生成AI

AIエージェント
生成AI
ChatGPT連携サービス
AI受託開発
対話型AI -Conversational AI-
ボイスボット
バーチャルヒューマン
教師データ作成
AI研究開発
通訳・翻訳
声紋認証
機密情報共有・管理
契約書管理システム
ワークステーション
FAQシステム
AIカメラ
生体認証
インボイス制度対応システム
データセットの収集・購入
コールセンター
人事・総務向け
インバウンド対策
コンバージョンアップ
KYT・危険予知で労働災害防止
無料AI活用
顧客リスト自動生成
ロボットで自動化
LINE連携
セキュリティー強化
テレワーク導入
AI学習データ作成
配送ルート最適化
非接触AI
受付をAIで自動化、効率化
AIリテラシーの向上サービス
日本語の手書き文字対応AI-OCR
Windows作業の自動化RPAツール
リスク分析AIで与信管理
紙帳票仕分けAI-OCRサービス
サプライチェーン
AIコンサルティング
最終更新日:2025/05/15
Agents SDKとは?
2025年3月12日、OpenAI は「Agents SDK」を発表しました。特定のシステムを活用してAIエージェントを構築できる Agents SDK を活用することで、より簡単かつ効率的に開発が可能になると期待されています。
本記事では、Agents SDK の特徴や主要なコンポーネント、使い方や主な活用事例などを詳しく解説します。Agents SDK でできることや最新AIシステムについて知り、自社でのAI活用を促進するためにぜひお役立てください。

Agents SDK は、OpenAI が2025年3月にリリースしたAIエージェント開発用のオープンソースフレームワークです。昨年同社から試験版として公開された「Swarm」を基盤とし、より簡素化された実用的なツールキットとして公開されています。
LLM(大規模言語モデル)の高度化によって、AIにおける複雑なタスク処理や高度推論能力、マルチモーダル対応などさまざまな能力の向上が実現しました。ただ、これらの能力を組み合わせて自律的に行動するAIエージェントを構築するためには、正確な長文プロンプトの作成や制御ロジックの実装が必要で、開発における課題となっていました。
そこで、開発者や企業がより効率的かつ柔軟にAIエージェントの開発と運用を進めることを目的として Agents SDK が公開されています。開発に必要な最小限な機能を備えつつ、学習コストが抑えられている上、利便性を維持しながらカスタマイズにも対応できる柔軟性があります。
Agents SDK のベースである実験的ツール「Swarm」は、昨年 OpenAI が公開したSDK(Software Development Kit)です。SDK は、特定のシステムでソフトウェアやアプリケーションを開発するために必要な、プログラムや技術文書などのコンポーネントをまとめたものです。
Swarm は教育や実験用途を目的とした実験的ツールで、本番環境での利用者数が急増したため、Agents SDK のリリースに至ったという見方もあります。Agents SDK ではSwarm から得られた知見を活かし、より実用的かつ効率性の高い開発環境の提供を目指しています。

Agents SDK は、Python ライブラリとしてオープンソースで公開されており、幅広い開発者が利用できます。また、主要コンポーネントであるLLMや他の機能を組み合わせることで、高度なAIエージェントアプリケーションの構築が効率化されています。ここでは、Agents SDK の主な特徴について詳しく見ていきましょう。
Agents SDK は、Python OSS(オープンソースソフトウェア)であり、ライブラリとして利用できます。そのため、組み込み機能により連携やオーケストレーションを比較的容易に行うことが可能です。
また、Python 関数をそのままツールとして登録でき、社内API呼び出しや計算処理など開発者自身が定義した特定の処理もエージェントで使える点も便利です。
Agents SDK が機能するために重要な要素の1つが「Responses API」です。Responses API に内蔵されている各種ツールにより、外部データベースとの連携やコンピュータ操作が可能です。現在提供されている主な3つのツールについて解説します。
Responses API の詳細については、下記記事をご覧ください。
関連記事:OpenAIのResponses APIとは?概要と活用方法を徹底解説
Webサーチツールは、インターネット上から最新情報を取得し、リアルタイムで出典付きで提供する機能です。ユーザーの入力に基づいて、指定の位置情報や関連データなどの検索結果を返します。Web検索クエリにはGPT-4oが用いられ、関連記事などの要約・引用も可能です。
たった数行のコードを用いて有効化できるため、AIエージェントの構築も容易に行えます。例えば「今日のAI関連のニュースをまとめて」といったリクエストを入力すると、最新ニュースを収集して回答するAIエージェントを構築できます。
また、検索結果には引用リンクが付き、訪問した際のアクセストラフィックは情報源へ還元される仕組みです。
ファイル検索ツールは、社内ドキュメントやFAQ、PDFファイルなどにおけるファイル検索機能を提供します。OpenAI のベクトルストアと連携し、大量のデータベースから該当する情報をすばやく抽出することが可能です。
2024年に「Assistants API」の一部としてリリースされた機能に、2つのアップデートが施されています。まず「メタデータのフィルタリング」により、ファイルに付いている属性情報を用いることで、最も関連するファイルだけを抽出します。
そして「検索エンドポイントの追加」は、モデルに通さずにユーザーがベクトルストアを直接検索できる仕様です。以上の機能により、社内のナレッジベースや機密情報を格納している社内データで安全に利用できるエージェントを構築できます。
エージェントがコンピュータ操作を行うための機能です。マウスやキーボードの操作、ブラウザ上のクリックやフォーム入力などを仮想的に実行できます。
かつてOpenAI が研究公開していた「Computer-Using Agent(CUA)」モデルをベースとしたもので、OpenAI Operatorを支えるツールでもあります。
ツールを活用することで、社内システムにログインし、データを取得、別のシステムに入力するといった作業が、RPA不要でプロンプトのみで完了します。また、API経由でアクセスできなかったアプリケーションでの自動操作や、情報源へのアクセスなども可能です。
Agents SDK はテキストベースのエージェントフレームワークですが、音声連携にも対応しています。ライブラリの追加オプションをインストールすることで、音声機能が有効化され、音声入力やテキスト読み上げが可能なエージェントを構築できます。
OpenAI公式のガイドブックでは、Agents SDK によるマイク入力や音声応答に対応した音声アシスタントのサンプルが公開されています。
現時点では、Agents SDK 標準機能としての画像処理ツールは提供されていませんが、今後は画像や動画を扱うツールの追加も予定されています。
2025年3月26日、OpenAI は MCP(Model Context Protocol)と Agents SDK を統合したことを発表しました。MCPとは、AIモデルに外部のツールやデータソースを接続するための標準プロトコルです。Agents SDK と統合することで、AIモデルと内部データベースやSaaSアプリなどの外部システムを、開発者が容易に接続できる環境を提供します。
結果的に、ツールごとの個別対応が不要となるため、AIエージェント開発の工数削減につながります。また、統一構文でのツール活用が可能となり、AIエージェントの表現力や対応力も向上することが期待できます。

