人材派遣業界におけるAIを活用したマッチングとは?人手不足を解消
最終更新日:2024/05/30
働き方改革が進められている昨今において、業務効率化を課題としている企業も決して少なくないでしょう。しかし、それ以前に人手不足を解消することができず、社員一人ひとりの負担を軽減することができないという問題に直面している企業もあるはずです。特に、医療や介護などの福祉サービス業界においては人手不足が深刻化しているため、人材の確保は最大の課題と言っても過言ではないでしょう。
そんな中、注目を集めているのが人材派遣業界の「AIを活用したマッチング」です。今回は、このAIを活用したマッチングがどのような仕組みなのか、またどのようなメリットがあるのかについてまとめました。
AIの活用事例について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
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さまざまな問題を抱えていた従来のマッチングサービス
これまでにもマッチングサービスは多くの企業に利用されており、実際にそのサービスを利用して人材を確保している企業も数多く存在していました。しかし、従来のマッチングサービスにもいくつかの大きな問題があったのです。
特に大きな問題として挙げられるのは、以下の2つでしょう。
- 時間的コストがかかってしまう
- 人材コンサルタントごとに判断の差が生まれてしまう
従来のマッチングサービスでは、人材を求める企業からの要望を明確にするためのヒアリングから始まります。次に、そのヒアリング内容をもとに、蓄積している大量のデータから条件にマッチする人材を絞り込んでいきます。そして、ある程度絞り込んだ人材の中から、その企業に最も適していると思える人材を提案し、契約へつなげていくという流れになるわけです。
しかし、ヒアリングや人材の絞り込みなど、すべての業務を人材コンサルタントがこなしていく必要があるため、最終的なマッチングにたどり着くまでに相当の時間を要していました。
また、「人材の絞り込み」という面においても、担当したコンサルタントの判断次第で絞り込まれる人材は大きく変化するため、マッチングサービスの質を一定に保つことが難しい状況にあったのです。
(参照:IBMオフィシャルサイト AIで人材ビジネスがどう変わる? チャットを分析、趣味嗜好も考慮した最適マッチングへ)
人材派遣業界で重要が高まる「AIを活用したマッチングサービス」
従来のマッチングサービスが抱える問題を解消すべく、人材派遣業界では「AIを活用したマッチングサービス」の需要が高まっています。その代表例として、技術者派遣事業を行うフォーラムエンジニアリングがIBMと共同開発したマッチングシステムが挙げられるでしょう。
同社が開発したのは、IBM Watsonを搭載した「Insight Matching」というシステムです。この「Insight Matching」には、ユーザーとチャット形式でコミュニケーションを取れるという特徴があります。これにより、これまでは履歴書でしか判断することができなかった部分以外の情報も詳しく把握することができるようになったのです。
それこそ、履歴書の文字だけでは判断するのが難しい「性格」「趣味」といった、人間性を知る上で必要となる部分も分析できるようになったといいます。そして、その分析した情報をもとに、独自のアルゴリズムによってスコアリングすることで、担当する人材コンサルタントごとに判断が異なるといったケースを減らすことができるようになりました。
当然、人それぞれ得意とするスキルは異なりますから、仮に電話営業のスキルが低くても、それ以外の技術的なスキルが高ければ、技術系の人材を求める企業とマッチングできる可能性は十分にあります。このように、さまざまなスキルをスコアリングすることで、より最適な人材をマッチングさせることができるようになったのです。
つまり、「Insight Matching」は、従来のマッチングサービスのように人材の絞り込みを行うまでの時間を短縮できるだけでなく、その精度も格段に向上させられるようになったということです。
なお、現段階ではチャット形式でのやりとりによってマッチングを行いますが、将来的には音声による対話の実現を目指しているといいます。
(参照:日経ビジネス Watsonを活用し、人が介在しない人材マッチングへ)
AIが相手になることで求職者も希望を伝えやすくなる
AIを活用したマッチングサービスのメリットは求職者にも数多くあります。企業にとっても言えることですが、従来のマッチングサービスを利用するよりも早く仕事を見つけられる可能性が高いという点は大きなメリットと言えるでしょう。
また、AIが相手になるので「自分がどのような希望を持っているのか」という点が伝えやすくなるという点も大きなメリットと言えるのではないでしょうか。「人材コンサルタントを前にすると、なかなか自分の希望を伝えられない」「積極的に質問したいけど、緊張してしまい上手く質問できない」といった方も決して少なくないはずです。
もちろん、分かりにくい説明があった場合などでも、相手がAIであれば何度でも質問できますから、自分が納得いくまでコミュニケーションを取ることができるでしょう。
AIによるマッチングが人材派遣業界の未来を変える
人材派遣業界で注目を集めているAIを活用したマッチングサービスですが、先ほどご紹介した「Insight Matching」に関しては2016年4月からの運用により、一定の効果を得られているといいます。中には、これまでのマッチングと比較して半年も期間が短縮できているケースもあるそうです。
こうした結果からも、AIによるマッチングが人材派遣業界のプラスになっていることはお分かりいただけるでしょう。そして何より、AIであれば24時間休むことなく稼働することができるという点は、働き方改革が進む現代において極めて大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
優秀な人材であれば、AIに匹敵するスピードでマッチング業務を行える可能性もあるかもしれません。しかし、人間である以上、その精度の業務を24時間継続することは不可能です。また、人間は体調やモチベーションによって仕事の質が変わってしまうケースもありますが、AIであれば常に一定の品質で稼働することができるわけです。
こうしたメリットを踏まえると、より高い品質のサービスを提供する上でAIの存在は必要不可欠になりつつあると言っても過言ではないかもしれません。特に人材派遣業界においては、「一刻も早く最適な人材を確保すること」が求められているわけですが、その精度を一定に保つことは極めて重要と言えます。
人手不足解消の鍵を握る人材派遣業界において、「AIを活用したマッチング」はもはや欠かせないものになりつつあるでしょう。
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