AI-OCR市場の動向は?民間企業・自治体が導入し業務効率化に貢献
最終更新日:2024/04/04
近年、多くの企業がさまざまな形でAI・人工知能サービスを導入しており、その中でも特にAIを活用したOCR(光学文字認識)の市場が盛り上がりを見せています。富士キメラ総研によると、2020年のAI-OCR市場規模は170億円に達すると予想されており、これは2017年度の24億円(実績)の約7倍もの数字です。そんな盛り上がりを見せるAI-OCR市場ですが、実際に導入することでどのような効果が期待できるのでしょうか。今回は、AI-OCRの導入によって期待できることについてまとめました。
AI-OCRについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI-OCRとは?種類や事例、メリットなど比較ポイントを解説
AI-OCRとOCRでは何が違うのか
そもそも、AI-OCRとOCRでは何が違うのでしょうか。それぞれの違いから明確にしていく必要があります。
冒頭でもご紹介したように、AI-OCRはAIの技術を導入したOCRです。具体的にいえば、AIの技術である機械学習や深層学習(ディープラーニング)を導入したOCRといえるでしょう。これら2つを取り入れたAI-OCRでは、「あらかじめ定められたルールで文字を読み取る」ということはしません。
AIの学習した内容に基づいて独自のルールを見出し、文字の読み取りを行っていきます。そのため、AI-OCRであればこれまで難解とされてきた「手書き文字」の識字率も大幅にアップさせることができます。
AIの活用により識字率が大幅に向上
AIが活用されていない通常のOCRも、手書き文字を認識することは可能でした。しかし、AIが活用されていないOCRはルールに沿ったもの(文字)でなければ認識できません。そのため、人それぞれ少しずつ特徴が異なる手書き文字では、認識できないというケースも多かったのです。
申込書などの書類で住所や氏名を記載する際に、設けられている文字枠内に1字ずつ記入していく形式のものを使用したことがある方も多いのではないでしょうか。そのような書類の場合には、文字が枠から外れてしまうと認識できなくなってしまう状況でした。かといって、枠をなくしてしまうと手書き文字では認識できない確率も高まってしまいます。その点、AIの技術を活用すれば手書きの文字が都度学習されていくため、臨機応変な対応が可能になるのです。
(参照:AIM Consulting 『AI-OCRとは何か?』~OCRとの違いと製品検討の勘所~)
AI-OCRは民間の市場・自治体で大きな注目を集める
上記のような識字率の向上が期待できるという点から、民間の市場や自治体からの注目度が高まっている状況です。実際に2018年頃からは民間企業での導入も進んでおり、請求業務や受発注業務、申請業務などにおける手書き帳票入力の効率化に貢献しているといいます。
また、東京都港区でも実証実験としてAI-OCRが導入されているといいます。企業よりも自治体の取り組みが遅れるのは、手書きの文字から読み取った情報が個人情報に準ずるケースがあるためです。セキュリティ面でのリスクも決して少なくないため、どうしても慎重な態度を示さなくてはならないのです。ただ、そのような自治体においても少しずつ導入が始まっている点を踏まえると、AI-OCRの信頼度は高まりつつあるといえるのではないでしょうか。
(参照:InfoComニューズレター AI-OCRの現状と導入のポイント ~業務効率化で実現する働き方改革)
AI-OCRは導入コストも踏まえ総合的なメリットを判断する必要がある
AI-OCRによって高い識字率を得られれば、大幅な業務効率化が期待できます。ただし、AI-OCRを導入するためのコストや、AI-OCRの維持コストなども踏まえた上で検討していかなければなりません。
実際にAI-OCRを導入することで改善できる部分はどこなのか。AI-OCRの活用によって浮いた時間をどの業務に費やしていくべきなのか。これらを適切に判断していかなければ、本当の意味での働き方改革は期待できないからです。そして何より、導入コスト以上の成果へとつなげていかなければ、企業としての成長も見込めません。
働き方改革全体のことを考えながらAI-OCRを活用していくことが、企業にとって重要なポイントといえるのではないでしょうか。
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