食品工場で導入進む検査自動化AIの最新事例!課題やメリットを紹介!
最終更新日:2024/02/27
近年はAI(人工知能)の技術が急速に発展しており、さまざまな業界でAIの導入が進められている状況です。その代表例と言っても過言ではないのが食品業界であり、これまで手作業で行われることが多かった検査業務の効率化・自動化が加速しています。
そんな、食品工場での導入が加速している「AI外観検査」には、どのような課題やメリットがあるのでしょうか。食品業界におけるAI外観検査の最新事例とあわせてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
AIの活用事例について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能の利用例を解説!機械学習を活用した身の回りの実用例
AI外観検査とは
外観検査とは、一般的に「部品・製品の品質を維持するためにチェックする業務」のことを指します。主にチェックしていくのは、部品(製品)の汚れや異物混入の有無、傷、欠け、変形といった点です。多くの企業では、これらのチェックを目視で行っていく傾向にあり、ルーペや顕微鏡なども活用しながら細かな傷などもチェックしていきます。
そんな外観検査は、目視で丁寧にチェックを行う必要があるため、どうしても膨大な作業時間を確保しなければなりません。とはいえ、労働時間が長くなれば従業員の疲労を蓄積させてしまうため、「いかに効率的に外観検査を行えるか」という点が重要な鍵となるのです。
その効率的な外観検査を実現するための手段として注目されているのが「AI活用した外観検査」であり、食品業界の業務効率化・生産性向上に貢献しています。AIを活用することで、過去の検査データを蓄積・学習していくため、より高精度なLINEを実現できるわけです。
そのため、人手不足を課題とする企業にとって、AI外観検査は今後さらに必要不可欠な存在になっていくでしょう。
食品業界におけるAI外観検査の導入事例
では、実際にどのような企業がAI外観検査を導入しているのでしょうか。また、AI外観検査の導入によってどのような成果を得ているのでしょうか。ここからは、食品業界におけるAI外観検査の導入事例をご紹介していきます。
四国化工機
- 課題:豆腐というデリケートな商品を扱っていることもあり、画像検査装置によって人間以上の認識能力を実現することができていなかった。
- メリット:人間の10倍速で豆腐の自動判定検品を実現できるようになった。
四国化工機では、もめん豆腐の需要拡大に対応すべく、早くから画像検査装置の導入を試みていました。しかし、豆腐がデリケートな商品であることから、どうしても人間以上の認識能力を実現できていなかったそうです。
そこで、豆腐業界初のAI技術を用いたラインピッキングシステム「STI-ALPS」を導入。このシステムを導入したことで、人間の10倍速で豆腐の自動判定検品を実現できるようになりました。
これまでは、豆腐の外観検査(割れ・欠けを見つける作業)には高い集中力が必要となるため、連続2時間が限界とされていたそうです。しかし、自動検品設備の「STI-ALPS」であれば、人間のように疲労が蓄積されることもありません。当然、人間のように「体調次第で作業品質にも影響を及ぼしてしまう」といった心配もないため、1日20時間10万パックの検品を高いレベルで実行できているそうです。
ニチレイフーズ
- 課題:万が一を考慮した「念のため廃棄」が食品ロスを生んでいた。
- メリット:エビの殻のむき残しを見分ける作業を自動化。
ニチレイフーズでは、AI外観検査を活用することで「念のため廃棄」を減らし、食品ロス削減に繋げています。顧客に安心しておいしく食べてもらうためには、厳しい検査環境を構築して商品の品質を維持しなければなりません。しかし、商品の品質維持を追求しすぎると万が一を考慮して「念のため廃棄する」というケースが増加してしまうのです。
この「念のため廃棄」を減らすためには、より高い精度で異物を取り除く検査体制が求められます。そこでニチレイフーズは、AIを活用したエビの残殻検査装置を独自に開発。これまですべて手作業で行われていた「エビの殻のむき残しを見分ける作業」を自動化することで、より高精度かつスピーディーな選別が可能になりました。
ちなみに、この装置は現在機器メーカーで製造販売が行われており、ニチレイフーズ以外の食品工場でも利用されているそうです。
キューピー
- 課題:ポテトの品質は必ずしも均一ではないため、原料の検査作業を機械化するのが困難だった。
- メリット:実質的に検査速度を2倍に向上。
食品メーカー大手キユーピーでは、「1日100万個以上のポテトをさばく検査ロボット」を導入したことで話題を集めています。
同社では、離乳食の材料として1日100万個以上のダイス型(角切り)ポテトを使用しています。ただ、中には茶色く変色したポテトが混じっていることもあるそうです。変色しているだけで食べても人体には問題のない品質のものですが、離乳食という商品の性質上、少しでも購入者の不安を取り除かなければなりません。また、その他にもポテトの品質は必ずしも均一ではなく、また品種も数多くあるため、原料の検査作業はなかなか機械化できない分野でした。これまでは、目視による検査員への負担も大きかったといいます。
そこで同社では、マシーンラーニングを活用したAIによる検査プログラムを製造工程に導入。当初は「不良品を見つけ出す」というフローで取り組んだところうまくいかなかったため、発想を逆転させて、マシンに良品のダイズポテトの画像を学習させて「良品を見つけ出す」というフローに変更したところ、不良品の選別に成功したのです。
人間による目視では疲労の蓄積によって検査効率が下がっていきますが、機械ならそういったことはありません。実質的に検査速度を2倍に向上させることが可能だといい、同社では今後、離乳食の製造ラインだけでなく、ポテトサラダの製造工程にも同様のマシンを導入する計画です。
アヲハタ
- 課題:目視による全量検査作業に時間がかかっていた。
- メリット:異物検査装置の導入によって業務効率化と品質アップを実現。
ジャムの製造を行うアヲハタでは、広島県竹原市にあるジャム工場内の生産ラインにおいて、ニコンと共同開発した異物検査装置を導入し、検査作業の効率化と品質アップを実現しました。
これまでは、全量検査作業を目視で行っていたため、どうしても長時間を要してしまう状況だったそうです。しかし、瓶詰めする前の液体状のジャムを異物検査装置にかけ、異物を取り除く環境を構築したことで、大幅な業務効率化と品質アップを実現することに成功したといいます。
アヲハタが導入した装置の仕組みとしては、ベルトコンベアで運ばれるジャムを、2秒に1回カメラで撮影するというもの。そして、撮影した静止画から異物が見つかったときは、下工程の多関節ロボットが真空パッドを活用し、吸着して異物を取り除いていきます。
ただし、カメラで撮影した静止画から「何が異物なのか」「何が正常なのか」を正確に判別するのは決して簡単ではありません。誤検出を防ぐために、アヲハタが導入した異物検査装置では4台のカメラを活用しています。そして、それぞれ異なる4つの波長の光で撮影することによって、より高い精度で異物を検出することが可能になったそうです。
食品工場での検査のお悩みを解決しませんか?
今回は、食品工場で導入が進むAI外観検査の導入事例をご紹介しました。AIを活用した外観検査によって、目視での検査では実現できなかった正確性とスピードを実現できることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
アイスマイリーでは、AI外観検査サービスの利用料金・初期費用・無料プラン・トライアルの有無などを一覧で比較・確認できる資料を無料でお配りしています。AI外観検査の導入を検討の際は、ぜひお気軽に資料をご活用ください。
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