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画像認識の応用でレジ打ち不要に!パン屋やスーパーで活用進むAIレジ

最終更新日:2024/03/26

第三次AIブームと呼ばれる昨今において、AIはますます私たちの生活に必要不可欠な存在となりつつあります。その中でも、画像認識技術を活用したサービスは大きな注目を集めており、さまざまな業界での導入が加速していくことが期待されているのです。

では、具体的にどのような場所で画像認識技術が活用されているのでしょうか。今回は、画像認識の応用として、パン屋やスーパーマーケットで活用が進んでいる「AIレジ」について解説していきます。また、AIレジの導入事例についてもご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

小売業界やアパレル業界で進むIoT・DX化

小売業界やアパレル業界で進むIoT・DX化

少子高齢化に伴う人手不足が深刻化している現代において、業務効率化や生産性向上が求められている企業は決して少なくありません。特に小売業界やアパレル業界では、人手不足を課題とする企業が多いことから、IoTやDX化によって業務効率を高める動きが加速しているのです。

IoTとは、Internet of Thingsを略した言葉であり、日本語では「モノのインターネット」などと呼ばれています。モノがインターネット経由で通信することを意味する言葉で、最近では家電においてもIoT化が加速している状況です。実際に、洗濯機や冷蔵庫、電子レンジなど、インターネット接続機能を搭載した家電をお持ちの方も多いのではないでしょうか。これらはまさに、IoTの代表例といえるでしょう。

DXは、デジタルトランスフォーメーションを略した言葉であり、IoTやAIといった技術を用いてイノベーションを起こしていくことを指します。小売業界やアパレル業界は、積極的にDX化が進められている業界の一つであり、さまざまな企業がDX化によってビジネスを進化させているのです。

その一例としては、ユニクロを運営するファーストリテイリングが挙げられるでしょう。CEOである柳井正氏は、DXの推進に熱心な経営者として知られており、DX化によってユニクロ事業を製造小売業から「情報製造小売業」に進化させています。

製造小売は、「洋服をデザイン→生地を調達→縫製→店頭に並べる」といった流れで進んでいくビジネスのことですが、この製造小売を行うだけでは、圧倒的な情報力で小売業を席巻するアマゾン等のネット通販企業に勝つことができません。そのため、ユニクロでは製造小売に「情報」を組み込み、さらなる進化を促進する道を選択したのです。

製造小売に情報を加えた「情報製造小売」の場合、いち早く情報をキャッチできるようになるため、消費者が求めている服のデザインをスピーディーに落とし込めるようになります。そのスピーディーさは、消費者に最新の服を届けるためにも欠かせないものであるため、流行(トレンド)の移り変わりが激しいアパレル業界において、特に大きな効果をもたらしているのです。

ちなみに、このDX化はアパレル業界だけで導入されているわけではありません。たとえば、人手不足が深刻化しているコンビニでも、AIの活用によってレジ打ちの時間を短縮したり、セルフレジの導入によって無人コンビニ化を実現したりと、さまざまな成果に繋げています。

その一例として、セブン-イレブン・ジャパン本社に最も近い直営店である「セブンイレブン麹町駅前店」が挙げられるでしょう。この店舗では、セルフレジを多く設置することで省人化を実現しています。また、セルフレジの半数以上はキャッシュレス専用となっているのも特徴です。また、顧客分析のためのAIカメラを導入したり、ICタグや電子棚札を導入したりと、コンビニのデジタル化が進められています。

これらの取り組みによって、コンビニ側の業務効率化を実現できるだけでなく、顧客側にも待ち時間を短縮できるというメリットが生まれるため、今後さらにコンビニのデジタル化は加速していく可能性が高いでしょう。

 

画像認識型AIレジの特徴とメリット・デメリット

画像認識型AIレジの特徴とメリット・デメリット

(参照:画像認識型「スマート無人レジシステム」を開発 | ニュースリリース | 京セラ株式会社)

最近では、画像認識を活用したAIレジがパン屋やスーパーマーケットなどをはじめとする小売業界、そしてアパレル業界などでも多く導入され始めています。たとえば、京セラが開発・提供している画像認識型AIレジの場合、カメラを通して6,000種類以上の商品を見分けることが可能です。また、商品の一部が隠れてしまっていても識別ができることから、労働現場での省人化を加速できるシステムとして大きな注目を集めています。

 

