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就活のAI選考がもたらすメリットとリスクは?適正診断や一次面接も

最終更新日:2024/04/11

近年は少子高齢化が加速しており、それに伴い人手不足問題も深刻化しています。そういった背景もあり、多くの業界ではAI活用による業務効率化が進められている状況です。

それは、人事の分野も例外ではなく、AIを導入することでたくさんのメリットを得られるわけですが、その反面、いくつかのリスクが潜んでいることも把握しておく必要があります。

人事の分野に潜むAIのリスクとは、一体どのようなものなのでしょうか。今回は、就活に大きな影響を与え始めている「AI選考」のメリットとともに、リスクについても詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

AIの活用事例について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能の利用例を解説!機械学習を活用した身の回りの実用例

ES選考や適性診断、面接などをAIが行う時代に

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2017年、ソフトバンクは18年度卒のエントリーシート選考においてIBMの「Watson」を導入し、選考にかかる時間を75%削減したことで大きな注目を集めました。これを機に、いくつかの大手企業もAIを導入していったことを踏まえると、「AI就活元年」と言っても過言ではないでしょう。そして、翌年の19年度卒の採用活動においては、より多くの企業が選考にAIを活用し始め、少しずつAIによる選考というものが一般的になり始めている状況です。

具体的なAIの導入例としては、上記で説明したエントリーシート選考の他に、「適正診断」や「一次面接」などが挙げられます。たとえば、適正診断の場合、これまではマークシートの解答しか判断材料となるものがありませんでした。しかし、AIを導入することで、解答にかかった時間を把握できるようになるため、どれくらい迷っているかを判断することも可能になります。そして、その迷いなどから、「性格」「成長予測」「自社との相性」といった点を明らかにしていくこともできるため、これまで以上に鮮明な適正診断を行えるようになったわけです。

また、一次面接の場合、AIを導入すれば「スマートフォン越しにAIの質問に答えていく」といったスタイルで選考を進められます。企業としても大幅な業務効率化を実現できますし、学生としても自分の都合の良い時間に自宅で試験を受けられるため、双方にとって大きなメリットがあるのです。

 

AIを活用すれば企業は「就活生との接点作り」にフォーカスできる

AIを活用すれば企業は「就活生との接点作り」にフォーカスできる|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

企業が選考にAIを活用するメリットとしては、やはり「採用活動を効率化できる」という点が挙げられます。採用活動にかかるコストや人手を減らすことができる上に、これまでよりも採用のミスマッチを減らすことができるのは、大きなメリットといえるでしょう。

また、人手不足の昨今は「売り手市場」といわれており、優秀な学生を採用することも簡単ではなくなりつつあります。だからこそ、多くの学生に企業の魅力を伝える活動にも力を入れていかなくてはなりません。そのため、AI導入によって業務効率化を実現できれば、その「企業の魅力を伝える活動」にも多くの力を注げるようになるのです。

これまでは、膨大な数のエントリーシートを一つずつ読み込んで選考しなければなりませんでしたが、AIを活用すれば、より客観的な視点での選考を効率的に行えるようになります。そして、採用担当者は削減された時間を活用して、エントリーシート選考を通過した学生と向き合う時間に充てることができるわけです。

エントリーシートだけでは見落としてしまうような人材ともしっかりと向き合えるようになることは、極めて大きなメリットといえるのではないでしょうか。

 

選考におけるAI活用にはリスクも

■選考におけるAI活用にはリスクも|人工知能を搭載した製品・サービスの比較一覧・導入活用事例・資料請求が無料でできるAIポータルメディア

ここまでご紹介してきたように、企業の選考活動にAIを導入するとさまざまなメリットが得られるわけですが、必ずしもメリットばかりというわけでもありません。いくつかの問題から、AIを活用した人材採用を打ち切った企業も存在するからです。たとえば、アマゾンでは、採用していたAI人材採用システムに「女性を差別する機械学習の欠陥」があったことから、2018年10月にAI採用の打ち切りを発表しました。

アマゾンでは、過去10年間の履歴書をAIに学習させ、そのデータを人材採用に活用していたそうですが、ソフト開発などの技術関係の職種採用においてはシステムに性別の中立性が働かなくなってしまったそうです。具体的には、履歴書に「女子大卒業」「女性チェス部の部長」といった記載がある場合に、評価が下がる傾向が出てしまったといいます。

もともとAIは、過去の膨大なデータを読み込んで分析・予測する作業を得意としていますが、このケースでは過去のデータの「価値観」が古いものであったため、現代の選考には相応しくない答えを出してしまったことが予想されます。こういった問題が発生したことから、アマゾンはAI活用による採用活動の効率化を中断せざるを得なくなってしまったのです。この事例を踏まえると、さまざまな業務をAIに任せられるわけではないということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

とはいえ、人材不足を解消できるのは「採用」の面だけではありません。たとえば「離職率の低下」を実現することでも、人材不足の解消に繋げられるからです。最近では、この離職率低下の実現にAIを活用している企業も存在します。

介護事業を営む企業では、過去1年間の離職率が高かったことを踏まえ、新入社員500人の日誌をAIに読み込ませて離職可能性が高い人を予測できるようにしました。離職可能性が高い人が出た場合にはアラートで知らされる仕組みで、個別での面談を実施するという対策を行ったところ、離職率低下につなげることに成功したそうです。

こういった「社員の離職防止」という使い方によっても、人手不足問題の解消につなげられるので、AIは使い方次第で多くのメリットを享受できることがお分かりいただけるでしょう。ただし、注意しなければならないのは、逆のリスクが発生してしまう可能性もあるということです。

経営者が「離職可能性の高い人」を把握できるようになった場合、使い方によっては「離職可能性が高い人は昇給・昇進させない」といった判断を下すための材料にしてしまうこともできます。ネガティブな方向にAIを活用してしまえば、さらに人手不足が深刻化してしまう可能性もあるのです。

そのため、AIに関わる人すべてが「AIのメリット・デメリット」をしっかりと把握しておくことが大切になるでしょう。

 

AIの特徴を理解した上で使いこなせるかが重要な鍵に

今回は、AI選考がもたらすメリットとリスクについてご紹介しました。基本的にAIを活用すれば多くのメリットを得られますが、使い方次第では大きなリスクを伴うということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

リスクを避けるためにも、一人ひとりがしっかりとAIのメリットやリスクを把握しておくことが大切になります。最大限のメリットを享受するためにも、ぜひこの機会にAIへの理解を深めてみてはいかがでしょうか。

AIについて詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
AI・人工知能とは?定義・歴史・種類・仕組みから事例まで徹底解説

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