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今話題のディープフェイクとは?進化したAI技術で本物そっくりの顔を生成

最終更新日:2022/04/25

急速にAI(人工知能)の技術が進化を遂げている昨今において、「何気なく使用したツールにAIが活用されていた」といったケースは決して少なくありません。それほど、AIは私たちにとって身近な存在となりつつあるのです。

もちろん、AI技術は私たちの生活をより便利なものにしてくれる存在ですが、最近ではAIが悪用されるケースも多くなってきています。その代表的な例として挙げられるのが「ディープフェイク」です。

今回は、本物そっくりの顔を生成できる「ディープフェイク」の仕組みや悪用問題についてご紹介するとともに、正しい活用方法についても解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

■ディープフェイクとは

deepfake

ディープフェイクとは、ディープラーニング技術を活用して作成された合成メディアです。その人が実際に行っていない動作をしたり、実際口に出していないことを発言したりしているかのように描くことができます。

ディープフェイクの技術は年々⾼度化しており、もはや⼈間が眼で見て判別することは困難なレベルの高い画質の画像が⽣成できるようになりつつあります。

また、画像や動画だけでなく、⾳声をクローンする技術も進化しています。この高度な技術が世界的に広まりつつある今、ネット上でのいじめや名誉棄損、脅迫、詐欺などの犯罪行為など、既に大きな問題が多発しているのが現状です。

■ディープフェイクの悪用問題

deepfake abuse

ディープフェイクは、もともと映画やテレビといった動画コンテンツの制作時に用いる加工技術として使われていました。しかし、近年ではディープフェイクが悪用されるケースも多くなってきています。その代表例とも言えるのが、2017年に「ディープフェイクス(deepfakes)」というハンドルネームでアップロードされた動画です。

この動画では、知名度の高い女優の顔がポルノ動画に合成されており、非常に精巧な作りだったことから大きな注目を集めました。言うまでもなく悪質な行為であったことから、ディープフェイクの危険性について議論されるきっかけにもなったのです。

「より価値のある動画コンテンツを制作する」という本来の目的でディープフェイクを活用する分には一切問題ありませんが、影響力のある人物の発言が捏造されることになれば、大きな問題を引き起こすことになります。

便利な技術である反面、使い方を間違えれば大きな危険を生んでしまう可能性があることは、あらかじめ把握しておく必要があるでしょう。

■ディープフェイクの作り方

ディープフェイクは、正しく活用すればさらに動画コンテンツ制作の可能性を広げてくれる技術であることがお分かりいただけたでしょう。それでは、実際にディープフェイクはどのような方法で作るのでしょうか。ここからは、ディープフェイク(画像生成)の代表的な手法であるGAN(敵対的生成ネットワーク)について詳しくみていきましょう。

●GAN(Generative Adversarial Networks)とは

GAN(Generative Adversarial Networks)は、GeneratorとDiscriminatorという2つのネットワーク構造に分けられます。Generatorは、偽物ともいえるデータをランダムなノイズから作り出していくという役割を担っています。Discriminatorは、Generatorで生成された偽物データを、本物データと比較していくことによって、そのデータが本物なのか偽物なのか判定していくという役割を担っています。

このような判定を何度も繰り返しながら、GeneratorとDiscriminatorの精度の高さを改善させていくことによって、「対象の特徴をより自然な形で反映させたデータ」を自動的に生成するGeneratorが生み出されるというわけです。

また、この過程では、対象の特徴を定量化することもできます。そのため、特定のデータに別の特徴を与えたデータを自動的に生成していくこともできるのです。

・TransGAN

TransGANとは、畳み込みを用いることなくTransformerだけで画像を生成していく技術のことです。2021年2月に誕生し、注目を集めました。大きな特徴としては、STL-10の画像生成において、CNNベースのGANを超えてState-of-the-Art(SoTA) な性能を示しているという点が挙げられるでしょう。

そんなTransGANのアーキテクチャは、ViTに類似しており、非常にシンプルなものになっています。構成部分としては「レイヤーノーマライゼーション(LN)「マルチヘッドSelf-Attention(MSA)」「全結合層」の3つです。