メリット

業務効率化を実現できる

そんな画像認識型AIレジは、1代のカメラとパソコン、そしてディスプレイによって構成されています。これはAIがカメラを通して商品の特徴を素早く見極めていくという仕組みです。たとえば、野菜や果物の場合、形や色に個体差があることも少なくありませんが、しっかりと識別することができます。

個体差があったり、商品の一部が隠れていたりしていても正確に識別できるのは、AIによる商品の学習を効率化できているからです。従来の物体認識技術の場合、新商品の特徴をAIに学習させる際は、既存の商品を含めて学習し直さなければなりませんでした。しかし、画像認識型AIレジの場合、新商品の学習だけで済ませることができるため、圧倒的な効率化を実現することができます。

 

無人レジ方式と比べて導入コストを削減できる

また、多数のカメラを設置したり、商品にICタグを貼り付けたりする必要もありません。無人レジ方式の場合、これらの作業が必須となりますが、画像認識型AIレジの場合は必要なくなるため、大幅に導入コストを削減することが可能です。

このように、画像認識型AIレジのメリットとしては、導入コストを削減できる点や、業務効率化を実現できる点が挙げられるわけですが、いくつかデメリットが存在することも忘れてはなりません。

 

デメリット

雇用の減少

たとえば、画像認識型AIレジの導入によって「雇用が減少する」という点は、場合によってはデメリットとなる可能性があるでしょう。人手不足を課題とする企業にとって、雇用の減少自体がデメリットになることはありません。しかし、被雇用者にとって、一部の職業がなくなってしまう可能性があることは、デメリットといえます。

とはいえ、すべての業務が自動化できるわけではありません。たとえば、スーパーマーケットの場合、商品の陳列や品出しなどは、完全自動化が難しい業務といえるでしょう。また、AIが浸透することによって新たに生まれる雇用が存在するのも事実です。データ分析を行うデータサイエンティスト、人の心と向き合う心理カウンセリングなど、人しかできない仕事の需要が高まっていくことも予想されるため、AIの導入による雇用減少がすべての側面においてデメリットと捉える必要はないでしょう。

 

利用客が操作に戸惑ってしまう可能性がある

AIレジの導入によって無人レジ化した場合、来店客がレジを操作しなければなりません。そのため、初めてレジを利用する人が操作に戸惑ってしまい、顧客離れにつながってしまう可能性もあります。そのような事態を避けるためにも、無人レジを導入する場合は「使い方を理解してもらうための体制」を整えておくことが大切になるでしょう。

 

画像認識を活用した注目AIレジと導入事例

 

「TOUCH TO GO」

2020年3月に開業したJR高輪ゲートウェイ駅では、改札内にAIを搭載した無人コンビニの「TOUCH TO GO」が設けられています。この「TOUCH TO GO」では、従来のコンビニで行われるバーコードのスキャンなどが必要なく、顧客が商品を取るだけで購入することができますので、商品を直接自分のバッグに入れてしまっても良いのです。

なぜこのような形でショッピングが行えるかというと、天井に設置されたカメラと店内の赤外線、そして商品棚に設置された重量計のデータを組み合わせることで、AIが「誰が何を購入したのか」を正しく判断できるからです。

そのため、出口に設置されたタッチパネルに表示されている内容(購入したものと金額)を確認した上で、Suicaなどの交通系電子マネーを端末にかざすことで決済が完了となり、ゲートを通って店舗の外へ出ることができます。なお、2020年6月以降はクレジットカードにも対応する予定のため、今後ますます利便性は向上していくでしょう。

 

【レポート】AI案内ロボットが大活躍!高輪ゲートウェイ駅が開業

 

「BakeryScan」株式会社ブレイン

「BakeryScan」株式会社ブレイン

(参照:BakeryScan(ベーカリースキャン) | トレイ上のパンの種類・値段をカメラで一括識別するシステムです。 画像識別技術をレジ精算に応用する世界初の試みで、 ベーカリーショップのレジ業務に革新をもたらします。)

地方の手作りパン屋でもAIレジの導入が進んでおり、パン屋に特化した「BakeryScan」(ベーカリースキャン)」というAIレジシステムに大きな注目が集まっています。この「BakeryScan」は、兵庫県西脇市に本社を置くシステム開発会社である株式会社ブレインが開発・提供する、トレイ上にあるパンの種類や値段をカメラで一括識別するシステムです。

商品の登録数は無限で、商品の形状や色、トッピングなどの制限もありません。そのため、オリジナリティ溢れるパンを販売している店舗でも、レジ業務の効率化を実現することができるのです。

