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最終更新日:2024/02/27
鉄リサイクルをAIで効率化
※本記事はFastLabel株式会社の寄稿記事です。
今回は、EVERSTEEL株式会社の代表取締役の田島様と、共同創業者の佐伯様にインタビューをいたしました!(聞き手:FastLabel株式会社 営業マネージャー 中島尚子)

左から2番目、株式会社EVERSTEEL代表取締役田島 様 / 左から3番目共同創業者 佐伯様
―FastLabel 中島氏
EVERSTEEL様の会社概要や事業について教えてください。
―EVERSTEEL田島様
鉄のリサイクル原料である「鉄スクラップ」をAIで解析することで、効率的な品質管理及び品質向上を推進するソリューションの開発・提供を行なっています。顧客は鉄スクラップを取り扱う、鉄鋼メーカー及びリサイクル事業者です。
現場では毎日数千トンの鉄スクラップに対して、品質の良いスクラップと悪いスクラップを分けて等級管理をしたり、スクラップの中に含まれている非鉄金属や爆発物等の異物を検出して除去するという作業が発生します。これらの作業は、現場の方が5〜10人の人数で目見でチェックしているのですが、相当な量があるため、結果異物が混じったままになってしまったり、適切な等級管理ができないといった課題があります。そういった課題に対し、画像認識のAIで代替していこうということをやっています。

鉄のリサイクル原料である「鉄スクラップ」
―FastLabel 中島氏
どういったきっかけで、この事業をやろうと思ったのですか?
―EVERSTEEL田島様
実家が林業やっていたのもあり、環境系のビジネスをやりたいという気持ちが元々ありました。それで、東京大学のマテリアル工学科に入学したのですが、そこで鉄のリサイクルの研究をやっていて、上記のような課題を知ったのがきっかけです。AIについては、大学時代にスイスに留学したときに学びました。
―EVERSTEEL佐伯様
田島とは中学から大学までずっと一緒で、奇跡的に大学では学科も一緒でした(笑)僕は大学の研究で抗がん剤のための材料研究をやっていたのですが、環境ビジネスについても昔から関心があり、太陽光パネルを作って地方に設置しに行ったり、環境に優しい素材を使って、3Dプリンタで材料を作って家を立てるといったような活動をやっていました。田島がスイスから帰ってきたタイミングで、この事業の話を聞いてとても面白そうだと思い、共同で創業することを決めました。鉄リサイクルの研究で現状社会実装されているものは少なくて、「自動車からどれだけ鉄の廃棄がされて、どれくらい回収率があって、こうしたら効率化できるよね」という研究結果があっても、何か世の中を変えられるようなインパクトを出せているものってないんですよね。だから、研究の延長ではなく、起業として社会実装していくということにはこだわっていました。
―FastLabel 中島氏
この鉄スクラップの自動検出ということに関して、難しさはどういうところにありますか?
―EVERSTEEL田島様
スクラップの専門知識がニッチすぎるところにあります。等級を決めるルールもかなり複雑で、例えば缶のスクラップ1つとっても、缶になる前のシート状のスクラップもあれば、缶そのものや缶をプレスしたスクラップ、その形が崩れたスクラップなど、4種類ものスクラップがあり、それぞれに等級が変わってきます。そういったものの知識がないままにAIを開発してしまうと、現場で使えないものになってしまいます。

アノテーションの専門性の高さとルール作りが難しい
―EVERSTEEL佐伯様
原型が全く同じものだったとしても、形が違うだけで処理方法が全然違っていたり、今話したような複雑なルールが相当量あります。そのため、きちんと現場のことも知った上でAIを開発するのが重要です。田島は、大学時代からずっと現場を見てきて、おそらく年間のうち1/3は現場にいて、スクラップを見ているんじゃないですかね(笑)
スクラップ×AIという組み合わせだと田島が業界随一だと思っています。