・StyleGAN

StyleGANとは、教師なし学習に分類される機械学習の内の一手法である「Genera tive Adversarial Networks(GAN)」から派生したものです。前述の通りGANは、学習したデータの特徴をもとに、実在していないデータの生成を行ったり、データの変換を行ったりすることができます。

その派生として注目を集めているStyleGANは、「写真を証拠にできる時代は終わった」と言われてしまうほど、極めて高精度な画像の生成を行えるようになったのです。実際にStyleGANによって生み出された画像を見てみても、一目で「実在しない人物」だと判断することは不可能なほど高精度な画像であることが分かります。

■ディープフェイク動画を作成できるアプリ

現在は、ディープフェイク動画を作成できるアプリも多くリリースされています。PCはもちろん、スマホでも動画作成を行えるアプリがありますので、ぜひ有効活用してみてはいかがでしょうか。

・Xpression(スマホ用)

Xpressionは、iPhoneとAndroidの両方で使用できるスマホ用アプリです。入れ替えたい顔の画像・動画を持っていれば、簡単にディープフェイク動画を作成することができます。ただし、スマホのスペックやバージョンによっては使用できないケースもあるため、使用できない場合には別のアプリを使用してみましょう。

・Deepfakes web β(PC用)

Deepfakes web β

Deepfakes web βは、顔を入れ替えるための画像と動画をアップロードするだけで、ディープフェイク動画を簡単に作成できるアプリです。1時間あたり2ドルの使用料が発生しますが、高い精度でディープフェイク動画を制作できます。PCのスペックに関係なく高品質なディープフェイク動画を作成できる点も大きな魅力といえるでしょう。

・FakeApp(PC用)

FakeAppは、無料で利用することができるPC用アプリです。日本語には対応していませんが、英語の解説動画が公開されているため、手順は問題なく理解できるでしょう。ただし、こちらのアプリはメモリ8GB以上のスペックのPCでなければ使用できないため注意が必要です。「まずは無料アプリでディープフェイクを試してみたい!」という場合におすすめのアプリといえるでしょう。

■エンターテインメントで活用されるディープフェイク

ディープフェイクは、エンターテインメントの分野で積極的に活用されています。ここからは、いくつか代表的な活用事例を見ていきましょう。

●ディズニー映画『ライオン・キング』(実写版)のファン動画にディープフェイクが活用される

2019年に公開された実写版『ライオン・キング』では、現代の3DCG技術を活用することによってリアルな映像を実現し、大きな注目を集めました。3DCG技術を活用することで、これまでにないリアルな映像が完成し、一部からは「不気味の谷を思わせる」という指摘もあったそうです。

そんなリアルな映像が実現されている実写版ライオン・キングですが、「ディープフェイク」を用いて実写版の『ライオン・キング』と顔を入れ替えたムービーも公開されたことで、注目を集めました。

ディープフェイクを活用した映像を制作したのは、アーティストのNikolay Mochkin氏で、公開から2日後には120万回以上再生されたそうです。より一層ディープフェイクという技術に注目が集まるきっかけになったといえるでしょう。

Disney+で配信中の「スター・ウォーズ」シリーズのオリジナル実写ドラマ『マンダロリアン』シーズン2ではディープフェイクの利用が検討されましたが使用されませんでした。ディズニー社の映画やテーマパークでのAI活用は下記の記事をご覧ください。

ディズニーパークやピクサー映画で活用が進むAI技術

●ターミネーターの主人公の顔を入れ替えた動画が話題に

映画「ターミネーター2」の主人公、T-800役を演じるアーノルド・シュワルツェネッガーの顔を、ディープフェイクによってシルヴェスター・スタローンの顔と入れ替えた動画が公開され、大きな注目を集めました。

上記の動画を見ても、ほとんど違和感がありません。恐ろしさまでリアルに再現されているディープフェイクの精度の高さは、今後のエンターテイメント業界にも大きな影響を与えていくのではないでしょうか。

