外観検査にAIを導入することで得られるメリットとは?
最終更新日:2024/04/11
製造業において、外観検査は極めて重要な工程のひとつとされています。適切な外観検査を行わなかった場合、意図せぬ形で製品が市場に流通してしまい、大きなトラブルを招いてしまう可能性があるからです。
そのため、多くの企業が時間と労力を割いて外観検査を行っている傾向にあるわけですが、近年は少子高齢化に伴う人材不足が深刻化しているため、労働力不足に陥っている企業も少なくありません。ただ、そのような課題を解決すべく、AI活用という手段を採用する企業も同時に多くなっているのです。
では、外観検査にAIを導入することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。今回は、外観検査におけるAI活用の仕組みやメリットなどを詳しくご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目視による外観検査の問題点とは
これまでは、従業員の目視確認によって外観検査が行われていました。そのため、当然人的コストが発生していたわけです。また、多くの検査では、検査結果を集計、監視、分析する必要があるため、検査結果を手動で入力する作業も必要になります。これにより、どうしてもコストが高くなってしまう傾向にあったのです。
ただ、コストが高くなってしまうにも関わらず、従業員の目視確認は工数にバラつきが出てしまうため、決してコストパフォーマンスが良いものとはいえません。また、どれだけルールなどが細かく整備されていたとしても、最終的には従業員自身が「どの項目に該当するのか」「基準と比較して良品なのか、不良品なのか」といった点を判断する必要があります。そのため、結果的にバラつきのある判定結果になってしまう可能性があるのです。
さらに、目視による外観検査は「技能の継承が難しい」という問題もあります。多くの従業員は、何度も繰り返し目視確認を行うことによって少しずつ経験値を高めているため、言葉では説明できないようなポイントが存在することもあるでしょう。そのため、どうしても言葉では説明しきれずに教育が不十分なまま終わってしまうケースもあるわけです。
後継者の教育が不十分になってしまえば、不良品の流通が増加し、結果的にその対処に多くの時間を割かなければならなくなるため、長期的な視野で見ても大きなマイナスといえるでしょう。
画像認識技術を活用した外観検査の仕組み
外観検査システムの主な仕組みは、以下のようになります。
検査対象となる画像の取得
検査対象が静止状態の場合には写真データを活用し、検査対象が動いている場合には撮影データを活用します。取得する画像の精度は、自動検査の精度にも大きな影響を与えるため、検査対象としてふさわしい高精度の画像を撮影することが重要です。
画像処理
検査対象に合わせて適切な画像処理を施していきます。目的に合わせて適切な情報を抽出できるように、画像データをフィルター処理するのが一般的です。処理方法は数多く存在しますが、代表的なものとしては「ノイズ除去」「明るさ調整」「エッジ強調」「コントラスト調整」などが挙げられます。
・異常項目の特定
取得した画像をもとに、検査対象のどこに、どのような異常項目が存在しているのかを自動で特定していきます。一般的な外観検査システムの場合、「色」「周囲との色の違い」「大きさ」「形」といったモデルルータをもとに、検査対象項目に応じた判定ロジックを用いて特定していくという流れです。
ディープラーニングを活用した外観検査にはより大きな可能性がある
外観検査システムの中には、ディープラーニング(深層学習)を活用しているものも存在します。ディープラーニングを活用しているシステムの特徴としては、「多様な入力と出力の関係を柔軟に再現できる」という点が挙げられるでしょう。
具体的には、入力に対してより適切な結果が出力されるよう、シミュレーションの繰り返しによって、ディープニューラルネットワークの隠れ層の重み付けのパラメータを最適化していくというものです。
ディープラーニングは、学習用データをもとに、隠れ層の内部パラメータを半自動的に最適化する手法が確立されているので、エンジニアが細かな設定やアルゴリズムを考えることなく欠点箇所の特定を行えるようになります。これは、ディープラーニングを活用しなければ実現できない大きなメリットのひとつといえるでしょう。
代表的な「AI外観検査ソリューション」
AIを活用した外観検査の仕組みについてはお分かりいただけたかと思います。ここからは、代表的なAI外観検査ソリューションの機能や特徴などをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
WiseImaging(CEC)
(参照:AI・ディープラーニング(Deep Learning)外観検査/画像検査 WiseImaging(ワイズイメージング))
CECが提供している「WiseImaging」は、目視検査や外観検査全般に適用可能なソフトウェアベースのAI画像検査システムです。主な機能としては、傷検査、方向・表裏・形状判断、欠陥分類、有無判断などがあります。また、ソリューションの中では比較的リーズナブルな点も大きな特徴のひとつといえるでしょう。
AI外観検査ソリューション(パナソニック)
(参照:AI外観検査ソリューション | Panasonic)
パナソニックが提供している「AI外観検査ソリューション」は、搭載されているAI学習ソフトウェアがWindowsで動作し、GUIで簡単に操作できるのが特徴のソリューションです。このAI学習ソフトウェアに関しては自社開発のものであるため、ソフトウェアの特徴を熟知したSEからのサポートを受けることができます。1台の検査用エッジPCで複数の検査項目の検出に対応できるという点も、大きな特徴のひとつでしょう。
AI×外観検査ソリューション(マクニカ)
(参照:AI外観検査パッケージ – AI×IoT – マクニカ)
マクニカが提供している「AI×外観検査ソリューション」は、撮像装置導入から検査工程の自動化までを行い、撮影された画像(動画)データをAIによって判定することができるソリューションです。これまで難易度が高いとされてきた「特徴抽出の処理設計」を代替できるため、AIに関する専門知識を持った担当者がいない企業でも、比較的スムーズに導入を進められるでしょう。
AIを活用した外観検査が企業の成長を後押しする
今回は、AIを活用した外観検査の仕組みやメリットについて詳しくご紹介しました。外観検査においては技能の継承が難しい部分も多いため、それらをAIによって自動化させることで、企業内の世代交代もスムーズに進められるようになるのです。
今後、少子高齢化に伴う人手不足問題はさらに深刻化していくことが予想されます。だからこそ、この機会にAIを導入して業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
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