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最終更新日:2025/07/02
最近プログラミングの勉強を独学で始めた初心者だけれど、少しずつ難易度の高いプログラム作成にもチャレンジして腕を上げたいと思っている人はいませんか?
近年、ノーコード・ローコードでの開発が少しずつ広まってきたため、それほど高い技術を身に着けなくても手軽に開発ができるようになりました。
しかし、ユーザーのニーズにできるだけ合ったものを作成したい場合には、コーディングの知識がある方が柔軟で高品質な開発ができるのではないでしょうか。
この記事では、コーディングの知識を身に着けながら開発を効率化したい初心者におすすめのツール、Cursorについて詳しく解説します。
CursorとはAnysphere Inc.が開発・運営する、AIがプログラミングをサポートしてくれるツールです。
AIがユーザーにコードの書き方を提案したり、間違いをその場で指摘したりするため、初心者でも学びながら効率的にプログラミングが行えます。
一方実務経験の多いプログラマーが使うと、コードの記載ミスを防ぎ作業スピードを上げられます。
Cursorは、プログラミング作業の中で時間のかかる部分をAIと分担し、効率化を実現した画期的なツールと言えます。
Cursorは2025年5月にCursor 0.50への大幅アップデートを実施し、Background AgentやFusion Tab Modelなどの革新的な機能を多数追加しました。
また、使用できるAIサービスもさらに広がりました。この記事では、これらの最新機能も含めてCursorの全体像をご紹介します。
Cursorでできることを4つご紹介します。
タブ機能とはキーボードの「Tab」キーを押すと、AIがコードの続きを予測して自動で補完してくれる機能のことです。
CursorではAIが文脈を理解して以下のようなコード補完をしてくれます。
項目 | 概要 |
現在の行のコードを補完する | 例えば「pri」と入力したら 「print() 」を補完する |
関数全体の実装を提案する | 関数の名前を書くと、AIが中身の処理を予測して補完する |
よく使うコードのパターンを補助する | 「forループ」などの定型的なコードを自動生成する |
個人のコーディングスタイルに適応する | 時間が経過するにつれてユーザーに合わせた提案をしてくれる |
Cursorは使えば使うほどユーザーのコーディングのスタイルを学習し、より効率的な開発をサポートしてくれます。
Cursor 0.50では「Fusion Tab Model」が導入され、タブ機能がさらに進化しました。
項目 | 概要 |
複数ファイルを横断して補完する | プロジェクト全体を考慮し、複数のファイルにまたがる予測・補完をしてくれる |
ファイル間の関連性を理解して補完する | 異なるファイル間の依存関係を把握した予測・補完をしてくれる |
これにより、複数ファイル間の関連コードを横断的に理解・編集できるようになりました。大規模プロジェクトでも、関連ファイルの文脈を保ったままコーディング支援が可能です。
チャット機能とはCursor内のチャットでコード全般について質問できる機能です。
チャット機能では例として以下のようなことが可能です。
項目 | 概要 |
特定のコードの意味を質問する | どのコードが何をしているのかをAIに質問すると回答してもらえる |
複雑な関数の説明を取得する | 難しい関数の処理内容をわかりやすく解説してくれる |
コードのパターンやサンプルを検索する | よく使われるコードの例を提示し、最適な書き方を教えてくれる |
文脈を理解したデバッグを支援する | エラーやバグの原因をコードの流れを考慮しながら指摘し、修正のアドバイスをしてくれる |
必要に応じたコードスニペットを生成 | 指定した要件に合わせたコードを自動生成し、開発スピードを向上させる |
チャット機能を用いることで、ユーザーはコードに対する理解をより深めながら開発を進めることができます。
エージェント機能とは、CursorがAIを使ってコーディングパートナーとなり大規模なタスクの処理をサポートしてくれる機能です。
Cursorではエージェント機能を用いて以下のようなことができます。
項目 | 概要 |
コード全体の変更やリファクタリングを実行する | プロジェクト全体にわたるコードの修正や最適化をAIが支援する |
要件に基づいて新機能を実装する | 指定された要件をもとに新しい機能を開発する |
複数のファイルにまたがる複雑なバグをデバッグする | さまざまなファイルを横断してエラーの原因を特定し修正する |
テストやドキュメントを自動生成する | コードのテストケースやドキュメントをAIが作成し品質向上をサポートする |
プロジェクト全体の一貫性を維持する | コーディングスタイルや設計の統一性をAIがチェックする |
エージェント機能があることで、ユーザーがコーディング作業において分担したり、サポートしたりしてほしいことをCursorが引き受けられます。
Cursor 0.50へのアップデートで、エージェント機能がさらに進化しました。
項目 | 概要 |
非同期エージェントを起動する | リモート環境でコードを編集・実行する非同期エージェントを起動してくれる |
リモート環境でコード作業する | 隔離されたリモートマシン上でコードの編集と実行を行ってくれる |
ステータス確認と引き継ぎ | いつでもエージェントのステータス確認、追加指示、作業の引き継ぎができる |
GitHubとの連携 | GitHubリポジトリをクローンし、別ブランチで作業してプッシュしてくれる |
独立した作業環境 | ubuntuベースの隔離されたマシンでインターネットアクセスとパッケージインストールが可能 |
※Background Agent(プレビュー機能)はベータ版です
プライバシーモードを無効にする必要があります
