コレスポンデンス分析とは?計算方法・活用事例を簡単解説
最終更新日:2024/03/07
コレスポンデンス分析は、データの関連性やパターンを視覚化する統計手法です。例えば、アンケート調査の結果やクロス集計表のデータを分析するときに使われます。
今回の記事では、コレスポンデンス分析の概要・メリットとデメリット・計算方法・活用事例・分析におすすめの言語とツールについて紹介します。
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コレスポンデンス分析とは?
コレスポンデンス分析は、データの関連性・パターンを視覚化する統計手法です。 略して「コレポン」と呼ばれることもあります。
コレスポンデンス分析は、アンケート調査の結果やクロス集計表のデータを分析するときに使われます。分析結果をグラフで見て、特徴や傾向を把握することができ、それをもとにサービスの戦略立案に役立てることができます。
統計的な計算を行い、カイ二乗値や寄与率といった指標を使って、関係の強さや重要度を評価します。
コレスポンデンス分析のメリット・デメリット
ここでは、コレスポンデンス分析のメリットとデメリットを紹介します。
コレスポンデンス分析のメリット
【データの視覚化が可能】
コレスポンデンス分析は、データをグラフ化することができます。これにより、データの関連性やパターンが一目で分かりやすくなります。
【多変量データを解釈できる】
多変量データの分析において、コレスポンデンス分析は特に有用です。多くのカテゴリーを持つデータでも、関連性やパターンを把握しやすくなります。
【意思決定のサポート】
コレスポンデンス分析によって得られた情報は、サービスの戦略を立てる際に活用できます。データの特徴や傾向を明確に把握することで、的確な判断を下すことができます。
コレスポンデンス分析のデメリット
【量的データよりも質的データに有効】
コレスポンデンス分析は、主に「質的データ」を対象としています。「質的データ」は数値ではないデータです。例えば、性別や名前などが挙げられます。
一方、年齢や誕生日など数字で測れるデータを「量的データ」と呼びます。「量的データ」にはコレスポンデンス分析の適用が限定されるため、注意が必要です。「量的データ」には、主成分分析がおすすめです。
【結果の解釈に知識が必要】
コレスポンデンス分析は、統計的な手法を用いた解析です。そのため、解析結果を理解するには統計知識が必要となる場合があります。
コレスポンデンス分析の実践方法
ここでは、コレスポンデンス分析を実践するための基本的な手順をご説明します。
観測度数の準備
コレスポンデンス分析を行うためには、対象となるデータ(観測度数)を準備する必要があります。データはクロス集計表の形式で用意し、カテゴリーごとの出現頻度や関連性を表現します。
※クロス集計表…質問項目を2つ以上かけ合わせて集計する手法
この表は、男性と女性がリンゴとバナナをどれだけ選んだかを示しています。各セルには対応するセル内の観測度数(例:男性でリンゴを選んだ人が50人)を入力します。
リンゴ | バナナ | |
---|---|---|
男性 | 50 | 100 |
女性 | 100 | 150 |
相対頻度の計算
まず全体の合計(400)を求め、各セルの値を全体の合計で割り、相対頻度を計算します。例えば、男性がリンゴを選ぶ頻度は 50/400 = 0.125 です。
※相対頻度…各階級の度数を全体数で割ったもの
行と列のマージンを計算
次に、行と列のマージン(行や列の合計値の相対頻度)を計算します。例えば、男性のマージンは (50+100)/400 = 0.375 です。
期待度数の計算
それぞれのセルについて、その行のマージンと列のマージンの積をとり、期待度数を計算します。例えば、男性がリンゴを選ぶ期待度数は 0.375 * 0.375 = 0.140625 です。
※期待度数…行要素の合計や列要素の合計の比率から逆算して期待される度数
標準化残差の計算
期待度数と実際の値との差(残差)を求め、それを期待度数の平方根で割って標準化します。この場合、男性がリンゴを選ぶセルの標準化残差は (0.125 – 0.140625) / sqrt(0.140625) = -0.0417 です。
特異値分解 (SVD)
最後に、標準化残差の行列に対して特異値分解 (SVD) を行います。これにより、各行と列の座標(分析結果のプロットでの位置)を求めます。このステップは通常、専用の統計ソフトウェアやプログラミング言語のライブラリを用いて実行されます。
コレスポンデンス分析のできる統計ソフトウェアとプログラミング言語については後ほど紹介します。
コレスポンデンス分析活用時の注意点
コレスポンデンス分析を活用する際には、以下の注意点に留意することが重要です。
データの適切な選択
