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外観検査とは|メリット・デメリットや業界別の活用事例を解説

最終更新日:2024/10/10

工場や製造現場での生産性を維持・向上させるためには、部品や製品の表面にある傷や欠陥を確認する外観検査が不可欠です。

この重要な工程を自動化し、効率化する動きが近年、多くの企業で加速しています。AIと高速画像処理技術を駆使した外観検査は、不良品の流出を防ぎ、品質の一貫性を保つための鍵となります。

この記事では、以下の内容に沿って外観検査について詳しく解説します。

  • 外観検査とは
  • 外観検査でのAI導入の必要性
  • 外観検査を自動化するメリット・デメリット

製品品質の向上とコスト削減を目指す企業は、ぜひ参考にしてみてください。

外観検査のサービス比較と企業一覧

外観検査とは

■外観検査とは

外観検査とは、部品・製品の品質を維持するための確認作業をAIで行うことです。

主にチェックするのは、部品・製品の汚れや異物混入の有無、傷、欠け、変形といった点です。多くの製造現場ではこうしたチェックを目視で行っており、ルーペや顕微鏡なども活用しながら細かな傷も人の目で見分けています。

外観検査はチェックする段階ごとに、以下のように分類できます。

項目 概要
製作段階での外観検査 形状や組み合わせ、変色、色ムラ、印刷文字の位置などをチェック
表面処理後の外観検査 表面の感触、シワ、曇り、傷や汚れ、異物の付着をチェック
製品組み立て後の外観検査 仕上がりの程度、欠けている部分がないかをチェック

製作段階での外観検査では、本来の仕様と異なる部分がないか、形状や組み合わせの見た目などを確認します。また、図面寸法と差がないか、変色・色ムラがないか、印刷文字の位置が適切かなども併せてチェックすることが可能です。

表面処理後の外観検査では、表面の感触に違和感がないか、また製品によってはシワや曇りがないかを目視で確認。さらに表面の傷や汚れ、異物の付着などもチェックします。

製品組み立て後の外観検査で行うのは、仕上がりの程度を確認や欠けている部分がないかのチェックです。

このように段階を踏んで外観検査を行うのは、自社が作る部品(製品)の不良品の発生を最小限に食い止めるためです。不良品に気づかず出荷・販売してしまうと、企業のブランドイメージを悪化させるばかりでなく、部品(製品)の不良が原因で重大な事故を招いてしまうおそれもあります。

外観検査の方法の種類

外観検査には、「インライン検査」と「オフライン検査」の2種類の方法があります。

インライン検査は、主にライン生産方式で製造を行う工場において用いられるもので、生産ラインを稼働させている状態で製品をチェックする「リアルタイム検査」のことを指します。インライン検査によって、キズや汚れ、欠け、打痕などの不良に加え、光沢度や曇り具合など品質に関してもチェックすることができます。そのため、全数検査による品質保証や、生産異常検知のために用いられることが主となります。

オフライン検査とは、生産ラインとは別に検査工程を設けて行われる検査のことです。インライン検査にプラスして、より精密な検査をしたい場合に実施されています。

検査方法 メリット デメリット
インライン検査 ・全数検査を実施しやすい
・その場で異常検知ができる
・設備導入にコストがかかる
・自動化のための設計が必要
オフライン検査 ・より精度の高い検査ができる
・抜き取り検査ができる
・イニシャルコストがかからない
・全数検査には不向き
・人件費が発生する
・検査品質にバラつきが出る

インライン検査を行うメリットは、製品の生産中にリアルタイムで異常検知ができるため、迅速なフィードバックが可能になり業務を効率化できる点です。また、製造機器とシステムをリンクさせれば、異常が発生した際にも、フィードバックされたデータから良品の範囲内で製造するよう自動調整することも可能です。チェックのための作業員を削減でき、人的コストを抑えることができます。

一方デメリットは、自動化設備を導入するために設計の手間がかかり、多額のイニシャルコストが発生してしまうことです。

オフライン検査のメリットは、より精度の高い検査ができる点です。製造過程で検査するわけではないので、検査時間が生産ラインのスピードに影響することはなく、時間のかかる精密な検査が行いやすく抜き取り検査にも向いています。インライン検査のように特別な設備を導入する必要がないので、イニシャルコストがかからないという利点もあります。

一方で、人が目視で行う検査では品質の均一性を保つのが難しく、実施できる検査数が限られるため全数検査には向いていません。また、検査員を増やすほど人的コストはかさんでしまいます。