Max Mode対応モデルのみ利用可能
トークンベースの料金が適用されます
GitHubリポジトリへの読み書き権限が必要です
コンテキスト機能とは、Cursorがコードの背景を理解し、より適切で効率的な動作をするために、そのコードに関する背景情報を提供する仕組みのことです。
Cursorのコンテキスト機能は以下のように動作します。
項目 | 概要 |
コードを自動インデックス化 | コードベースを開くとCursorがコードを自動でインデックス化し、それをコンテキストとして利用可能にする |
-記号で提供するコンテキストを正確にコントロール | コンテキストを提供する際に、@記号を使ってどの情報を指定するかを精密に調整できる |
@files と @folders(特定のパス) | 特定のファイルやフォルダのパスをコンテキストとして提供できる |
@web(外部ドキュメント) | 外部ドキュメントをコンテキストとして取り込むことができる |
@git(バージョン管理のコンテキスト) | Gitリポジトリのバージョン管理情報をコンテキストとして提供できる |
AIの動作をカスタマイズするルールを設定 | AIの動作をカスタマイズするためのルールを設定できる |
外部コンテキスト提供者のためのMCP設定 | 外部コンテキスト提供者用のMCP(コンテキスト提供者管理機能)を設定できる |
コンテキスト機能があることで、Cursorはどのような情報がコードの流れに影響しているかを知ることができ、より的確な提案や保管できます。
Cursor 0.50へのアップデートにより、コンテキスト機能がさらに強化されました。以下のような新しい機能が追加されています。
項目 | 概要 |
@foldersを完全対応する | プロジェクト全体をコンテキストに含めて、より包括的な理解をしてくれる |
マルチルートワークスペースを管理する | 複数のプロジェクトを同時に管理し、それぞれに適したコンテキストを提供してくれる |
大規模コードベースを最適化する | 大規模プロジェクトでも高速に動作し、効率的なコンテキスト処理をしてくれる |
これにより、複雑な構造や大規模なプロジェクトであっても、AIが正確に文脈を把握して賢く動くようになりました。
参考:Cursor「紹介」
Cursorでは以下のAIモデルを使用できます。
これまでClaude、GPT、Deepseekの3社のみでしたが、Cursor 0.50のアップデートにより現在はGemini(Google)、Grok(xAI)、Cursor独自モデルも追加され、選択肢が大幅に増えました。
※対応モデルは変更される可能性があります。詳しくは公式の「Models」ページをご覧ください
モデル名 | プロバイダー | Normal モード リクエスト数/メッセージ |
コスト/メッセージ (USD) | Max モード対応 |
---|---|---|---|---|
Claude 4 Sonnet | Anthropic | 1 request/message | $0.04 | 〇 |
Claude 4 Opus | Anthropic | — (Normal モード未提供)* | — | 〇 |
Claude 3.7 Sonnet | Anthropic | 1 request/message | $0.04 | 〇 |
Claude 3.5 Sonnet | Anthropic | 1 request/message | $0.04 | 〇 |
Claude 3.5 Haiku | Anthropic | 0.333request/message | $0.013… | — |
Claude 3 Opus | Anthropic | 2.5 request/message | $0.10 | — |
GPT 4.1 | OpenAI | 1 request/message | $$0.04 | 〇 |
GPT 4.5 Preview | OpenAI | 50 request/message | $2.0 | — |
GPT-4o- mini | OpenAI | 0 request/message | 無料 | — |
GPT-4o | OpenAI | 1 request/message | $0.04 | 〇 |
o1 | OpenAI | 10 request/message | $0.40 | — |
o1 mini | OpenAI | 2.5 request/message | $0.10 | — |
o3-mini | OpenAI | 0.25 request/message | $0.10 | — |
Gemini 2.5 Pro | 1 request/message | $0.04 | 〇 | |
Gemini 2.5Pro (exp) | 1 request/message | $0.04 | — | |
Gemini 2.5 Flash | 0 request/message | 無料 | 〇 | |
Grok 3 Beta | xAI | 1 request/message | $0.04 | 〇 |
Grok 2 | xAI | 1 request/message | $0.04 | — |
* Normal モード未提供/Max モード専用のモデルは、通常の「リクエスト数/メッセージ」での課金がなく、トークン課金(Max モード)による利用のみ可能です。
Cursor では、AIに「1 回メッセージを送るごとに 1 リクエスト消費=$0.04」という仕組みを採用しています。
たとえば、あるモデルが「1 request/message」であれば、そのモデルを使ってコード補完や質問を 1 回行うたびに $0.04 がかかります。
より長いプロンプトや多量のトークンを扱う場合は Max モードを使います。
Max モードでは「プロバイダーが定めるトークン単価+20%」で課金されるため、Normal よりもやや高コストですが、長文生成や大規模リファクタリングに向いています。
