手書き文字も瞬時にデータ化!AI-OCRソリューションがスゴイ
最終更新日:2024/04/04
IT化やペーパーレス化が叫ばれる中でも、多くの日本企業はいまだに大量の紙文書と闘っているのが現状ではないでしょうか。毎月大量に送られてくる様式がばらばらの請求書など、データ化したくとも追い付かない紙文書はまだまだ多いものです。そうした紙文書のデータ化に一役買っているのが「AI OCRソリューション」です。光学認識技術(OCR)とAI・人工知能を組み合わせることで、請求書のような非定型文書だけでなく手書き文字も瞬時にデータ化することができます。
古くて新しいOCR技術、きっかけはAI
日本におけるOCRの技術は古く、1960年代までさかのぼります。最初に導入されたのは、郵便物の仕分け機でした。このOCRを活用した日本の仕分け機の技術は年々洗練され、今では海外で外国語の郵便物を仕分ける機械にも採用されています。
決して目新しい技術とは言えないOCRですが、昨今の働き方改革の流れでにわかに脚光を浴びている状況です。それはやはり、OCRとAIを組み合わせた「AI OCR」の誕生によるところが大きいと考えられます。
以前のOCR技術では、基本的に活字(印刷された文字)の項目の位置が決まった文書(定型文書)を読み取り、データ化するのがメインとなっていました。しかし、AI OCRの誕生で読み取れる文字の幅が広がり、書き手のクセが表れる手書きの文字や、項目の位置がばらばらな非定型文書も読み取れるようになりました。
また、以前は汚れがあったり文字が不鮮明だったりすると正しく変換されず、最終的には人の目を通して修正する必要がありました。しかし、AIの導入により文意から文字を変換することが可能になったため、いまや、OCRの読み取り精度は99%ともいわれるほどです。
(参照:働き方改革ラボ 「AI-OCR」とは?手書き文字も認識するの?OCRの機能を解説!)
働き方改革の達成にOCRは必須
OCRは、ペーパーレス化を進めるために必須ともいわれます。紙文書は保管する場所を必要としますが、OCRでデータ化すれば、そうしたスペースは必要なくなります。また、データをサーバー上で一元管理することで、検索性が向上します。さらに、オフィスで紙文書のファイルを参照しなくても、サーバーに接続さえすればデータにアクセス可能です。働き方改革で推進されているリモートワークの拡大にも必須の技術だといえるでしょう。
OCRの読み取り精度は99%と言われますが、人間が入力したとしても100%正確ということはあり得ず、どこかで入力ミスが発生するものです。人間は24時間365日休みなく働くことはできませんし、疲労がたまったり、単調な作業に飽きてくると精度が低下したりします。一方でOCRは年中無休、一定のペースで作業ができます。
一般的な業務で利用するレベルであれば99%でも十分な読み取り精度だと言われますが、100%を目指すなら間違った個所だけ人の手で直すということも可能です。それでも、一からの手入力に比べれば、かなりの工数削減になるはずです。
労働人口が縮小し、人間の役割が単純作業から付加価値の高い業務へとシフトせざるを得ない中、データ入力のような定型業務がOCRのようなソフトに代替されるのは自然な流れだといえるでしょう。
オーダーメイドのスーツやシャツを採寸した手書き書類もOCRでデータ化
オーダーメイドのスーツやシャツを手掛けるFABRIC TOKYOでは、顧客の寸法を採寸した手書きの書類をOCRでデータ化し、クラウド上で管理しています。ユーザーはいつでも自分のサイズデータにアクセスでき、いちど店舗で採寸してしまえば、次回からはネット上でスーツ・シャツのオーダーが可能になります。
データ入力だけなら採寸しながらタブレット端末に直接打ち込むという方法もありますが、オーダースーツの世界では、ただメジャーで測るだけでなく紙の上で緻密な計算が必要になります。そのときの採寸書をOCRでデータ化するという手法を採用しています。
以前は手書きの採寸書をスタッフがエクセルに入力するために13~15分ほどかけていたものが、今ではスキャンのみになったため、労働時間を月180時間削減できたそうです。
(参照:Tegaki Tegaki.ai導入事例「AIで残業がなくなった」月間180時間の労働時間を削減したAI導入事例が美しすぎる)
AI-OCRの導入で手書きの申込書の入力作業時間を22.2%削減
病院や施設向けの寝具やテレビ、カーテンなどのレンタル、リースを行っている株式会社カクイックスでは、事業の拡大に伴い手書きの申込書が増え、その入力作業に多くの時間を割かなければならない状態に陥っていたそうです。人手では追いつかないほどの量になってしまったため、同社はOCRの導入に踏み切りました。
OCRの導入により、申し込みの入力作業にかかる時間を22.2%も削減することができたといいます。
具体的なフローとしては、以下のような流れです。
1.病院に配属されたコンシェルジュが、入院患者が書いた手書きの申込書を受け取り、スキャナーで読み込む