目視での外観検査は難しい

目視による外観検査は、人間の判断に依存するため、一貫性と精度の面で課題があります。疲労や主観性が結果に影響を及ぼし、特に微細な欠陥や複雑な形状の検査では、見落としや誤判定のリスクが高まります。

これに対し、AIを活用して自動化された外観検査は、精度の高い検出能力と一貫した品質判定をすることが可能です。AIは継続的な学習により精度を向上させ、高速で連続する生産ライン上でも効率的に欠陥を検出できます。

このように、AIによる自動化は、人間の限界を超えた品質管理を可能にし、生産性と品質の向上に大きく貢献します。

外観検査でのAI導入の必要性

最近では、より正確かつ効率的な外観検査を行うための仕組みとして、AIカメラを用いた外観検査を導入する企業が多くなってきています。

AI搭載型カメラの導入により外観検査の精度が飛躍的に向上し、蓄積された過去のデータをもとに、さらに小さな汚れや傷なども正確に見極めることができるようになります。

AIを活用しない従来の外観検査装置は「ルールベース型」と呼ばれるもので、あらかじめ設定した検査ルールに当てはめて、コンピューターが良品・不良品を見極めます。局所的な異常であれば検出精度は100%で、判定もスピーディーですが、これらはあくまでも「検査装置の設定を正しく行っていること」が前提となります。明確にルールを設定しておかなければ、欠陥認識を正しく行うことができません。

その点AIによる外観検査装置は、膨大なデータを蓄積しながら分析・予測の正確性を高めていく仕組みのため、あらかじめ設定された条件だけでなく、曖昧さ・柔軟性といった人間的感覚も数値化できるのが最大の特徴です。「ルールベース型」のように事前にルールを細かく設定する必要もないため、導入の負担も軽減されます。蓄積されたデータをもとにAIが自ら学習し、新しいルール定義に適応していくことができるのは大きな魅力の一つです。

また最近ではオンプレミス型だけでなく、クラウド型の外観検査システムも多くなってきています。自社にとって最適かつ無駄のないシステムを導入できるようになったことも、注目すべきポイントといえるでしょう。

こうした流れを受け、経済産業省も外観検査へのAI導入を積極的に推奨しています。

参照:経済産業省「AI導入ガイドブック 外観検査(部品、不良品あり)」

外観検査を自動化するメリット

外観検査にAIを導入し自動化することで、主に以下のようなメリットが得られます。それぞれについて、次項で詳しく解説します。

  • 人材不足の解消
  • ヒューマンエラーの防止
  • 検査品質の均一化
  • 昼夜関係なく検査可能

これらのメリットについて、それぞれ詳しくみていきましょう。

人材不足の解消

昨今は製造業をはじめとするさまざまな業界で、働き手が減っていることが大きな課題となっています。人材不足を解消するためには、業務効率化や業務自動化が欠かせません。

AIを活用した外観検査システムによってチェック作業を自動化すれば、人材が集まりにくい地方工場でも効率的に稼働できるようになります。外観検査に割く人員を減らし、その分のリソースを別の作業に充てられます。

少子高齢化に伴う人手不足が深刻化しつつある状況の中で、AIを活用した効率的な外観検査が実現されることは、多くの企業にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。

ヒューマンエラーの防止

人の目による外観検査では、不良品を100%見抜くことは難しく、検査員のスキルや経験値によって左右される部分があることは否めません。場合によっては、当日の検査員の体調が影響を与えることもあり、どうしてもヒューマンエラーが起こってしまいがちです。

しかし、AIを活用した外観検査システムによって自動化すれば、どのような環境でも常に一定の高い精度を維持することができます。

検査品質の均一化

上記の通り、AIの活用によってヒューマンエラーがなくなることで、検査品質の均一化が図れます。チェック漏れや見逃しがなくなり、誤って不良品を出荷してしまうこともありません。

検査に100%の信頼をおけるということは、製品を提供する企業への高評価につながり、社会的な信用度を高めてくれます。

昼夜関係なく検査可能

人は長く作業を続けると疲労が蓄積されるため、長時間連続の稼働は現実的ではありません。特に近年は働き方改革が進んでおり、長時間労働によって生産量を上げるという考え方は時代遅れとなっています。

その点、外観検査システムをAIのようなロボットに任せれば、昼夜関係なく検査を行えるようになります。高い精度の外観検査を24時間体制で行えることで生産力も向上し、企業にとって大きなメリットとなるでしょう。

