精度が高い
ChatGPTの翻訳精度は、Google翻訳などの従来から存在する機械翻訳と比べても非常に高い水準です。「〇〇を日本語にしてください/以下の文章を和訳してください」といったシンプルな指示でも、ChatGPTは迅速に自然な日本語へ翻訳をしてくれます。
また、特筆すべきは多様なプロンプト(命令文)に対応できる柔軟性です。ChatGPTにはユーザーの要求に応じて、翻訳時の口調や文章の平易さを調整する能力が備わっています。特殊な訳し方を要する単語についても、「〇〇は××と訳してください」と指示を出せば、その通りに翻訳してくれます。
これにより、フォーマルなビジネス文書からカジュアルなコミュニケーションまで、目的や文脈に合わせて最適な訳文を作ってもらうことが可能です。ユーザーのさまざまなニーズへ即座に対応できるこの柔軟性は、従来の翻訳ツールとは一線を画すChatGPTならではの強みです。
翻訳が早い
翻訳の正確さだけなら、ネイティブスピーカーやプロの翻訳家などに頼めば解決する問題ではあります。しかし、ChatGPTは上記の翻訳精度と柔軟性を持ちつつ、機械翻訳ならではのリアルタイムに近い翻訳速度も誇っています。そのため、外国語によるメール文の作成や情報収集など、それほど長い時間をかけられない用途にも迅速に対応可能です。
さらに、ChatGPTで翻訳した文章が気に入らない場合も、[Regenerate]ボタンを押せば即座に別の訳文を提示してもらえます。先述の通り、具体的な要望がある場合には、それに従って翻訳を修正してもらうことも可能です。このようにさまざまなバージョンの訳文を瞬時に作成することは、プロの翻訳家にもできません。ChatGPTの迅速な応答性は、ビジネスにおいて円滑な業務進行やコミュニケーションを可能にします。
誰でも簡単に多言語を使える
ChatGPTのメリットのひとつに、誰でも簡単に多言語翻訳ができることが挙げられます。従来の機械翻訳ツールでは、翻訳を行うとき「韓国語→日本語」のように、ユーザー側で翻訳元と翻訳先の言語を毎回選択する必要が基本的にありました。
しかし、さまざまな資料を調べる中では、その言語がそもそも何語なのかも分からない状況がありえるので、この制約は時折不便に感じます。あるいは、英語資料の一部に他言語(たとえばドイツ語)の単語や文章が使用されている場合などは、その部分だけを抜き出して「ドイツ語→日本語」に翻訳する手間が必要です。
しかし、ChatGPTならば、そのような選択操作は必要ありません。たとえユーザーがその言語の種類を理解していなくも、翻訳したい文章をそのまま入力し、「日本語に翻訳して」と依頼するだけで、ChatGPTは自動的にその言語を識別し和訳してくれるからです。このように、ChatGPTは誰でも簡単に言葉の壁を超えることを可能にします。
ChatGPTの翻訳精度が高い理由
ChatGPTの翻訳能力は、従来の機械翻訳ツールと比べても際立っています。では、その高い精度はどこから来るのでしょうか。以下では、ChatGPTの高い翻訳精度を可能にする理由を解説します。
学習データの量が多いため
ChatGPTの翻訳精度が高い大きな要因は、学習データの量の多さにあります。AIの機械学習は、基本的に学習データが多いほど効果も大きくなるのが特徴です。その点、ChatGPTは学習元となるテキストデータとして、インターネット上の膨大なデータを活用しています。その結果、ChatGPTはさまざまな文脈やニュアンスに対応した表現力や、非常に豊富な語彙を持つこととなりました。
自然言語処理(NLP)を用いているため
ChatGPTが高い翻訳精度を持つもうひとつの要因は、最先端の自然言語処理(NLP)技術の採用にあります。NLPは、人間が日常的に使う言語をAIに理解させる技術です。ChatGPTはこのNLPを用いて、入力される文の構造や繋がり、意味、ニュアンスまでを理解しています。その結果、ChatGPTによる翻訳文は、ほかの機械翻訳のような直訳調のぎこちなさが少なく、文全体としての意味やニュアンスを汲み取った自然な文章になりやすい特徴があります。
RLHFによる強化学習を行っているため
ChatGPTの翻訳精度をさらに高めている要因のひとつとして、RLHF(Reinforcement Learning from Human Feedback/人間の評価による強化学習)の採用が挙げられます。これは、人間のフィードバックをもとにAIモデルの学習を調整し、より正確で適切な応答を追求する手法です。これにより、ただ単に大量のデータから学習するだけではなく、人間目線での評価やニーズを反映した学習が可能となり、より自然で適切な翻訳結果を実現しています。
ChatGPTで翻訳を行う場合の注意点
ChatGPTの翻訳能力は確かに優れていますが、それでも完璧なツールではありません。場合によっては、人力を介したほうがよい場合もあります。ChatGPTを翻訳に利用する際には、以下の注意点を押さえておくことが重要です。
必ずしも正確とは限らない
ChatGPTの翻訳結果が100%正確であるとは限りません。詳しくは後述しますが、翻訳する文章の性質によっては、間違った解釈をしたり、訳の抜け漏れが発生したりすることもあります。そのため、翻訳に厳密な正確性が求められる重要文書や公式文書に関しては、翻訳結果を人間側で確認・修正したり、プロフェッショナルな専門家に任せたりしたほうが安全です。