工場環境での画像認識での課題感
―FastLabel 中島氏
鉄スクラップの画像認識は、どのように開発をされているのですか?
―EVERSTEEL佐伯様
鉄鋼メーカーのスクラップの荷下ろし現場で画像認識をやっています。鉄スクラップを積んだ20tトラックが工場に入行してくるんですけど、巨大なマグネットを使って10回に分けてスクラップを荷下ろししていきます。その中で、トラックの真上からカメラで撮影をして、少しずつ荷下ろしをしていく中で積み荷の表面が新しく見えてくるものを画像認識にかけ、等級の判定と異物の検出をやっています。
―EVERSTEEL佐伯様
荷下ろしされる場所によっても、環境が異なってくるので、天井にカメラ取り付けられるところもあれば、そうでないところもあったり、機材の設置方法や設置場所も含めて考えています。カメラが揺れないような場所であったり、できる限り同じ画角で撮りたいなというのはあって、そこは試行錯誤してやっています。
―FastLabel 中島氏
開発に取り組まれている中で、抱えられている課題感(特にデータ周りに関して)があれば教えてください。
―EVERSTEEL田島様
アノテーションもそうですし、データ収集が難しいと思っています。そもそも、鉄スクラップに関する専門知識がないとデータにアノテーションすることができないというのがあります。尚且つ、アノテーションする生データの撮影が必要ですが、工場環境なので撮影が困難な状況もあります。工場内での撮影の調整もそうですし、カメラの機材も高画質で、かつ雨や粉塵に耐えられるようなものを何台も試したりしています。通信も難しくて、撮ったデータをストレージするために送らないといけないんですが、鉄スクラップを積んだトラックがあることによって通信環境が遮断されてしまって、データが飛ばなくなるトラブルもあったりします。
―EVERSTEEL佐伯様
医療データを例にとっても、100人の患者の診断データがあっても、実際に癌の人のデータって一部しかないと思うんですよね。鉄スクラップも同じで、殆ど同じ1,000tの鉄の中に、10tだけ異物が混じっているみたいな感じで、その少量の中に、モーターがあったり、缶があったり、大量の種類のものがあります。それをきちんと判別させる難しさと、もっと言うと、同じモーターでもアルミ部分を取り除いてあって鉄しか残っていないものと、そうではないものとあったりするので、そういったものも判別していかないといけません。
―FastLabel 中島氏
アノテーションの難しさについて、もう少し詳細に教えてもらっても良いですか?
―EVERSTEEL田島様
先ほどもお伝えした通り、専門性が高いこともあって、アノテーションできる人が限られています。スクラップの検収を長年やっている人ではないと、正しいアノテーションができないのですが、そういう人は逆にパソコンが苦手なので、アノテーションは苦手なんです。だからこそ、直感的なUIで簡単にアノテーションできるツールが必要です。
―EVERSTEEL佐伯様
さっきの缶の話でいうと、つぶれたり変形したりしている缶をどこまで缶として認識させるべきなのか、というのはルール作りがとても難しいんですよね。正解がないので、トライアンドエラーでやっていくしかなくて、田島が実際に現場に1ヶ月とかいって見聞きして、自分たちなりに線引きをしたものをカタログに落としています。

―FastLabel 中島氏
弊社のアノテーションツールをご利用いただいたきっかけは何ですか?
―EVERSTEEL田島様
元々使っていたアノテーションツールの操作性が良くなく、リプレイスを考えていました。最初は他社の製品を使おうとしていたのですが、アノテーションをするのにコーディングが必要だったのもあって、実運用には耐えられないと思いました。そのときに佐伯がFastLabelのことを知って、紹介してくれたのがきっかけですね。
―FastLabel 中島氏
FastLabelのツールで魅力的だったのはどういうところですか?
―EVERSTEEL田島様
他のツールに比べて、FastLabelのツールは細かい設定ができたところです。先ほどのお話した通り、画像認識にあたってどこまで認識させるべきなのか、というところにアノテーションの難しさがあります。モーター1つとっても、確実に検出させたいモーターと、チェックしておきたいモーターと、モーターかもしれないものと、確度がそれぞれ違うので、FastLabelのツールは、単純なクラスの分類だけではなくて、属性の設定も含めてできるところが便利でした。また、2段階認証(アノテーションレビューの仕組み)がツール上で出来るのも良いですね。これまでは、アノテーションやってくれる方と30分オンライン会議をして直接アノテーションの確認を行なっていました。それをしなくても、レビューを実施して直接コメントを入れたり等もできるので、とても楽になりました。
―EVERSTEEL佐伯様
他のツールは、インストールして環境構築をやらないといけないものも多いのですが、FastLabelは環境構築が不要で、他の人のPCでアノテーションやってもらうといったこともURLを共有すれば気軽にできるので、そういうところも良かったです。UIについても圧倒的にわかりやすかったですし、田島が言っていたように細かい属性設定できたのは最初感動しましたね。あとは、FastLabelさんと最初の打ち合わせをしたときに、足りない機能は開発しますよ、ということを言っていただいて、実際に機能がどんどん追加されていったので、とても頼もしいと感じました。
―FastLabel 中島氏
その他のツールもいくつかご検討されたのでしょうか?
―EVERSTEEL田島様
全部で6社ほど検討をしました。FastLabel以外は基本海外のツールで、操作性は問題ないものは多かったですが、結局UIが全部英語になるので、現場の専門性を持った方にアノテーションをやっていただくのには使えないと判断をしました。この現場の鉄スクラップを見ている方にアノテーションしていただくという運用を、ちょうど来月開始する予定です。先日まで、1ヶ月間お試しで私のパソコンで開いているFastLabelのアプリを現場の方に使っていただいたりもしていたのですが、特に問題なく使えそう、というところまできています。
―EVERSTEEL佐伯様
アノテーションを初めてやる方には、どれくらい時間かかるのか、といった不安の声ももらうことも多いんですが、実際のFastLabelさんの画面見せてこういう風にやるんですよ、と説明すると「これならできそう」と仰っていただけることが殆どですね。
―FastLabel 中島氏
ツールを使っていて、便利だと感じている機能はありますか?
―EVERSTEEL田島様
アノテーションしたデータを、サムネイル形式で一覧で見れるのが良いですね。異常検知を目的としたAIということもあり、画像100枚アップロードしたとしても、アノテーションするのはたったの1,2枚だったりするんですよね。それでこれまではどの画像にどんなアノテーションついているかチェックするのが大変だったのですが、FastLabelのツールでは一覧で画像を見て、担当者ごとやタグの情報を元に、ソートやフィルタリングが簡単にできるので効率化につながりました。「誰がアノテーションしたのか」という担当者の情報で絞り込めるのはとても重要で、ベテランがやったのか、新人がやったのかというアノテーションの品質比較等にも活用ができます。