Hobby(無料)プランでは、GPT-4o-mini が「1 日あたり最大 500 リクエストまで無料」で利用可能です。
本表に掲載していないモデル(Cursor Small、Deepseek シリーズ、Grok 3 Mini など)は、既に下位モデルとなったものです。ほとんどが「0 request/message(無料)」か「1 request/message($0.04)」です。
それぞれのモデルの特性を理解し、自分が開発したい製品に合わせたモデルを選びましょう。月額料金ごとのリクエスト数はCursorの料金プランの項目で紹介しています。
参考:Cursor「モデル」
Cursorの導入方法を「インストール」「セットアップ」「追加設定」の3つに分けてご紹介します。
Cursorをインストールする手順は次の通りです。
①Cursorの公式サイトにアクセスし、「Download」ボタンをクリックする
②ユーザーが使っているOSに適したインストーラーが自動的にダウンロードされる
③ダウンロードしたインストーラーを実行し、インストールが完了するまで待つ
④インストール完了後、デスクトップのショートカットかアプリケーションメニューからCursorを起動する
画面の指示に従うと自動でインストールされるため、手順を見ながら試してみてください。
Cursorを初めて起動すると、スムーズに使い始めるための設定画面が表示されます。
項目概要キーボード別のエディターから移行する場合、使い慣れたショートカットを選択できる言語設定AIとやり取りする言語を選択できる(詳細設定は「Rules for AI」で変更可能)コードベースのインデックス作成Cursorはローカルでコードベースをインデックス化し、より適切なAI提案を提供するCLIショートカットターミナルからCursorを起動できるように、cursor やcode コマンドをインストールできる
詳細な設定方法は、インストールページで確認してください。
Cursorはユーザーが使いやすくカスタマイズすることが可能です。
設定へのアクセス方法は次の通りです。
カスタマイズできる内容は以下の通りです。
またエディターの設定も次の方法でアクセスしカスタマイズできます。
エディターの動作や外観の調整ができます。
最初に自分の使いやすい設定は何であるか色々試してみるのがおすすめです。
参考:Cursor「取り付け」
Cursorのたくさんある機能の中から、メリットが多いチャット機能の使い方をご紹介します。
Cursorのチャット機能は、質問をすると回答だけが返ってくるのではなく、正解にたどりつくまでの手順の解説も含めて出力される点が特徴的です。
また、モデルによる回答内容の違いを見ておきたい方は、チャット入力欄の左下にあるプルダウンでモデルを切り替えて質問をしてみましょう。
5月のアップデートにより、以前は複雑だった料金プランがシンプルになりました。
Cursorは「リクエスト」という単位で料金を計算します。1つのメッセージを送るたびに、使用するモデルに応じて決められた数のリクエストが消費されます。
Hobby(無料プラン)では、月あたり50リクエストが可能です。また、無料プランでは、GPT-4o-mini が「1 日あたり最大 500 リクエストまで無料」で利用可能です。
プラン名 | 月額料金 | 年払い | リクエスト数 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Hobby | 無料 | — | 50リクエスト/月 | お試し利用に最適 |
Pro | $20 | 20%割引 | 500リクエスト/月 | 個人開発者向け、制限を超えても低速で利用可能 |
Business | $40/ユーザー | 20%割引 | 500リクエスト/ユーザー/月 | チーム向け、管理機能付き |
Cursorには2つの使用モードがあります。
モード | 料金体系 | 特徴 | 適している作業 |
---|---|---|---|
Normal(通常) | 1メッセージ = 固定リクエスト数 | シンプルで予測しやすい | 日常的なコーディング作業 |
Max(マックス) | AIモデルのプロバイダーが定めるトークン単価+20% | 複雑なタスクに最適 | 難しいバグ修正、大規模リファクタリング |
Cursorのホームページにはセキュリティについてのページがあり、セキュリティやプライバシーについて以下の項目別に記載されています。
Cursorのホームページにはセキュリティについてのページがあり、セキュリティやプライバシーについて以下の項目別に記載されています。
Cursorを使い始める前に一度目を通しておくことを推奨します。
Cursorでは、質問や懸念があれば、GitHubのセキュリティページやsecurity@cursor.comへの連絡を促しています。
Cursorとは、Anysphereが開発・運営する、AIがプログラミングをサポートしてくれるツールです。
2025年5月の、Cursor 0.50へのアップデートでは、大規模プロジェクトや複雑なワークスペースに対応するための機能強化が中心に行われました。
具体的には、プロジェクト単位の文脈理解(@folders対応)、複数プロジェクトの並行管理(マルチルート対応)、大規模コードベースでの高速処理など、現実的な開発環境に即した改善が加えられています。
また、コードの意図や関連を先回りして支援する機能も増え、これまでよりも文脈に沿った提案や編集がしやすくなった点もポイントです。
全体として、実務での使い勝手を底上げするアップデートだったといえるでしょう。
この記事も参考にして、ぜひ小さな案件から大きなプロジェクトまで、プログラミングの効率化のためにCursorを活用してみてください。
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