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最終更新日:2024/04/04
昨今、AI・人工知能を組み込んだチャットボットの活用がさまざまな分野に広がっています。そんなAIチャットボットの代名詞といえば、米IBMの「Watson(ワトソン)」でしょう。非常に知名度の高いWatsonですが、実際にどのような機能があり、どのような場所で活用されているのかといった詳しい部分まではご存知ない方も多いかもしれません。そこで今回は、Watsonの最新活用事例についてまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
Watsonの最新活用事例について見ていく前に、まずはWatsonがどのようなAIチャットボットなのか、詳しく理解していきましょう。IBMが提供しているWatsonは、質問応答・意思決定支援システムであり、定義としては「自然言語の理解・学習によって人間の意思決定を支援するシステム」となります。人工知能と表記されることも多いのですが、Watsonはあくまでも上記のような定義のシステムとなるため、人工知能と一括りにすることはできません。
そんなWatsonの歴史を振り返ると、まず2006年に、IBMが自然言語(人間が日常的に使用している言葉)による質問に回答する「質問応答システム」の研究に着手しました。そして2011年、5年間の研究成果をアピールするという目的でアメリカのクイズ番組「Jeopardy!」に参加し、人間のチャンピオンに勝利して大きな注目を集めたのです。
その後は、クイズに回答する質問応答技術を一般化し、医療などの他分野にも適用を進めていきました。そして2014年、Watsonを専門とする事業部の「IBM Watson Group」が発足され、Watsonをクラウドサービスとして提供するための取り組みが始まったわけです。
現在では、医療や教育、販売、製造、法律、金融など、さまざまな業界にWatsonの各種サービスが提供されており、確固たる地位を築き上げています。
現在、Watsonが提供しているサービスとしては以下の5つが挙げられます。それぞれのサービスについて、詳しくみていきましょう。
Watson Assistantは、チャットボット(自動会話プログラム)を簡単に開発することができるサービスです。ユーザーからの自然言語による入力を適切に理解した上で、正しい応答を行うことができます。また、Watsonが提供しているプログラミングツールも利用できるため、直感的な操作によって対話の流れを把握することが可能です。
Visual Recognitionは、画像認識を行えるサービスです。大量の画像・映像をタグ付けしたり分類したりすることができるため、製品の異常を検出する業務などに活用することができます。
Speech to Textは、音声認識を行えるサービスです。深層学習(ディープラーニング)によって音響的な特徴を捉え、言語知識に基づいてテキスト化していくことができます。
Personality Insightsは、性格分析を行えるサービスです。性格の特性を「欲求」「個性」「価値」といった切り口で分析していきます。分析には最低1200単語以上のテキスト入力が必要になりますが、高精度な分析結果を得られるため、顧客とのコミュニケーションを改善したい場合などに有効活用することができるでしょう。
Tone Analyzerは、メールなどのテイストデータを分析し、メール作成者の感情や文体のトーンなどを検出していくサービスです。分析できる感情の種類は「怒り」「喜び」「悲しみ」「不安」があります。
速報性と正確性を要求されるスポーツの試合中継でも、Watsonが活躍しています。
全米テニス協会は過去25年以上にわたって、さまざまなテクノロジーでIBMと協業してきました。昨年からはその一環としてWatsonを全米オープンの試合分析に活用しています。
全米オープンに出場する選手とそのコーチは、試合映像をレビューします。Watsonは自動的にキーポイントと統計情報を識別し、インデックスを付けることができます。コーチはこうしたデータを使って、選手の詳細なレポートを作成できるのです。従来は何時間もかかっていたデータ分析も、Watsonの力を借りればものの数分で可能です。
選手やコーチでなく、ファンもWatsonの恩恵を受けることができます。特設サイトでは全ての試合のショットがほぼリアルタイムでアップされるほか、その日もっともエキサイティングな試合のハイライトをチェックできるので、SNSなどのデジタルメディアでも活用できます。
また、全米オープンのFacebookでは、Watson搭載のAIチャットボットが活躍しています。各試合の得点やスケジュール、会場までの交通機関、食事のオプションまで、さまざまな疑問・質問に答えてくれます。
そして、全米オープンと並ぶテニスのグランドスラム(4大大会)のウィンブルドン選手権でもWatsonは活躍しています。
特設サイトによると、たった20分で選手ごとにパーソナライズされたデータ分析がアップロードされるほか、1877年からのすべての試合データがアーカイブ化されており、最新の試合情報はリアルタイムでアップデートされます。3500社のメディアやジャーナリストたちがWatsonの収集した試合データにアクセス可能で、最新の試合情報は彼らのネットワークを通じて世界中に配信されます。
プロスポーツの世界はより緻密なデータや速報性が求められるようになっており、IBMのWatsonはその一助となっているのです。