Agent SDK では、複数の主要コンポーネントが組み合わさっています。ここでは、主な6つのコンポーネントについて紹介します。
エージェント(Agents)とは、エージェントの基本単位となる要素で、名前、指示、利用可能なツールなどを定義します。この機能を用いることで、LLMに対して明確な指示(システムメッセージ)やツールを使う権限を備えたエージェントを簡単に構成できます。
また、各種ツールを呼び出し、LLMにデータを送信して処理が完了するまで繰り返す「Agent Loop」が組み込まれています。ユーザーとの対話履歴を認識し、最終的な回答を生成するか、特定のツールを呼び出すか、もしくは別のエージェントに処理を委任するかを判断できます。
最終的な回答を生成するか、処理が他のエージェントに移ることでループが終了するメカニズムです。Agents SDK では、このループ処理を自動管理できるため、開発者の負担軽減につながります。
ハンドオフ(Handoff)とは、複数のエージェント間でタスクの調整や委任を行うための機能を提供します。現在稼働しているエージェントから別のエージェントへ、会話やタスクの実行権限を移す、もしくは切り替えるための仕組みです。
ハンドオフのメカニズムにより、複雑なワークフローを処理する際に、複数の専門的なエージェントがスムーズに連携でき、高度なマルチエージェントシステムを構築できます。
例えば、ユーザーの問い合わせ内容を理解し、購入品に関する内容はショッピングエージェントへ、返金に関する質問は返金対応エージェントへ自動的に振り分けることが可能です。
ガードレール(Guardrail)とは、エージェント機能と並行して入力内容の検証を行う仕組みです。ユーザーの指示やエージェントからの出力内容をチェックし、ポリシー違反の可能性があるコンテンツなどのリスクや問題を検出した場合に、必要に応じて処理を停止します。
また、AIエージェントが意図しない動作や、不適切な情報の生成を未然に防ぐためにも重要な役割を担います。ガードレールが作動すると、トリップワイヤーと呼ばれる信号が送信され、問題発生について通知が入ります。通知を受けて、開発者は問題を迅速に把握し、対応に移すことが可能です。
Agents SDK では、OpenAI の Moderation API と統合することで、より安全で信頼性の高いAIエージェントアプリケーションの開発を可能にしています。
トレース(Trace)は、ワークフローの可視化やデバッグの監視ができる機能です。エージェントの挙動をダッシュボード上でユーザーが確認することで、ツール利用の分析や最適化に役立てられます。
また、予期せぬ処理やトラブルを未然に回避するためにも有用です。実際のエージェント開発では、さまざまなツールを連携しながら処理を行うため、実行履歴をすぐに確認できるトレース機能により効率的なエージェントの構築が実現します。
コンテキスト(Context)は、複数のツールの呼び出しやリソースの管理に使える要素です。AIエージェントが複雑なタスクを遂行するには、過去の会話履歴やツールの処理結果などの情報を記憶しておく必要があります。
コンテキスト機能では、上記のような情報を管理し、エージェントが必要に応じて利用できる状態を提供します。その結果、複数の段階的な推論過程やツール内の高度なロジックの実行になり、より一貫性のある応答を生成できます。
Function 機能とは、Python関数をツールとして登録し、エージェントから呼び出せる機能のことです。例えば、天気情報を取得する関数をツールとして登録しておけば、必要に応じて出力結果をエージェントが返却します。
また、外部API連携をツールとして定義することで、エージェントが自然言語を使って柔軟に動作できる環境を構築できます。

