【インタビュー】大塚商会の「たよれーるAIチャットボット」は親子ボットで課題解決
最終更新日:2024/03/12
昭和36年の創業以来、オフィス用品からIT機器全般まで幅広いビジネス現場の情報化と業務効率化をサポートしてきた株式会社大塚商会(代表取締役社長:大塚 裕司氏 以下、大塚商会。)。オフィス環境へのIT導入をワンストップでサポートすることでIT業界を牽引し続けています。
今回はオートメーション化の新常識となりつつあるAIチャットボットサービスの開発にプロジェクト発足から携わってきた株式会社大塚商会AI・IoTプロモーション課の山田萌香さんにお話を伺いました。
「知りたい情報にたどり着けない」
大塚商会が抱えていた課題を解決するために開発されたAIチャットボットとは?
――はじめに、「たよれーるAIチャットボットサービス」を開発した経緯を教えてください。
――山田さん
「2年前、自社の課題解決のためにAIチャットボットが開発されました。開発の背景には、100万社を超えるお客様、さまざまな製品・サービスごとに組織化された担当部署、そしてその販売・サポートに関わる情報量の多さにあります。
課題は大きく分けて2つありました。1つ目は、お客様に対しての課題で、自社のWebサイトに訪問いただいても、欲しい情報にたどり着けず途中で離脱してしまうこと。2つ目は、自社の営業担当に対しての課題で、帰社後にお客様対応の調べ事をする際、欲しい製品・サービスの情報になかなかたどり着けないことです。
既存の検索システムに限界を感じ、IBM Watsonの自然言語技術を使ったAIチャットボットを導入することを決めました。
現場の担当者にしか分からないノウハウをシナリオに反映するために、各部署から人が集まって意見交換を行うことからはじめました。3ヶ月の試行錯誤を経て本格運用がスタート。現在は様々な部署で活用が進み、お客様向けに38、従業員向けに20、のチャットボットが稼働しています。」
――お客様にサービスとして提供しはじめたきっかけを教えて下さい。
――山田さん
「開発してから半年後にお客様向けに提供がスタートしました。もともと自社利用のために開発したAIチャットボットですが、お客様へのご提供を視野に入れ、汎用性を持たせていました。自社で半年間運用したのち、お客様向けのご提供がスタートしました。自社向けに開発しているので開発コストはサービス価格に転嫁していません。
IBM Watsonをエンジンに採用したチャットボットとしてはコストパフォーマンスが良いとお客様からもご好評をいただいております。」
IBM Watsonの自然言語処理機能を利用した大塚商会オリジナルのシステム
「たよれーる AIチャットボットサービス」の特長まとめ
①会話のフロー作成機能
ドロップダウン形式で大項目・中項目・小項目に分けて選択肢を提示する事で、スムーズに回答へ導きます。
また、よくある質問を提示する事で、1クリックで回答を得られます。
②確信度に応じた回答が可能
質問に対する回答の確信度をチャットボットが自己判断します。
確信度が高い場合はスバリ1答、確信度があいまいな場合は上位3つの回答を提示し利用者が選択、確信度が低い場合は、再入力を促すなど、確信度に応じた回答のふるまいを選択できます。
③精度向上と効果測定
チャットボットの確信度や利用者の評価等の条件でログを抽出・精査し、精度向上が容易に可能です。
また、利用頻度や評価等のアクセス解析の機能により、効果測定も可能です。
――たよれーるAIチャットボットはどのような人にニーズがありますか。
――山田さん
「『定型的なお問い合わせが多く時間がかかっている』『FAQが活用されていない』、こんなお悩みをもつ人に、たよれーる AIチャットボットサービスは最適です。他にも『コンバージョン率Up』や『情報検索時間の短縮』に繋がるなどの効果が期待できます。担当エンジニアがその運用ノウハウを活かし、お客様に寄り添いチャットボットの構築・運用をお手伝いいたします。」
――数あるチャットボットのなかでたよれーるAIチャットボットならではのメリットがあれば教えてください。
――山田さん
「チャットボットを自社内の様々な部署で活用してみて分かったことなのですが、ある製品やサービスに特化したチャットボットが増えると、どのチャットボットに聞いたら最適な答えが返ってくるのかという課題が見つかりました。例えば、大塚商会が提供する基幹業務システム『SMILE』シリーズには販売、人事給与、会計、顧客管理などがあります。24時間365日応えてくれるチャットボットですが、どのチャットボットに聞いたら教えてくれるか分からないという課題が浮き彫りになりました。
私たちは課題解決として、親子のチャットボットを作成することで、親に聞けば自動的に最適な回答を行うことのできる子のチャットボットに割り振られるようにしました。それぞれに専用のチャットボットを構築しています。担当者は親のチャットボットに質問するだけで、子のチャットボットから最適な回答が返ってきます。」
「チャットボットを賢く育てるには、業務を分かっている人が最適」
――たよれーるAIチャットボットはどのような企業が導入していますか?
――山田さん
「お客様がAIチャットボットを導入するにあたり一番苦労するのが学習データをつくることです。同じIBM Watson が搭載された他ベンダーのチャットボットサービスを導入したものの、学習データの作成がうまくいかずに悩んでいるお客様からご相談をお受けするというケースは珍しくありません。
これまで蓄積してきた学習データの構築ノウハウをマニュアル化したことで、弊社のエンジニアのサポートと合わせて、お客様自身が学習データを作ることができるようになっています。また学習データにはテンプレートをご用意しておりますので、機械学習やエンジニア技術のノウハウがまったくない私でも運用者と同じように学習データをつくることができるようになりました。
他のベンダーが学習用のデータの作成業務代行サービスを行う中、私たちは業務を分かっている担当者だからこそ、適切な学習データで賢いチャットボットがつくれると考えております。」
――今後の展開について教えてください。
――山田さん
「現在もお客様に『新しい機能』を『分かりやすく導入』していただくために、SNSサービスとの連携強化を進めています。まずは社内用で活用を進めて、12月~明年1月ごろにはお客様用にリリースを予定しております。
また、当初は月額15万円のプランしかありませんでしたが、導入のハードルを下げるために月額7万円のプランを開始しました。もっと多くの人に試してもらいたいと考え、トライアルのプランもご提案させていただいております。似たようなサービスを提供する企業が多い中で、大塚商会は、手間をかけずにITを導入していただけるようなきめ細かな配慮や、専門的な知識がなくても気軽に使えるWebサービスやサポートの充実に力を入れています。」
「常にお客様の目線で考え、お互いに協力して行動する」
株式会社大塚商会は、ミッションステートメントに定める「常にお客様の目線で考え、お互いに協力して行動する」を行動指針として、新しいAIソリューションへの取り組みを進めています。
お客様に安心してサービスを提供するためには、確かな技術力と実績に裏付けられたサポート体制が欠かせません。
AIの新時代において、企業への導入には「学習データの作成に手間がかかる」「導入の効果が分かりにくい」「メンテナンスのランニングコストが積み重なる」というさまざまな問題点を解決するために、大塚商会のように自身も学習と進化を続け、お客様の立場に立った提案ができる企業が求められるのではないでしょうか。
「たよれーるAIチャットボットサービス」はこちら
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