AIを活用して外観検査を自動化するデメリット


外観検査にAIを導入することにより、わずかながらデメリットも生じます。

例を挙げると、AIは画像から寸法・面積・位置などの定量的ルールを学習したり、検出したりする作業は得意ではありません。これらの作業を中心に外観検査を行いたい場合は、高い精度が期待できないかもしれません。

また、当然ながらAI導入には多額のコストがかかります。導入後のメリットが大きいため、後のランニングコストを考えれば妥当な金額ともいえますが、導入段階で多額の初期投資が必要なことは理解しておいてください。

AIを活用した外観検査で判定できること

AIを活用した外観検査では、業界別に下記の不具合等を判定できます。

業界 判定できること
金属業界 サビ、割れ、欠け、バリ、寸法ズレ、変形、サビ、気泡、打痕など
食品業界 キズ、破れ、汚れ、焼け、凹み、異物、印刷ミス、異品種混入など
樹脂業界 キズ、汚れ、シルバーストリーク、スジ、変色、気泡など
電子デバイス業界 汚れ・異物の付着、はんだ不足、ショート、断線など
医療・医療品業界 ラベルずれ・破れ、印字ミス、内容量など
日用品業界 ミス、ラベル破れ、ラベルずれ、印字など
シート業界 ゲル、気泡、割れ、クラック、フィッシュアイなど
半導体業界 チップ、リードフレーム、位置ずれなど
電子部品業界 溶接、ピンホール、付着物、ネジ、ボルトなど

 

外観検査に活用されるAIの高速画像処理技術とは

■高速画像処理の活用

最近では、より検査のレベルを高めることができる「高速画像処理」という技術を導入している企業も少なくありません。この高速画像処理とは、従来の画像処理から約33倍以上の処理を可能にする技術です。

従来の画像処理では、1秒間に約30枚の静止画像を撮影することができます。一方の高速画像処理は、1秒間に約1000枚の静止画を撮影することが可能になりました。高速の移動体をリアルタイムに認識し、フィードバックできるのです。そのため、「検査のレベルを高めて品質価値を高めたい」「ラインを高速化させて生産性向上を図りたい」といった課題を持つ企業に多く導入され始めています。

高速画像処理技術のメリットとしてまず一番に挙げられるのは、生産性の飛躍的な向上です。高速な画像処理により、システムの物理的な限界を突破することができるため、繊細な検査をよりスピーディーに行えるようになるのです。

また、ロボットに作業を教えるティーチング作業も、これまでの画像処理技術では難易度が高く、多くの時間を必要としていました。しかし、高速画像処理によって手間のかかる作業を自動化させることにより、補正の質をより高めることができ、業務効率化にもつながります。

外観検査にAI技術を取り入れた事例

本項では、画像処理技術を用いた外観検査の、さまざまな業界での導入事例を紹介します。

事例①:食品業界(キユーピー)

事例②:食品業界(キューピー)

(参照:AIを活用した原料検査装置をグループに展開 | ニュースリリース | キユーピー)

食品メーカー大手キユーピーは、総菜のポテトサラダに使用するニンジンの検査にAIを活用した自社開発の原料検査装置を導入し、2019年1月から運用を開始しました。この装置をカット野菜の検査に活用するのは、グループ初となります。

同社ではこれまで、いちょう切りに加工されたニンジンを目視で検査し、規定外の形状や変色したもの、混入物などを取り除いていました。しかし目視による検査員への負担は大きく、AIによる検査プログラムを製造工程に導入し、ディープラーニングを活用した画像解析により良品を選別する方法に切り替えることに。

当初は「不良品を見つけ出す」というフローでアプローチしましたが、変色や変形、さまざまな混入物など不良のパターンが無限にあることから、高い精度を出すのが困難でした。そこで発想を逆転させ、AIにいちょう切りニンジンの良品画像を学習させて「良品を見つけ出す」というフローに変更したところ、高い確率で不良品を選別できるようになったのです。

人間による目視では疲労の蓄積によって検査効率が下がっていきますが、AIならそのようなこともありません。同社では離乳食の製造工程にも同様のマシンを導入し、実質的に検査速度を2倍に向上させています。

ディープラーニングについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
ディープラーニングとは?特徴や仕組み、活用事例をわかりやすく解説

事例②:建設業界

事例③:建設業界

(参照:清水建設、鉄筋継手の外観検査に画像認識AIを導入、5分の目視検査を20~30秒に短縮 | IT Leaders)

