AI実験自動最適化システムを使用した理研の研究、国際論文誌に採択
最終更新日:2023/12/20
エピストラのAI実験自動最適化システムを活用した理化学研究所と神戸アイセンターの研究が、それぞれ国際論文誌に採択されました。
このAIニュースのポイント
- エピストラのAI実験自動最適化システムを活用した研究が、それぞれ国際論文誌に採択
- 理研の研究では、AIが新たな培養条件を自律的に発見
- AIによって熟練技術者よりも高い効率の実験手順を探索することができる
エピストラ株式会社の実験自動最適化システムを活用した理化学研究所と神戸アイセンターの研究が、それぞれ国際論文誌に採択されました。
エピストラはAIを活用して、再生医療やバイオ医薬品などの製造工程を最適化する実験自動最適化システム「Epistra Accelerate」を提供しています。
このシステムを活用した理化学研究所 網膜再生医療研究開発プロジェクト(研究当時)、神戸アイセンター病院の成果が今年、それぞれ国際論文誌に採択されました。
エピストラは今年度も、神戸市に新しく開設された理研のロボティックバイオロジー・プロトタイピングラボを活用し、株式会社ビジョンケアグループをはじめとした企業・研究機関と共同で、再生医療他生命科学の産業化を進めるとしています。
■ AI x ロボットを活用した生命科学の産業化
再生医療やバイオ医薬品など、細胞を培養することで最終製品を作る産業では、実験手順が長く複雑であるために、一部の熟練者に研究開発や製造が依存してしまうという課題がありました。
正確に何度でも設定した通りの手順を繰り返すことのできるロボットと、ロボットが算出したデータを活用できるAIを組み合わせて使うことで、一部の高度な熟練者だけができる複雑な工程や判断を形式知化し、広く産業応用することが可能になります。
■理研 網膜再生医療研究開発プロジェクト(研究当時)の研究
共同研究グループでは、iPS 細胞から網膜色素上皮細胞(RPE 細胞)への分化誘導を対象として、高精度な生命科学実験動作が可能なRBIの実験ロボット「まほろ」と当社の人工知能(AI)ソフトウェア「Epistra Accelerate」を組み合わせてプロトコル(実験手順)自動最適化の実証実験を行いました。
その結果、これまでで最も高い評価値(91%: RPE細胞の収率、人間の実験者による実験での実績を含む最も高い値)を得る事に成功し、iPS 細胞からRPE 細胞への分化誘導効率を高める培養条件を人間の介在なしに自律的に発見し、細胞培養分野における自律実験が可能であることを示しました。
本研究の成果は「専門家の手技に依存することなく、ロボットとAI のみで専門家と同等の高品質な結果を得る条件の探索に成功した」と捉えることができます。
技術移転が叶わずに共有されてこなかった「匠の技」を広く世界に開放するための一つの方法論になると期待できます。
論文リンク:https://doi.org/10.7554/eLife.77007
■神戸アイセンター病院の研究
現在、iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞移植の臨床研究が進められていますが、疾患の進行やRPE細胞移植の治療効果を評価するためには、疾患RPE面積の定量化が重要となります。
しかしながら現在のところ標準的なプロトコルは存在しません。
そこで、蛍光血管造影(FA)画像における初期段階の過蛍光領域を深層学習を用いて解析し、RPE疾患領域の変化を客観的かつ効率的に定量化するソフトウェアを開発しました。
今回開発したソフトウェアは、RPE疾患領域の経時変化の定量化、iPSC-RPE移植画像の評価、AMD以外の疾患にも適用できる可能があり、日常診療におけるRPE疾患領域の臨床経過の評価に貢献し、研究者の負担を軽減することが期待されます。
論文リンク:https://www.nature.com/articles/s41598-022-05006-3
■実験自動最適化システムEpistra Accelerateについて
ライフサイエンスの研究開発では、手作業での実験と試行錯誤の繰り返しを要因とした様々な課題が存在します。
AIによる自動実験最適化システム Epistra Accelerateにより、これまでよりも少ない試行回数で目的とする最適条件を発見することを目的としています。
エピストラ独自開発の自動実験計画AIは、ベイズ最適化技術をベースとした独自アルゴリズムを実装した、ライフサイエンスの問題を解くために強化したAIです。
ライフサイエンスの問題には標準のベイズ最適化技術を適用する上で3つの問題(高次元・高ノイズ・高コスト)がありますが、独自アルゴリズムによりこれらを解決します。
Epistra AccelerateはRBI、理研との共同研究で熟練した匠の技を超える分化効率を達成するプロトコルを自動的に探索することに成功しました。
実験ロボットがある環境だけでなく、人の実験者が行う実験プロトコルの最適化にも対応しており、バイオ素材、食品、製薬などの大手企業への導入が進んでいます。
出典:PR TIMES
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