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ローカルLLMとは?導入するメリットからおすすめまで詳しく解説

最終更新日:2025/06/09

ローカルLLMについて詳しく解説

エンジニアとして働きながらAIアプリを作成しているため、自分のPCやローカル環境でLLMを動かしてみたいと思っている人はいませんか?

ローカルLLMはセキュリティやプライバシーを自分の手でしっかりと守れる半面、スペックが足りるか、セットアップがスムーズにいくかなど不安に感じることも多いでしょう。

この記事では、ローカルLLMを導入するメリットからおすすめのローカルLLMまで詳しく解説します。

ローカルLLMとは?

ローカルLLMとは、自分のPCやローカルサーバーなどのローカル環境で動かす大規模言語モデルを指します。

クラウド環境で動かす大規模言語モデル(ホステッドLLM)とローカルLLMの違いは以下の通りです。

項目 ホステッドLLM ローカルLLM
実行環境 クラウド(OpenAI、Anthropicなど) PC、ローカルサーバー
インターネット接続 必要 不要(完全オフラインも可能)
セットアップ 簡単(APIキー取得のみ) 難易度が高い(モデルDL・環境構築が必要)
プライバシー データが外部サーバーに送信される データはローカルサーバー内で処理する
カスタマイズ性 低い(APIの仕様に依存する) 高い(ファインチューニングができる)
コスト 使用量に応じたランニングコストがかかる PCやサーバーなどのイニシャルコスト、電気代などのランニングコストが両方かかる
利用できるモデル 高性能な最新モデルが中心 軽量モデルが中心

ローカルLLMはコストやセットアップの難易度は高くなるものの、カスタマイズ性が高くオフラインでも使用できるのが魅力的だと言えるでしょう。

一方ホステッドLLMはカスタマイズ性こそ低いものの、すぐに使える手軽さが魅力的です。

自分がLLMをどのように活用したいかによって、どちらを選ぶのが最適かは変わります。

ローカルLLMを導入するメリット

ローカルLLMを導入するメリットは以下の通りです。

項目 概要
インターネット接続が不要 接続が不安定な場所や、セキュリティ要件が厳しい環境でも利用可能
カスタマイズが可能 業務やプロジェクトに合わせて最適なモデル設計ができる
リアルタイム処理に対応 クラウドを介さないため、処理速度が速く即時応答できる
情報漏洩のリスクを軽減 データを外部に送信しないため、セキュリティが向上する
用途に適したモデル選択が可能 タスクに最適なモデルを自分で選べる柔軟性がある
応答速度が速い ローカル処理によるスピーディな動作
データの所有権を完全に保持 すべてのデータを管理・統制できる

上記のメリットに魅力を感じる場合は、クラウド型ではなくローカルLLMの導入を前向きに検討してみましょう。

ローカルLLMを動作させるために必要なマシンスペック

ローカルLLMを動作させるために必要なマシンスペックの目安は次の通りです。

パーツ 軽量モデル(例:Phi-2、Mistral) 中型モデル(例:LLaMA 2 7B) 高性能モデル例:LLaMA 2 13B、Mixtral)
CPU Intel Core i5 / Ryzen 5 以上 Intel Core i7 / Ryzen 7 以上 Intel Core i9 / Ryzen 9 推奨
GPU VRAM 12GB以上 VRAM 24GB以上 VRAM 24GB以上推奨
RAM(メモリ) 16GB以上 32GB以上 64GB以上
ストレージ SSD 500GB以上 SSD 1TB以上 SSD 2TB以上(M.2推奨)
電源 600W程度 750W以上 850W〜1000W(安定性重視)
冷却システム 空冷 空冷または簡易水冷 水冷推奨(特にGPU温度に注意)
PCケース ミドルタワー ミドル~フルタワー フルタワー推奨(放熱と拡張性のため)

モデルの種類や使用目的、最適化状況によって必要なスペックは変わるため、環境や用途に合わせて検討してみてください。

ローカルLLMの目的別おすすめモデルは?

使用する目的別におすすめのモデルをご紹介します。

多用途で高性能なGemma 3

Gemma3はGoogle DeepMindが開発した、質問応答や要約、推論など、幅広い生成タスクに対応する高性能モデルです。

オープンソースでKaggleHugging Face からダウンロードできます。

Gemma3の主な機能は次の通りです。

項目 概要
マルチモーダル機能 テキストや画像など複数の形式のデータを入力して理解、分析できる
入力コンテキストの上限 128,000トークンのコンテキスト(文脈や背景情報)を入力できるため、より多くのデータを分析したり、複雑な課題を解決したりできる
関数呼び出し機能 プログラミングインターフェースを操作するための自然言語インターフェースを構築できる
サポート言語 140を超える言語をサポートしているため、自分が普段使っている言語で作業できるだけではなく、AIアプリケーションの言語機能を拡張することもできる
モデルサイズと精度レベルの選択 タスクとコンピューティングリソースに最適なモデルサイズ(10 億、40 億、120 億、270 億)と精度レベルを選択できる

Gemma3はローカルLLMを幅広い複数のタスクで活用したい人におすすめです。

参考:Google DeepMind「Gemma」

参考:Google AI for Developers「Gemma 3 モデルの概要」

多言語対応ならMistral NeMo

Mistral NeMoは2024 年 7 月にMistral AIがリリースした、多言語対応に長けたオープンソースのモデルです。

Mistral NeMoには以下の特徴があります。

  • 関数呼び出し(function calling)機能のトレーニングを受けており、外部ツールとの連携や自動化にも対応しやすい
  • 最大128Kトークンに対応した大きなコンテキストウィンドウを持ち、長文の理解や複雑な対話にも対応できる
  • 特に英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、中国語、日本語、韓国語、アラビア語、ヒンディー語の能力が高い
  • 新しいトークナイザー「鉄拳(Tiktokenベース)」を使用しており、自然言語とソースコードの圧縮効率が高く、処理速度や精度の向上に貢献している
  • MistralAIの開発したMistral 7Bと比較すると、正確な指示に従うこと、推論すること、マルチターンの会話を処理すること、コードを生成することにおいて優れている

