Watson Explorerとは?文書の分析で知見を獲得!
最終更新日:2024/04/04
社内に蓄積されている大量の文書データを有効に活用したいと考えているものの、なかなか良い活用方法を見出すことができていないという企業も多いのではないでしょうか。CSVファイルやExcelファイルのような構造化データであれば比較的容易に活用することができますが、文書データのような非構造化データの場合は、その活用方法に悩んでしまうケースも少なくありません。
しかし、IBMが提供しているWatson Explorerを利用すれば、非構造化データの分析が容易になるため、新たな知見を獲得できる可能性があるのです。今回は、このWatson Explorerがどのような機能を持っており、またどのようなメリットが得られるのかについて詳しくご紹介していきます。
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IBM Watson Explorerとは?
(参照:IBMオフィシャルサイト Watson Explorer – 概要 -)
IBM Watson Explorerは、大量に蓄積された構造化データ、非構造化データの収集や分析ができるプラットフォームです。データの探索や分析を行うことで、意思決定や顧客サービスの傾向、パターンを明らかにすることができます。
企業の業績を向上させる上では、過去のデータをいかに有効活用できるかという点が極めて重要になりますが、「そもそも活用できるデータがない」といった悩みを抱える企業も少なくありません。確かに、創業直後の企業であればデータの蓄積量も少ないことが予想されますが、大半の企業には過去のデータが大量に存在しているはずです。
しかし、多くの企業はその大量のデータを「効率良く検索し、効率良く分析する術」を持ち合わせていないため、「活用できるデータがない」という錯覚に陥ってしまっています。そのような状況を打開することができるのが、Watson Explorerなのです。
人が書いた文章などの非構造化データは、コンピュータ処理上決まった形式では統一されていないので、これらを正しく認識し、分析することは困難とされてきました。しかし、Watson Explorerは、IBMの東京基礎研究所で長年研究され続けてきた「言語解析エンジン」を備えているため、日本語をはじめとする17言語を認識・分析できるのです。
また、この研究は日本人の研究者が中心となって行われてきたため、数多く存在するツールの中でも特に日本語への理解が深いという点も大きな魅力といえるのではないでしょうか。
(参照:MISO 失敗しないIBM Watson Explorerの導入と活用法・前編)
日本語の意味を正しく解釈できることから、コールセンターでも重用
そのようなWatson Explorerですが、日本語の意味を正しく解釈して分析することができるという点から、コールセンターや顧客窓口で活用されるケースも多くなっています。
例えばコールセンターの場合はオペレーターが、問い合わせてきた顧客の質問を聞きながら膨大な量のFAQから回答を探していくのが一般的な流れです。そのため、どうしてもオペレーターの経験値によって対応のスピードに差が生まれてしまうことがあります。
当然、このスピードを早くすることができれば顧客満足度は高められますが、入社したばかりのオペレーターなどは経験を積むための期間が必要になるため、初めから顧客満足度の向上に貢献することはできません。こういった、オペレーターの経験値によってサービスの品質が変化してしまうという点が、カスタマーセンターにおける大きな課題となっていたわけです。
その点、Watson Explorerは自然言語処理能力を発揮することができるため、顧客からの問い合わせ内容を正しく解釈し、瞬時にその回答を検索することができます。オペレーター自身も、質問を聞きながら回答を探すための操作を行う必要がなくなるため、より問い合わせに対して親切な対応を行っていくことができるのです。
(参照:IBM THINK Business Watson Explorerで発掘できる、企業に眠る宝の山とは?)
Watson Explorerは業界固有の単語にも対応可能
また、Watson Explorerは、一般的な会話では使用される機会が少ないような業界固有の単語にも対応可能です。例えば、ある通信会社では、SNSで位置情報について発信しているユーザーのテキスト分析にWatson Explorerを活用しています。
SNSで「○○の回線がつながらない」「〇〇の通信速度が遅い」といった自社のサービスに関連する投稿を洗い出し、そこからさらに位置情報が含まれている投稿をリアルタイムで抽出していくという仕組みです。このような情報をリアルタイムで抽出していくことにより、自社の通信に関わるトラブルをスピーディーに把握できるわけです。
特にSNSは「気軽に投稿できる」というメリットがあるため、通信会社への問い合わせと比べた場合、行動のハードルは一気に低くなります。そのため、より多くのユーザーの声を集められるのです。
もちろん、対象がSNSになれば、収集する領域やワード次第で数千万といった規模の投稿量を扱う可能性もあります。しかし、Watson Explorerはビッグデータに対応しているため、こういった大量のデータを収集して分析する作業も手軽に行うことが可能なのです。
Watson Explorerがもたらす価値は計り知れない
Watson Explorerを導入することで、これまで多くの担当者にとって負担となっていた業務を効率化できるようになります。特にコールセンターなどの「顧客と直接的に関わる業務」が発生する部分においては、課せられた負担からくるオペレーターのストレスが、顧客への対応に表れてしまう可能性もあります。そのようなことが重なると、顧客満足度も低下を招く結果になり、いずれ業績の悪化へとつながってしまうのです。
しかし、Watson Explorerによってオペレーターの負担を軽減できれば、より親身に問い合わせに対応することができるようになります。また、オペレーターの問い合わせ履歴を分析していくことで、万が一のクレームに対しても適切に対応するための準備を進められるのです。
もちろん、Watson Explorerのメリットはカスタマーセンター以外の場所でも得られます。顧客の声やSNSの口コミなどを効率的に収集できるため、自社の商品(サービス)を顧客視点から評価できるようになります。さまざまな視点から自社の商品を見つめ直すことは、品質向上を図る上で欠かせません。
社内外に埋もれてしまっている文書の中には、現状の課題を解決するための数多くのヒントが隠されている可能性があります。Watson Explorerは、まさにそういったヒントを発掘するために欠かせない存在といえるでしょう。「日々蓄積されていく文書をできる限り有効活用したい」といった悩みをお持ちの場合には、ぜひこの機会にWatson Explorerの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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