「IT人材は2030年に10万人余る」・・・AI人材不足時代は量より質を重視せよ
最終更新日:2024/03/12
AI・人工知能人材の不足が叫ばれる中、、「IT人材は2030年に10万人余る」との経産省のレポートが話題を呼んでいます。 「IT人材とAI人材は似ているようで異なります。AI時代の人材戦略についてまとめました。
スキルセットの違いで人材の余剰と不足が起こる
経産省の調査では、「IT人材を『従来型IT人材』及び『先端IT人材』に区分した際の需給の試算を実施」したとあります。同調査におけるIT人材とは、「システムコンサルタント・設計者」「ソフトウェア作成者」「その他の情報処理・通信技術者」を IT 人材と定義し、その中でも従来型ITシステムの受託開発、保守・運用サービス等に関する市場を従来型IT市場、IoT及びAIを活用したITサービスやインダストリー4.0関連といった市場を先端IT市場としています。
試算によると、従来のIT従業者が市場構造や技術の変化に対応できない場合、受託開発や保守運用といった従来型ITサービスに従事する人材は2030年に10万人余る一方で、IoTやAIに関わる先端人材は55万人不足するとしています。つまり、同時期に人材の余剰と不足が起こるということになります。
近年、企業が求めるIT人材の質が変化しており、そういった変化に対応できない人材は余剰となり、逆にスキルを持った人材は需要不足に陥るということになります。
(参照:経済産業省 IT 人材需給に関する調査- 調査報告書)
AI人材がいないIT企業は半数を超える、確保は「自前主義」が多い
情報処理推進機構の「2019年版IT人材白書」では、AI人材の獲得・確保状況についてIT企業とユーザー企業に尋ねています。
IT企業の14.3%が「AI人材はいる」と回答し、28.4%が「AI人材はいないが、獲得・確保を検討している」、57.3%が「AI人材はいない。獲得・確保の予定はない。未検討」としています。IT企業であっても半数以上がまだAI人材がいない、もしくは確保する計画がないということになります。
AI人材を有する企業の割合は、従業員数が大きい企業や業歴が浅い企業ほど高くなります。
また、AI人材の確保方法については「社内で育成する」が最も多く、次いで「即戦力として中途採用で獲得・確保する」、「AIを専攻した学生を即戦力として中途採用で獲得・確保する」、「外部委託する」の順となっており、企業の自前主義がいまだ根強いことを示唆しています。
「AI人材はいる」と回答したIT企業に、現在と将来のAI人材の過不足感について尋ねたところ、現在「不足している」と回答したIT企業は合計で73.8%に上り、「短期的な将来(~2020年)」は合計で80%まで拡大する一方で、中期的・長期的な未来となると「わからない」と回答した割合が高くなります。
ただ、ユーザー企業においては82%が「AI人材はいない。確保・獲得の予定はない。未検討」と回答している一方で、AI人材が「いる」と回答した企業の業種は社会インフラ」(14.8%)、「サービス」(7.7%)、「機械器具製造」(7.2%)の順で、業種によってもばらつきがあるようです。
一方で、現在と将来のAI人材の過不足感については、現在不足していると答えたユーザー企業は64.8%でIT企業の回答よりも低位であるのに対し、「中期的」「長期的」な見通しではユーザー企業のほうがIT企業よりもより不足感を予期しているという結果が出ています。
(参照:IT人材白書2019 人から始まるデジタル変革~イノベーションを生む企業文化・風土を作れ~)
従来型ITサービス市場は縮小へ
もちろん、IoT及びAIを活用したITサービスやインダストリー4.0が進展しても、受託開発や保守運用といった従来型ITサービスは依然として存在するでしょう。ただ、マーケット規模は縮小し、業務効率化や技術の向上で、そうした分野で必要とされる人材は次第に少なくなっていくと考えられます。逆に、AIを活用して新たなマーケットを創造する業務については、需要が伸びていくと考えられます。
AI時代のIT人材確保は、量より質が求められる時代になるでしょう。
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