コールセンターの業務効率化を担う「音声認識」の仕組みとは?
最終更新日:2024/04/04
昨今は少子高齢化に伴う働き手不足が深刻化しており、多くの企業が「人材不足」を大きな課題として抱えている状況にあります。とくにコールセンター業界では、若者の電話離れが進んでいることもあり、採用が厳しくなりつつあるのです。
また、オペレーターはクレーム対応なども行わなければならないケースが多く、精神的な負担を伴うため、近年は離職率も高まっている状況にあります。そのため、とくに人材不足が深刻化している業界と言っても過言ではないかもしれません。
そのような中で、近年多くの企業が人材不足解消の手段として導入し始めているのが、「音声認識AIサービス」です。今回は、この「音声認識AIサービス」がどのような仕組みなのか、また、活用することでコールセンターにどのようなメリットが生まれるのか、詳しくご紹介していきます。
コールセンターが抱えている主な課題とは?
冒頭でもご紹介したように、近年はコールセンターで働くオペレーターの離職率が高まっており、コールセンター白書2018によれば、約7割の企業で離職率10%を上回っているといいます。それが大きな要因のひとつとなり、人材不足が深刻化しているわけですが、実はコールセンターが抱えている課題はこれだけではありません。
たとえば、時代の変化によって「サービスの品質」をより一層高めなければならなくなったことも、コールセンターが抱える課題のひとつといえるでしょう。というのも、近年はSNSが発展したことにより個人が大きな影響力を持てるようになったため、顧客対応を慎重に行わなければ企業の信頼度を落としてしまう可能性があるからです。
もちろん、SNSがなければ顧客対応を疎かにしても問題ないというわけではありません。しかし、これまで以上に顧客対応を慎重に行わなければ、企業の悪評がインターネット上に広まる可能性も高いことを、しっかりと把握しておくべきでしょう。そして、企業としてはオペレーターの「モニタリング」を慎重に行うなど、対策を練ることが大切になります。
(参照:コールセンターのAI音声認識システム比較・導入事例|主要国内ベンダー比較 | CC PLUS)
音声認識AIシステムの仕組みと導入のメリット
コールセンターにおけるサービスの品質は、企業の信頼を左右しかねない重要なものであることがお分かりいただけたかと思います。そのため、近年は多くの企業がコールセンターの「業務効率化」と「サービス品質の向上」を図る取り組みを行っている状況であり、その手段として多くの企業に用いられているのが音声認識AIシステムなのです。
音声認識AIとは、コンピューターを用いて音声データをテキストデータに変換する技術のことを指します。AmazonのAlexaやiPhoneのSiriを利用したことがある方も多いのではないでしょうか。これらはまさに、音声認識AIの技術が用いられているサービスのひとつです。
こういった技術を導入することにより、音声ベースの問い合わせを自動でテキスト化したり、顧客の声を分析して感情を推測したりすることができるようになります。そのため、サービスの品質を向上すると同時に顧客対応の効率も高めていくことができるわけです。
また、コールセンターに電話した際、「○○の方は1を押してください」といった自動音声による対応を受けたことがある方も多いでしょう。これは自動音声応答装置(Interactive Voice Response)と呼ばれるもので、コールセンターでは一般的に用いられています。
ただ、最近はさらに進化した技術が活用され始めており、「○○したい」「○○できなくなってしまった」といった顧客の声を音声認識AIによって分析し、AIが適切な担当者への振り分けを行うといったことが可能になっているのです。中には、最後までオペレーターを介すことなく音声認識AIシステムだけで完結するものも出てきており、今後はAIがすべての顧客対応を行うのが一般的になる可能性も少なくないでしょう。
音声認識AIの現状は、オペレーターのアシスタント業務がメイン
最近では音声認識AIシステムだけで顧客対応を完結させるケースも出てきているわけですが、やはりオペレーターによる顧客対応の品質と比較した場合、まだ音声認識AIシステムには改善の余地があるというのが実情です。そのため、しばらくは「オペレーターのアシスタント」という位置づけで音声認識AIシステムが活用されていくことになるでしょう。
