ChatGPT「o3」とは?OpenAI最強モデルの性能や特徴、使い方を解説
最終更新日:2025/01/29
OpenAIは、最新AIモデルの「o3」を2024年12月20日(アメリカ現地時間)に公開しました。数学や科学的推論、プログラミングの能力を中心に、前作の「OpenAI o1」に比べて大幅な飛躍を遂げています。また、AGI(汎用人工知能)実現の可能性を大きく広げたと話題を呼んでいます。
本記事では、OpenAIの最新AIモデル「o3」の主な特徴・機能・料金体系・具体的な活用事例などについて解説します。「o1」モデルとの違いやAGI達成への可能性についても説明しますので、ぜひご覧ください。
OpenAIの最新モデル「o3」とは
OpenAIは、2024年12月20日(アメリカ現地時間)に最新モデルの「o3」を公開しました。12日間にわたるイベントの初日に「OpenAI o1」を発表したばかりのタイミングですが、「o3」は従来までのモデルが抱えていた課題を解消し、革新的な性能を備えた最先端モデルとして位置付けられています。
「o3」では、「段階的に推論を積み重ねる」という人間の思考プロセスに近いようなアーキテクチャが採用されています。AIの「考える」という概念を根本から覆し、複雑かつ高精度が求められるような専門家レベルの問題をも難なく解決できる可能性があります。
関連記事:OpenAI、新たなAIモデル「o3」を発表。AGIのベンチマークにおいてもハイスコアを記録
OpenAI o3の主な特徴
「OpenAI o3」は、既存のAIモデルをはるかに超える性能を持つと言われています。ここでは、「OpenAI o3」の具体的な機能や特徴について解説します。
AGI ベンチマーク「ARC-AGI」での画期的な成果
最新の「o3」モデルでは、AGIの実現に向けたベンチマーク(ARC-AGI)において画期的な評価を示しました。「人間が簡単に解けるが、AIには困難な課題」を通じて、AGIに近い思考能力を評価したテストでは、人間と同等レベルの推論力を含め、人間にとって簡単に解けても従来のAIモデルでは困難だった領域を測定します。
テストの結果は、人間の水準とされる85%を上回る87.5%の正答率を打ち出しました。これまでの「ChatGPT-3」や「GPT-4o」では数%前後に留まっていたスコアが、「o3」を用いることで少ない推論回数でも75.7%という高スコアを記録。大量の計算資源を投入したモードでは87.5%に到達し、従来のAIでの課題を打開する可能性が高まっています。
関連記事:AGI(汎用人工知能)とは?AIとの違いやAGI実現による社会への影響を解説
コスト重視のChatGPT「o3-mini」の登場
「OpenAI o3」と同時に発表されたのが、軽量化モデルの「o3-mini」です。「o3-mini」は、「o3」に比べて性能とコストのバランスを重視したモデルで、高性能かつ柔軟な推論能力を持つAIを手軽に利用できるよう設計されています。
コーディング能力では「o1」を上回りつつも、コストは桁が変わるほど削減されています。また、新機能として、タスクの複雑さや与えられた文脈に応じて処理時間を調整できる機能(アダプティブ・シンキング・タイム)が搭載されました。高速処理や精密モードを切り替えることで、より効率的な作業が実現します。
中小規模の開発者や低コストのプロジェクトなど、より小規模な環境での活用にも適しています。
プログラミングや数学的推論での強化
「o3」では、ChatGPTですでに高い能力を発揮していたプログラミングや数学的推論などの分野でも、応用力が期待されています。数学的能力においても、数学オリンピックレベルの試験「Amy」で96.7%の正確性を記録。複雑な数式や問題の計算はもちろん、論理的思考の分野でも活躍することが期待されています。
また、ソフトウェア開発のベンチマーク「SweetBench Verified」において71.7%の正確性を達成。「OpenAI o1」の約50%を大きく上回り、プログラミングの幅広い言語に対応でき、エラー検出やコードを自動で最適化することが可能です。
さらに、物理や化学といった専門分野でも、難解な問題に対する論理的なアプローチが可能です。大学博士レベルの化学問題では、87.7%の正答率を達成しており、研究者のサポートとしても活用が見込めます。
外部安全性テスト「Deliberative Alignment」の導入
AIが進化する中で、安全性の確保は重要です。OpenAIは、「o3」「o3-mini」における安全性を強化するために、「外部安全性テスト(Deliberative Alignment)」を導入しました。
このテストは、モデルが推論能力を使って、プロンプトの意思を推論し、安全性を高める仕組みです。AIがタスク解決に用いる「チェーン・オブ・ソート(Chain of Thought/COT)」という生成プロセスを評価して、ユーザーがAIの根拠をある程度把握できるよう配慮されています。
モデルの安全性が高まれば、推論過程の透明性や説明可能性の向上にも役立ちます。その結果、より多くの研究者がモデルの評価に参加できるようになりました。
OpenAI o3はいつから使える?