建設業界においても外観検査は積極的に活用され始めています。その一例としては、清水建設が導入した画像認識AIが挙げられるでしょう。清水建設では、ガス圧接継手の施工現場において画像認識AIをトライアル導入し、その認識率や使い勝手を検証する取り組みが行われました。

トライアル期間は2020年1月~2020年3月の3ヶ月間で、清水建設が施工しているビルの現場において、スマートフォンを利用して鉄筋継手の画像を撮影し、画像認識AIによって外観検査が実施されました。

これまで目視で行われていた検査と比較し、判定結果の精度、作業時間、画面操作性などを検証した結果、目視検査では1カ所あたり5分程度かかっていたところ、AIは1カ所あたり20秒から30秒程度で検査可能になりました。スマートフォンのアプリを立ち上げ、鉄筋のサイズ(径)を指定し、撮影ガイドに合わせて撮影するだけという手軽さも好評で、今後画像認識AIの活用が建設業界全体に広まることが予想されます。

事例③:化粧品業界

■AI・人工知能が肌コンディションに合わせて美容液を配合してくれる「Optune」|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

(参照:Optune | 資生堂オフィシャルサイト)

外観検査とは少し異なりますが、化粧品業界でも「画像処理AI」を活用した事例は多く存在します。その一例として挙げられるのが、資生堂が提供する「Optune」というサービスです。

「Optune」は、AI・人工知能が自分の肌コンディションに最適な美容液の配合を行ってくれるという仕組みで、利用には専用スマホアプリ「Optune App」と、「Optune Zero」というマシンが必要です。使い方は、まず「Optune App」をダウンロードし、起動して自身の肌の写真を撮影。次に「Optune Zero」をWi-Fiに接続し、クラウドサーバーに接続します。そして、肌の水分量やキメといったコンディションを診断した後、気温や湿度、紫外線量といった外的要因を加味した上で、最適な美容液の配合が行われ、抽出されるという仕組みです。

当然、肌のコンディションは日によって異なります。そのため、気温や湿度なども毎日異なりますので、毎日最適な美容液の配合を行ってくれるというのは非常に魅力的な機能といえるのではないでしょうか。

ちなみに、「Optune Zero」に入れる化粧水や乳液は、最初に測定した肌の画像をもとに選定されますが、最新の肌の調子に合わせて美容液や乳液を買い足していくことも可能です。そのため、一度購入した美容液が肌に合わず失敗してしまったという経験をお持ちの方でも、安心して利用することができます。

事例④:物流業界

事例⑤:物流業界

物流という業務には、物を移動させるだけでなく、そのプロセスとなる包装や保管といった作業も含まれます。

倉庫への入庫作業では、一つひとつ人の目で商品のパッケージやタグなどを確認する必要があり、商品名や型番などを倉庫管理システムに入力する作業も人手に頼ることがほとんどでした。

しかし、最近ではAIの画像認識技術を活用したシステムが積極的に導入され、一連の業務が大幅に効率アップしました。目視による確認とシステム入力作業を自動化させることで、検品業務を半分以下の時間で実施できるようになったのです。

また、倉庫や物流センターでは、出荷する荷物や商品の仕分けなども日々行われており、複雑な仕分け作業はどうしても人の手で行わなければならない状態でした。しかし、画像認識技術とディープラーニングの精度が高まった現在では、どんなに複雑な仕分け作業でも自動化できるようになっています。

事例⑤:小売業界

事例⑥:小売業界

(参照:IT Leaders 日立ソリューションズ、画像認識で外観検査を自動化するSIサービス)

日立ソリューションズでは、マシーンラーニングによる画像認識技術で製品の外観検査を自動化するSIサービスを提供しています。このサービスはもともと製造業向けに開発されたものですが、小売業の現場での活用も期待されています。

同社がSIサービスを導入した背景には、少子高齢化に伴う人手不足や、熟練工の技術が継承困難になるといった課題がありました。特に目視で行う検査に関しては、検査員の経験やスキルに依存するところが大きく、検品後の品質のばらつきや不良品の発生が懸念されていたのです。

