生成AI

最終更新日:2025/10/15
一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)は、人と生成AIが協働する社会の実現に向けて、生成AI時代における人的資本経営の優れた実践事例を表彰する国内初のアワード「GenAI HR Awards 2025」の最終審査・表彰式を2025年10月9日(木)に幕張メッセにて開催しました。
生成AIは2025年、「AIエージェント元年」と呼ばれるほど社会実装が加速すると見込まれています。これまで注目されてきたのはツール導入や技術的活用でしたが、成果を左右するのは人材育成・人事評価・組織変革といった人的資本への取り組みです。
本アワードは、「企業セクター(中小企業)」「企業セクター(大手企業)」「教育セクター」「公共セクター」の全4部門で構成されています。各部門の一次審査、⼆次審査を経て選ばれた6組のファイナリストたちは、自分たちがAIに対してどのような取り組みをしてきたのか、10分間のプレゼンテーションと5分の質疑応答を行います。
生成AI時代の人的資本戦略に精通する有識者が集い「戦略性」「革新性」「安全性」「定量性」「将来性」を基準に、一つひとつの事例が公正に審査されました。
SALES ROBOTICS株式会社 執行役員 AI Innovation室 室長 高木 康介氏
企業セクター(中小企業)では、SALES ROBOTICS株式会社がグランプリを受賞しました。プレゼンテーションでは、BPO業界の構造的課題を挙げ、自社の生成AI活用について紹介しました。
生成AIにより環境が変わる中、自分たちが5年後に生き残っているのか、その思いからAI活用が始まったと話します。「目の前の顧客に向き合う時間を増やす」という明確な目標を掲げてAI活用をスタートし、「意識化」「導入・拡張」「価値改革」の3つのプロセスを定め、生成AIを当たり前に使う環境を整えることで、AIの利用率を98.7%まで引きあげることに成功したと話しました。
ウェブスタッフ株式会社 IT企画開発局 室長
システムエンジニア 兼 キャリアコンサルタント 石川 未来氏
企業セクター(中小企業)の準グランプリは、ウェブスタッフ株式会社が受賞。プレゼンテーションでは、生成AIを一過性のブームで終わらせず、組織文化として定着させるためのルール作りや評価設計について紹介しました。
「生成AIの活用によりイノベーションが生まれる組織にする」という目標を掲げて生成AI活用を始めましたが、現場では情報漏洩のリスクやAI導入効果が見えないという問題点が残ります。そこでウェブスタッフ社は、生成AIのガイドライン整備とリスクマネジメントを行い、人事評価に生成AI活用力項目を追加。特に、評価設計では、6の評価軸を18のスキルに分解、72のアクションとして具体化することで客観的な評価を可能にしました。一連の取り組みにより6か月で生成AIの活用者は28%から86%に増加したと述べました。
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事総務本部
生成AIプロジェクト推進室 プロジェクト推進2課 課長 秋葉 涼子氏
企業セクター(大手企業)では、ソフトバンク株式会社がグランプリを受賞しました。「未来社会を実現するインフラへ」を目標に掲げ、目標においてAIがどのような位置づけになっているのか、またソフトバンクとしての取り組み内容を紹介しました。
ソフトバンクは部門・業務ごとに最適化されたAIではなく、全体最適化されたAIで事業創造=経営変革を行うために、日本一生成AIを活用する企業を目指しています。「AI利活用の基盤整備」「生成AIの学習機会」「活用促進施策」という3つを軸に、生成AIを活用できる環境整備を推進。取り組みの一環として行った生成AIコンテストでは提案数26万、特許出願数1万件超を記録します。そうした取り組みを通じて、AIと共に進化して事業と人の価値を最大化したいと語りました。
博報堂DYホールディングス株式会社 テクノロジーR&D戦略室・BPR推進グループ
株式会社博報堂DYコーポレートイニシアティブ 人事室・HRデータ戦略部 荻野 綱重氏
企業セクター(大手企業)の準グランプリには、株式会社博報堂DYホールディングスが受賞しました。プレゼンテーションでは、社内のAI活用力と業務知識の断絶を問題点として挙げ、その壁を壊す取り組みについて紹介しました。
AI活用力に長ける若手が、経営層や熟練社員にAIを教える「AIメンタリング制度」を開始。当初は、若手に教わるのに抵抗があった経営層も、「AIメンタリング制度」のおかげで、自身でAI活用が出来るようになり、今では若手とAIが相談相手になっていると伝えました。