ここからは、Agents SDK の実際の使い方を見ていきましょう。
まず、OpenAIの公式サイトから Agent SDK をダウンロードします。Python ライブラリとして提供されているため、自分の環境に合わせた方法でインストールしておきましょう。
また、必要なライブラリやツールもあわせて取得します。同時に仮想環境を作成して、アクティブ化しておきます。
最初のエージェントを作成します。Agents SDK のエージェントクラスのインスタンスを作成することで、エージェントを構築可能です。この際、名称や指示を設定し、パラメータとして受け取ります。
オプションで、モデル設定など他のパラメータも多く用意されており、必要に応じて指定できます。
Agents SDK では、複数のエージェントを連携させてワークフローを構築できます。単一のエージェントでは処理が難しいような複雑なタスクも効率的に対応可能です。
ハンドオフパラメータに専門エージェント一覧を提供することで、エージェントが連携して作業を振り分ける仕様を構築できます。
Agent SDK 自体の利用料金は無料ですが、使用モデルやAPIは従量課金制のため、各ツールやAPIの使用量に応じて課金されます。単価は以下の通りです。
Webサーチツール
ファイルサーチツール
コンピューター利用ツール
Responses API(Web検索機能付きモデル)
Agents SDK は幅広い分野におけるアプリケーションの開発を進化させる可能性を秘めています。ここでは、代表的な Agents SDK の活用事例を紹介します。
Agents SDK を活用すれば、Web検索やAPI連携を通じて、多機能なAIアシスタントを簡単に構築できます。具体的には、旅行プランの提案やホテルの予約、タスクやスケジュール管理、資料検索など、ユーザーの作業をサポートするアプリケーションを実装可能です。
また、ニーズに応じた自然な対話とリアルタイムでの情報提供により、高品質なユーザー体験を提供できます。
Agents SDK は、カスタマーサポートの対応品質の向上にも寄与します。例えばコールセンターなどでの顧客応対に特化したAIエージェントを構築することで、FAQ応答の自動化や返金処理の支援が実現するため業務負担が軽減されます。
また、ユーザー情報に基づくパーソナライズな対応も、複数エージェントを組み合わせることで、複雑な問題や要望にスムーズに対応できます。
従来人間が対応していた業務を、AIエージェントに任せることで自動化が実現します。例えば、問い合わせ対応やリサーチ、メール送信といった定型的なタスクはもちろん、複数のステップを踏まえた推論や判断もエージェントに任せることが可能です。
また、画面操作の自動化にも対応しているため、柔軟かつ高度な意思決定を伴う業務の効率化を促します。
Agents SDK を活用することで、企業におけるAIエージェントの開発において多くのメリットをもたらします。具体的には、以下のような点が期待できます。
少ないコードで高度な機能を実装できるため、企業はもちろん、個人の開発者にとっても生産性の向上が期待されます。
Agents SDK は、OpenAI が描くAIエージェント社会への布石として位置づけられています。今後は、Node.js 対応やツールの拡充、既存APIとの統合が予定されています。また、オープンソースとしてコミュニティ主導の進化も視野に入れつつ、開発・運用・評価までを一貫して支援するプラットフォームの構築に向けて検証が続けられています。
AIモデルの進化とともに、AIエージェントも急速な進化を遂げていく中で、OpenAI は先行優位を活かしてAIエージェントの基準を築いていると言えます。
Agents SDKは、自律的にタスクを実行するAIエージェント構築のための多機能フレームワークです。オープンソースで提供されており、Python ライブラリとして誰でもインストールして利用できます。
また、エージェントやハンドオフ、ガードレール、トレースなどの主要なコンポーネントを組み合わせ、より簡単なAIエージェント開発を可能としています。Agents SDKを活用することで、個人や企業のAIアシスタント構築や複雑なタスクの自動化、マルチエージェントシステムの開発などが実現します。
アイスマイリーでは、AIエージェントのサービス比較と企業一覧を無料で提供しています。自社における最適なAIエージェント活用を検討するために、この機会にぜひご利用ください。
Agents SDK は、オープンソースソフトウェアであり、MITライセンスに基づいて提供されています。そのため、原則として商用利用や再配布が認められています。ただ、ライセンスは変更される可能性があるため、最新の利用規約や公式リリースを確認した上で利用しましょう。
Agents SDK は、高性能なAIエージェントを構築できる一方で、倫理的・社会的な課題に注意が必要です。個人情報や機密データを扱う場合、プライバシー保護の観点から厳格な管理が求められます。
また、エージェントが自律的に意思決定を行う場合、プロセスが不透明になりやすいため、利用者が判断根拠を把握しておく必要があります。エージェント開発・導入の段階で、倫理的ガイドラインやガバナンス体制を整備することが重要です。
業務の課題解決に繋がる最新DX・情報をお届けいたします。
メールマガジンの配信をご希望の方は、下記フォームよりご登録ください。登録無料です。
AI製品・ソリューションの掲載を
希望される企業様はこちら