「o3」の一般公開については明言されておらず、利用開始時期は未定です。ニュースリリースの時点では、「ChatGPT o3-mini」が2025年1月下旬の公開を予定しており、それに続く形でo3もリリースされると見込まれています。
なお、2024年12月20日より、OpenAIの公式サイト上で早期アクセスの申請を受け付けていました(現在は終了しています)。登録者の中から、抽選で選ばれたユーザーのみに先行アクセスが許可されます。ユーザーのフィードバックを受けながら、改良が続けられると思われます。
OpenAI o1とo3の比較
前モデルの「o1」と「o3」モデルの比較表を以下に示します。
モデル | 推論速度 | ARC-AGIスコア | コスト |
o1 | 中 | 7.8%~32% | 中 |
o3 | 高 | 75.7%~87.5% | 高 |
ARC-AGIスコアだけを比べても、圧倒的にo3モデルの性能が突出しています。また、推論速度や処理速度が飛躍的に向上し、幅広いタスクへの円滑な対応が実現します。
o1モデルについては、下記記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
関連記事:OpenAI、新モデル「OpenAI o1」シリーズ発表。数学、科学、医療など複雑なタスクの推論が可能に
OpenAI o3の活用シーン
従来のChatGPTを超える「o3」は、さまざまな分野での実用が期待されています。ここでは、どのようなジャンルや場面で活用できるか、具体的な事例として、以下の3つを紹介します。
- プログラミング支援
- 教育分野
- 医療分野
プログラミング支援
前述の通り、「o3」は競技プログラミングで画期的な成果を上げており、プログラミング支援の分野で大きな役割を果たします。初心者だけでなく、プロレベルのさまざまなタスクに対応可能です。
代表的な活用方法としては、新規コードの生成や既存コードの最適化、デバッグプロセスの効率化などです。また、エラーコードを入力すると問題の原因を特定し、トラブルシューティングや適切な修正方法を案内してくれます。開発プロセスの大幅な効率化が期待できます。
教育分野
「o3」は教育現場においても大きなサポートを提供し、学習体験の向上と効率化を加速させることが期待できます。ChatGPTを活用した教育の最適化はすでに導入されていますが、「o3」によってより細かくパーソナライズされた学習プランの自動生成や個別指導が実現する可能性があります。
また、教師側には授業計画の作成やスケジュール管理、学習教材の制作といった用途での支援を実現でき、教育の質が大幅にアップすることが見込めます。
医療分野
「o3」は、医療分野でも能力を存分に発揮して、多様な支援を提供することが可能になります。AIを活用した診断支援やデータ解析は、医師の負担軽減や人為的なミスの回避につながり、医療サービスの品質向上を促す方法としても注目を集めています。
上記以外の活用例として、以下が挙げられます。
- 病歴や検査結果、MRI画像やCTスキャンなどのデータ解析、追加の検査や治療の提案
- 診断に必要な情報の整理、最適な治療プランの提案までの迅速化
- 患者の特性や状態に応じてパーソナライズされた医療の提供
AIの能力を活かしつつ、安全性と精度を確保した医療の提供を後押ししてくれます。
OpenAI o3とAGI実現に向けた課題
「o3」の性能の高さは、AGIの実現に向けた重要なマイルストーンと言われていますが、まだ完全ではありません。ここでは、「o3」が抱えている課題について詳しく見ていきます。
AIに対する規制と倫理面での課題
多くの国において、AI技術の管理ライセンスが導入され始めています。ライセンス制度は、AIモデルの開発や運用における倫理的基準の確立やAI技術の悪評防止を目的としています。
AI技術の安全かつ透明性の高いシステムの運用が確保されれば、AIの使用可能な範囲が明確になり、医療や教育などの各ジャンルにおける信頼性の向上にもつながります。
OpenAIでは、外部専門家との連携によるコミュニティ(Red Teaming Network)を立ち上げて、リスク評価やモデルの安全性向上に取り組んでいます。
AGI実現に向けた常識や直感的な判断
現在のAI技術では、未知の情報の取り扱いや予測不可能なタスクに対する適応力が不足しています。例えば、AGI実現に向けた課題として、常識的な推論が欠如していて、人間には容易に判断や解決ができるタスクが難しい場合があります。
また、AIは大量の学習データに基づく分析は得意とするものの、経験や直感に基づく判断は苦手な傾向があるため、精度が上がらない可能性も考えられます。今後の研究開発によって、理論的なアプローチだけでなく、具体的な技術として実現するために課題を解消することが望まれます。
まとめ
「OpenAI(ChatGPT)o3」の登場は、AI技術の進化とAGIの実現を目指す上でも、大きな成果を達成した革新的モデルです。ARC-AGIにおける「o3」が獲得したスコアはその証拠であり、数学やプログラミング、科学的な推論など多くの分野で目覚ましい評価を得ています。
コストや未解決のタスクなど、問題は残されているものの、「o3」が一般公開されればAI技術の歴史が塗り替えられる可能性もあります。「o3」モデルの料金体系や正式な公開スケジュールの発表が、世界中で発表されています。
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よくある質問
OpenAI o3の利用料金は?
料金プランの詳細についてはまだ明らかにされていません。ただ、これまでの動向から推測すると、最初はChatGPT PROもしくはPlusの有料プランユーザーを対象に、「o3」モデルと「o3-mini」モデルが公開される可能性が高いです。
OpenAI o3の一般公開はいつ?
利用可能時期についても未発表ですが、公式サイトによれば、「o3-mini」の公開は2025年1月下旬に設定されています。
ユーザーのフィードバックを収集し、データを基に継続的な改良を行いながら、安全性を確立した上で正式公開となることが推測されます。一般ユーザーの個人利用からプロユースまで幅広く対応できるよう設計されており、公開スケジュールの発表に注目です。
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