アラヤ、本田技研と共同で運転時の認知処理を支援するインターフェースの有用性を発表
最終更新日:2023/04/18
アラヤは本田技研と共同で、運転中の脳活動から安全運転に関わる部位を特定し、AIを活用して先んじて危険因子を運転手に知らせるシステムの実証実験などの一連の結果をまとめ、ESV2023で発表しました。
このAIニュースのポイント
- 高齢化が進む中、運転ミスによる交通事故を防ぐことは大きな社会課題となっている
- 安全運転に関してリスクの低いドライバーと一般ドライバーの脳の活動を計測すると顕著な差が出た
- 実験結果をもとにHMIを用いた実験を行ったところ、安全な運転のために必要な認知処理を支援できることが実証された
株式会社アラヤは本田技術研究所と共同で、運転中の脳活動から安全運転に関わる部位を特定し、AIを活用して先んじて危険因子を運転手に知らせるシステムの実証実験などの一連の結果をまとめ、第27回ESV国際会議(ESV2023)で本成果を発表しました。
高齢化が進む中、運転ミスによる交通事故を防ぐことは大きな社会課題となっています。そのためにはドライバーのエラーを最小限に抑える必要がありますが、エラーの元となる不適切な情報処理に関係する神経機構はわかっておらず、また運転中の脳活動の計測は技術的な課題がありました。
今回、運転における様々な研究を行ってきた本田技術研究所と共同で、運転中の脳内メカニズムを調べるために、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(以下QST)を実験のサポートとアドバイザーに迎えて機能的磁気共鳴イメージング(fMRI)に対応した運転シミュレーターを活用し実験を行いました。
実験は、参加者にfMRI内で運転シミュレーターを操作してもらい、運転操作中の脳活動と視線を測定しました。安全運転に関してリスクの低いドライバーと一般ドライバーのリスクに遭遇した時の脳の活動の差を抽出した際、楔前部(けつぜんぶ)と呼ばれる部分に顕著な活動の差があることがわかりました。
運動前野、一次視覚野など他の脳部位の活動を含めた結果から、安全運転に関してリスクの高いドライバーは空間認識力が低く、危険が見えていないため予測できないことがリスク要因であること、そして経験した記憶や知識を元にリスクを判断していることが示唆されました。
この研究をもとに、本田技研は安全な運転のために必要な認知処理を補完し、運転手を支援するヒューマン・マシン・インターフェース(HMI)を構築しました。HMIの有効性を検証するために、車両の前部と5つのディスプレイから構成された運転シミュレータを使用して実験を行いました。その結果、HMIは高リスクなオブジェクトを早期に認知して回避する効果があることがわかり、インターフェースが安全運転に必要な認知処理を補完し支援できることが実証されました。
これにより、安全運転を目指す一般のドライバーも、安全運転にインスピレーションを与える情報処理支援システムを利用することで、より安全に運転をすることが可能です。
アラヤは「高齢化による運転能力の衰えから免許返納の潮流がある中、運転をやめることで認知機能が下がるケースも指摘されています。今後、多くの人が安全に楽しく運転できる未来を目指して開発を進めていきます」とコメントしています。
出典:PR TIMES
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