また、ブレインでは洋菓子店に特化した「SweetsScan」も提供しており、POSレジやセルフ精算機、対面セミセルフ精算機、キャッシュレス端末など、お店の形態に合わせて柔軟に組み合わせていくこともできます。

パン屋の場合、100種類以上のパンが並ぶことも多いため、新人スタッフがすべての商品名を覚えるのは決して簡単ではありません。新人スタッフを採用しても、商品名を覚えるのに時間がかかるため、働きたての時期からレジを任せることは難しくなってしまうわけです。

その点、「BakeryScan」を活用すれば、トレイの上のパンを簡単にレジ登録できます。商品名や写真がわかりやすく表示されるので、新人スタッフでも問題なくレジに立つことができるのです。

 

「AI画像認識レジ」Viscovery

「AI画像認識レジ」Viscovery

(参照:洋菓子とAIの邂逅、台湾高雄のオペラ洋菓子店がAIレジを導入 | ニュース | Viscovery | ビジュアルAIで映像に無限の可能性を)

台湾高雄の人気パティスリー「オペラ洋菓子店」では、2020年末から大手スーパー全聯(チュエンリエン)と提携し、台北で期間限定スイーツの販売を行いました。このスイーツ販売において「AI画像認識レジシステム」を導入したことで、大きな注目を集めています。

オペラ洋菓子店が導入した「AI画像認識レジシステム」は、AIやディープラーニング、そしてコンピュータビジョンを活用し、コンピュータに人と同等の判断能力を持たせるというもの。人が目視で識別することができるものすべてに適応可能であり、商品の微妙な違いにも影響されることなく識別可能です。

たとえば、袋に入っているビスケット、クロワッサン、缶入りのクッキーなど、複数の商品が混在していても、約1秒で正確に識別することができます。そのため、レジの作業時間を平均45~50%短縮することに成功したのです。顧客の待ち時間を軽減し、最適なショッピング体験を提供できることは、大きな魅力といえるでしょう。

 

「Zippin」富士通株式会社

「Zippin」富士通株式会社

(参照:GetZippin | Home)

ローソンでは、富士通の開発拠点である「新川崎テクノロジースクエア」内に小型店舗を設置し、「レジなし店舗」の実証実験を行ったことで注目を集めました。この実験店は、2020年2月26日~5月25日までの3カ月間限定でオープンしたもの。通常の店舗よりも少ない250アイテムが販売されましたが、実際に商品を購入できるという点は、一般店舗と一切変わりありません。

レジ無し店の利用方法としては、初めに専用のスマホアプリに利用者情報やクレジットカード番号を登録し、入店時にアプリでQRコードを表示させ、入り口に設置されたゲートの読み取り部にかざすというものです。ここで認証が通ればゲートが開き、店舗内に入ることができます。

そして、欲しい商品を手に取り、そのまま退店すれば「購入した」とみなされ、アプリに登録したクレジットカードで決済されるという仕組みです。決済が完了すると、アプリにレシートが表示されますが、アプリにはレシートの誤りを申告できる機能が搭載されているため、万が一金額が間違っていたとしても修正や取り消しを行うことができます。

このレジなし店舗では、AIを活用することよって「どの客がどの商品を手に取り、退店したのか」を正しく判断することが可能です。そのAIシステムには、アメリカのブイコグニションテクノロジーズが開発した「Zippin(ジッピン)」が活用されています。なお、実験店では入店時の認証に「マルチ生体認証」も活用されており、その認証システムに関しては富士通研究所が開発を行ったそうです。

 

「CoolRegi」NTTデータ ルウィーブ株式会社

「CoolRegi」NTTデータ・ジェトロニクス株式会社

(参照:レジシステム「CoolRegi」 | ビジネス・ソリューション | ソリューション/サービス | NTTデータ ルウィーブ)

NTTデータ ルウィーブ株式会社が開発・提供を行っている「CoolRegi(クールレジ)」は、スピーディーに会計が行えるよう設計されたレジシステムであり、学生食堂や社員食堂などで積極的に導入されています。POS端末とセットで導入したり、必要なものだけ導入したりと、柔軟にスタイルを選ぶことができるのが特徴です。