●AIで人の顔をディズニー風に加工できる無料サイト

toonify

近年はSNSに写真を投稿するユーザーが非常に多く、その写真を「よりオシャレなもの(より綺麗なもの)」にするため、加工を施すというケースも珍しくありません。そのような中で、手軽な操作で画像に加工を加えられるサービスに大きな注目が集まっているのです。

その一例としては、写真に写る人物を簡単に「ディズニー顔」へと変換することができる無料のウェブサイト「Toonify Yourself!」が挙げられるでしょう。この「Toonify Yourself!」というサイトは、人気すぎて一時的にサイトがクラッシュしてしまったこともあり、現在はユーザーからの寄付による支援でサイトが復活しています。

「ディズニー顔に変換できる」という説明だけではなかなかイメージが湧きにくいかもしれませんが、目や鼻などのパーツを加工することによって、まるでディズニー映画の登場人物のような雰囲気に顔を変換することができるのです。

こういった顔写真の加工が可能なのは、「Toonify Yourself!」にAIのディープラーニングが活用されているからに他なりません。利用方法も非常にシンプルで、同サイトに変換したい写真をアップロードして「Toonify!」というボタンをクリックするだけで加工が完了します。

しかし、すべての顔写真の変換に対応することができるわけではありません。公式サイトによると、アニメのキャラクターに眼鏡をかけている人物は少ないため、眼鏡をかけた人の変換はまだ難しいそうです。とはいえ、「Toonify Yourself!」にはAIが搭載されているという強みがありますので、データの蓄積によって多様な加工が可能になることが期待できるでしょう。

下記記事では、Toonifyの他にも顔を加工するアプリを紹介しているのでぜひご一読ください。

AI搭載の顔認証システムを使ったアプリ・サービスまとめ

■政治とディープフェイク

●ドナルド・トランプの顔を中国の国家主席にすり替えた短編映画

Proxy from Nicholas Gardiner on Vimeo.

オーストラリア出身の映像作家であるニコラス・ガーディナーは、実験的に製作した短編映画「Proxy」において、ドナルド・トランプの顔が中国の国家主席である習近平にすり替わるというテクニックを利用し、注目を集めました。

これはあくまでも作品内でのすり替えであるため特に問題はありませんでしたが、「ディープフェイクス(Deepfakes)」を名乗る正体不明のプログラマーが顔のすり替えを行えるソフトウェアを公開し、誰でも使用できるようにしてしまったのです。これにより、さまざまなフェイク動画が世界中に拡散される事態となりました。

AIの技術は、より革新的なサービスを生み出すことができる存在として多くの人に注目されていますが、このディープフェイクスのようにAIの技術が悪用されてしまうケースも増加しているということをしっかりと把握しておかなければなりません。AI技術の悪用を防ぐための施策という部分にも注目していく必要がありそうです。

●ウクライナのゼレンスキー大統領のディープフェイクをMetaが削除


Facebookを運営するMetaは2022年3月16日(現地時間)にウクライナのゼレンスキー大統領に関するディープフェイク動画を発見し、「加工されたメディア」に関する規定違反で削除したと発表しました。

偽動画ではウクライナの兵士や市民に投降を呼びかけていますが、本人より頭部が大きく見え、本人より低い声で語りかけています。

米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」によると、ハッカーがウクライナのウェブサイトに動画を投稿したと報じています。

■ディープフェイクの課題と未来

deepfake future

今回は、ディープフェイクの仕組みや作り方、悪用問題などについてご紹介しました。動画コンテンツ制作の可能性を広げる技術である一方、悪用されれば大きな問題に発展するリスクがあることもお分かりいただけたのではないでしょうか。

ディープフェイクの悪用を避けるためには、一人ひとりがAIに関する知識を蓄えた上で、しっかりと対策を施していくことが大切です。また、個人レベルでも「ディープフェイクで作られたコンテンツを安易に拡散しない」といった意識を持つことが重要になります。

AIの技術が進化し続ける現代だからこそ、悪質な犯罪から身を守り、正しくAIを活用していくための対策を講じてみてはいかがでしょうか。

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