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最終更新日:2024/04/04
需給に応じて同一商品やサービスの価格を上下するダイナミックプライシング。欧米やシェアリングサービスなどでは既に浸透している手法です。できるだけ低価格で良質のサービスを提供することを良しとする日本の考え方ではあまり相いれないダイナミックプライシングも、だんだんと広がりを見せつつあります。今回は、2019年のキーワードとなりそうなこのダイナミックプライシングについて、小売業界での事例をもとにまとめました。
イスラエルのスタートアップ、ウエストレスは欧米のスーパーマーケットなど小売業にダイナミックプライシングの仕組みを売り込んでいます。
同社のシステムを導入している店舗では、店舗のPOSと在庫管理システムを組み合わせてAIで分析。顧客を引き付ける最適な価格を提案します。
例えば、100円で売っているものの売れ行きがよくない場合、99円に値下げして消費者の反応を見ます。そして一定の時間内で良好な反応が得られなかった場合は、95円、90円と値下げしてさらに反応を見るわけです。
スーパーマーケットで取り扱う商品、中でも生鮮品には価格ファクターとして消費期限があるため、期日の近いものであれば値下げして売り切ります。また、消費者も消費期限がわかりやすく表示されていれば、購入判断もしやすくなるでしょう。例えば、土曜日に家族や友人とバーベキューをするなら、消費期限が日曜まであれば問題ありません。消費期限が短いという理由で安く商品が手に入るのであれば、大いに歓迎されるでしょう。
ウエストレスのシステムを導入したスペインのスーパーマーケットは、食品廃棄を3分の1減らし、収入が6.3%増えたそうです。収入が増えた理由として、商品を廃棄せずに売り切ったことに加え、消費期限をチェックし廃棄するスタッフの人件費を抑えられたことがあります。
日本でも、コンビニの弁当など日々大量発生する食品廃棄が社会問題になっています。ダイナミックプライシングにより需要や消費期限に応じた柔軟な価格設定を可能にし、さらに発注量や製造量のコントロールにも役立てられれば、こうした問題も解決に向かう可能性があるでしょう。
中国では、ITを駆使した生鮮スーパーチェーン、銭大媽が人気です。同チェーンの特徴は「当日入荷した生鮮品は全て当日売り切る」という点です。ダイナミックプライシングを取り入れて、時間の経過とともに商品がどんどん値引きされていきます。
銭大媽が人気を得た背景には、中国人は豚肉の鮮度を気にするということがあるといいます。日本人が魚の鮮度を気にするように、中国人は豚肉を「新鮮なうちに食べるのがよい」と考えているようです。そのため、当日入荷した豚肉をその日に売り切る銭大媽のスタイルが歓迎されているのです。
同店では、夜遅くなるほど値引き率が高くなるようになっており、夜11時半には全ての商品がタダに、そして最終的には廃棄されます。
では遅くなるまで待つ買い物客ばかりかというと、そういうわけでもないそうです。時間の経過とともにどんどん商品が品薄になるので、結局夕食の時間に合わせて買っていく人が多く、だいたい1~2割引きの段階で大半の商品が売り切れてしまいます。銭大媽は下町に重点的に出店しており、早い時間に夕食を食べる伝統的なライフスタイルを送る買い物客が多いというのもポイントだそうです。
店側としても、早い時間に全ての商品を売り切ってしまえば、廃棄の手間がなくなりますし、従業員も早く帰宅できるので仕事の能率も上がります。
このように、ダイナミックプライシングを取り入れたユニークなスタイルで、店側・顧客側双方にメリットをもたらしているのです。
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