下着メーカーのワコールは、2019年5月末に東京・原宿でまったく新しいタイプの店舗をオープンさせました。同店に導入する「3D smart & try」という新システムは、わずか5秒で全身の採寸が可能な3Dスキャナーです。
この3Dスキャナーは試着室で利用することができ、顧客はまず3Dボディスキャナーの画面に生年月日とパスワードを入力します。そして、センサーが四隅に取り付けられている専用マシンによって、ボディの約 150 万カ所を計測します。バストやウエストのサイズだけでなく、胴の形状といった体型の特徴も把握できるのです。
そして、計測データや個人の好みにもとづいて、Watsonが顧客ごとにぴったりの下着を提案します。約150の商品からおすすめの下着を提案してくれますが、店内に在庫が残っていない場合はワコールのEC(ショッピングサイト)から購入することができる仕組みです。まさに、下着というフィット感が重視される商品ならではのAI活用といえるでしょう。
なお、2019年の時点ではAカップ〜Gカップ、アンダーバストが65〜90cmの範囲内で計測が可能だといいます。そして、その計測をもとに約150の商品から提案するわけですが、これはワコールが販売するすべての商品ではないそうです。そのため、今後はよりさまざまな体型の人により多くの商品を提案するために、AIの学習をすすめていくといいます。また、ワコールでは、2022年3月までに同様のシステムを約100台導入する計画を立てているそうです。

上記でご紹介した事例以外にも、Watsonはさまざまな業界での導入が進んでいます。たとえば、アメリカのジョージア工科大学では、学生の質問に答えるサポートセンターにWatsonが導入されています。このサポートセンターにはアシスタントティーチャーの“ジル”という人物がおり、大半の生徒は“ジル”を当然のように人間だと思い込んでいたそうです。しかし、蓋を開けてみるとWatsonのチャットボットであったため、学生の多くが驚いたといいます。
また、人材マッチング会社での導入も進んでいます。技術分野の人材サービスを提供するフォーラムエンジニアリングの人材採用にWatsonを活用しているそうです。2016年からWatsonの運用を開始しており、統計分析ソフトを使って個人の趣味や性格、関心などをスコアリングしているといいます。

杜の都仙台に関する情報を発信している「SENTOKO(セントコ)」というサイトでも、Watsonチャットボットを導入しています。
「SENTOKO」で導入されているのは、仙台のICT企業「株式会社SRA東北」が開発したWatson連携AIチャットボットの「sarà」(サラ)です。この「sarà」はイタリア語で「きっとそうなるだろう」という意味の言葉であり、「少し先の未来はきっとこうなるだろう」といった意味が込められているといいます。
そんな「sarà」はWeb上のアプリケーションとして動作するのが特徴で、利用者の質問に対して都度最適な回答を行います。また、AIの学習に関してもWebアプリケーション上で行っていくことが可能であり、日々の学習による強化をスムーズに進めていくこと可能です。
これまで、観光スポットなどの情報を得る手段としては、インターネット検索や観光雑誌などが一般的でした。しかし、最近ではAIを活用したチャットボットによって情報を提供するという新しい形も生まれているのです。
チャットボットと気軽にコミュニケーションを取りながら観光に関する情報を仕入れることができるため、自分では予想していなかった意外な情報なども仕入れられる可能性が高まるのではないでしょうか。

不動産事業や賃貸住宅事業を手掛ける桧家ホールディングスでも、働き方改革の一環として業務効率化を図るためにWatsonチャットボットを導入しています。もともと桧家ホールディングスでは、コンサルティング企業と共同で作成した応酬話法マニュアルが存在しており、マニュアルとしては極めて高い完成度になっていたそうです。
しかし、1から10までしっかりと読み込まなければ調べたい内容を探すことができない構成になっていたため、決して業務効率化にはつなげられていなかったといいます。その結果、完成度の高いマニュアルであるにも関わらず、その活用度は決して高くないという状況に陥っていたそうです。
そんな状況を打開するために導入したのが、Watsonを活用した「ひのくまコンシェルジュ」というチャットボットでした。このチャットボットでは、応酬話法マニュアルを分解し、Q&Aの形式に変換した約1,400ものデータをAIに学習させ、自動応対することができるようになっています。もちろん、このQ&Aデータは拡充させていくことができますから、今後新たな質問などが寄せられた場合には、その都度Q&Aに加えていくことも可能です。
桧家ホールディングスでは「ひのくまコンシェルジュ」を導入したことにより、「何度でも気兼ねなく質問できた」「同じ質問をすることにも抵抗がなくなった」という高い評価を受けることが多くなったといいます。

日本国内でAI人材の不足が懸念される中、日本IBMはWatson活用支援サービスを拡充し、ユーザー企業の人材育成を進めています。
2019年7月から開始する「データ・サイエンス・エリート協業」では、ユーザー企業のAI人材がIBMのAI専門家からスキルやノウハウを学ぶことが可能とのことです。
経済産業省の試算によると、日本では2030年にAIや「IoT(モノのインターネット)」など先進的なIT技術を担う人材が55万人不足するといわれており、AI分野では12万人が不足するといわれています。
「Watson」によってAI活用を推進するIBMのこうした取り組みは、AI人材育成の一助となることが期待されています。
働き方改革が進む昨今において、「生産性の向上」は多くの企業の課題となっているでしょう。その生産性の向上に貢献し、さらなる業務効率化を図る上で、Watsonは極めて重要な役割を担う存在といえるのではないでしょうか。
また、人の手による作業はミスが起こる可能性もありますが、WatsonをはじめとするAIであれば一定のスピードで正確に作業を進めていくことが可能になります。AIに任せられる業務と、人間の創造性が求められる業務の棲み分けが進んでいけば、企業と働き手の双方にとってプラスに働くのです。
このような点を踏まえると、「AIを有効活用できるか」という点が、企業の将来を大きく左右するといっても過言ではないかもしれません。
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