「教える側」と「教わる側」という固定的な関係から「ともに探求する仲間」へ、AIを通して人と人との距離が近くなったと話しました。
学校法人麻生塾 業務推進部AIXグループ 藤澤 昌聡氏
教育セクターでは、厳正なる一次審査、二次審査の結果、ファイナリストに選出された教育機関は1組となり、学校法人麻生塾がグランプリを受賞しました。プレゼンテーションでは「教育を楽しく、より効果的に」という夢を掲げ、夢に向けてどのような取り組みを行っているのか紹介しました。
AI導入に対して社内向け情報発信をしてきたが使われない。それなら使われる仕組みを作ればいいと、独自開発した教職員専用AI「Alis」を実際に業務に使用。本当に必要な機能を盛り込むことで、気づかないうちにAIを使っていたという環境を作ったと話しました。
レクチャー動画作成の効率化や授業内容の質問をAIで行ったところ、学年平均点は161.9%上昇し、12.9倍の業務効率化を達成したとプレゼンテーションで紹介しました。
兵庫県南あわじ市長 守本 憲弘氏
兵庫県南あわじ市 総務企画部 情報課長 兼 市長特別補佐(業務改革推進担当)小松 律子氏
公共セクターでは、兵庫県南あわじ市役所がグランプリを受賞しました。プレゼンテーションでは「最強の市役所」を目指して行っている「DX人材育成プロジェクト」の取り組みと、生成AIの活用方法について紹介しました。
このプロジェクトは、職員が自ら業務改善を進める「自走型チーム」の育成を目標に始まりました。その土台として、市役所内にAI教育体制を整備し、AI活用を促す人事評価制度を導入。その結果、育成されたチームは公式ホームページのAIチャットボット設置や、ごみ分別アプリ「わけるんです♪」の開発といった具体的な成果を生み出し、職員の業務効率化を達成したと述べました。
「GenAI HR Awards 2025」各セクターのグランプリ表彰後には、審査員長 一般社団法人生成AI活用普及協会 協議会議長 山本 貴史氏から閉会の挨拶がありました。
一般社団法人生成AI活用普及協会 協議会議長 山本 貴史氏
――山本 貴史氏
グランプリの受賞を問わず、どの企業のプレゼンテーションも非常に興味深く、その裏にある大変な苦労が伝わりました。
今後、生成AI自体がさらに変化し、それに伴って今までになかった問題も生じるでしょう。今回登壇された皆様には、後に続く多くの企業のお手本として、今後も業界をリードし続けていくことを期待します。
ファイナリスト各社のプレゼンテーションは非常に興味深く、明日からでも実践できるような具体的な実例も紹介されました。グランプリを獲得した企業はもちろん、惜しくも受賞を逃した企業の取り組みもすべて素晴らしい内容であり、本アワードが掲げる「人と生成AIが協働する社会の実現」という目標が、着実に達成へと向かっていることを強く感じさせる一日でした。
名称: GenAI HR Awards 2025
日時:2025年10月9日(木)13:00-17:00(受付開始12:00)
主催:一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)
特別協力:RX Japan株式会社
後援:⼀般社団法⼈AIガバナンス協会/⼀般社団法⼈AICX協会/AIセーフティ・インスティテュート/一般財団法人オープンバッジ・ネットワーク/⼀般社団法⼈Generative AI Japan/⼀般社団法⼈ジャパン・リスキリング・イニシアチブ/独⽴⾏政法⼈情報処理推進機構/⼀般社団法⼈⼈⼯知能学会/総務省/デジタル庁/⼀般社団法⼈東京経営者協会/一般社団法人ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会/⽂部科学省
<審査員長>
山本 貴史|一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA) 協議会議長
<会場審査員>
奥村 明俊 ⽒|独⽴⾏政法⼈情報処理推進機構(IPA) 理事
岸⽥ 努 ⽒|⼀般財団法⼈オープンバッジ・ネットワーク 理事
後藤 宗明 ⽒|⼀般社団法⼈ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事
⽩井 恵⾥ ⽒|⼀般社団法⼈Generative AI Japan 理事
⿃潟 幸志 ⽒|⼀般社団法⼈AICX協会 ⼈事AI変⾰推進委員会 委員⻑
根本 勝則 ⽒|⼀般社団法⼈東京経営者協会 専務理事・代表理事
⾺場 雪乃 ⽒|東京⼤学⼤学院 総合⽂化研究科 広域科学専攻 准教授
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