そのアシスタント業務の一例としては、問い合わせ内容を認識して画面上に回答を示すことなどが挙げられます。音声認識AIシステムを活用すれば、顧客の声を認識した上で、テキスト化することが可能になるため、その問い合わせに合わせてFAQやマニュアルを表示させることなどが可能になるのです。
このような形でAIが対話を主導していけば、仮に新人のオペレーターが顧客対応を行なう場合にも、よりスムーズな情報提供を行えるようになります。これまでは、顧客の声に耳を傾けながらFAQやマニュアルを自分で検索しなければならなかったため、どうしてもベテランと新人の顧客対応に大きな差が生まれてしまう状況でした。その点、音声認識AIを導入すれば、オペレーターは顧客の声にしっかりと耳を傾けて、より丁寧な回答を行うことに集中することができるのです。
そのため、オペレーター自身の負担が軽減されるのはもちろんのこと、サービスの向上にもつなげられるため、企業としてのブランディング向上というメリットも期待できるでしょう。
音声認識AIサービスの比較ポイント
現在は多くの企業が音声認識AIサービスを提供しているため、自社にとって最適な音声認識AIサービスを導入するためには、いくつかのポイントを比較することが重要になります。とくに重要視すべきポイントとしては、以下の2点が挙げられるでしょう。
・データ分析の支援を受けられるか
音声認識AIサービスを導入した場合、これまでの顧客対応でテキスト化されたものがデータとして蓄積されていきます。そのデータは企業にとって大きな財産であり、いかに有効活用できるかどうかが企業の将来を大きく左右するのです。そのため、蓄積されたデータの分析を支援するサービスが完備されているかどうかという点は、サービスを比較する上で重要なポイントになるでしょう。
データ管理の安全性
コールセンターに蓄積されているデータの中には、顧客の個人情報が詰まっています。その個人情報を扱う以上は、音声認識AIサービスのセキュリティ面も重要視しなくてはなりません。アップロードした音声の自動削除機能、VPN接続によるアクセス方法の制限といった機能を備えているサービスも多くなっているため、それぞれのサービスのセキュリティ面もしっかりと比較するようにしましょう。
人手不足が深刻化しているコールセンター業界において、音声認識AIサービスは非常に重要な役割を果たしていることがお分かりいただけたかと思います。ぜひこの機会に、音声認識AIサービスの導入によって業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
- AIサービス
- 音声認識・翻訳・通訳
- 導入活用事例
- コールセンター
業務の課題解決に繋がる最新DX・情報をお届けいたします。
メールマガジンの配信をご希望の方は、下記フォームよりご登録ください。登録無料です。
AI・人工知能記事カテゴリ一覧
AI・人工知能サービス
- 生成AI
- 画像生成AI
- ChatGPT
- AI研究開発
- LLM
- DX推進
- おすすめAI企業
- チャットボット
- ボイスボット
- 音声認識・翻訳・通訳
- 画像認識・画像解析
- 顔認証
- AI-OCR
- 外観検査
- 異常検知・予知保全
- 自然言語処理-NLP-
- 検索システム
- 感情認識・感情解析
- AIモデル作成
- 需要予測・ダイナミックプライシング
- AI人材育成・教育
- アノテーション
- AI学習データ作成
- エッジAI
- IoT
- JDLA
- G検定
- E資格
- PoC検証
- RPAツール
- Salesforce Einstein
- Watson(ワトソン)
- Web接客ツール
- サプライチェーン
- メタバース
- AR・VR・デジタルツイン
- MI
- スマートファクトリー
- データ活用・分析
- 機械学習
- ディープラーニング
- 強化学習
- テレワーク・リモートワーク
- マーケテイングオートメーション・MAツール
- マッチング
- レコメンド
- ロボット
- 予測
- 広告・クリエイティブ
- 営業支援・インサイドセールス
- 省人化
- 議事録自動作成
- 配送ルート最適化
- 非接触AI
業態業種別AI導入活用事例
今注目のカテゴリー
AI製品・ソリューションの掲載を
希望される企業様はこちら