Mistral NeMoは多言語対応が求められるチャットボットやグローバル向けAIサービスの開発に適しており、海外展開を視野に入れている開発者や企業におすすめです。

参考:Mistral NeMo公式ホームページ

日本語特化型ならCyberAgentLM3

CyberAgentLM3は2024年7月に株式会社サイバーエージェントがリリースした、オリジナルの日本語大規模言語モデルです。

株式会社サイバーエージェントは日本語LLMの研究開発に継続的に取り組んでおり、2023年5月に初代「CyberAgentLM」、同年11月に改良版の「CyberAgentLM2」をリリースしました。

そして2024年7月、さらに進化した最新版「CyberAgentLM3」が登場しました。

Nejumi LLM リーダーボード3において、CyberAgentLM3は700億パラメータのMeta-Llama-3-70B-Instructと同等の性能と評価されたのです。

Nejumi LLM リーダーボード3は、日本語での性能評価に特化したベンチマークで、国内LLMの比較に広く活用されています。

CyberAgentLM3は以下のようなスペックを持ち、Hugging faceよりダウンロードできます。

項目 詳細
モデルサイズ 225億パラメータ(22B)
コンテキストの長さ 16384
モデルの種類 Transformer-based Language Model
言語 日本語、英語
ライセンス Apache-2.0

CyberAgentLM3は日本語の自然な理解と出力に強みがあるため、国内向けのチャットボットや文章生成ツールなど、精度の高い日本語処理を求めるアプリケーション開発をしたい人におすすめです。

参考:Hugging face「calm3-22b-chat」

参考:CyberAgent「独自の日本語LLM(大規模言語モデル)のバージョン3を一般公開 ―225億パラメータの商用利用可能なモデルを提供―」

マルチモーダル対応ならQwen2-72B-Instruct

Qwen2-72B-Instructは、2024年6月29日にQwenグループがリリースした、マルチモーダル対応の大規模言語モデルです。

テキストと画像の両方を入力でき、より柔軟にAIアプリケーションの開発ができます。

Qwen2-72B-Instructには以下のような特徴があり、Hugging faceからダウンロードできます。

項目 詳細
モデルサイズ 720億パラメータ(72B)
対応形式 テキスト+画像(マルチモーダル)
学習データ 高品質な多言語・多形式データをベースに構築
指示追従能力(指示や問いかけにどれだけ正確に応えられるかを表す能力) Instructチューニング済みで、対話形式の指示に高精度で応答

Qwen2-72B-Instructは最新で複数の形式のデータ(テキスト・画像・音声など)によってトレーニングをしたため、マルチモーダル対応ができるLLMになりました。

Qwen2-72B-Instructは、テキストと画像の両方を活用したAIアプリケーションを開発したい人におすすめです。

参考:Hugging face「Qwen2-72B-Instruct」

軽量モデルを使用したいならPhi-3.5-mini-instruct

Phi-3.5-mini-instructはMicrosoft社が2024年8月にリリースした、軽量なオープンソースの大規模言語モデルです。

Phi-3.5-mini-instructは以下のようなスペックを持ち、Hugging faceからダウンロードできます。

項目 詳細
モデルサイズ 38億パラメータ(3.8B)
アーキテクチャ(モデルの設計思想) デコーダーオンリーのTransformer構造
入力形式 テキスト(チャット形式が最適)
コンテキスト長 最大128Kトークン対応
トレーニングデータ 3.4兆トークン、2023年10月以前のオフラインデータ
トレーニングGPU 512枚のH100-80G GPUで学習
トレーニング期間 10日間
出力 入力に応じたテキスト生成
対応言語 英語、日本語、中国語、韓国語など多言語対応

Phi-3.5-mini-instructは、リソースが限られている中でもローカルLLMを活用したい人や、軽量で扱いやすいモデルを探している開発者におすすめです。

参考:Hugging face「Phi-3.5-mini-instruct」

低スペックPCで使用したいならPhi-4

Phi-4はMicrosoft Researchが2024年12月12日にリリースしたオープンソースの大規模言語モデルで、軽量で高度な推論性能を備えています。

Phi-4は次のような特徴を持ち、Hugging faceからダウンロードできます。

項目 詳細
モデルサイズ 140億パラメータ(14B)
アーキテクチャ デコーダーオンリーのTransformer構造
入力形式 テキスト(チャット形式が最適)
コンテキスト長 最大16Kトークン
トレーニングデータ 約9.8兆トークン、2024年6月以前のオフラインデータ
トレーニングGPU H100-80G × 1920枚
トレーニング期間 21日間
出力 入力に応じたテキスト生成
対応言語 英語が中心

Phi-4は、メモリ・計算リソースが限られた環境でローカルLLMを活用したい人におすすめです。

参考:Hugging face「Phi-4」

まとめ

ローカルLLMとは、自分のPCやローカルサーバーなどのローカル環境で動かす大規模言語モデルのことです。

この記事も参考にし、ぜひ自分のニーズに合った形でローカルLLMを導入してみてください。

アイスマイリーでは、生成AIサービス比較と企業一覧を無料配布しています。自社に最適な生成AIサービスの導入・運用に向けて、この機会にぜひご利用ください。

生成AI のサービス比較と企業一覧(LLM・大規模言語モデル)

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