そんな「CoolRegi」は、クラウドで利用することができるため、サーバー導入の必要がありません。売上集計やメニューの追加・変更などを、すべてクラウド上で設定・管理することができます。企業によっては、複数の拠点や工場が存在するケースもあるかと思いますが、そのような企業でも、各施設の売上を一元化でき、見える化に繋げることが可能です。

また、人間センサーを活用して食堂の混雑状況を可視化したり、健康診断の結果を組み合わせてメニューの提案をしたりと、目的に合わせて機能を拡張させていくこともできます。さまざまな外部サービスと連携でき、幅広い使い方が期待できることは大きな魅力です。

そして、RFIDタグを導入したり、更新したりする必要もなくなるため、パソコンでの作業が苦手な人でも簡単に利用することができるでしょう。業務効率化だけでなく付加価値のある食堂を目指したい企業や、合理化によって生産性向上を実現したい企業、働き方改革や顧客満足度向上を実現したい企業などにとって、特に価値のあるレジシステムといえます。

 

「スマート無人レジシステム」京セラ株式会社

先ほどもご紹介しましたが、京セラ株式会社では、物体認識AI技術を搭載した画像認識型「スマート無人レジシステム」を提供しています。重なり合った複数の商品を即座に認識することにより、利用者の負担軽減に加え、店舗運営の効率化や非接触による接客を実現することが可能です。

近年では、労働人口の減少などにより小売店やコンビニエンスストアなどの店舗運営のさらなる効率化、省人化が課題となっています。また、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るために、店舗内での対人接触機会の削減も求められています。

その対策として、セルフレジや無人AI決済システムの導入が進んでいます。しかし、バーコードスキャンが必要なセルフレジでは、利用者の手間や時間がかかること、無人AI決済システムでは、店舗内に多数のカメラの設置が求められるなど、大規模な設備投資が必要となることが課題となっています。

「スマート無人レジシステム」は、京セラの研究開発本部 先進技術研究所にて開発した独自技術を使用して開発されました。レジ台に1台のカメラとPC、ディスプレイを設置するだけで導入できるため、小規模な店舗でも低コストで簡単に利用できます。

独自開発した物体認識AI学習データ生成技術を活用し、商品が重なり合ったり、商品を手に取っていたりする場合でも、高精度な画像認識を行います。こちらも独自開発した物体認識AIアーキテクチャを活用し、本システム1台で約6,000種類以上の商品を登録し認識することが可能です。

また、新規商品を登録する際にも、従来の登録済商品を含む全商品を再度学習する必要があるのに対し、本システムでは新規商品だけの追加学習で済むことから、学習時間を大幅に短縮します。

 

京セラ、物体認識AI技術を搭載した画像認識「スマート無人レジシステム」開発

 

AIレジはスマートストア普及の鍵となるか

昨今は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの人にとってマスクを着用することが一般的となりました。そのような中で、新宿住友ビルB1Fに未来型AI無人店舗「DIME LOUNGE STORE」がオープンし、マスクをつけたまま顔認証での入店が可能になっています。また、欲しい商品を手にして退店ゲートに進むだけで自動決済されるのも特徴のひとつです。「DIME」独自で企画・誕生したオリジナル商品や、担当バイヤーが厳選した商品が並びます。

この「DIME LOUNGE STORE」は、「未来の買い物体験ができる無人型AI店舗」をコンセプトに、AI顔認証システムや入退室管理システム、監視カメラシステム、画像解析ソリューションなど最新AIを駆使した、未来型の無人店舗です。

この店舗を利用する際の流れとしては、まず店舗初入店時に、入り口の認証機にユーザー情報を読み取らせ顔情報を登録します。顔情報の登録後は、マスクを付けたままでも顔認証で入店できる、コロナ禍における画期的入店システムを活用しているのが特徴です。

入店後は、棚から買いたい商品を手に取るだけ。店舗で商品を手に取ると、棚の上部に設置されたディスプレイに、その商品の情報がリアルタイムで表示されます。そして、商品を購入する際も、マスクを付けたまま、商品を手にして退店ゲートに進むだけで自動決済することが可能です。退店ゲートのカメラで顔認証を行うことで決済が完了し、退店できます。

レジいらずの店舗はアメリカのAmazon Goを皮切りに続々展開されています。都内では高輪ゲートウェイ駅内にAI無人店舗「TOUCH TO GO」がオープンし、ローソンも無人コンビニの実証実験を進めています。今後、ますますAI無人店舗が展開されることでしょう。

 

画像認識AIのサービス比較と企業一覧を見る

 

AIsmiley編集部

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