分析するデータは、目的に合わせて正しく選択する必要があります。データの質や量を考慮し、適切なデータを選ぶことが重要です。
データの前処理
データの前処理は正確な結果を得るために欠かせません。データの欠損値(存在しない値)や外れ値(他の値から大きく外れた値)の処理、変数のスケーリング(数値の尺度を統一する)などを適切に行い、データの品質を向上させましょう。
結果を鵜呑みにしない
コレスポンデンス分析の結果全てを、そのまま受け止めてはいけません。結果が示すパターンや関連性はあくまで統計的な傾向であり、因果関係を主張することができないからです。結果を裏付けるためには、さらなる調査や分析が必要です。
サンプルサイズの考慮
コレスポンデンス分析では、サンプルサイズ(標本の各群の個体数)が結果に影響を与えることがあります。十分なサンプルサイズが確保されているかを確認し、結果の信頼性を評価しましょう。
時間の変化の考慮
データが時間の経過とともに変化する場合、時間的な要素を考慮して分析を行うことが重要です。長期間にわたるデータを用いてトレンドやパターンを分析し、変化を把握することができます。
コレスポンデンス分析の活用事例
コレスポンデンス分析はさまざまな領域で活用されています。以下にいくつかの活用事例を紹介します。
マーケティング分析
コレスポンデンス分析は、マーケティングの分野において広く活用されています。顧客の属性や購買行動といった変数と、商品やサービスの特徴やブランドといった変数の関連性を分析することができます。これにより、ターゲット市場の特性や需要の特徴を把握し、マーケティング戦略の策定や広告の最適化に役立てることができます。
ソーシャルメディア分析
ソーシャルメディアの投稿データを分析する際にも、コレスポンデンス分析は有用です。例えば、特定のトピックやキーワードに関連する投稿内容と、ユーザー属性との関係性を分析することができます。これにより、ターゲットユーザーの嗜好や意見を把握し、適切なコンテンツ戦略やターゲティングを行うことができます。
カスタマーエクスペリエンスの改善
コレスポンデンス分析は、カスタマーエクスペリエンスの改善にも活用されます。例えば、顧客の属性や購買パターンといった変数と、顧客満足度やリピート購買率といった変数の関連性を分析することで、顧客のニーズや要望を把握し、サービスや製品の改善点を特定することができます。
教育分野の分析
コレスポンデンス分析は教育分野でも活用されます。学生の属性や学習成績といった変数と、教育プログラムや学習環境といった変数の関連性を分析することで、効果的な教育政策やカリキュラムの改善点を見つけることができます。また、学生のグループ分けやニーズに合わせた教育プランの立案にも活用できます。
コレスポンデンス分析が得意な言語
ここでは、コレスポンデンス分析が得意な言語を紹介します。
R(アール)
Rは、統計解析やデータマイニングによく使用されるプログラミング言語です。Rが使われている有名なパッケージとして「FactoMineR」が挙げられます。
Python(パイソン)
Pythonは汎用的なプログラミング言語であり、データ解析や機械学習の分野でも広く使用されています。Pythonには「Pandas」というデータ解析ライブラリがあり、これを使用してコレスポンデンス分析を実行することができます。
コレスポンデンス分析のできるツール
ここでは、コレスポンデンス分析のできるツールを紹介します。
SPSS(エスピーエスエス)
IBMが提供しているSPSSは、統計解析やデータマイニングのためのソフトウェアパッケージです。SPSSのユーザーインターフェースは直感的で使いやすく、非常に多機能な統計解析が可能です。
Excel(エクセル)
MicrosoftのExcelでは「エクセル統計」というパッケージを購入することで、コレスポンデンス分析をすることができます。
まとめ
今回は統計手法である「コレスポンデンス分析」について紹介しました。自社サービスの売上を伸ばすためにもぜひ活用を検討してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
コレスポンデンス分析とは?
コレスポンデンス分析は、データの関連性やパターンを視覚化する統計手法です。例えば、アンケート調査の結果やクロス集計表のデータを分析するときに使われます。
コレスポンデンス分析のメリットは?
コレスポンデンス分析のメリットとして以下が挙げられます。
- データの視覚化が可能
- 多変量データを解釈できる
- 意思決定のサポート
コレスポンデンス分析のデメリットは?
コレスポンデンス分析のデメリットとして以下が挙げられます。
- 量的データよりも質的データに有効
- 結果の解釈に知識が必要
- AIサービス
- データ活用・分析
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