―FastLabel 中島氏
FastLabelのアノテーション代行サービスもご利用いただいていたかと思いますが、ご利用いただいた感想はいかがですか?
―EVERSTEEL田島様
まず品質がかなり高かったのにびっくりしました。元データにBBOXをつけたものを共有させていただき、セグメンテーションするという内容を依頼させていただいたのですが、モーターや配線などのいわゆる産業よりの内容に対し、「本当に素人ですか?」というくらいスクラップをきちんと見て判断して、細かく境界をひいてもらえたのが良かったですね。コストも、安かったと思っています。僕らで派遣の方を雇って依頼したりもすることもあるのですが、結局アノテーションがあるときとないときがあるので、仕事がないときも出てきたりしてしまいます。
FastLabelのようなサービスだとスポットで発注できるので、コストを抑えられると思っています。今回アノテーションの外注は初めてでしたが、2週間で納品してもらえて、かつ中間で品質チェックができたので、そういった進め方も安心感がありました。1つだけ言うなら、用意していたデータの容量が大きかったのが原因で、SDKを使ったときにエラーが結構出てしまって、エラーのそれぞれのメッセージの内容がもう少しわかりやすいものだと良かったです。
―EVERSTEEL佐伯様
単純なコストが安い、というより品質に対するコスパが高いなと思いました。今回のアノテーションに関しては、品質を1番に重視していて、なんなら外注は無理かもしれない、と思っていた内容でした。それを自社でやるのと同じか、それ以上のレベルでやってもらえたので本当に良かったです。あとはプロジェクトにPMの方がきちんとついてくださる体制に安心感がありました。例えばアノテーターの方への指示出しだったり含め、自社でやるのはすごく時間がかかりますし、そういった手間もなくせたのが良かったです。
―FastLabel 中島氏
作成したデータセットを活用し、AI精度へ良い影響がありましたか?
―EVERSTEEL田島様
今まで検出が難しいだろうと判断し対象にしていなかった異物があり、トライアル的に検出できたら良いなという思いでFastLabelさんにタグ付けを依頼したのですが、結果そのデータを使って、検出することができるようになりました。充電コードのようなものなのですが、人が見ても検出がしづらいような対象物だったので、まさか検出できると思っておらず嬉しい驚きでした。
―FastLabel 中島氏
ツールの機能で、今後希望する機能等ご要望があれば教えてください。
―EVERSTEEL田島様
セグメンテーションしたときに、自動で領域を検出してくれるような機能があったらいいですね。
―EVERSTEEL佐伯様
EVERSTEELのアプリで解析したデータをFastLabelに連携して、再度データを人が修正して、その修正データを元に自動でモデルが修正される、といったことができると面白いと思っています。あとは、同じ画像を3人の人がつけて平均的なものを正しいラベルとするみたいな機能もあっても良いですね。

―FastLabel 中島氏
FastLabelのサービスやツールを活用にあたって、今後の展望があれば教えてください。
―EVERSTEEL田島様
いま、鉄鋼メーカー複数社と実証実験をやっていくフェーズで、それぞれのプロジェクトでFastLabelを使っていきたいです。すべての会社のデータをFastLabelのツールでアノテーションしていった先に、鉄スクラップのビッグデータ作っていけたらと思っています。
―EVERSTEEL佐伯様
もっと言うと、鉄スクラップに詳しい人がFastLabelのツールで誰でもアノテーションできるようにして、やってくれた人にもお金が入るような仕組みができると面白いですね。
―FastLabel 中島氏
貴社AI開発における今後の展望を教えてください。
―EVERSTEEL田島様
日本の鉄鋼メーカーと鉄スクラップ処理業者に、弊社のAIをがんがん導入してもらいたいですね。国内での鉄スクラップをEVERSTEELのAIにかけて解析できるようにすることで、流通するスクラップをより綺麗にしていけたらいいと思っています。国内のあとは、海外にも展開していきたいですね。
―EVERSTEEL佐伯様
会社や工場によっても、同じものに対してちょっと等級判定が違ったりもしているので、絶対的な基準を作って、鉄スクラップの規格を作っていきたいです。いま作られている規格は、リサイクルのためには不十分な基準な部分もあるので、それを整えていってリサイクルの効率化を実現したいと思っています。

株式会社EVERSTEEL 代表取締役 田島 様

EVERSTEEL株式会社 共同創業者 佐伯 様
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