このような課題を払拭するために導入されたのがSIサービスで、製造工程の検品・検査作業では以下のような利用方法が考えられます。

利用方法 詳細
精密機器部品の外観検査 部品のキズや汚れ、形状不良などを判別し、高精度の外観検査を行う。マシーンラーニングで異常パターンごとに最適な分析方法を採用。製造作業員のスキルに依存せずとも検査・検品工程の品質均一化や作業効率向上を目指す。
保守点検業務の効率化 稼働中の製造機器が正常に動作しているか、各種ライトの点灯状態やスイッチのオンオフ状態などを判定する。機器の作動状況の判別が自動化される。
品番チェックの自動化 コンテナや荷物に記された文字やマーク、品番の画像と製造出荷データと照会し、検品作業・照合作業の工数を低減する。検品作業のチェック漏れも防止できる。

SIサービスは小売業の現場においても、過去の商品陳列画像と店舗の売り上げデータを照合し、最適な商品陳列方法を提案するといった活用ができると期待されています。

事例⑥:自動車業界

事例⑦:自動車業界

自動車製造においても画像処理AIは積極的に活用されています。例えば自動車メーカーのアウディでは、AIにプレス加工時に発生する金属板の割れ目や傷などを学習させ、不良品を自動認識し、工場内の量産体制を整えています。

これまでは目視でチェックを行う必要があったため、手間がかかるだけでなく人件費も発生してしまい、決して効率的とはいえませんでした。しかし画像処理AIの活用によって、人件費の削減はもちろん、より正確かつスピーディーにチェックを行えるようになったのです。

また、近年は自動車がより複雑かつ自由なデザインになってきており、求められる品質基準も必然的に高まっています。アウディでは、プレス工場で加工された部品すべてをその場で検査するようにしており、画像処理AIの活躍の場がますます広がっています。

外観検査をAIで自動化する際の費用

最近では、外観検査におけるデータ分析を支援する企業や、特徴的な機能を備えた外観検査ソリューションを提供する企業なども多くなってきています。なかには、数百万円から導入できる外観検査システムを提供している企業も存在するため、外観検査システムを導入するハードルは下がりつつあるといえるでしょう。

現在はさまざまな企業が外観検査システムを提供しているため、企業ごとにシステム導入の流れは少しずつ異なりますが、一般的には以下のような順序で導入されます。

  1. アセスメント
    企業が抱えている「検査における課題」をヒアリングし、検査対象の製品サンプルを共有しながら実現性・再現性などを検証していきます。アセスメントの結果報告までには、1ヶ月ほどかかります。
  2. PoC(実証実験)
    アセスメントにより実現の可能性を確認できたら、実際の検査工程に機材を設置して性能検証を行っていきます。導入するシステムの機能や規模などによって期間は大きく変化しますが、2ヶ月~3ヶ月ほどの期間が必要になるケースが多いでしょう。
  3. 導入
    実証実験が終了したら、本稼働環境の構築支援を受けながら、実際に導入へと進んでいきます。サービスによっては、より確実に運用を開始できるように利用者研修や技術支援などを実施するケースもあります。
  4. 運用
    これらの手順をすべて終えたら、実際に運用開始となります。運用後のトラブルなどにも対応できるよう、問い合わせ対応サービスが設けられているものも少なくありません。

最近ではAI外観検査導入のハードルも低くなりつつあり、100万円程度で始められるシステムも存在します。自社の規模や実現したいソリューションに合わせて、さまざまなシステムを比較検討し、最適なものを見極めることが肝心です。

外観検査へのAIの導入は必要不可欠に

本記事では、外観検査の種類や自動化のメリット、活用事例などを詳しくご紹介しました。前述の通り、最近ではさまざまな業界で画像処理技術による外観検査が導入され始めています。

今後は少子高齢化に伴い、人手不足がさらに深刻化していくことが予想されますので、外観検査の自動化によって生産性を高めるという選択は非常に効果的であるといえます。

AIの技術は現在も進歩し続けていますので、外観検査の精度もより一層向上されていくことが期待されます。ぜひこの機会に高速画像処理やディープラーニングといった外観検査に関わる技術の知識を深めてみてはいかがでしょうか。

ディープラーニングとは?仕組みやできること、実用例をわかりやすく紹介

外観検査AIを比較して相談

なお、AIsmileyで公開している外観検査AIカオスマップでは、各社の公開情報を基にAIsmileyが独自の視点で情報をまとめており、国内で利用可能な外観検査AIサービスのうち、100種類以上の外観検査AIサービスを分類・一覧化し、マッピングしています。

現在の日本国内における主要な外観検査AIサービスを導入の目的・課題別に俯瞰できる唯一のカオスマップとなります。外観検査AI導入の比較資料としてご活用ください。

外観検査のサービス比較と企業一覧

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