2.OCRのサービス上にアップロードされたデータを本社でダウンロードし、PDFからJPGに変換するなどの前処理を行う
3.前処理したデータをアップロードし、リクエストすると読み込まれる
上記のような一連の流れになるわけですが、OCRであれば一つの施設あたり20〜30枚の申込書を処理しても、わずか3分半ほどで終えることができるのです。手書きの申込書の場合だと文字に個人差があるため、場合によっては読み取りにくい文字が原因で入力作業に遅れが生じてしまうケースもあります。しかし、近年はOCRの技術も進歩しており、認識率も向上しているため、より正確かつスピーディーに読み込むことができるようになっているのです。
(参照:Tegaki Tegaki.ai導入事例 Tegaki導入で、申込書の入力作業時間を22.2%削減)
横浜銀行もOCR導入によってインプット作業を効率化
2020年で創立100周年を迎える横浜銀行でも、OCRの導入によって業務効率化が図られています。マイナス金利の長期化が原因となり、銀行の経営環境が厳しさを増していることもあり、横浜銀行では「本部事業の効率化」「行員一人ひとりの生産性向上による営業面の強化」が大きな課題となっていたそうです。
そこで、まずはルーティン業務を中心にRPAの導入を進めていったといいます。ただ、紙からのインプットがスムーズに行えていなかったことから、手書きAI-OCRシステムを構築し、業務効率化を図っていったそうです。これにより、手書きの紙を必要とする業務に関してもRPAの対象にすることが可能になったため、さまざまな処理を自動化することができるようになったといいます。
OCRを導入するまでは、書類の受付や受付簿の作成に1日、書類の点検に1日、システム入力に1日、消込に1日と、一連の業務を終えるまでに4日を費やさなければなりませんでした。
しかし、OCRを導入したことで、書類の受付と書類の自動点検を1日で行えるようになり、2日目にRPAによるファイル生成と自動消込を行うという形で業務を進められるようになったため、2日も短縮することができるようになったのです。
紙の帳票を無くし、すべてをデジタル化してしまえばさらなる業務効率化が期待できるわけですが、銀行においては紙の帳票を0にすることは難しいという考え方もあります。そのため、OCRの活用によって紙の帳票が関わる業務効率化を実現できることは、極めて大きな価値があるといえるのではないでしょうか。
OCRアプリも登場するなど、より身近な存在になりつつある
多くの企業に導入され始めているAI-OCRですが、最近はOCRのアプリなども登場し始めており、より身近な存在になってきています。ここからは、いくつか代表的なOCRアプリをみていきましょう。
・世界No.1制度といわれる「テキストスキャナー」
テキストスキャナーは、紹介文に「世界No.1の高速読み取り」「世界No.1の高精度」などと記載されており、高い精度での文字読み取りが大きな特徴となっているアプリです。手書き文字にも対応しているので、OCRの技術がどのようなものなのか実感したい場合に活用してみてはいかがでしょうか。ただ、アプリということもあり、企業などに導入されているOCRと比較すると読み取りの精度が落ちてしまう点は否めません。
・読み取った文章をWord形式で保存できる「Microsoft Office Lens」
Microsoft Office Lensは、Microsoft社が提供しているOCRアプリです。Microsoftが提供しているということもあり、読み取った文章をWord形式で保存できるのが大きな特徴となっています。文章をWord形式で保存し、そのままWordで編集を行うことができるのは、大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
ミスを減らし、管理・検索の効率も向上するAI-OCR
このように、AIによるOCR技術の進歩は日々進んでおり、活用の場も広がっています。手書きの文字には個人差があるため、入力ミスが起る可能性もあります。そのようなミスが多発すれば、社員一人ひとりの疲労やモチベーションの低下を招いてしまい、生産性の低下へと繋がる恐れもあるわけです。
その点、OCRは高い認識率で文字を読み取れるだけでなく、疲労の蓄積やモチベーション低下の心配もありません。そして何より、データ管理がしやすくなるという点も大きなメリットといえるでしょう。
また、過去のデータが必要になった時に、人の手で検索していると時間がかかってしまいます。しかし、OCRの活用によって文字データ化しておくことで、必要なときに必要な情報を瞬時に得られるようになるのです。これも、業務の効率化につながる大きなメリットの一つといえるのではないでしょうか。
働き手が不足している現代において、「いかに一つひとつの業務を効率良く進めていくか」という点は、多くの企業にとって重大な課題といえるでしょう。日本の働き方そのものをアップデートするためにも、さらなるOCRの活用が期待されます。
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