専門用語・文化的なニュアンスまでは翻訳できない
ChatGPTの翻訳精度が下がる具体的なシーンとしては、専門性の高い文章や、比喩表現やイディオムなど微妙な文化的ニュアンスを汲み取る必要のある文章が挙げられます。ChatGPTは先述の通り、インターネット上のテキストデータを学習元にしているので、一般的な文章のほうが得意です。逆に、その分野特有の用語や言い回しがある専門分野の文章や、特殊な地域・文化的理解が必要な文章の翻訳精度は下がります。
文量・複雑さに限界がある
高い翻訳精度を持つChatGPTですが、その能力にも限界が存在します。まず、文法構造や文脈などが複雑な文章に関しては、誤訳のリスクが高くなります。基本的に人間から見ても翻訳や読解が難しい文章は、ChatGPTにとっても難易度が高い文章であると覚えておきましょう。
次に、文字数制限についてです。ChatGPTでは、「トークン」という単位で文字数制限が設けられています。日本語の場合、およそ2,000文字程度が上限であり、これを超える文章を一度に翻訳することはできません。ChatGPT側の回答は「続ける」というコマンドを使用することで継続させられますが、人間側が長文の翻訳を指示する際には、分割して原文を提示するなどの工夫が必要です。
情報漏えいなどの懸念がある
ChatGPTに入力したメッセージは、学習データとして使用されたり、将来的にChatGPTの回答に反映されたりする可能性があります。そのため、いくら便利だからといって、ChatGPTに社内の機密情報を入力すると、そこから情報漏えいする危険性があるので注意が必要です。実際、海外ではChatGPTに社内の機密情報を入力してしまった事例も報告されていることから、その利用を禁じる企業も出てきています。ChatGPTの使い方に関しては、社内でルールを取り決めることを検討しましょう。
安全なChatGPT翻訳を実現するサービス3選
2022年に登場したばかりのChatGPTですが、その関連サービスはすでに続々登場し始めています。最後に、ChatGPTの導入や翻訳での活用に役立つサービスを紹介します。
ログミーツ powered by GPT-3/4
「ログミーツ powered by GPT-3/4」は、時空テクノロジーズが提供するChatGPTをベースにしたAI議事録・要約ツールです。このサービスは対面からWEBまで、あらゆる会議形式に対応し、AI文字起こしや要約を効率的に行うことが可能です。
・Point1:直感的な操作によって知識ゼロで使える
・Point2:専用携帯端末で30人規模の会議でも対応可能
・Point3:ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなど、全てのWEB会議に対応
・利用料金:月額1万円~
・初期費用:要問い合わせ
・無料プラン:✕
・無料トライアル:◯
EXPLAZA 生成AI Partner
「EXPLAZA 生成AI Partner」は、ChatGPTなどのLLM導入支援サービスです。このサービスは、AI戦略の策定からベンダーマネジメント、開発、そして運用までの一連の業務をサポートし、業務の効率化やセキュリティ対策、新しいサービス開発の取り組みなどを可能にします。
・Point1:セキュアなChatGPT環境を提供
・Point2:豊富な追加機能パッケージ
・Point3:専門家による一気通貫のサポート
・利用料金:要問い合わせ
・初期費用:要問い合わせ
・無料プラン:要問い合わせ
・無料トライアル:要問い合わせ
ChatGPT活用支援
NOB DATA株式会社の「ChatGPT活用支援」は、ChatGPTの導入から実際の業務活用までを支援するコンサルティングサービスです。ChatGPTの潜在的な力を引き出し、企業の業務変革や新たなサービスの創出など、DXを推進するための強力なサポートを提供します。
・Point1:専門家による強力な後押し
・Point2:DX推進やビッグデータ分析に関する豊富な知見
・Point3:内製化や自走化に向けたサポート提供
・利用料金:10万円(月2回のコンサル料)+α
・初期費用:100万円~
・無料プラン:×
・無料トライアル:初回のみ無料相談に対応
こうしたサービスを導入することで、翻訳業務をはじめ、ビジネスにおけるChatGPTの活用をより効果的に行えます。ChatGPT翻訳の導入を検討されている方は、本記事で紹介したメリットや注意点などと併せて、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
ChatGPTは、従来の機械翻訳と比べても高い翻訳精度や、多様なニーズに応える柔軟性を持っているのが特徴です。専門分野の文章など、正確な翻訳が難しい場合もありますが、それらの弱点も認識したうえで使い方を工夫することで、企業の多言語対応を大きく推進できます。
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